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第1章 悪役令嬢の帰還
22、わたくし、嫌われています
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シャルロッテを味方につけてからクローディアの元には手紙と言う名の報告書が引っ切り無しに届き始めた。
どうもお嬢様のシャルロッテにとって復讐というのはかっこよく聞こえるらしい。自分の見聞きした事を教えてくれるようになったのだ。
「バーナード、ベルンハルト王太子はリカルド達に付いてしまったみたいよ。」
クローディアはシャルロッテからの手紙をヒラヒラさせながら話しかけた。
「左様でございますか?」
「ええ、そうなの。まぁあの方は結構日和見主義に見えたからシダールの言動によっては変わるかもしれないわね。」
クローディアはお姉様へという言葉から始まる手紙をもう一度読みはじめた。
お姉様へ
聞いてくださいませ!!なんとベルンハルト様はあの憎っくきリカルド殿下を応援するんですって!!
ビクトル様に逆らわない方が良いと言われましたわ!!
酷すぎますわ!
ご安心なさってね。わたくしはお姉様の味方ですわ。
シャルロッテより
「ふふふ、可愛いわね。本当に昔のわたくしを見ているよう、、、。」
クローディアはいつからリカルドが憎っくき相手になったのかと苦笑を止められなかった。
「クローディア様、これからはどうされますか?」
「そうねぇ。もちろん問題の解答は作らなければならないわね。
それよりも、なんとかビクトル王子とお話しさせて頂く事は出来るかしら?もし、わたくしが何か失礼を働いたならば謝罪したいわ。早々に機会を作るように手配してくれるかしら?」
「わかりました。ダルトリー子爵に確認してみます。して、、、あの、、解答のために専門家の方達をお招きした方が宜しいですか?」
「それはいいわ、、、。ヒントはもう得ているのよ。」
「はあ、わかりました。」
そう言ってバーナードは部屋から出て行った。
「そう、、、ヒントは得ている。でも、、そのままでは使わないわ。わたくしのプライドにかけてね。ファティマ。」
ファティマからの手紙と全く同じ問題が出された事はクローディアにやはり運命は追いかけてくるのかと絶望感を与えた。しかし、クローディアはもう既に知っている未来ではないのだと自分に言い聞かせた。冷静に考えると今回の手紙は本当にこの王太子選抜審査に特化しており、その後の年表とかが書かれているわけではないのだ。そして、元々十年前に貰った手紙にも今のアッカルドについてはあまり詳しく書かれていない。
カサカサカサ
クローディアは古い手紙を広げると再度確認してみた。そこには前王ヒューバードが亡くなることとその二年後に隣国から攻められてあっという間に滅亡する事が書かれているだけだった。
そう、、この国は戦争で負ける。
ただ、隣国が何処なのか、何がきっかけで戦争になるのかが書かれていないのだ。
アッカルド王国は背に北の海がある為隣国と呼ばれるのは三つの国だけだった。
西のセドア共和国、東のマキオラ王国王、そして南のシダール王国だ。今回の審査員の国の何処かにこの国は滅ぼされる事になる。その事もクローディアの心に重しとなっているのだ。
クローディアは今度は真新しい手紙を手に取って広げた。
「この手紙の意味はなんなのかしら?」
誰が王太子であってもこの通りの解答を書くことが滅亡への第一歩なのか?
この解答は本当に模範解答なのか?
それとも運命までもクローディアはリカルドに勝てと言っているのか?
