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第3章 破滅への足音
42、カーティスの失策
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ビクトル王子が歩いてくる二人を見ていると気づかないローレンスとカーティスは罵り合いを繰り広げていた。
「カーティス!!また、お前の言う通りにしたら馬鹿にされたではないか!!何だってあんな事も分からなかったんだ!」
「想定外ですよ。ヒューバード前王でしたらああやっていたんです。国民からの不平不満を気にしてどうするんですか!!ほって置くべきなんですよ。そんなもの!!」
「だ、だか、あの新しい大臣は国民から賞賛されつつ同じ結果を出したじゃないか!!これでまた私の部下が管理職から外されたんだぞ!!どうするんだ!!」
「それもこれもあんな覚書にローレンスがサインなんかするからでしょうが!!」
「なんだと!!」
「ローレンス王!、、、、御機嫌よう。」
今にも掴みかからんばかりのローレンスに少し大きな声でビクトル王子は挨拶した。
「き、貴様、、、。」
今までカーティスに向けていたそのままの視線を今度はビクトル王子に向かわせてローレンスが一歩前にでる。
「こんな所で何をしておるのだ!シダールの王子!」
「何と言われましても、ここに滞在しているのですから廊下くらいは歩きますよ。それよりお二人ともお声が高いようですよ。」
「う、うるさい!!行くぞ!カーティス。」
「はい。」
カーティスからも親の仇のように睨まれてビクトル王子は肩をすくめた。実を言うとクローディアに二人への対処法をアドバイスしているのはビクトル王子なのだ。この数ヶ月、少しずつローレンスの息のかかった者を失脚させてクローディアが信頼するものに交代させるようにさせていた。
初めはクローディアはローレンスやカーティスとの真っ向勝負を挑んでいた感が強かったがそれはあの二人には渡りに船、喜ばせていると説明した。
その説明をクローディアは不思議そうに聞いていたがビクトル王子にはわかると押し切った。その上でジワジワと影響力を剥ぎ取る作戦を提唱したのだ。
その甲斐あって二人はもはや前王権の遺物扱いとなっている。その事実こそが一番認めたくない事だろう。
ビクトル王子は二人の後ろ姿をザマアミロと見送って部屋に向かった。
ビクトル王子はあの二人とクローディアが直接話す事が無いように細心の注意を払っていた。
「あんな奴等をクローディアの視界に入れるものか!」
ビクトル王子はそう心に誓うのだった。
カーティスは自尊心を傷つけられて今日もイライラしながら過ごしていた。
ローレンスからも責められ、部下にも馬鹿にされ、数ヶ月前の王国は自分がいるから動いているという実感が毎日のように目減りしているのだ。
皆何でもかんでもカーティスに聞きにきていた日々は去り、このカーティスの執務室には殆ど誰も来なくなった。
今ではそれぞれの管理職に尋ねた方が確実だと言われているらしい。その事実が更にカーティスのプライドをガタガタにしていた。
「何故だ!!何故、皆私のやり方に従わないのだ!!私は自ら前王に師事したのだぞ!!」
そう言ってカーティスは自らの執務机をバンと叩いた。
「ローレンスが王太子なのに何も学ばなかったから私が前王から全てを学んだのだ。前王からもこの国を頼むとまでいわれたのだ!!それなのに!!それなのに!!」
カーティスの目は血走り、歪んだ表情で再度机をバンと叩くとドカリと椅子に腰かけた。
「こういう時こそ、、クローディアを痛めつけたいのに、、あの泣き顔を見たいのに、、。あのローレンスのサインでそれも出来ないとは、、、、。」
カーティスはあの時ローレンスの側を離れたことを心から後悔していた。
その前日にクローディアが泣いていたという報告を受けて、いてもたっても居られずクローディアを探していたのだ。
落ち込むクローディア見たさでローレンスから離れた事で逆にクローディアにちょっかいかけ難くなってしまった。
頭が古いと言われているカーティスでも何かした事でシダールの騎士団を受け入れる事は出来なかったのだ。
「クローディア、、、貴女の困った顔が見たい!!泣き顔が見たい!!この際怒った顔でも、、、、。」
カーティスの顔が嗜虐的な物からマゾヒストのものに変わりつつあった。
