18 / 23
17
しおりを挟む
あれから数日、私達は静かな日常を過ごしている。
キャサリンはあれから部屋に閉じこもってしまった。
何度か訪ねたが体調が良くないと言われてしまった。
ジェイとライアンは組織と連絡を取るために大公家から出掛けたまま帰っていない。
私はやはりあの日から沈みがちのリサと大公家で悶々としている。
唯一元気なのはバルトだ。
正義感溢れたバルトはキャサリンの実家や公爵家からの問い合わせを一切合切突っぱねているらしい。
これは伝え聞いただけなので、真相はわからないが、私の所に何の知らせも届かないのだからそういうことなのだろう。
「静かね」
私はテラスで一人お茶を飲みながら呟いた。
やることはあるはずだが、キャサリンから話がないし、組織からも許可が出ないことには何もできない。
ガチャンという音の後にリサの声が聞こえる。
「申し訳ありません」
「大丈夫よ。片付けてね」
またボーッとしていたのだろう。確かにリサのことも不思議だらけだ。
あの組織にいたのに、この大公家の中でも違和感なく私の専属侍女をこなしている。
いえ、その前に初めて会った時から私をお嬢様と呼んで世話を焼いてくれていた。
それはなぜなんだろう。
今まで自分のことに精一杯で周りのことが見えていなかった。
そう考えるとジェイやライアンのように貴族然としているのに、あの組織にいることも不思議すぎる。
私はカップを手に辺りを見回した。
「アスラン大公様も不思議な方よね」
私のような今は平民の女性に大公の妹を名乗ることをお許しになるなど、祖国では考えられないことだ。
そして、あのパーティで大公家の身分を存分に振りかざしたにも関わらず、何も言ってこない。
「本当に不思議な方ばかりね」
私はカチャっとカップをソーサー戻した。考えても答えは出ないのだ。
フゥッと息を吐いた時リサが慌てたようにやってきた。
「お嬢様、キャサリン様がお越しでございます」
私は立ち上がり、屋敷に続くドアに向かった。
「キャサリン!」
私が声をかけるとキャサリンがこちらに歩いてきた。何というか、元気なったようだ。
スッと伸ばした背筋に隈の消えた瞳、キビキビとした動作からそう感じた。
「大公女様、何度もお越し頂きありがとうございました。お会いできず申し訳ありませんでした」
そう言ってキャサリンは腰を折った。
「少しは休めたかしら?」
「はい。バルトさんにも大変よくしていただきました」
「それならよかったわ。今テラスでお茶を飲んでいたの。もしよければ一緒にどう?」
「光栄ですわ。是非お邪魔させて下さい」
ハキハキと淀みなく話すキャサリンは別人のようだった。
私はなんだか初めて会う人のようにドキドキしてしまう。
「あの……リドル子爵と大公女様の護衛騎士の方はどちらにいらっしゃいますか?」
キョロキョロと周りを見渡しているキャサリンの腕に手を添える。
「二人は今出掛けているのよ」
「そうなんですか……。同席していただければと思っておりましたので」
「大事なお話?」
「……はい」
私は真剣なキャサリンの瞳を見てからリサを呼んだ。
「リサ!」
「はい、なんでしょうか?」
「ライアンとジェイに、連絡できるかしら?」
リサは私とキャサリンの顔を交互に見て頷いた。
「直ぐに!」
そう言って彼女はテラスから出ていった。
あの様子ではすぐに帰れる場所にいるのだろう。私は胸を撫で下ろす。
「キャサリン、座りましょう」
私はキャサリンを心配しているバルトに声をかける。
「バルト、軽食を準備して頂戴」
「かしこまりました」
私はキャサリンが腰を下ろすとにっこりと笑顔を作る。
「ゆっくり休めたかしら?」
「はい。ご配慮いただきありがとうございました」
顔を上げて、私の目をしっかりと見て話すキャサリンはどこかスッキリとしている。
「色々考えました。考えすぎていたところをもう一度一から考えてみました」
