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番外編
アンネマリーの運命22
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美しい夕陽が、庭園を赤く染めた。
アンネマリーはスティーブンとしっかりと目を合わせる。
信じられる!
この気持ちを忘れないようにしよう。
「スティーブン様、わたくしでよろしいのでしょうか?」
「貴女だけが必要なのです」
「わかりました。貴方の騎士の誓いを受けます」
スティーブンはガバッと立ち上がった。
「ほ、本当か!!」
突然言葉が荒くなったスティーブンの驚きながらも嬉々とした顔に笑みが溢れる。
「はい!」
「あ、いや、失礼した」
そういうと再びアンネマリーの前に跪くとアンネマリーへ騎士の誓いを捧げた。
「我、スティーブン・ホースタインはアンネマリー・カタナリオ嬢に騎士の誓いを捧げる」
すると辺りがキーンという魔力が包むような音に包まれる。
「わたくし、アンネマリー・カタナリオはスティーブン・ホースタイン様の誓いを謹んでお受けします」
辺りをキラキラとした魔力の風が包み込むとパーッと輝いて弾けた。
「綺麗だわ」
アンネマリーはその様子をキョロキョロとして見つめた。
すると立ち上がったスティーブンがアンネマリーの手を引いて抱きしめる。
「愛しているよ、アンネマリー」
「わたくしもいつの間にか貴方のことが頭から離れなくなってしまいましたの」
「ああ! すぐに結婚したい! 僕はいやもう子供は卒業だ。私は君を絶対に幸せにしてみせるよ」
「はい、楽しみしておりますわ」
「もう誰も君に手出しはさせない! 絶対に守るよ」
「はい、ふふふ。今まででもわたくしに手を上げたのは貴方だけですわ」
アンネマリーが少し意地悪のように返した。その途端スティーブンはアタフタとして顔は真っ赤に染まった。
「いや、あれは、その、本当に申し訳なかった!!この償いは一生かけて行うよ」
その様子を少し離れて見守っていた王太子とエレオノーラはお互いの顔を見合わせた。
「スティーブンは一生アンネマリーに頭が上がらないな」
「そうですわね。でも、わたくしもアンネマリーのあんなに幸せそうな笑顔は見たことがありませんわ」
「さぁ僕たちも彼らに負けないように幸せになろう」
「ええ」
それから10年、王太子は王になり、エレオノーラとの間には既に4人の王子が生まれていた。
そして、ホースタイン公爵家には新たな幸せが訪れていた。
「え? 本当かい? アンネマリー!」
アンネマリーは恥ずかしそうに手を前で組んだ。
「本当なの。わたくし、赤ちゃんが出来たの」
スティーブンはハッとしてアンネマリーを抱き上げた。
「無理はいけないよ。えっと、暖かくしないと! ケイト! ケイト! ブランケットを持ってきてくれ!」
「スティーブン、大丈夫ですわ。最近少し体調が悪かったのは本当だけど、原因が赤ちゃんだとわかったらなんだか気分がよくなったの! もう諦めていたから……夢みたいだわ」
スティーブンの腕の中でアンネマリーは涙ぐんだ。そして、目尻の涙を拭くとスティーブンにとびっきりの笑顔をみせたのだ。
「スティーブン、わたくしの子ですわ。わたくしと貴方の! もうそれだけで嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて……」
スティーブンはアンネマリーを抱えたままソファに腰を下ろすとそのままそっと抱きしめる。
「ありがとう。君は私にいつも幸せを運んでくれるよ。それに……」
スティーブンはまだ、何の膨らみもないアンネマリーのお腹に向かって優しく囁いた。
「君がここに来てくれたことを本当に感謝するよ。君はまだ産まれていないけれど、もう私達に幸せを運んでくれたよ。もうそれだけで一生分の親孝行してくれたんだ」
「もう、スティーブンったら。まだ聞こえていないわ」
「いいんだ。これは私自身への言葉だよ。この子は奇跡の子だよ。もうこの子のことが大好きだよ。何があっても守りたい。愛したい。そして、アンネマリー、愛しているよ」
そう言ってスティーブンはアンネマリーにそっとキスを落としたのだった。
アンネマリーもそっとお腹に手を当てて小さな声で話しかけた。
「安心して出ていらっしゃい。お父様もお母様ももうあなたを愛しているわ。ここはとても素敵なところよ」
アリシア誕生まであと少し。
アンネマリーはスティーブンとしっかりと目を合わせる。
信じられる!
