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第三章 王子改造計画
23、計画通り……なの?
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わたくしは部屋の窓からシモン王子とコーデリアが手に手を取って仲良く歩いていくるのを見てほっと胸を撫で下ろしました。
あの様子ではやはり強制力は働かなかったのね!
「どうかしましたか? 母上」
アーノルドがわたくしの隣に歩いてきて窓を覗き込みました。
「あれ? 二人はうまく行ったようですね」
「そうみたいだわ」
わたくしとアーノルドは二人が戻る前に席に着いて暖かいお茶を用意するよう申し付けました。
「只今戻りました」
シモン王子のハキハキした礼儀正しい挨拶にわたくしは頬を緩めて頷きました。
「お帰りなさい。楽しく過ごせたかしら?」
「はい、おば様。僕たちは話題も尽きずとても仲良くなれました。ね? コーデリア嬢」
シモン王子が優しげに話しかけるとコーデリアは顔を真っ赤にして頷きました。
「まぁ! よかったわ! わたくし、少し心配していたの。仲良くなれるだなんて嬉しいわ」
「ありがとうございます。おば様。僕達は、これからは頻繁に会いたいのですがお許しいただけますか?」
「もちろんよ!! 二人は婚約者ですもの。その方がわたくしも嬉しいわ!!」
わたくしは計画が上手く行った事に浮かれておりました。
その横でコーデリアが一生懸命に何か目配せを送っている事に気づいたのは、もうシモン王子が別れの挨拶をしているところでしたわ。
わたくしはコーデリアに頷くとそのままにこやかにシモン王子を送り出してからコーデリアの手を取りました。
「さぁさぁ、コーデリア。今日の事をお母様にお話しして頂戴」
「はい、お母様」
「アーノルド、少しコーデリアの部屋で話してくるわね」
「はい、わかりました。母上。コーデリア、良かったな!」
「ええ、ありがとう。お兄様」
そうして、わたくしはコーデリアの部屋で二人きりで話し始めたのです。
「コーデリア!! 良かったわ!! 強制力は大丈夫だったのね!」
わたくしは侍女を下がらせると早速コーデリアに身を乗り出して話しかけました。
「お母様、落ち着いて頂戴。そう簡単な話ではないのよ。今日で私もやっとお母様が言っていたことがわかったわ。あの物語は本当にこの世界のある一面だけを切り取っているだけなのね」
そう言ってコーデリアは一人でうんうんと頷くとクッと顔を上げました。
「お母様! 私はシモン王子が気に入ったわ!! あの性格は貴重よ! 完璧だわ」
「そ、そうなの……」
わたくしはあまりの興奮ぶりに少し引き気味に答えました。
「そうよ! あの腹黒さ! 更に普段とのギャップ萌えまであるんだもの!」
「は、腹黒? ギャップ?」
「やっぱりお母様も気づいていなかったの? シモン王子のあの良い子ちゃんは演技なのよ!」
「え!? 演技?」
「そうよ! 知らなかったの?」
「え? でも、どうして?」
「もう! お母様はこの世界でかなり世間知らずなんでしょう! それなのによく私に色々言えたわね! すっかり騙されたわ」
そう言って話し出した内容は驚愕なものだった。
「前王派? 旗頭? 引きこもり?」
「そうよ! 今この国はまだまだ、不安定何ですって! 特にお母様を持ち上げる前王派が根強くて、シモン王子もかなり警戒していたわ。そんなに王位継承の時は揉めたの?」
「まぁ、そうね。確かにわたくしが王位を継承しない事に不満のあるものもいたのは事実だわ。でも、それももう十年以上も前の事よ」
「それでも、今も、いるんですって。だからこその私達の婚約なんだって」
「そうなのね。そういう事なのね」
コーデリアの話した事は、わたしくも知っていたけれど、考えたくなかった事だった。
わたくしがいる事で均衡が保たれている。
「はぁ」
「それで、私はわかったの! 確かにこの状態で私が婚約破棄されて自殺したら大変なことになるわよね。お父様だけではなくて、前王派も巻き込んでの騒動になりそうなのね」
「そう、ね」
わたくしは今まで見ないようにしていた事実を突きつけられてため息ばかりだった。
でも、だからこそ、コーデリアはやはり婚約破棄されてはいけないのよ!
「でも、コーデリアはシモン王子と仲良くなれたのでしょう?」
「ええ、でも、恋愛というよりも協力者って感じね。見せかけだけ仲良くしておいてお互いに保身しているって感じ?」
「でも、コーデリアとシモン王子は仲良くなったのでしょう? 気に入ったのてでしょう?」
「まぁ、そうね。今のシモン王子なら好きになっても良いし、最悪結婚しても面白いかなとは思ってるよ。でもシモン王子を落とすのは至難の業かも?」
「どうしてかしら?」
「シモン王子にとっての私は只、利害が一致した協力者よ! 例えるなら防犯ブザー。あれば心強いけれど、要らなくなったら捨てても良い思われているわ」
「そんな……」
「でも、その方が面白いわ。ただの俺様でも、我が儘でもなく、全て演技で自らの思い通りに人を動かすだなんて!! 私の好みのど真ん中なの!」
「え? コーデリア?」
「私、絶対にシモン王子を落として見せるわ。私を好きにならしてみせる! ミアになんか取られてたまるもんですか!」
わたくしは、俄然やる気を出したコーデリアをみて、まぁ、細部は違うけど、基本は計画通りねと思いましたわ。
シモン王子、首を洗って待っていなさい!
