悪役令嬢のお母様……でしたの

第九章 幸せの行方

81、真夜中のお茶会、、、なの？

「やっとひと息つけますわ」
わたくし達はバルターク公爵家に戻ると辺境伯を縛り上げて玄関ホールの隅にポイッと放ると各自の部屋に向かいます。
「シモン王子にはコーデリアを部屋まで運んでいただいてもよろしいですか？」
「もちろんです」
そう返事を返した王子の腕の中で真っ赤になって固まっているコーデリアはとても可愛らしい姿ですの。
帰り道の途中で目覚めたコーデリアは二人乗りしていた馬の上で悲鳴を上げました。でも、自分を支えているのがシモン王子だと分かると顔を真っ赤にして固まってしまったのです。
ふふふ、本当に可愛らしいですわ。
「皆さま、汗を流して着替えたら応接室に集合でよろしいかしら？」
「はい」
「わかりました」
「ああ」
わたくしももう流石に娘時代の騎士服では窮屈で早く着替えたいのです。
「では、後ほど。参りましょう、レオポルド様」
わたくしはレオポルド様の腕にもたれかかると直ぐに抱き上げて頂きます。もう歩くのさえも無理という疲れですもの。
バタン
寝室のドアが締まるとわたくしは直ぐに湯浴みの準備を命じてからソファに座ります。
「疲れたのか？」
レオポルド様はまだまだお元気そうですが、わたくしはかなり疲れておりますの。
「はい、こんなに力を使ったのは本当に久しぶりですもの」
レオポルド様はわたくしの隣に腰を下ろすと肩に手を回してくださいます。
「アリアドネ、これからどうするつもりだ？」
わたくしは何もかもお見通しの旦那様に笑顔を向けます。
「ふふふ、お分かりでしょう？　わたくしの可愛い子供達に危害を加えたのですもの。キツイお仕置きが必要ですわ」
心なしかレオポルド様の体がブルリと震えました。
「あなた？」
「あ、いや、姫のお仕置きは身に染みるからな……」
「いやですわ。わたくしはもう姫ではございません。もちろん、お仕置きはこんな状態で引きこもったお父様にしていただきます」
「なに！！　前王陛下にか！」
「ええ、原理主義だか、至上主義だか知りませんが、ご自分の取り巻きはきちんと管理してもらわなくてはなりませんもの」
わたくしは湯浴みの準備が終わったと呼びに来た侍女と共に浴室に向かう。
後ろではレオポルド様がブツブツと青い顔でつぶやいておりますが、それは無視です！
「前王陛下？　あのお方がいらっしゃる？　姫が言ったら動かれるか？　しかし……」
レオポルド様はかつての主君の登場に顔色は悪いですが、わたくしも怒っておりますもの。
わたくしは湯浴みをしながら、お父様を呼ぶための手配を申し付けます。
しかも、緊急度をMAXでです。
きっと、すぐにいらっしゃるでしょう。
そうしたら、まず、事情を説明して、それから……
わたくしはゆっくりを体をほぐしながら今後の展開を見据えておりました。