この気持ちを忘れないようにしよう。
「スティーブン様、わたくしでよろしいのでしょうか?」
「貴女だけが必要なのです」
「わかりました。貴方の騎士の誓いを受けます」
スティーブンはガバッと立ち上がった。
「ほ、本当か!!」
突然言葉が荒くなったスティーブンの驚きながらも嬉々とした顔に笑みが溢れる。
「はい!」
「あ、いや、失礼した」
そういうと再びアンネマリーの前に跪くとアンネマリーへ騎士の誓いを捧げた。
「我、スティーブン・ホースタインはアンネマリー・カタナリオ嬢に騎士の誓いを捧げる」
すると辺りがキーンという魔力が包むような音に包まれる。
「わたくし、アンネマリー・カタナリオはスティーブン・ホースタイン様の誓いを謹んでお受けします」
辺りをキラキラとした魔力の風が包み込むとパーッと輝いて弾けた。
「綺麗だわ」
アンネマリーはその様子をキョロキョロとして見つめた。
すると立ち上がったスティーブンがアンネマリーの手を引いて抱きしめる。
「愛しているよ、アンネマリー」
「わたくしもいつの間にか貴方のことが頭から離れなくなってしまいましたの」
「ああ! すぐに結婚したい! 僕はいやもう子供は卒業だ。私は君を絶対に幸せにしてみせるよ」
「はい、楽しみしておりますわ」
「もう誰も君に手出しはさせない! 絶対に守るよ」
「はい、ふふふ。今まででもわたくしに手を上げたのは貴方だけですわ」
アンネマリーが少し意地悪のように返した。その途端スティーブンはアタフタとして顔は真っ赤に染まった。
「いや、あれは、その、本当に申し訳なかった!!この償いは一生かけて行うよ」
その様子を少し離れて見守っていた王太子とエレオノーラはお互いの顔を見合わせた。
「スティーブンは一生アンネマリーに頭が上がらないな」
「そうですわね。でも、わたくしもアンネマリーのあんなに幸せそうな笑顔は見たことがありませんわ」
「さぁ僕たちも彼らに負けないように幸せになろう」
「ええ」
それから10年、王太子は王になり、エレオノーラとの間には既に4人の王子が生まれていた。
そして、ホースタイン公爵家には新たな幸せが訪れていた。
「え? 本当かい? アンネマリー!」
アンネマリーは恥ずかしそうに手を前で組んだ。
「本当なの。わたくし、赤ちゃんが出来たの」
スティーブンはハッとしてアンネマリーを抱き上げた。
「無理はいけないよ。えっと、暖かくしないと! ケイト! ケイト! ブランケットを持ってきてくれ!」
「スティーブン、大丈夫ですわ。最近少し体調が悪かったのは本当だけど、原因が赤ちゃんだとわかったらなんだか気分がよくなったの! もう諦めていたから……夢みたいだわ」
スティーブンの腕の中でアンネマリーは涙ぐんだ。そして、目尻の涙を拭くとスティーブンにとびっきりの笑顔をみせたのだ。
「スティーブン、わたくしの子ですわ。わたくしと貴方の! もうそれだけで嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて……」
スティーブンはアンネマリーを抱えたままソファに腰を下ろすとそのままそっと抱きしめる。
「ありがとう。君は私にいつも幸せを運んでくれるよ。それに……」
スティーブンはまだ、何の膨らみもないアンネマリーのお腹に向かって優しく囁いた。
「君がここに来てくれたことを本当に感謝するよ。君はまだ産まれていないけれど、もう私達に幸せを運んでくれたよ。もうそれだけで一生分の親孝行してくれたんだ」
「もう、スティーブンったら。まだ聞こえていないわ」
「いいんだ。これは私自身への言葉だよ。この子は奇跡の子だよ。もうこの子のことが大好きだよ。何があっても守りたい。愛したい。そして、アンネマリー、愛しているよ」
そう言ってスティーブンはアンネマリーにそっとキスを落としたのだった。
アンネマリーもそっとお腹に手を当てて小さな声で話しかけた。
「安心して出ていらっしゃい。お父様もお母様ももうあなたを愛しているわ。ここはとても素敵なところよ」
アリシア誕生まであと少し。
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