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それぞれの事情
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「ユーデットは話すのが苦手なのかな?」
今日もシャール兄様が私達の部屋にやってきて私の前に跪く。
私はドキッとしたけど、コクコクと頷いた。あいつと約束してから私は名前は言えるけどそれ以外はまだ話せないと言うことになっている。
「でも、話している言葉はわかるんだよね」
私はまたコクコクと頷いた。
シャール兄様は立ち上がると手を顎に当てて何かを考えている。
「兄上、どうしたんですか?」
あいつは私の通訳としてそばにいることが多い。それくらいのサポートはしてとお願いしたのだ。
「あ、いや、まぁ、そうだな。ユアンも一緒ならいいよね」
何かひとり言を呟くと私達にいい笑顔を向けた。もうこの兄のこの笑顔は黒いと分かっている私達は顔を見合わせる。
これは何か無茶させられるかも!! 戦々恐々としているとシャール兄様が私達の頭を撫でる。
「僕はどちらでも良かったんだけど、まぁあそこの伯爵は欲深いからね。ジェイクの母親は今回助けたら恩義を感じるだろうし、僕にとっても都合がいい。だからジェイクとの婚約は破棄しない予定なんだ。まだ君達には難しいかも知れないけどね」
私はあいつと目を合わせて頷いた。メイドさん達が言ってたことは本当だったらしい。
「そこでジェイクを君達との交流を口実に週に何度か保護しようと思うんだ」
保護ってことは今あの子は危険ってこと!
「王女の婚約者であると広めれば向こうも手出しは出来ないだろうし、いいかな?」
私は勢いよく頷いたが、あいつは少し考えると兄様に条件を出した。
「僕は構わないけど、あのジェイクのために危険になるのは嫌だなぁ」
私達の頭を撫でていた手が止まる。
「ふーん、そうか。君は不満なんだね。ユアン」
「というか。あの子のためっていっても兄上にもメリットがあるんですよね? 僕達にも何かあると嬉しいかなって」
シャール兄様が屈んでユアンの顔を真正面から見つめる。
「なるほど、確かにそうだ。君達の希望があれば聞くよ」
「交流ではなく授業にしてください。僕は勉強したい」
「え? もう? 君はまだ三歳だろう?」
「それでも僕はこの国のことや文字を勉強したいんだ」
「ふむ、そうだね。ジェイクは六歳、いや七歳か。一緒に勉強する。いいかもしれないな」
シャール兄様は頷きかけたが、私の方に顔を向けた。
「ユーデットもそれでいいのかい? 君はまだ話せないのに」
私はコクコクと頷いた。
「大丈夫です。話せなくてもユーデットは全部理解してますし、必要ならば僕が通訳します」
「そうか、いつも不思議だったのだが、君達が赤ちゃんの頃から話している言葉どんなものなんだい?」
「僕達にもわかりません。気が付いたらユーデットとは話せたので。もしかしたら母のお腹の中から使っていたのかもしれません」
シャール兄様は立ち上がった。
「そうか。双子っていうのはいいね。少し羨ましいよ。ユアンがいるから安心してユーデットは話さないのかもね」
私はブンブンと顔を横にふる。そんなんじゃないのよ!!
