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第2章 クローディアとサオリ
39、サオリの希望
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サオリはニコニコしながら悪役令嬢クローディアを見つめていた。
元々カッコいい系のキャラだったがそれでも婚約者のローレンスには依存していて深窓の令嬢ということもあり甘やかされて自分勝手な印象だった。しかし、今目の前にいるクローディアは十年前とは違っていた。
「ねぇ、クローディア様は今の方が悪役令嬢みたいよね?十年前はあっという間に追放されちゃったから拍子抜けしたのよ?お陰で起こらなかったイベントもたくさんあったんだから!
でも、それが続編への布石ってやつ?もしかして続編では追放されるとレベル上げできるの?やだ~凄く面白そうじゃない?」
クローディアは話が止まらないサオリを見つめて首を傾げる。何を言っているのかがさっぱりわからないのだ。
「ねぇ、続編ってどんな感じなの?乙女ゲームよね?まさか王太子ってことは王国シミュレーションゲームとかに変わっちゃった?
わかった!!あのシダールの王子が攻略対象なのね?続編では悪役令嬢がヒロインになるパターン?ねぇ私はどんなに役なの?」
ワクワクウキウキという風情でまくし立てるサオリに頭も痛くなったクローディアは片手を上げて話を遮った。
「サオリ王妃、少し黙っていただける?」
「クローディア様、、。」
「質問ばかりされてもわたくしも答えようがないですわ。取り敢えず順序立てて話してくださるかしら?」
クローディアの言葉にサオリは嬉しそうに頷くと今度は自分自身についてを話し出した。
「まぁ!!クローディア様は私の話を聞いてくれるの?皆んな話してもわからないっていうばっかりで本当につまらないのよね。やっぱり転生だと前世の世界に興味が湧く?だって記憶として知ってても見たことないものね。いいわ!日本の事から話してあげる!!」
そう言ってサオリは自分の生い立ちから話し始めた。
サオリは日本の東京という場所で生まれ育ったらしい。
小さい頃から運動は苦手でいつもゲームで遊んでいたらしい。
サオリが十七歳の時に新しいソフト?というものが発売されて大好きになったらしい。
その遊べる機械(スマフォというらしい)をしながらその東京の街を歩いていたら気がつくと突然森にいたらしい。
本当にただ歩いていただけだから何が起こったのかわからないらしい。
それでも周りを見渡したり調べたりしても日本には帰れず、諦めて森から出たところでその近くにいた農夫に助けてもらったらしい。
その農夫に話を聞くと好きだったゲームの世界だわかったらしい。
その上で自分がヒロインだと気づいたらしい。
その後は王宮にやってきて、そのゲーム通りに行動して攻略対象?の男達に囲まれて、悪役令嬢クローディアを追放して王太子妃になったらしい。
サオリはここで一旦話すのをやめて肩を落とした。
「楽しかったのよ?貴女も転生者ならわかるでしょ?自分だけが知ってるって凄く楽しいわよね?
でも、終わらなかったの。私が知ってるのはローレンスとの結婚式までなの、、、。
でも、結婚式が終わってもゲームは終わらなかったのよ。今日かな?明日かな?と思っても何も起こらずに十年も過ぎてしまったの!そんなのって、そんなのって、ないわよ!!
ねぇ、もし続編が終わるまで帰れない設定ならなんでもするわ!あの王子との結婚だってローレンスに言って早く出来るようにお願いするわ!」
そこでサオリはクローディアを見つめてその瞳に狂気を宿した。
「ねえ!!貴女は今のこの状況も知ってるんでしょ?私の帰り方も続編には出てきてたわよね?ねえ!!知ってるなら教えてよ!!私もうここは嫌なの!!日本に帰りたいのよ!!ねぇ!!!」
サオリは興奮してクローディアに摑みかかろうとしたが控えていた侍女達が三人がかりで静止するとその瞳から正気がなくなってブツブツを話し始めた。
「クローディア王太子殿下!!サオリ王妃はお加減が優れないようですので、本日のお茶会はここまででよろしいでしょつか?」
「ええ、わかったわ。」
「あの、、サオリ王妃のお言葉は、、、その、、他言無用でお願いします。」
「そうね。それが良さそうね。あの妄言はいつからなの?」
「十年前から徐々にでございます。」
「そう。それでサオリ王妃が落ち着かれるのは、いつくらいかしら?」
「通常であれば三日もするとまた普通にお話しされるようになります。」
「わかったわ。では、わたくしは失礼するわね。」
「はい。本日はお越しいただきありがとうございました。」
そうしてクローディアはお茶会会場を後にしたのだった。
クローディアは廊下を歩きながらサオリの話を反芻していた。わからないことばかりだが一つだけわかることがある。
それは自分だけが知っているという状況だ。それはまさにファティマの予言書そのものだ。
「ファティマはサオリにも手紙を書いていた?いいえ、違うわ。サオリ王妃自身が知っていたと言っていたじゃない、、。そのゲーム?とかいう物のお話と同じだと。では、ファティマもサオリと同じ異世界人?そんなことってあるの?」
クローディアは混乱した頭を抱えてファティマが異世界人である可能性ばかりを考えてしまった。しかも、サオリよりも能力が高い異世界人だ。
何故ならサオリの知っている未来は既に終わり、ファティマの予言書にはまだ続きがある。
サオリじゃないが続編というか、、より遠い未来を知る程の能力があるということだ。
「やっぱり、あの滅亡は現実に起こると見たほうが良さそうね。もう少し細かい予言があると嬉しいのだけど、、、。」
こうなるともういらないと思っていた予言書だが滅亡前の出来事や予兆くらいは教えてほしいと考えてしまうのだった。
元々カッコいい系のキャラだったがそれでも婚約者のローレンスには依存していて深窓の令嬢ということもあり甘やかされて自分勝手な印象だった。しかし、今目の前にいるクローディアは十年前とは違っていた。
「ねぇ、クローディア様は今の方が悪役令嬢みたいよね?十年前はあっという間に追放されちゃったから拍子抜けしたのよ?お陰で起こらなかったイベントもたくさんあったんだから!
