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第三章 王子改造計画
20、顔合わせ再び……なの?
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「いやったら嫌!!」
わたくしは朝からコーデリアの部屋で今日の再顔合わせの準備に追われております。
既に何度も話しているのにコーデリアは往生際悪くドレスに着替えるのを拒否していると侍女達から助けを求められたのですわ。
「コーデリア、もう何度も説明したでしょう? あんなに文通しているんですもの。会っても大丈夫だと思うわ」
わたくしが説得するとコーデリアは恨みがましい瞳でみつめてきました。
「だからよ!! 会ってしまったらあのお手紙の私は別人だとバレてしまうわ。シモン王子はあんなに素直で、可愛らしくて、優しいのに……。そんなの嫌なの!!」
精一杯拒絶するコーデリアを呆れた様に見つめると、今か今かとドレスを持って待機する侍女たちに一旦下がる様に目配せをしたました。
優秀な彼女達はすぐに頭を下げて部屋からいなくなりました。
「真理子さん、貴女はまた悪役令嬢になる事が怖いのでしょう?」
わたくしがゆっくりとコーデリアに近づくともうかなり大きくなったその頭を撫でながら言いました。
「そ、それはそうよ! あんなに手紙をやりとりしたのに全然自信がないの……。きっとまたシモン王子を叩いてしまうわ。そうしたら絶対に今度こそ嫌われるのよ……。折角仲良くなったのに……。もう絶対に許してくれないわ」
そういって俯いたコーデリアをそっと抱きしめましたわ。
コーデリアはもう八歳となり、背も随分高くなりました。
元々可愛らしい容姿でしたが、最近は美人系にシフトした様ですの。
シモン王子だって一目で好きになるレベルですわ!
コーデリアだって文通でシモン王子がいい子だとわかったからこその拒絶なのです。
「でも、まだあのビンタをした強制力が働くと決まったわけではないし、わたくしも一生懸命にフォロー致しますわ。なんと言っても十歳になると正式な婚約発表ですもの。それまでにはシモン王子の心をガッチリ掴む方がいいですわ!」
「それは、そうかもしれないけれど……」
「では、今日の対面はテーブル越しにしましょう。それならば距離は離れるし、叩こうと思っても中々手は届きません。どうかしら?」
コーデリアは少し考えると頷いてくれました。
「わかったわ。それなら大丈夫そう……。テーブルは縦に置いてね? 約束よ?」
「はいはい。わかりました。それなら予定していたお茶会ではなくて正式なランチがいいわね。フォーマルランチであれは大きなテーブルでの食事もよくあるし、時間もかかるから二人きりで話す事もないでしょう?」
「うんうん、それならいいわ!!」
わたくしはやっと大人しくなったコーデリアを侍女達に任せて今度はランチの指示を行う為にバタバタと準備を始めました。
「母上! シモンの馬車が見えましたよ!」
アーノルドの声が聞こえて、わたくしは執事に指示を頼むと急いでエントランスホールに向かいました。
「まぁまぁ、アーノルドありがとう」
「いえ、また、コーデリアが我が儘を言っていたのでしょう? 今日の顔合わせでシモンに嫌われるんじゃないかと心配です」
「でも、文通はもう二年も続いているのよ?」
「あれですか……。シモンへの手紙を少し見せてもらいましたが、猫を被りすぎてコーデリアのかけらもありませんでした。あれではシモンに詐欺だと言われてしまいますよ」
「そ、そうかしら?」
わたくしは手紙の草案を考えているのは自分とは言えず、なんとなく誤魔化してしまいました。
「シモン王子が到着されました」
今日の顔合わせは二人が緊張しない様に国王夫妻は来られずにあくまで普段の学習に来ている一貫として行われます。
その為出席者もシモン王子とコーデリア、アーノルドとわたくしの予定ですの。
「おば様、アーノルド兄様、ご機嫌よう! 今日はよろしくお願いします」
そう言って頭をちょこんと下げたシモン王子の可愛らしさにわたくしは自然と笑顔になりましたわ。
「シモン王子、ようこそいらっしゃいました。今日の予定ですが、少し変更点がございますの。よろしいかしら?」
「はい? なんでしょうか?」
「本当はいつものようにアーノルドとの授業の後にお茶会をと考えていたのですが、フォーマルランチでの顔合わせになりましたのよ。大丈夫かしら?」
「僕は構いません。コーデリア嬢とお会いできるのをとても楽しみにしていたんです!!」
そう言って笑ったシモン王子には前世の物語に出てくる様な我が儘で俺様な態度は微塵も感じられません。
わたくしはこの五年あまりの成果に満足しておりました。
「では、少し早いですがランチルームにご案内しますわ。アーノルド、シモン王子をお連れして頂戴ね」
わたくしがお願いするとアーノルドが頷いて二人はランチルームに向かって歩き出しました。
それを見送ると今度はコーデリアの様子を確認しに急ぎました。
「コーデリア! 用意はできましたか?」
わたくしが部屋に入ると今度はしっかりとドレスを着て、髪を整えているコーデリアが立っておりました。
「まぁ! 素敵だわ! コーデリア」
この国では珍しい漆黒の巻き毛がふんわりと広がり、少しつり目気味のグリーン瞳はキラキラと輝いていて、本当の美少女です!
