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女神様と私
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姉様との授業も回を重ねるとなんとなく距離も近づいてきた。
八歳も年上とはいえ、私達は前世持ちだ。精神年齢では逆転しているはず。
だからなのかエリー姉様は例えるなら懐かない猫のようだった。
挨拶すると無視されるのに私とユアンが話していると怒って近づいてくる。
「二人で私の悪口を言っているのね!」
私とユアンが先程の授業内容について話していると姉様がやってきた。
週三回はジェイクと、週一回はエリー姉様と残りはお姫様教育というスケジュールなので習って疑問に思ったことはその場で確認しないとついていけないのだ。
私達はまたかとは顔に出さずにエリー姉様の方を向いた。二人で打ち合わせをした訳ではないのに作った顔は泣き顔だつた。
「酷いです。私はエリー姉様が好きなのに……」
私がそう言うと姉様が一歩引いた。
「姉上の悪口なんて、そんなこと、僕……」
私とユアンがシュンと肩を落として俯く。
「いいのよ! 私もそれくらいしてもらった方がやりがいもあるのよ! あなた達なんか何も出来ない子供だもの!!」
フンと腕を組んだエリー姉様は私達の方を見て、顔をしかめる。
「本当にだらしないわ。金髪しか取り柄がないって本当に憐れよね」
そう言いながらも私達の服についたホコリを払い、曲がったリボンやネクタイを直す。
「いい、私はあなた達なんて大嫌いよ!」
言葉では嫌いと言いながらも手を止めずに今度は私達の机の上を整理し始める。
「本当にこんな弟と妹だなんて恥ずかしいわ!!」
パタンと開いたままだった資料を閉じてから再び腰に手を当てる。多分このポーズは姉様的には威厳のあるポーズなのだ。
私はキッチリを片付けられた机と埃一つ着いていない服を見てニッコリと微笑んだ。
「エリー姉様、いつもありがとうございます」
「ふん、罵られてお礼を言うなんて嫌味な子ね!」
エリー姉様は真っ赤になった顔を隠して授業を受けていた部屋をそそくさと後にした。
「可愛いよね」
「ああ」
「きっと、ああやって俺たちの世話をすることで暴言を吐く罪悪感を払拭してるんだなぁ」
私達は姉様が去った方と見ながらしみじみと話す。いい人なのだ。初めに履き違えただけで。
「やぁ。授業は終わったかい?」
ドアから入ってきたのはあの姉様の兄とは思えないくらい腹黒なシャール兄様だ。最近私達が事情を理解したからか前にも増して遠慮がなくなってきた。
「はい」
ユアンももう取り繕うこともなく、投げやりに返事を返す。
「またまた、ユアンはご機嫌斜めかな?」
シャール兄様はそういって私の頭を撫でる。
「ユーデット、元気かい?」
「はい、兄様」
「エリーとは仲良くしてる?」
「まぁ、なんとか?」
「ハハハ、エリーは良い子だからそんなに心配してなかったけど、本人は君達をいじめてるといってたから少し様子を見に来たんだよ」
エリー姉様、そこは黙っていじめようよ……
私とユアンは顔を見合わせる。ここはいじめられている振りをした方がエリー姉様は喜ぶのかもしれないとも思うのだ。
私達はうんっと頷き合った。
「兄様!! エリー姉様は酷いんです。いつも汚いとかだらしないとか言うんです」
「そうです。姉上は僕達を恥ずかしいと言って……」
「言って?」
「お世話をするんです」
シャール兄様は一点の乱れもない私達の格好と机を見て、盛大に溜息を吐いた。
「わかった。君達が困っているとエリーに伝えよう」
「お願いします」
「ところで、授業はどうだい? ジェイクとの授業もあるし、大変ならば調整する」
「そっちは全く問題ありません。それよりも民間の伝承や信仰に使われている逸話があったら知りたいんですが……」
「理由を聞いても?」
ユアンが私に許可を求めてきた。私はうんと頷く。やっぱりこの人を巻き込まないと情報は集まらない。
「神殿の弱みを知りたいです」
「何故?」
シャール兄様が畳み掛ける。
「私の価値を下げるため、もしくはそれを神殿に認めさせるためにです」
「ユーデットの価値を下げたくないな。僕は」
シャール兄様の目がキラリン光る。やっぱりこわい!
「い、今じゃないです!! 早くてもジェイクが大きくなってから……」
そうジェイクが無事大きくなって公爵家を継ぐまでは私という価値ある婚約者は必要だと思う。
「なるほど、じゃあ、まぁいいかな。わかったよ。必要なものは僕に言うように。いいね?」
「はい!!」
「はい!!」
私達は元気に返事を返した。
きっと兄様はジェイクが公爵家を継ぐころには自分の王太子の地位も盤石だと計算したんだろう。そして自分が王位を継ぐ時には神殿の力が弱ければ弱いほど良いはず。
私がそう考えていると、兄様はニヤリを笑った。こわ!!
「頑張って神殿の弱みを握るんだよ。それが君達の自由に繋がるんだから」
ひえぇっぇやっぱり全て見透かされたよ!!