「そう」
「大公女様のお言葉も思い出して、今までの自分も、そして、ステイル様との関係、イザベラとの関係も言動含めて考えました」
クイっと顎を上げたキャサリンの瞳は、宝石のように澄んでいる。
「考えはまとまったのね?」
「はい、漸くまとまりました。お話できるようになるまでお会いするべきではないとお断りしてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
「それはいいの。私は、今、目の前にいるキャサリンが少し前を向いているようで嬉しいわ」
そういって目の前に用意されたサンドイッチに手をのばす。
「キャサリンも食べましょう? もうすぐジェイとライアンも来るわ」
「ありがとうございます。あのお二人が来る前に少しだけお聞きしてもよろしいですか?」
「ええ、なんでも聞いてちょうだい?」
「昔、アスラン大公の姫様が大変な目に遭われたと聞いたことがあります。やはり、大公女様がわたくしにお優しくしてくださるのは、その方のおかげなのでしょうか?」
私にはその答えを言うことはできなかった。
アスラン大公家に何かあったの? でも、ジェイも何も言っていなかった。だから……
「あっ、すみません。この話はタブーですよね。わたくしったら余計なことを申しました」
私が一瞬黙ったことで、キャサリンは慌てて話題を変えてきた。
「いいのよ、でも、そのことはお話できないわ」
「はい。と、とにかくアスラン大公家の皆様には過分なご配慮をしていただいて、そこに何某かの理由を考えてしまっただけですの。本当にすみません」
そういって、キャサリンは俯いた。
私は、今集中するべきは目の前のキャサリンだと自分に言い聞かせる。大公家のことはおいおい聞けばいい。
「それでキャサリンが聞きたいこととは?」
「……殿方のことです。ジェイ様とライアン様には聞けませんので」
「殿方のこと?」
「はい、わたくしが自分の言動と考えてみてもどうしてもわたくは悪くないと思ってしまいます。悪いのはステイル様であり、イザベラだという答えになります。ステイル様とわたくしは十歳の時に婚約して、恋愛感情とはいわないまでも好意はもっていたと確信しております。実際にイザベラが現れるまでは何も問題はありませんでした。でも、彼女が動き出すとステイル様もお父様も、公爵様もあっという間に変わってしまわれました。皆、殿方ですわ。彼らがわたくしを軽視するのを見て女性たちは態度を変えていったと認識しております」
「なるほど、そうなのね」
「わたくしとイザベラは何が違うと大公女様はお思いなりますか? 何が足りなかったのでしょう? 殿方は何故こうも容易く心変わりをされるのでしょう? わたくしは、本当に『悪役令嬢』というものになってしまったのでしょうか?」
そういったキャサリンの瞳からポロポロと涙が溢れる。真っ直ぐに前を向いても尚涙を流しているキャサリンに私の胸は締め付けられる。
「考えても考えてもこの答えは見つかりませんでしたの。これは殿方に聞きたくないのです」
私は立ち上がるとキャサリンの隣に腰を下ろす。そして、その頬にハンカチを当てた。
「貴女は悪くない。貴女はイザベラに何も劣っていない。ただ、少し不器用なだけだわ。男共が愚かなの。貴女の婚約者も父上もマクラニー公爵も何もわかっていないの。皆、貴女が強いと勘違いして、傷つけても平気だと思っているだけよ。私は貴女が希望するのならば、彼らから逃げてもいいと思うわ」
「大公女様……。わたくしは逃げません。逃げたくありません。考えても考えても、わたくしは悪くない。今逃げたら一生後悔します」
その言葉に私の胸がズキンと痛む。
一生後悔する。そうね。その通りだわ。一生後悔するの。
「貴女はどうしたい? 私は貴女の希望を叶えるわ」
私はキャサリンの瞳を真っ直ぐに見つめた。
キャサリンはあれから部屋に閉じこもってしまった。