着ているドレスは、年相応なヒラヒラとレースが踊る様なプリンセスラインのブルーのドレスで可愛らしさもプラスしております。
「えっと、おかしくないかしら?」
そう言ってはにかみながら聞いて来たコーデリアの可愛らしさに思わず抱きしめてしまいましたわ。
「完璧よ! これならシモン王子も絶対にコーデリアを好きになるわ!!」
少し頬を薔薇色に染めたコーデリアを連れて早速ランチルームに向かいました。
ランチルームの扉の前で、一旦コーデリアを振り返るとコーデリアが決意を込めた瞳で頷いたので、わたくしは手を上げて合図をおくりました。
すると、控えていた執事がノックをしてからゆっくりと扉を開いたのです。
いよいよ二人のご対面です!
五年ぶりです!
興奮します!
ワクワクが止まりませんわ!
そうして、わたくしとコーデリアはシモン王子とアーノルドが待つ部屋に一歩を踏み出しましたの。
わたくしは朝からコーデリアの部屋で今日の再顔合わせの準備に追われております。
既に何度も話しているのにコーデリアは往生際悪くドレスに着替えるのを拒否していると侍女達から助けを求められたのですわ。
「コーデリア、もう何度も説明したでしょう? あんなに文通しているんですもの。会っても大丈夫だと思うわ」
わたくしが説得するとコーデリアは恨みがましい瞳でみつめてきました。
「だからよ!! 会ってしまったらあのお手紙の私は別人だとバレてしまうわ。シモン王子はあんなに素直で、可愛らしくて、優しいのに……。そんなの嫌なの!!」
精一杯拒絶するコーデリアを呆れた様に見つめると、今か今かとドレスを持って待機する侍女たちに一旦下がる様に目配せをしたました。
優秀な彼女達はすぐに頭を下げて部屋からいなくなりました。
「真理子さん、貴女はまた悪役令嬢になる事が怖いのでしょう?」
わたくしがゆっくりとコーデリアに近づくともうかなり大きくなったその頭を撫でながら言いました。
「そ、それはそうよ! あんなに手紙をやりとりしたのに全然自信がないの……。きっとまたシモン王子を叩いてしまうわ。そうしたら絶対に今度こそ嫌われるのよ……。折角仲良くなったのに……。もう絶対に許してくれないわ」
そういって俯いたコーデリアをそっと抱きしめましたわ。
コーデリアはもう八歳となり、背も随分高くなりました。
元々可愛らしい容姿でしたが、最近は美人系にシフトした様ですの。
シモン王子だって一目で好きになるレベルですわ!
