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第二章 生まれながらの悪役令嬢
9、転生者が二人……なの?
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わたくしは、コーデリアの部屋から逃げるように自室に戻ると、今の話をもう一度思い返しました。
「まさか、そんな、コーデリアが転生者だっただなんて……。しかも、今までの言動が悪役令嬢になるべくしてなったものだっただなんて……。わたくしがした事は無駄だったの? 本当に?」
そして、何よりショックなのはコーデリアが純粋にわたくしの娘とは感じられなくなってしまったことだったのです。
コーデリアの中では真理子という女性が生きている。その事実に一番衝撃をうけております。
わたくしのコーデリアはどこに行ってしまったの? 元々いなかったの?
それだけで心が折れそうです。
わたくしが部屋のテーブルに突っ伏ししていると遠慮がちにノックの音が響きました。
「お、お母様、アルバートです」
わたくしは涙の溢れかけた瞳にハンカチを当てて笑顔を作りました。
コーデリアだけが子供ではないのです。
アルバートも、わたくしの大切な息子ですもの。
「入って良いわよ。アルバート」
「はい」
アルバートはドアを開けて入ってくるとわたくしのいるソファまで来て直ぐ隣に、ちょこんと座りました。
「アルバート、ごめんなさいね。先に貴方のところに行ってお話しすべきだったわ」
「大丈夫です! お母様。でも、コーデリアは大丈夫でしたか? 本が無いと暴れたりしませんでしたか?」
「それは大丈夫よ? コーデリアも本より貴方の魔法に興味があったみたいよ?」
「魔法ですか? あの『場所から移動』の?」
「ええ、お母様もとても驚いたわ。いつの間にあんな魔法を勉強したの?」
するとアルバートは恥ずかしくも誇らしげに微笑んだ。
「僕は魔法が得意なんです!先生にも褒められるんです!」
その無邪気な様子に心が癒されるようだった。
わたくしはコーデリアの事も今のアルバートのように愛せるのかしら?
「アルバート、コーデリアのことは少しの間お母様に任せてもらえるかしら? どうするのかが決まったらきちんとお話しさせてもらうわ。どうかしら?」
「はい! わかりました。お母様に、お任せします。コーデリアはムカつくし嫌いだけど、お母様が可愛がれと言うなら僕もがんばります!!」
可愛いことをいうアルバートを、ギュッと抱きしめてから部屋に返しました。
そうなのですわ。
さっきは言えませんでしたが、コーデリア自身は悪役令嬢で幸せでも、家族はそうでは無いのです。
コーデリアが王子はに嫌われ、婚約破棄される事で我がバルターク公爵家の権威は地に落ちるのです。
それは即ちアルバートの将来にも、直結するのですわ!!
「明日、コーデリアにちゃんと話さなければ!! 貴女だけの世界では無いもの!」
わたくしの気持ちは決まりました。
やはりコーデリアには悪役令嬢になって欲しく無いですわ!
コーデリア・ド・バルタークとして幸せになって欲しいと伝えます。
悪役令嬢にはならずに、真理子の希望を叶える方法を探しましょう。
わたくしは何とか頭を働かせて考えました。
コーデリアの中にいる真理子の希望は魔道士としての未来ですもの。
何か方法があるはずですわ!!
そして、このバルターク公爵家として幸せを掴むのです。
それに、コーデリアの中に真理子がいようと、きっとコーデリア自身もちゃんと存在すると思いますの。
ただ、生まれた時から真理子の記憶があるから真理子が強いだけなんだわ。
わたくしは大人になってから、前世を思い出したから麻美の事はただ知ってるだけでどちらかというと、アドリアナとしての自我の方が強いんですもの。
わたくしは大きく頷くと、わたくしが考える家族としての幸せをノートに書き留めました。
まずは、やはり婚約破棄はいただけないわ。我が公爵家が没落してしまう。
それが一番大切な事です。
それにあの物語には描かれていませんでしたが、多分あの物語の後、この国は大変な事になったと思いますの。
だって、筆頭公爵家をあれだけ蔑ろにしたんですもの。
更に婚約破棄された令嬢は、わたくし、前王の王女アドリアナの娘です。
絶対に揉めたはずだわ。
コーデリアは死を選んだとしか物語には書いてなかったけれど、それが夫であるレオポルト様をどんなに傷つけ、怒らせるかが抜けています。
レオポルト様はお優しいし、怒った事など見た事もありませんが、それは怒るような状況にならない様に行動しているだけですの。
公爵としてとても優秀なのです。
今、王位継承のゴタゴタを引き摺らず幸せに暮らせるのもレオポル様のお陰なのです。
でも、コーデリアが不幸になったら……きっとお怒りだわ。
わたくしはわたくしと出会う前のレオポルト様の噂を聞いたことがあるのです。
一度とてもお怒りになった事があって、その時は相手を家ごと取り潰すくらいの事をしたのです。
ブルッ
わたくしは自分自身を両手で抱きしめると首を振った。
やはりコーデリアは幸せになってもらいます。
わたくしが真理子よりも上なのは、この世界の事柄です。
この世界はあんな小さな物語では話尽くせない事情やパワーバランス、ルールに常識が存在します。
そこから真理子を説得しましょう!!