何度か訪ねたが体調が良くないと言われてしまった。
ジェイとライアンは組織と連絡を取るために大公家から出掛けたまま帰っていない。
私はやはりあの日から沈みがちのリサと大公家で悶々としている。
唯一元気なのはバルトだ。
正義感溢れたバルトはキャサリンの実家や公爵家からの問い合わせを一切合切突っぱねているらしい。
これは伝え聞いただけなので、真相はわからないが、私の所に何の知らせも届かないのだからそういうことなのだろう。
「静かね」
私はテラスで一人お茶を飲みながら呟いた。
やることはあるはずだが、キャサリンから話がないし、組織からも許可が出ないことには何もできない。
ガチャンという音の後にリサの声が聞こえる。
「申し訳ありません」
「大丈夫よ。片付けてね」
またボーッとしていたのだろう。確かにリサのことも不思議だらけだ。
あの組織にいたのに、この大公家の中でも違和感なく私の専属侍女をこなしている。
いえ、その前に初めて会った時から私をお嬢様と呼んで世話を焼いてくれていた。
それはなぜなんだろう。
今まで自分のことに精一杯で周りのことが見えていなかった。
そう考えるとジェイやライアンのように貴族然としているのに、あの組織にいることも不思議すぎる。
私はカップを手に辺りを見回した。
「アスラン大公様も不思議な方よね」
私のような今は平民の女性に大公の妹を名乗ることをお許しになるなど、祖国では考えられないことだ。
そして、あのパーティで大公家の身分を存分に振りかざしたにも関わらず、何も言ってこない。
「本当に不思議な方ばかりね」
私はカチャっとカップをソーサー戻した。考えても答えは出ないのだ。
フゥッと息を吐いた時リサが慌てたようにやってきた。
「お嬢様、キャサリン様がお越しでございます」
私は立ち上がり、屋敷に続くドアに向かった。
「キャサリン!」
私が声をかけるとキャサリンがこちらに歩いてきた。何というか、元気なったようだ。
スッと伸ばした背筋に隈の消えた瞳、キビキビとした動作からそう感じた。
「大公女様、何度もお越し頂きありがとうございました。お会いできず申し訳ありませんでした」
そう言ってキャサリンは腰を折った。
「少しは休めたかしら?」
「はい。バルトさんにも大変よくしていただきました」
「それならよかったわ。今テラスでお茶を飲んでいたの。もしよければ一緒にどう?」
「光栄ですわ。是非お邪魔させて下さい」
ハキハキと淀みなく話すキャサリンは別人のようだった。
私はなんだか初めて会う人のようにドキドキしてしまう。
「あの……リドル子爵と大公女様の護衛騎士の方はどちらにいらっしゃいますか?」
キョロキョロと周りを見渡しているキャサリンの腕に手を添える。
「二人は今出掛けているのよ」
「そうなんですか……。同席していただければと思っておりましたので」
「大事なお話?」
「……はい」
私は真剣なキャサリンの瞳を見てからリサを呼んだ。
「リサ!」
「はい、なんでしょうか?」
「ライアンとジェイに、連絡できるかしら?」
リサは私とキャサリンの顔を交互に見て頷いた。
「直ぐに!」
そう言って彼女はテラスから出ていった。
あの様子ではすぐに帰れる場所にいるのだろう。私は胸を撫で下ろす。
「キャサリン、座りましょう」
私はキャサリンを心配しているバルトに声をかける。
「バルト、軽食を準備して頂戴」
「かしこまりました」
私はキャサリンが腰を下ろすとにっこりと笑顔を作る。
「ゆっくり休めたかしら?」
「はい。ご配慮いただきありがとうございました」
顔を上げて、私の目をしっかりと見て話すキャサリンはどこかスッキリとしている。
「色々考えました。考えすぎていたところをもう一度一から考えてみました」
「そう」
「大公女様のお言葉も思い出して、今までの自分も、そして、ステイル様との関係、イザベラとの関係も言動含めて考えました」