それからわたくし達は新たなシモン王子攻略法について話あったのだった。
あの様子ではやはり強制力は働かなかったのね!
「どうかしましたか? 母上」
アーノルドがわたくしの隣に歩いてきて窓を覗き込みました。
「あれ? 二人はうまく行ったようですね」
「そうみたいだわ」
わたくしとアーノルドは二人が戻る前に席に着いて暖かいお茶を用意するよう申し付けました。
「只今戻りました」
シモン王子のハキハキした礼儀正しい挨拶にわたくしは頬を緩めて頷きました。
「お帰りなさい。楽しく過ごせたかしら?」
「はい、おば様。僕たちは話題も尽きずとても仲良くなれました。ね? コーデリア嬢」
シモン王子が優しげに話しかけるとコーデリアは顔を真っ赤にして頷きました。
「まぁ! よかったわ! わたくし、少し心配していたの。仲良くなれるだなんて嬉しいわ」
「ありがとうございます。おば様。僕達は、これからは頻繁に会いたいのですがお許しいただけますか?」
「もちろんよ!! 二人は婚約者ですもの。その方がわたくしも嬉しいわ!!」
わたくしは計画が上手く行った事に浮かれておりました。
その横でコーデリアが一生懸命に何か目配せを送っている事に気づいたのは、もうシモン王子が別れの挨拶をしているところでしたわ。
わたくしはコーデリアに頷くとそのままにこやかにシモン王子を送り出してからコーデリアの手を取りました。
「さぁさぁ、コーデリア。今日の事をお母様にお話しして頂戴」
「はい、お母様」
「アーノルド、少しコーデリアの部屋で話してくるわね」
「はい、わかりました。母上。コーデリア、良かったな!」
「ええ、ありがとう。お兄様」
そうして、わたくしはコーデリアの部屋で二人きりで話し始めたのです。
「コーデリア!! 良かったわ!! 強制力は大丈夫だったのね!」
わたくしは侍女を下がらせると早速コーデリアに身を乗り出して話しかけました。
「お母様、落ち着いて頂戴。そう簡単な話ではないのよ。今日で私もやっとお母様が言っていたことがわかったわ。あの物語は本当にこの世界のある一面だけを切り取っているだけなのね」
そう言ってコーデリアは一人でうんうんと頷くとクッと顔を上げました。
「お母様! 私はシモン王子が気に入ったわ!! あの性格は貴重よ! 完璧だわ」
「そ、そうなの……」
わたくしはあまりの興奮ぶりに少し引き気味に答えました。
「そうよ! あの腹黒さ! 更に普段とのギャップ萌えまであるんだもの!」
「は、腹黒? ギャップ?」
「やっぱりお母様も気づいていなかったの? シモン王子のあの良い子ちゃんは演技なのよ!」
「え!? 演技?」
「そうよ! 知らなかったの?」
「え? でも、どうして?」
「もう! お母様はこの世界でかなり世間知らずなんでしょう! それなのによく私に色々言えたわね! すっかり騙されたわ」
そう言って話し出した内容は驚愕なものだった。
「前王派? 旗頭? 引きこもり?」
「そうよ! 今この国はまだまだ、不安定何ですって! 特にお母様を持ち上げる前王派が根強くて、シモン王子もかなり警戒していたわ。そんなに王位継承の時は揉めたの?」
「まぁ、そうね。確かにわたくしが王位を継承しない事に不満のあるものもいたのは事実だわ。でも、それももう十年以上も前の事よ」
「それでも、今も、いるんですって。だからこその私達の婚約なんだって」
「そうなのね。そういう事なのね」
コーデリアの話した事は、わたしくも知っていたけれど、考えたくなかった事だった。
わたくしがいる事で均衡が保たれている。
「はぁ」
「それで、私はわかったの! 確かにこの状態で私が婚約破棄されて自殺したら大変なことになるわよね。お父様だけではなくて、前王派も巻き込んでの騒動になりそうなのね」
「そう、ね」
わたくしは今まで見ないようにしていた事実を突きつけられてため息ばかりだった。
でも、だからこそ、コーデリアはやはり婚約破棄されてはいけないのよ!
「でも、コーデリアはシモン王子と仲良くなれたのでしょう?」
「ええ、でも、恋愛というよりも協力者って感じね。見せかけだけ仲良くしておいてお互いに保身しているって感じ?」
「でも、コーデリアとシモン王子は仲良くなったのでしょう? 気に入ったのてでしょう?」
「まぁ、そうね。今のシモン王子なら好きになっても良いし、最悪結婚しても面白いかなとは思ってるよ。でもシモン王子を落とすのは至難の業かも?」
「どうしてかしら?」
「シモン王子にとっての私は只、利害が一致した協力者よ! 例えるなら防犯ブザー。あれば心強いけれど、要らなくなったら捨てても良い思われているわ」
「そんな……」
「でも、その方が面白いわ。ただの俺様でも、我が儘でもなく、全て演技で自らの思い通りに人を動かすだなんて!! 私の好みのど真ん中なの!」
「え? コーデリア?」
「私、絶対にシモン王子を落として見せるわ。私を好きにならしてみせる! ミアになんか取られてたまるもんですか!」
わたくしは、俄然やる気を出したコーデリアをみて、まぁ、細部は違うけど、基本は計画通りねと思いましたわ。
シモン王子、首を洗って待っていなさい!
それからわたくし達は新たなシモン王子攻略法について話あったのだった。
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