クローディアは答えが出ない問題を二重に抱えてこの問題の解答をどうすべきなのかと考えていた。
その頃、ビクトル王子は部屋でこちらも頭を抱えていた。
「どうしました?ヘタレのビクトル王子。」
「アーベル、、、、。そう言うな、、、、。、今日は逃げなかったではないか、、、。」
「確かに逃げはしなかったですよね。かなり目付きの悪い顔でクローディア様を見てましたけど、、、。」
「いや、そんな顔はしていないぞ?」
「いいえ、かなり邪険な雰囲気を出していましたよ?」
「邪険!?、、ああ、ベルンハルト王太子がクローディア殿に馴れ馴れしく接するから、、少しは睨んだかもしれない、、。」
「はぁ、でも、あの場にいたものは皆ビクトル王子がクローディア様を睨んだと思ってますよ。実際ベルンハルト王太子はビクトル王子の意を汲んでリカルドに付きましたしね。」
するとビクトル王子は更に頭を抱えた。
「そんなつもりは微塵もないのだ!出来ればクローディア殿を手助けしたいと思っているのだぞ?私は、、。」
「はぁ、それわかっているのは私だけですよ。」
そう言うとアーベルはコホンと咳払いをして一通の手紙をビクトル王子に、差し出した。
「どうぞ?クローディア様からです。」
ビクトル王子は、ガバッと頭をあげると引ったくるように手紙を受け取ると差出人を確認した。そこには本当にクローディアの名前が書かれている。
「どうしたんだ!これは?」
「ダルトリー子爵経由で届きました。まぁ私がクローディア様でもそうしますよ。今シダールを味方につけねば、いつ必要なんだって感じですから。」
ビクトル王子は、アーベルからペーパーナイフを受け取ると慎重に開封して中身を確認した。するとそこには明日の朝食後に自慢の薔薇園を案内したいと書かれていた。
「あ、明日の午前中の予定は全てキャンセルしてくれ。ああ、昼食もな。」
「はいはい、わかりました。でも、二人きりでも大丈夫なんですか?」
アーベルが心配そうに確認する。
「そ、それは今から考える。だが私もそろそろクローディア殿に色々確認したいのだ。なんといっても隣国の王太子を選ぶのだし、好き嫌いは別にして考え方の確認も必要なのだし、、、。冷静に会うぞ。仕事相手と思って会うぞ。こ、好みの女性と思わずに会うぞ。」
最後は自らに暗示をかけるような言い方になったがアーベルもいい加減ちゃんと話さないと国益に関わると感じていたので頑張ってくださいと言ってから部屋をでたのだった。
どうもお嬢様のシャルロッテにとって復讐というのはかっこよく聞こえるらしい。自分の見聞きした事を教えてくれるようになったのだ。
「バーナード、ベルンハルト王太子はリカルド達に付いてしまったみたいよ。」
クローディアはシャルロッテからの手紙をヒラヒラさせながら話しかけた。
「左様でございますか?」
「ええ、そうなの。まぁあの方は結構日和見主義に見えたからシダールの言動によっては変わるかもしれないわね。」
クローディアはお姉様へという言葉から始まる手紙をもう一度読みはじめた。
お姉様へ
聞いてくださいませ!!なんとベルンハルト様はあの憎っくきリカルド殿下を応援するんですって!!
ビクトル様に逆らわない方が良いと言われましたわ!!
酷すぎますわ!