でも、それが続編への布石ってやつ?もしかして続編では追放されるとレベル上げできるの?やだ~凄く面白そうじゃない?」
クローディアは話が止まらないサオリを見つめて首を傾げる。何を言っているのかがさっぱりわからないのだ。
「ねぇ、続編ってどんな感じなの?乙女ゲームよね?まさか王太子ってことは王国シミュレーションゲームとかに変わっちゃった?
わかった!!あのシダールの王子が攻略対象なのね?続編では悪役令嬢がヒロインになるパターン?ねぇ私はどんなに役なの?」
ワクワクウキウキという風情でまくし立てるサオリに頭も痛くなったクローディアは片手を上げて話を遮った。
「サオリ王妃、少し黙っていただける?」
「クローディア様、、。」
「質問ばかりされてもわたくしも答えようがないですわ。取り敢えず順序立てて話してくださるかしら?」
クローディアの言葉にサオリは嬉しそうに頷くと今度は自分自身についてを話し出した。
「まぁ!!クローディア様は私の話を聞いてくれるの?皆んな話してもわからないっていうばっかりで本当につまらないのよね。やっぱり転生だと前世の世界に興味が湧く?だって記憶として知ってても見たことないものね。いいわ!日本の事から話してあげる!!」
そう言ってサオリは自分の生い立ちから話し始めた。
サオリは日本の東京という場所で生まれ育ったらしい。
小さい頃から運動は苦手でいつもゲームで遊んでいたらしい。
サオリが十七歳の時に新しいソフト?というものが発売されて大好きになったらしい。
その遊べる機械(スマフォというらしい)をしながらその東京の街を歩いていたら気がつくと突然森にいたらしい。
本当にただ歩いていただけだから何が起こったのかわからないらしい。
それでも周りを見渡したり調べたりしても日本には帰れず、諦めて森から出たところでその近くにいた農夫に助けてもらったらしい。
その農夫に話を聞くと好きだったゲームの世界だわかったらしい。
その上で自分がヒロインだと気づいたらしい。
その後は王宮にやってきて、そのゲーム通りに行動して攻略対象?の男達に囲まれて、悪役令嬢クローディアを追放して王太子妃になったらしい。
サオリはここで一旦話すのをやめて肩を落とした。
「楽しかったのよ?貴女も転生者ならわかるでしょ?自分だけが知ってるって凄く楽しいわよね?
でも、終わらなかったの。私が知ってるのはローレンスとの結婚式までなの、、、。
でも、結婚式が終わってもゲームは終わらなかったのよ。今日かな?明日かな?と思っても何も起こらずに十年も過ぎてしまったの!そんなのって、そんなのって、ないわよ!!
ねぇ、もし続編が終わるまで帰れない設定ならなんでもするわ!あの王子との結婚だってローレンスに言って早く出来るようにお願いするわ!」
そこでサオリはクローディアを見つめてその瞳に狂気を宿した。
「ねえ!!貴女は今のこの状況も知ってるんでしょ?私の帰り方も続編には出てきてたわよね?ねえ!!知ってるなら教えてよ!!私もうここは嫌なの!!日本に帰りたいのよ!!ねぇ!!!」
サオリは興奮してクローディアに摑みかかろうとしたが控えていた侍女達が三人がかりで静止するとその瞳から正気がなくなってブツブツを話し始めた。
「クローディア王太子殿下!!サオリ王妃はお加減が優れないようですので、本日のお茶会はここまででよろしいでしょつか?」
「ええ、わかったわ。」
「あの、、サオリ王妃のお言葉は、、、その、、他言無用でお願いします。」
「そうね。それが良さそうね。あの妄言はいつからなの?」
「十年前から徐々にでございます。」
「そう。それでサオリ王妃が落ち着かれるのは、いつくらいかしら?」
「通常であれば三日もするとまた普通にお話しされるようになります。」
「わかったわ。では、わたくしは失礼するわね。」
「はい。本日はお越しいただきありがとうございました。」
そうしてクローディアはお茶会会場を後にしたのだった。
クローディアは廊下を歩きながらサオリの話を反芻していた。わからないことばかりだが一つだけわかることがある。
それは自分だけが知っているという状況だ。それはまさにファティマの予言書そのものだ。
「ファティマはサオリにも手紙を書いていた?いいえ、違うわ。サオリ王妃自身が知っていたと言っていたじゃない、、。そのゲーム?とかいう物のお話と同じだと。では、ファティマもサオリと同じ異世界人?そんなことってあるの?」
クローディアは混乱した頭を抱えてファティマが異世界人である可能性ばかりを考えてしまった。しかも、サオリよりも能力が高い異世界人だ。
何故ならサオリの知っている未来は既に終わり、ファティマの予言書にはまだ続きがある。
サオリじゃないが続編というか、、より遠い未来を知る程の能力があるということだ。
「やっぱり、あの滅亡は現実に起こると見たほうが良さそうね。もう少し細かい予言があると嬉しいのだけど、、、。」
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