そうして、わたくしは、グッと掌を握りしめたのです。
「まさか、そんな、コーデリアが転生者だっただなんて……。しかも、今までの言動が悪役令嬢になるべくしてなったものだっただなんて……。わたくしがした事は無駄だったの? 本当に?」
そして、何よりショックなのはコーデリアが純粋にわたくしの娘とは感じられなくなってしまったことだったのです。
コーデリアの中では真理子という女性が生きている。その事実に一番衝撃をうけております。
わたくしのコーデリアはどこに行ってしまったの? 元々いなかったの?
それだけで心が折れそうです。
わたくしが部屋のテーブルに突っ伏ししていると遠慮がちにノックの音が響きました。
「お、お母様、アルバートです」
わたくしは涙の溢れかけた瞳にハンカチを当てて笑顔を作りました。
コーデリアだけが子供ではないのです。
アルバートも、わたくしの大切な息子ですもの。
「入って良いわよ。アルバート」
「はい」
アルバートはドアを開けて入ってくるとわたくしのいるソファまで来て直ぐ隣に、ちょこんと座りました。
「アルバート、ごめんなさいね。先に貴方のところに行ってお話しすべきだったわ」
「大丈夫です! お母様。でも、コーデリアは大丈夫でしたか? 本が無いと暴れたりしませんでしたか?」
「それは大丈夫よ? コーデリアも本より貴方の魔法に興味があったみたいよ?」
「魔法ですか? あの『場所から移動』の?」
「ええ、お母様もとても驚いたわ。いつの間にあんな魔法を勉強したの?」
するとアルバートは恥ずかしくも誇らしげに微笑んだ。
「僕は魔法が得意なんです!先生にも褒められるんです!」
その無邪気な様子に心が癒されるようだった。
わたくしはコーデリアの事も今のアルバートのように愛せるのかしら?
「アルバート、コーデリアのことは少しの間お母様に任せてもらえるかしら? どうするのかが決まったらきちんとお話しさせてもらうわ。どうかしら?」
「はい! わかりました。お母様に、お任せします。コーデリアはムカつくし嫌いだけど、お母様が可愛がれと言うなら僕もがんばります!!」
可愛いことをいうアルバートを、ギュッと抱きしめてから部屋に返しました。
そうなのですわ。
さっきは言えませんでしたが、コーデリア自身は悪役令嬢で幸せでも、家族はそうでは無いのです。
コーデリアが王子はに嫌われ、婚約破棄される事で我がバルターク公爵家の権威は地に落ちるのです。
それは即ちアルバートの将来にも、直結するのですわ!!
「明日、コーデリアにちゃんと話さなければ!! 貴女だけの世界では無いもの!」
わたくしの気持ちは決まりました。
やはりコーデリアには悪役令嬢になって欲しく無いですわ!
コーデリア・ド・バルタークとして幸せになって欲しいと伝えます。
悪役令嬢にはならずに、真理子の希望を叶える方法を探しましょう。
わたくしは何とか頭を働かせて考えました。
コーデリアの中にいる真理子の希望は魔道士としての未来ですもの。
何か方法があるはずですわ!!
そして、このバルターク公爵家として幸せを掴むのです。
それに、コーデリアの中に真理子がいようと、きっとコーデリア自身もちゃんと存在すると思いますの。
ただ、生まれた時から真理子の記憶があるから真理子が強いだけなんだわ。
わたくしは大人になってから、前世を思い出したから麻美の事はただ知ってるだけでどちらかというと、アドリアナとしての自我の方が強いんですもの。
わたくしは大きく頷くと、わたくしが考える家族としての幸せをノートに書き留めました。
まずは、やはり婚約破棄はいただけないわ。我が公爵家が没落してしまう。
それが一番大切な事です。
それにあの物語には描かれていませんでしたが、多分あの物語の後、この国は大変な事になったと思いますの。
だって、筆頭公爵家をあれだけ蔑ろにしたんですもの。
更に婚約破棄された令嬢は、わたくし、前王の王女アドリアナの娘です。
絶対に揉めたはずだわ。
コーデリアは死を選んだとしか物語には書いてなかったけれど、それが夫であるレオポルト様をどんなに傷つけ、怒らせるかが抜けています。
レオポルト様はお優しいし、怒った事など見た事もありませんが、それは怒るような状況にならない様に行動しているだけですの。
公爵としてとても優秀なのです。
今、王位継承のゴタゴタを引き摺らず幸せに暮らせるのもレオポル様のお陰なのです。
でも、コーデリアが不幸になったら……きっとお怒りだわ。
わたくしはわたくしと出会う前のレオポルト様の噂を聞いたことがあるのです。
一度とてもお怒りになった事があって、その時は相手を家ごと取り潰すくらいの事をしたのです。
ブルッ
わたくしは自分自身を両手で抱きしめると首を振った。
やはりコーデリアは幸せになってもらいます。
わたくしが真理子よりも上なのは、この世界の事柄です。
この世界はあんな小さな物語では話尽くせない事情やパワーバランス、ルールに常識が存在します。
そこから真理子を説得しましょう!!
そうして、わたくしは、グッと掌を握りしめたのです。
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