まだまだ、シャール兄様には敵わないみたい。
八歳も年上とはいえ、私達は前世持ちだ。精神年齢では逆転しているはず。
だからなのかエリー姉様は例えるなら懐かない猫のようだった。
挨拶すると無視されるのに私とユアンが話していると怒って近づいてくる。
「二人で私の悪口を言っているのね!」
私とユアンが先程の授業内容について話していると姉様がやってきた。
週三回はジェイクと、週一回はエリー姉様と残りはお姫様教育というスケジュールなので習って疑問に思ったことはその場で確認しないとついていけないのだ。
私達はまたかとは顔に出さずにエリー姉様の方を向いた。二人で打ち合わせをした訳ではないのに作った顔は泣き顔だつた。
「酷いです。私はエリー姉様が好きなのに……」
私がそう言うと姉様が一歩引いた。
「姉上の悪口なんて、そんなこと、僕……」
私とユアンがシュンと肩を落として俯く。
「いいのよ! 私もそれくらいしてもらった方がやりがいもあるのよ! あなた達なんか何も出来ない子供だもの!!」
フンと腕を組んだエリー姉様は私達の方を見て、顔をしかめる。
「本当にだらしないわ。金髪しか取り柄がないって本当に憐れよね」
そう言いながらも私達の服についたホコリを払い、曲がったリボンやネクタイを直す。
「いい、私はあなた達なんて大嫌いよ!」
言葉では嫌いと言いながらも手を止めずに今度は私達の机の上を整理し始める。
「本当にこんな弟と妹だなんて恥ずかしいわ!!」
パタンと開いたままだった資料を閉じてから再び腰に手を当てる。多分このポーズは姉様的には威厳のあるポーズなのだ。
私はキッチリを片付けられた机と埃一つ着いていない服を見てニッコリと微笑んだ。
「エリー姉様、いつもありがとうございます」
「ふん、罵られてお礼を言うなんて嫌味な子ね!」
エリー姉様は真っ赤になった顔を隠して授業を受けていた部屋をそそくさと後にした。
「可愛いよね」
「ああ」
「きっと、ああやって俺たちの世話をすることで暴言を吐く罪悪感を払拭してるんだなぁ」
私達は姉様が去った方と見ながらしみじみと話す。いい人なのだ。初めに履き違えただけで。
「やぁ。授業は終わったかい?」
ドアから入ってきたのはあの姉様の兄とは思えないくらい腹黒なシャール兄様だ。最近私達が事情を理解したからか前にも増して遠慮がなくなってきた。
「はい」
ユアンももう取り繕うこともなく、投げやりに返事を返す。
「またまた、ユアンはご機嫌斜めかな?」
シャール兄様はそういって私の頭を撫でる。
「ユーデット、元気かい?」
「はい、兄様」
「エリーとは仲良くしてる?」
「まぁ、なんとか?」
「ハハハ、エリーは良い子だからそんなに心配してなかったけど、本人は君達をいじめてるといってたから少し様子を見に来たんだよ」
エリー姉様、そこは黙っていじめようよ……
私とユアンは顔を見合わせる。ここはいじめられている振りをした方がエリー姉様は喜ぶのかもしれないとも思うのだ。
私達はうんっと頷き合った。
「兄様!! エリー姉様は酷いんです。いつも汚いとかだらしないとか言うんです」
「そうです。姉上は僕達を恥ずかしいと言って……」
「言って?」
「お世話をするんです」
シャール兄様は一点の乱れもない私達の格好と机を見て、盛大に溜息を吐いた。
「わかった。君達が困っているとエリーに伝えよう」
「お願いします」
「ところで、授業はどうだい? ジェイクとの授業もあるし、大変ならば調整する」
「そっちは全く問題ありません。それよりも民間の伝承や信仰に使われている逸話があったら知りたいんですが……」
「理由を聞いても?」
ユアンが私に許可を求めてきた。私はうんと頷く。やっぱりこの人を巻き込まないと情報は集まらない。
「神殿の弱みを知りたいです」
「何故?」
シャール兄様が畳み掛ける。
「私の価値を下げるため、もしくはそれを神殿に認めさせるためにです」
「ユーデットの価値を下げたくないな。僕は」
シャール兄様の目がキラリン光る。やっぱりこわい!
「い、今じゃないです!! 早くてもジェイクが大きくなってから……」
そうジェイクが無事大きくなって公爵家を継ぐまでは私という価値ある婚約者は必要だと思う。
「なるほど、じゃあ、まぁいいかな。わかったよ。必要なものは僕に言うように。いいね?」
「はい!!」
「はい!!」
私達は元気に返事を返した。
きっと兄様はジェイクが公爵家を継ぐころには自分の王太子の地位も盤石だと計算したんだろう。そして自分が王位を継ぐ時には神殿の力が弱ければ弱いほど良いはず。
私がそう考えていると、兄様はニヤリを笑った。こわ!!
「頑張って神殿の弱みを握るんだよ。それが君達の自由に繋がるんだから」
ひえぇっぇやっぱり全て見透かされたよ!!
まだまだ、シャール兄様には敵わないみたい。
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