「ははは、まぁ、わかったよ。良い教師を見つけて早々に授業の準備をしよう。そして学友としてジェイクを呼ぶ。いいね?」
「はい」
元気に頷くあいつの隣で私も大きく頷いた。
シャール兄様が去った後あいつと顔を見合わせた。
「もう!! びっくりしたよ」
「なにが?」
「なにがってあの人がいい笑顔をしたときは要注意じゃない。不満なんていうんだもん」
「でもそれで授業が受けられるんだからよかっただろ?」
「それはそうだけど……」
「ここの文字を習って読み書きが出来るようになれば、もっと色々分かるはずだ」
「歴史とか地理とか?」
「ああ、それに医学書も読んでみたい」
「もうあっちの記憶なんて殆どないじゃない」
「それでも自分が医学を学んでいたことは覚えているんだ。きっと何かの役に立つを思ってる」
「そっか……」
「お前だって知りたいこと何かないのか?」
「うーん、そうだなぁ。スイーツの歴史とか?」
「なんだよそれ」
「だって最近おやつにくれるお菓子のレパートリーが少ない気がして。きっと他にも美味しいものがあると思うんだよね」
「兎に角早く読み書きをマスターしよう」
「あの子はどうするの?」
「お前に何とかするって言ったからな。約束は守るよ。でも会って話さないとわからない」
私はあの時のあの子の顔を思い浮かべる。あんまり幸せそうではなかったよね。まだ五歳だったのに……
「私は幼児虐待には反対だよ!! 助ける方向でなんとかしよう!! わかった?」
「はいはい」
そうして私達は初めての授業の日を迎えた。
シャール兄様と一緒に教室となる部屋にやってくると既にあの子が待っていた。
兄様が先生と話に行くと私達が残された。私達はもうすぐ四歳になる。だからあの子は七歳。
「お久しぶりでございます。ユーデット姫様、ユアン王子様」
そう言って頭をさげたあの子は……不幸に磨きがかかっていた。なんというか体から黒いオーラが出ている。
私はユアンと目を合わせる。やっぱり驚いているようだ。少し仰け反り気味に挨拶を返す。
「ひ、ひさし、ぶり……だな。元気……、いや、えー」
「生きてて良かったね」
口ごもるあいつの隣で私は思ったことを言ってみた。あいつのギョッとした顔を見たのは久しぶりだ。
「なっ……」
あの子は顔を歪めて一歩下がった。
でも、私はこの二年をこの子が生きていたことが本当に嬉しかったのだ。
小さな子が死んでしまうことが簡単に起こることは知っていたし、状況的にも元夫人がこの子を害そうとしていることもあったはずだ。
だってこの子がいなくなればこの子のお母さんがあの暴力公爵と一緒にいるとは思えなかったから。
「ユーデット、言葉!」
「あっ!!」
私は慌てて口に手を当てた。そうだった。私は話せない設定だった。周りを見渡したが、私達以外は近くにいない。私は良かったと息を吐き出した。
「おい、お前」
「はい、なんでしょうか。ユアン王子」
「ユーデットは話せない。いいな?」
「え?」
その時先生と話していたシャール兄様がやってきた。
「挨拶は済んだかい?」
ニコニコと歩いてくる兄様は今日も要注意人物だ。
「はい、兄上」
ユアンがそう答えて私もコクコクと頷いた。
「ジェイク公子、ユーデットはまだ話すことが上手ではないが、僕達の言葉はきちんと理解している。そのことは理解するように」
私とあいつがあの子を見つめる。するとあの子は少し息を吐き出すとしっかりと頷いた。
「かしこまりました。ユーデット姫のお言葉はユアン王子が伝えてくださるということでよろしいですか?」
「ああ、そうだよ。公子はどの程度勉強が進んでいるんだい?」
「父から姫様、王子様に倣うように言われております」