コーデリアだって文通でシモン王子がいい子だとわかったからこその拒絶なのです。
「でも、まだあのビンタをした強制力が働くと決まったわけではないし、わたくしも一生懸命にフォロー致しますわ。なんと言っても十歳になると正式な婚約発表ですもの。それまでにはシモン王子の心をガッチリ掴む方がいいですわ!」
「それは、そうかもしれないけれど……」
「では、今日の対面はテーブル越しにしましょう。それならば距離は離れるし、叩こうと思っても中々手は届きません。どうかしら?」
コーデリアは少し考えると頷いてくれました。
「わかったわ。それなら大丈夫そう……。テーブルは縦に置いてね? 約束よ?」
「はいはい。わかりました。それなら予定していたお茶会ではなくて正式なランチがいいわね。フォーマルランチであれは大きなテーブルでの食事もよくあるし、時間もかかるから二人きりで話す事もないでしょう?」
「うんうん、それならいいわ!!」
わたくしはやっと大人しくなったコーデリアを侍女達に任せて今度はランチの指示を行う為にバタバタと準備を始めました。
「母上! シモンの馬車が見えましたよ!」
アーノルドの声が聞こえて、わたくしは執事に指示を頼むと急いでエントランスホールに向かいました。
「まぁまぁ、アーノルドありがとう」
「いえ、また、コーデリアが我が儘を言っていたのでしょう? 今日の顔合わせでシモンに嫌われるんじゃないかと心配です」
「でも、文通はもう二年も続いているのよ?」
「あれですか……。シモンへの手紙を少し見せてもらいましたが、猫を被りすぎてコーデリアのかけらもありませんでした。あれではシモンに詐欺だと言われてしまいますよ」
「そ、そうかしら?」
わたくしは手紙の草案を考えているのは自分とは言えず、なんとなく誤魔化してしまいました。
「シモン王子が到着されました」
今日の顔合わせは二人が緊張しない様に国王夫妻は来られずにあくまで普段の学習に来ている一貫として行われます。
その為出席者もシモン王子とコーデリア、アーノルドとわたくしの予定ですの。
「おば様、アーノルド兄様、ご機嫌よう! 今日はよろしくお願いします」
そう言って頭をちょこんと下げたシモン王子の可愛らしさにわたくしは自然と笑顔になりましたわ。
「シモン王子、ようこそいらっしゃいました。今日の予定ですが、少し変更点がございますの。よろしいかしら?」
「はい? なんでしょうか?」
「本当はいつものようにアーノルドとの授業の後にお茶会をと考えていたのですが、フォーマルランチでの顔合わせになりましたのよ。大丈夫かしら?」
「僕は構いません。コーデリア嬢とお会いできるのをとても楽しみにしていたんです!!」
そう言って笑ったシモン王子には前世の物語に出てくる様な我が儘で俺様な態度は微塵も感じられません。
わたくしはこの五年あまりの成果に満足しておりました。
「では、少し早いですがランチルームにご案内しますわ。アーノルド、シモン王子をお連れして頂戴ね」
わたくしがお願いするとアーノルドが頷いて二人はランチルームに向かって歩き出しました。
それを見送ると今度はコーデリアの様子を確認しに急ぎました。
「コーデリア! 用意はできましたか?」
わたくしが部屋に入ると今度はしっかりとドレスを着て、髪を整えているコーデリアが立っておりました。
「まぁ! 素敵だわ! コーデリア」
この国では珍しい漆黒の巻き毛がふんわりと広がり、少しつり目気味のグリーン瞳はキラキラと輝いていて、本当の美少女です!
着ているドレスは、年相応なヒラヒラとレースが踊る様なプリンセスラインのブルーのドレスで可愛らしさもプラスしております。
「えっと、おかしくないかしら?」
そう言ってはにかみながら聞いて来たコーデリアの可愛らしさに思わず抱きしめてしまいましたわ。
「完璧よ! これならシモン王子も絶対にコーデリアを好きになるわ!!」
少し頬を薔薇色に染めたコーデリアを連れて早速ランチルームに向かいました。
ランチルームの扉の前で、一旦コーデリアを振り返るとコーデリアが決意を込めた瞳で頷いたので、わたくしは手を上げて合図をおくりました。
すると、控えていた執事がノックをしてからゆっくりと扉を開いたのです。
いよいよ二人のご対面です!
五年ぶりです!
興奮します!
ワクワクが止まりませんわ!
そうして、わたくしとコーデリアはシモン王子とアーノルドが待つ部屋に一歩を踏み出しましたの。
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