ご安心なさってね。わたくしはお姉様の味方ですわ。
シャルロッテより
「ふふふ、可愛いわね。本当に昔のわたくしを見ているよう、、、。」
クローディアはいつからリカルドが憎っくき相手になったのかと苦笑を止められなかった。
「クローディア様、これからはどうされますか?」
「そうねぇ。もちろん問題の解答は作らなければならないわね。
それよりも、なんとかビクトル王子とお話しさせて頂く事は出来るかしら?もし、わたくしが何か失礼を働いたならば謝罪したいわ。早々に機会を作るように手配してくれるかしら?」
「わかりました。ダルトリー子爵に確認してみます。して、、、あの、、解答のために専門家の方達をお招きした方が宜しいですか?」
「それはいいわ、、、。ヒントはもう得ているのよ。」
「はあ、わかりました。」
そう言ってバーナードは部屋から出て行った。
「そう、、、ヒントは得ている。でも、、そのままでは使わないわ。わたくしのプライドにかけてね。ファティマ。」
ファティマからの手紙と全く同じ問題が出された事はクローディアにやはり運命は追いかけてくるのかと絶望感を与えた。しかし、クローディアはもう既に知っている未来ではないのだと自分に言い聞かせた。冷静に考えると今回の手紙は本当にこの王太子選抜審査に特化しており、その後の年表とかが書かれているわけではないのだ。そして、元々十年前に貰った手紙にも今のアッカルドについてはあまり詳しく書かれていない。
カサカサカサ
クローディアは古い手紙を広げると再度確認してみた。そこには前王ヒューバードが亡くなることとその二年後に隣国から攻められてあっという間に滅亡する事が書かれているだけだった。
そう、、この国は戦争で負ける。
ただ、隣国が何処なのか、何がきっかけで戦争になるのかが書かれていないのだ。
アッカルド王国は背に北の海がある為隣国と呼ばれるのは三つの国だけだった。
西のセドア共和国、東のマキオラ王国王、そして南のシダール王国だ。今回の審査員の国の何処かにこの国は滅ぼされる事になる。その事もクローディアの心に重しとなっているのだ。
クローディアは今度は真新しい手紙を手に取って広げた。
「この手紙の意味はなんなのかしら?」
誰が王太子であってもこの通りの解答を書くことが滅亡への第一歩なのか?
この解答は本当に模範解答なのか?
それとも運命までもクローディアはリカルドに勝てと言っているのか?
クローディアは答えが出ない問題を二重に抱えてこの問題の解答をどうすべきなのかと考えていた。
その頃、ビクトル王子は部屋でこちらも頭を抱えていた。
「どうしました?ヘタレのビクトル王子。」
「アーベル、、、、。そう言うな、、、、。、今日は逃げなかったではないか、、、。」
「確かに逃げはしなかったですよね。かなり目付きの悪い顔でクローディア様を見てましたけど、、、。」
「いや、そんな顔はしていないぞ?」
「いいえ、かなり邪険な雰囲気を出していましたよ?」
「邪険!?、、ああ、ベルンハルト王太子がクローディア殿に馴れ馴れしく接するから、、少しは睨んだかもしれない、、。」
「はぁ、でも、あの場にいたものは皆ビクトル王子がクローディア様を睨んだと思ってますよ。実際ベルンハルト王太子はビクトル王子の意を汲んでリカルドに付きましたしね。」
するとビクトル王子は更に頭を抱えた。
「そんなつもりは微塵もないのだ!出来ればクローディア殿を手助けしたいと思っているのだぞ?私は、、。」
「はぁ、それわかっているのは私だけですよ。」
そう言うとアーベルはコホンと咳払いをして一通の手紙をビクトル王子に、差し出した。
「どうぞ?クローディア様からです。」
ビクトル王子は、ガバッと頭をあげると引ったくるように手紙を受け取ると差出人を確認した。そこには本当にクローディアの名前が書かれている。
「どうしたんだ!これは?」
「ダルトリー子爵経由で届きました。まぁ私がクローディア様でもそうしますよ。今シダールを味方につけねば、いつ必要なんだって感じですから。」
ビクトル王子は、アーベルからペーパーナイフを受け取ると慎重に開封して中身を確認した。するとそこには明日の朝食後に自慢の薔薇園を案内したいと書かれていた。
「あ、明日の午前中の予定は全てキャンセルしてくれ。ああ、昼食もな。」
「はいはい、わかりました。でも、二人きりでも大丈夫なんですか?」
アーベルが心配そうに確認する。
「そ、それは今から考える。だが私もそろそろクローディア殿に色々確認したいのだ。なんといっても隣国の王太子を選ぶのだし、好き嫌いは別にして考え方の確認も必要なのだし、、、。冷静に会うぞ。仕事相手と思って会うぞ。こ、好みの女性と思わずに会うぞ。」
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