クイっと顎を上げたキャサリンの瞳は、宝石のように澄んでいる。
「考えはまとまったのね?」
「はい、漸くまとまりました。お話できるようになるまでお会いするべきではないとお断りしてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
「それはいいの。私は、今、目の前にいるキャサリンが少し前を向いているようで嬉しいわ」
そういって目の前に用意されたサンドイッチに手をのばす。
「キャサリンも食べましょう? もうすぐジェイとライアンも来るわ」
「ありがとうございます。あのお二人が来る前に少しだけお聞きしてもよろしいですか?」
「ええ、なんでも聞いてちょうだい?」
「昔、アスラン大公の姫様が大変な目に遭われたと聞いたことがあります。やはり、大公女様がわたくしにお優しくしてくださるのは、その方のおかげなのでしょうか?」
私にはその答えを言うことはできなかった。
アスラン大公家に何かあったの? でも、ジェイも何も言っていなかった。だから……
「あっ、すみません。この話はタブーですよね。わたくしったら余計なことを申しました」
私が一瞬黙ったことで、キャサリンは慌てて話題を変えてきた。
「いいのよ、でも、そのことはお話できないわ」
「はい。と、とにかくアスラン大公家の皆様には過分なご配慮をしていただいて、そこに何某かの理由を考えてしまっただけですの。本当にすみません」
そういって、キャサリンは俯いた。
私は、今集中するべきは目の前のキャサリンだと自分に言い聞かせる。大公家のことはおいおい聞けばいい。
「それでキャサリンが聞きたいこととは?」
「……殿方のことです。ジェイ様とライアン様には聞けませんので」
「殿方のこと?」
「はい、わたくしが自分の言動と考えてみてもどうしてもわたくは悪くないと思ってしまいます。悪いのはステイル様であり、イザベラだという答えになります。ステイル様とわたくしは十歳の時に婚約して、恋愛感情とはいわないまでも好意はもっていたと確信しております。実際にイザベラが現れるまでは何も問題はありませんでした。でも、彼女が動き出すとステイル様もお父様も、公爵様もあっという間に変わってしまわれました。皆、殿方ですわ。彼らがわたくしを軽視するのを見て女性たちは態度を変えていったと認識しております」
「なるほど、そうなのね」
「わたくしとイザベラは何が違うと大公女様はお思いなりますか? 何が足りなかったのでしょう? 殿方は何故こうも容易く心変わりをされるのでしょう? わたくしは、本当に『悪役令嬢』というものになってしまったのでしょうか?」
そういったキャサリンの瞳からポロポロと涙が溢れる。真っ直ぐに前を向いても尚涙を流しているキャサリンに私の胸は締め付けられる。
「考えても考えてもこの答えは見つかりませんでしたの。これは殿方に聞きたくないのです」
私は立ち上がるとキャサリンの隣に腰を下ろす。そして、その頬にハンカチを当てた。
「貴女は悪くない。貴女はイザベラに何も劣っていない。ただ、少し不器用なだけだわ。男共が愚かなの。貴女の婚約者も父上もマクラニー公爵も何もわかっていないの。皆、貴女が強いと勘違いして、傷つけても平気だと思っているだけよ。私は貴女が希望するのならば、彼らから逃げてもいいと思うわ」
「大公女様……。わたくしは逃げません。逃げたくありません。考えても考えても、わたくしは悪くない。今逃げたら一生後悔します」
その言葉に私の胸がズキンと痛む。
一生後悔する。そうね。その通りだわ。一生後悔するの。
「貴女はどうしたい? 私は貴女の希望を叶えるわ」
私はキャサリンの瞳を真っ直ぐに見つめた。
10
お気に入りに追加
270
あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる