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第五章 物語の始まり
39、婚約破棄……なの?
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「コーデリア! シモン王子がいらしたわよー」
わたくしはこの一年で既に日常と化したシモン王子のお迎えにコーデリアを呼びました。
学校が始まって既に一年が経ち、コーデリアとシモン王子の仲は順調に深まっているようです。
コーデリアはあまり話しませんが、毎日のように迎えに来て、学校が終わったら送ってくるのですもの。
おかげで二人の婚約は未だに継続中です。
ただ、心配なことが一つあるのです。
なんと言っても、物語での婚約破棄イベントまであと一年なのです。
この一年でまた更に仲を深めて欲しいと考えていました。
「シモン王子、学校でのコーデリアの言動に問題はありませんか?」
コーデリアを待つ間にわたくしはシモン王子に尋ねました。
「問題……ですか?」
「え、ええ、あの、コーデリアは世間知らずでしょう? 勿論私もなのだけれど、学校で何かトラブルなどないですか?」
「コーデリアが世間知らずなのはよくわかっているつもりです。僕もなるべくコーデリアのそばにいて、この様に行きも帰りも行動をともにしていますのでご安心ください」
そう言ってにっこりと笑ったシモン王子はこの一年で更に背が高くなり、見た目は物語の挿絵そのままになっておりました。
わたくしも物語のヒーローと話しているような不思議な感覚を抱いております。
「お待たせいたしました。シモン様」
コーデリアは、この一年で急に少女から大人に変わったかのように美しくなりました。
身長もわたくしより高いくらいですの。
そして、シモン王子の事はシモン様と呼ぶようになりました。
これは親密度がましたことですよね?
わたくしはにこにこしながら二人の会話を聞いておりました。
「いや、大丈夫だ。今来たところだし、待ってはいない。それよりもそのドレスを変えた方がいいんじゃないか?」
シモン王子がコーデリアのコーディネートを指摘しました。
これはこの数ヶ月ほど続いているいつもの会話で、何故かシモン王子はコーデリアの選ぶドレスがお好きではないようなのです。
「? 何処かおかしいかしら?」
スラリと背が伸びて、スタイル抜群のコーデリアはこの年頃に良くあるように、少し派手な色合いや胸元を、強調するようなドレスを選んでいるようなのです。
「お、おかしいというか……派手というか……とにかく首元まで覆うようなドレスに着替えた方がいいと思う」
「そうかしら? お母様はどうお思いですか?」
わたくしは突然の質問にドギマギしながらも答えました。
「わたくしはコーデリアの服装はとても可愛らしいと思うわ」
わたくしはコーデリアの美しさを引き立てるようなエメラルドグリーンのドレスを褒めましたの。
するとシモン王子は思いっきり顔をしかめたのが見えました。
普通婚約者が美しく着飾るのを自慢するものですのにと首を傾げます。
毎朝のことなのでもう慣れてしまったのですが、シモン王子の勧めるドレスは家庭教師のようなデザインばかりですの。
あれではコーデリアが不満に思っても仕方がないですわ。
年頃の女の子でこんなに可愛らしいのに、着飾る事を注意されては可哀想なのです。
「シモン王子、このドレスはとてもよくコーデリアに似合っていると思いますわ。今日はこのまま出発されてはいかがでしょう? もう時間もありませんわ」
わたくしがとりなして、何とかそのまま二人は出かけていきました。
わたくしは二人を見送るとほぅとため息をつきました。
「あの二人は大丈夫なのかしら? 最近はコーデリアの方が少しシモン王子から距離を取るようになってしまったような感じがするわ」
独り言を言いながらわたくしはこの一年の二人を思い返しておりました。
順調に深まっていると感じた二人の仲は今再び距離が出来ているようなのです。
始めのきっかけはコーデリアが癇癪を起こして、更に倒れた事でした。
アーノルドは、監視のためと言っていましたが、それからシモン王子がコーデリアの影のようについて歩くようになりましたの。
確かにコーデリアはミアに暴言を吐いたらしく高位貴族として注意されても仕方がないのですが、あそこまで付き纏われてしまうとわたくしでも息が詰まりますわ。
コーデリアも始めの一ヶ月くらいは嬉しそうでしたの。
でも、シモン王子がドレスにも注文をつけるようになってからは少し変わってしまいました。
コーデリア曰く、鬱陶しいらしいのです。
学校の事はわかりませんが、コーデリアがクラスメイトと話しているだけで、睨まれるのだそうです。
反面シモン王子は、常にコーデリアの周りにいるので物語通りにはなっていないようです。
いくらミアがシモン王子に話しかけようとしても、スッとかわしてコーデリアの側に来てしまうらしいのです。
それは、嬉しいのですが、今のままですとコーデリアの方から婚約を破棄してしまうのではないか? と心配です。
コーデリアから婚約を破棄した場合のシミュレーションもする必要があるのかもしれません。
わたくしは、先ほど出かけて行ったコーデリアのブスッとした顔を思い出して、もう一度ため息を吐いたのでした。
わたくしはこの一年で既に日常と化したシモン王子のお迎えにコーデリアを呼びました。
学校が始まって既に一年が経ち、コーデリアとシモン王子の仲は順調に深まっているようです。
コーデリアはあまり話しませんが、毎日のように迎えに来て、学校が終わったら送ってくるのですもの。
おかげで二人の婚約は未だに継続中です。
ただ、心配なことが一つあるのです。
なんと言っても、物語での婚約破棄イベントまであと一年なのです。
この一年でまた更に仲を深めて欲しいと考えていました。
「シモン王子、学校でのコーデリアの言動に問題はありませんか?」
コーデリアを待つ間にわたくしはシモン王子に尋ねました。
「問題……ですか?」
「え、ええ、あの、コーデリアは世間知らずでしょう? 勿論私もなのだけれど、学校で何かトラブルなどないですか?」
「コーデリアが世間知らずなのはよくわかっているつもりです。僕もなるべくコーデリアのそばにいて、この様に行きも帰りも行動をともにしていますのでご安心ください」
そう言ってにっこりと笑ったシモン王子はこの一年で更に背が高くなり、見た目は物語の挿絵そのままになっておりました。
わたくしも物語のヒーローと話しているような不思議な感覚を抱いております。
「お待たせいたしました。シモン様」
コーデリアは、この一年で急に少女から大人に変わったかのように美しくなりました。
身長もわたくしより高いくらいですの。
そして、シモン王子の事はシモン様と呼ぶようになりました。
これは親密度がましたことですよね?
わたくしはにこにこしながら二人の会話を聞いておりました。
「いや、大丈夫だ。今来たところだし、待ってはいない。それよりもそのドレスを変えた方がいいんじゃないか?」
シモン王子がコーデリアのコーディネートを指摘しました。
これはこの数ヶ月ほど続いているいつもの会話で、何故かシモン王子はコーデリアの選ぶドレスがお好きではないようなのです。
「? 何処かおかしいかしら?」
スラリと背が伸びて、スタイル抜群のコーデリアはこの年頃に良くあるように、少し派手な色合いや胸元を、強調するようなドレスを選んでいるようなのです。
「お、おかしいというか……派手というか……とにかく首元まで覆うようなドレスに着替えた方がいいと思う」
「そうかしら? お母様はどうお思いですか?」
わたくしは突然の質問にドギマギしながらも答えました。
「わたくしはコーデリアの服装はとても可愛らしいと思うわ」
わたくしはコーデリアの美しさを引き立てるようなエメラルドグリーンのドレスを褒めましたの。
するとシモン王子は思いっきり顔をしかめたのが見えました。
普通婚約者が美しく着飾るのを自慢するものですのにと首を傾げます。
毎朝のことなのでもう慣れてしまったのですが、シモン王子の勧めるドレスは家庭教師のようなデザインばかりですの。
あれではコーデリアが不満に思っても仕方がないですわ。
年頃の女の子でこんなに可愛らしいのに、着飾る事を注意されては可哀想なのです。
「シモン王子、このドレスはとてもよくコーデリアに似合っていると思いますわ。今日はこのまま出発されてはいかがでしょう? もう時間もありませんわ」
わたくしがとりなして、何とかそのまま二人は出かけていきました。
わたくしは二人を見送るとほぅとため息をつきました。
「あの二人は大丈夫なのかしら? 最近はコーデリアの方が少しシモン王子から距離を取るようになってしまったような感じがするわ」
独り言を言いながらわたくしはこの一年の二人を思い返しておりました。
順調に深まっていると感じた二人の仲は今再び距離が出来ているようなのです。
始めのきっかけはコーデリアが癇癪を起こして、更に倒れた事でした。
アーノルドは、監視のためと言っていましたが、それからシモン王子がコーデリアの影のようについて歩くようになりましたの。
確かにコーデリアはミアに暴言を吐いたらしく高位貴族として注意されても仕方がないのですが、あそこまで付き纏われてしまうとわたくしでも息が詰まりますわ。
コーデリアも始めの一ヶ月くらいは嬉しそうでしたの。
でも、シモン王子がドレスにも注文をつけるようになってからは少し変わってしまいました。
コーデリア曰く、鬱陶しいらしいのです。
学校の事はわかりませんが、コーデリアがクラスメイトと話しているだけで、睨まれるのだそうです。
反面シモン王子は、常にコーデリアの周りにいるので物語通りにはなっていないようです。
いくらミアがシモン王子に話しかけようとしても、スッとかわしてコーデリアの側に来てしまうらしいのです。
それは、嬉しいのですが、今のままですとコーデリアの方から婚約を破棄してしまうのではないか? と心配です。
コーデリアから婚約を破棄した場合のシミュレーションもする必要があるのかもしれません。
わたくしは、先ほど出かけて行ったコーデリアのブスッとした顔を思い出して、もう一度ため息を吐いたのでした。
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