「ん? 自分の進度に合わせてもいいんだよ」
「いえ、自分の勉強は家で出来ますので、こちらではお二人とご一緒いたします」
シャール兄様は手を顎に当てて考えているようだ。
「まぁいいか。きっとユアン達ならばすぐに追いつくだろう。では、今日から週三回この部屋で授業を受けてもらうよ。君は僕が認めたユーデットの婚約者だ。ここに来る前に間違って見苦しい怪我などしないよう公爵にも申し伝えたよ」
「ご配慮ありがとうございました」
シャール兄様は私達の前に屈むと頭に手を当てて撫でながらニッコリと微笑んた。
「では、二人共頑張ってね。先生は国一番の者に来てもらったよ。安心して勉強するんだ」
「はい!」
そうして私達の勉強会が始まったのだった。
今日もシャール兄様が私達の部屋にやってきて私の前に跪く。
私はドキッとしたけど、コクコクと頷いた。あいつと約束してから私は名前は言えるけどそれ以外はまだ話せないと言うことになっている。
「でも、話している言葉はわかるんだよね」
私はまたコクコクと頷いた。
シャール兄様は立ち上がると手を顎に当てて何かを考えている。
「兄上、どうしたんですか?」
あいつは私の通訳としてそばにいることが多い。それくらいのサポートはしてとお願いしたのだ。
「あ、いや、まぁ、そうだな。ユアンも一緒ならいいよね」
何かひとり言を呟くと私達にいい笑顔を向けた。もうこの兄のこの笑顔は黒いと分かっている私達は顔を見合わせる。
これは何か無茶させられるかも!! 戦々恐々としているとシャール兄様が私達の頭を撫でる。
「僕はどちらでも良かったんだけど、まぁあそこの伯爵は欲深いからね。ジェイクの母親は今回助けたら恩義を感じるだろうし、僕にとっても都合がいい。だからジェイクとの婚約は破棄しない予定なんだ。まだ君達には難しいかも知れないけどね」
私はあいつと目を合わせて頷いた。メイドさん達が言ってたことは本当だったらしい。
「そこでジェイクを君達との交流を口実に週に何度か保護しようと思うんだ」
保護ってことは今あの子は危険ってこと!
「王女の婚約者であると広めれば向こうも手出しは出来ないだろうし、いいかな?」
私は勢いよく頷いたが、あいつは少し考えると兄様に条件を出した。
「僕は構わないけど、あのジェイクのために危険になるのは嫌だなぁ」
私達の頭を撫でていた手が止まる。
「ふーん、そうか。君は不満なんだね。ユアン」
「というか。あの子のためっていっても兄上にもメリットがあるんですよね? 僕達にも何かあると嬉しいかなって」
シャール兄様が屈んでユアンの顔を真正面から見つめる。
「なるほど、確かにそうだ。君達の希望があれば聞くよ」
「交流ではなく授業にしてください。僕は勉強したい」
「え? もう? 君はまだ三歳だろう?」
「それでも僕はこの国のことや文字を勉強したいんだ」
「ふむ、そうだね。ジェイクは六歳、いや七歳か。一緒に勉強する。いいかもしれないな」
シャール兄様は頷きかけたが、私の方に顔を向けた。
「ユーデットもそれでいいのかい? 君はまだ話せないのに」
私はコクコクと頷いた。
「大丈夫です。話せなくてもユーデットは全部理解してますし、必要ならば僕が通訳します」
「そうか、いつも不思議だったのだが、君達が赤ちゃんの頃から話している言葉どんなものなんだい?」
「僕達にもわかりません。気が付いたらユーデットとは話せたので。もしかしたら母のお腹の中から使っていたのかもしれません」
シャール兄様は立ち上がった。
「そうか。双子っていうのはいいね。少し羨ましいよ。ユアンがいるから安心してユーデットは話さないのかもね」
私はブンブンと顔を横にふる。そんなんじゃないのよ!!