最近はクローディア自身がローレンスを訪ねてくる事もなくなった事でカーティス自身もクローディアに会わなくなった。近くにいるのに会わないという事実がカーティスの最後の一線をあと少しで越えそうになっていた。
「カーティス!!また、お前の言う通りにしたら馬鹿にされたではないか!!何だってあんな事も分からなかったんだ!」
「想定外ですよ。ヒューバード前王でしたらああやっていたんです。国民からの不平不満を気にしてどうするんですか!!ほって置くべきなんですよ。そんなもの!!」
「だ、だか、あの新しい大臣は国民から賞賛されつつ同じ結果を出したじゃないか!!これでまた私の部下が管理職から外されたんだぞ!!どうするんだ!!」
「それもこれもあんな覚書にローレンスがサインなんかするからでしょうが!!」
「なんだと!!」
「ローレンス王!、、、、御機嫌よう。」
今にも掴みかからんばかりのローレンスに少し大きな声でビクトル王子は挨拶した。
「き、貴様、、、。」
今までカーティスに向けていたそのままの視線を今度はビクトル王子に向かわせてローレンスが一歩前にでる。
「こんな所で何をしておるのだ!シダールの王子!」
「何と言われましても、ここに滞在しているのですから廊下くらいは歩きますよ。それよりお二人ともお声が高いようですよ。」
「う、うるさい!!行くぞ!カーティス。」
「はい。」
カーティスからも親の仇のように睨まれてビクトル王子は肩をすくめた。実を言うとクローディアに二人への対処法をアドバイスしているのはビクトル王子なのだ。この数ヶ月、少しずつローレンスの息のかかった者を失脚させてクローディアが信頼するものに交代させるようにさせていた。
初めはクローディアはローレンスやカーティスとの真っ向勝負を挑んでいた感が強かったがそれはあの二人には渡りに船、喜ばせていると説明した。
その説明をクローディアは不思議そうに聞いていたがビクトル王子にはわかると押し切った。その上でジワジワと影響力を剥ぎ取る作戦を提唱したのだ。
その甲斐あって二人はもはや前王権の遺物扱いとなっている。その事実こそが一番認めたくない事だろう。
ビクトル王子は二人の後ろ姿をザマアミロと見送って部屋に向かった。
ビクトル王子はあの二人とクローディアが直接話す事が無いように細心の注意を払っていた。
「あんな奴等をクローディアの視界に入れるものか!」
ビクトル王子はそう心に誓うのだった。
カーティスは自尊心を傷つけられて今日もイライラしながら過ごしていた。
ローレンスからも責められ、部下にも馬鹿にされ、数ヶ月前の王国は自分がいるから動いているという実感が毎日のように目減りしているのだ。
皆何でもかんでもカーティスに聞きにきていた日々は去り、このカーティスの執務室には殆ど誰も来なくなった。
今ではそれぞれの管理職に尋ねた方が確実だと言われているらしい。その事実が更にカーティスのプライドをガタガタにしていた。
「何故だ!!何故、皆私のやり方に従わないのだ!!私は自ら前王に師事したのだぞ!!」
そう言ってカーティスは自らの執務机をバンと叩いた。
「ローレンスが王太子なのに何も学ばなかったから私が前王から全てを学んだのだ。前王からもこの国を頼むとまでいわれたのだ!!それなのに!!それなのに!!」
カーティスの目は血走り、歪んだ表情で再度机をバンと叩くとドカリと椅子に腰かけた。
「こういう時こそ、、クローディアを痛めつけたいのに、、あの泣き顔を見たいのに、、。あのローレンスのサインでそれも出来ないとは、、、、。」
カーティスはあの時ローレンスの側を離れたことを心から後悔していた。
その前日にクローディアが泣いていたという報告を受けて、いてもたっても居られずクローディアを探していたのだ。
落ち込むクローディア見たさでローレンスから離れた事で逆にクローディアにちょっかいかけ難くなってしまった。
頭が古いと言われているカーティスでも何かした事でシダールの騎士団を受け入れる事は出来なかったのだ。
「クローディア、、、貴女の困った顔が見たい!!泣き顔が見たい!!この際怒った顔でも、、、、。」
カーティスの顔が嗜虐的な物からマゾヒストのものに変わりつつあった。
最近はクローディア自身がローレンスを訪ねてくる事もなくなった事でカーティス自身もクローディアに会わなくなった。近くにいるのに会わないという事実がカーティスの最後の一線をあと少しで越えそうになっていた。
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