悪役令嬢のお母様……でしたの

波湖 真

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第八章 不穏な繋がり

68、ストーリー終了、、、なの?

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「まぁまぁまぁ、それは本当?」
久しぶりの学校から帰宅したコーデリアから聞いたのはミアの追放でした。
「シモン王子も中々やるのねぇ」
わたくしが感心半分驚き半分で頬に手を当てて首を傾げました。
「でしょ? 私も後から聞いてビックリしたのよ。シモン様ははっきりとは言わなかったけれど、かなりキツイ口調で支援を停止するって言ったみたい」
未だに驚きを隠せないコーデリアが興奮したように話し続けます。
「ねぇ、コーデリア」
「なぁにお母様」
「もしかして、ヒロインがいなくなったのだからこれでストーリーは終わったんじゃないかしら? もう強制力もなくなるんじゃ……」
わたくしの一言でコーデリアの動きがピタリと止まりました。
そして、グインとわたくしの方に顔を向けると目を一杯に広げて話し出しました。
「そ、そうかな? これで物語は終わり? 悪役令嬢もなし? 婚約破棄も? 修道院も?」
わたくしも興奮してきました。コーデリアが生まれた時からの懸案事項がこんなにあっさりと解決してしまうんですもの。
「そうなるわよね? だってヒロインが退場してしまったんですもの」
わたくしはうんうんと頷いてコーデリアに向かって両手を広げます。
「コーデリア!!!」
「お母様!!!」
「「ばんざーい」」
わたくし達はビシッと抱き合うとお互いの背中を叩き合いました。
こんなに大きくなったのですわね。そして、コーデリアの不幸はもう無くなったのですわね!!
「コーデリア! これからお祝いしましょう!! こんな日を祝わずしてどうするのです」
わたくしが抱擁を解いてコーデリアの瞳を見つめます。コーデリアの可愛らしい瞳からはとめどなく涙が落ちていますがこれは嬉し涙。心配はいたしません。
「はい! お母様」
「早速、豪華なディナーを用意しましょう。シモン王子にも来ていただいて……」
わたくしは興奮覚めやぬままにコーデリアの部屋を後にしました。
こんなに嬉しいことはないのですもの。レオポルド様やアルバートには学校復帰祝いということにしましょう。
今日はコーデリアの好物をたくさん用意して……
わたくしはこの時本当に浮かれておりました。だってコーデリアはシモン王子と幸せになって我がバルターク家は落ちぶれない未来が目の前だったんですもの。
でも、その浮かれた気分はその日の夜には絶望に変わりました。

コーデリアがわたくしの可愛いコーデリアが忽然と姿を消してしまったのです!!
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