「ははは、まぁ、わかったよ。良い教師を見つけて早々に授業の準備をしよう。そして学友としてジェイクを呼ぶ。いいね?」
「はい」
元気に頷くあいつの隣で私も大きく頷いた。
シャール兄様が去った後あいつと顔を見合わせた。
「もう!! びっくりしたよ」
「なにが?」
「なにがってあの人がいい笑顔をしたときは要注意じゃない。不満なんていうんだもん」
「でもそれで授業が受けられるんだからよかっただろ?」
「それはそうだけど……」
「ここの文字を習って読み書きが出来るようになれば、もっと色々分かるはずだ」
「歴史とか地理とか?」
「ああ、それに医学書も読んでみたい」
「もうあっちの記憶なんて殆どないじゃない」
「それでも自分が医学を学んでいたことは覚えているんだ。きっと何かの役に立つを思ってる」
「そっか……」
「お前だって知りたいこと何かないのか?」
「うーん、そうだなぁ。スイーツの歴史とか?」
「なんだよそれ」
「だって最近おやつにくれるお菓子のレパートリーが少ない気がして。きっと他にも美味しいものがあると思うんだよね」
「兎に角早く読み書きをマスターしよう」
「あの子はどうするの?」
「お前に何とかするって言ったからな。約束は守るよ。でも会って話さないとわからない」
私はあの時のあの子の顔を思い浮かべる。あんまり幸せそうではなかったよね。まだ五歳だったのに……
「私は幼児虐待には反対だよ!! 助ける方向でなんとかしよう!! わかった?」
「はいはい」
そうして私達は初めての授業の日を迎えた。
シャール兄様と一緒に教室となる部屋にやってくると既にあの子が待っていた。
兄様が先生と話に行くと私達が残された。私達はもうすぐ四歳になる。だからあの子は七歳。
「お久しぶりでございます。ユーデット姫様、ユアン王子様」
そう言って頭をさげたあの子は……不幸に磨きがかかっていた。なんというか体から黒いオーラが出ている。
私はユアンと目を合わせる。やっぱり驚いているようだ。少し仰け反り気味に挨拶を返す。
「ひ、ひさし、ぶり……だな。元気……、いや、えー」
「生きてて良かったね」
口ごもるあいつの隣で私は思ったことを言ってみた。あいつのギョッとした顔を見たのは久しぶりだ。
「なっ……」
あの子は顔を歪めて一歩下がった。
でも、私はこの二年をこの子が生きていたことが本当に嬉しかったのだ。
小さな子が死んでしまうことが簡単に起こることは知っていたし、状況的にも元夫人がこの子を害そうとしていることもあったはずだ。
だってこの子がいなくなればこの子のお母さんがあの暴力公爵と一緒にいるとは思えなかったから。
「ユーデット、言葉!」
「あっ!!」
私は慌てて口に手を当てた。そうだった。私は話せない設定だった。周りを見渡したが、私達以外は近くにいない。私は良かったと息を吐き出した。
「おい、お前」
「はい、なんでしょうか。ユアン王子」
「ユーデットは話せない。いいな?」
「え?」
その時先生と話していたシャール兄様がやってきた。
「挨拶は済んだかい?」
ニコニコと歩いてくる兄様は今日も要注意人物だ。
「はい、兄上」
ユアンがそう答えて私もコクコクと頷いた。
「ジェイク公子、ユーデットはまだ話すことが上手ではないが、僕達の言葉はきちんと理解している。そのことは理解するように」
私とあいつがあの子を見つめる。するとあの子は少し息を吐き出すとしっかりと頷いた。
「かしこまりました。ユーデット姫のお言葉はユアン王子が伝えてくださるということでよろしいですか?」
「ああ、そうだよ。公子はどの程度勉強が進んでいるんだい?」
「父から姫様、王子様に倣うように言われております」
「ん? 自分の進度に合わせてもいいんだよ」
「いえ、自分の勉強は家で出来ますので、こちらではお二人とご一緒いたします」
シャール兄様は手を顎に当てて考えているようだ。
「まぁいいか。きっとユアン達ならばすぐに追いつくだろう。では、今日から週三回この部屋で授業を受けてもらうよ。君は僕が認めたユーデットの婚約者だ。ここに来る前に間違って見苦しい怪我などしないよう公爵にも申し伝えたよ」
「ご配慮ありがとうございました」
シャール兄様は私達の前に屈むと頭に手を当てて撫でながらニッコリと微笑んた。
「では、二人共頑張ってね。先生は国一番の者に来てもらったよ。安心して勉強するんだ」
「はい!」
そうして私達の勉強会が始まったのだった。
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