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「キラニア・ルーラマウス公爵令嬢! 今日この場でそなたとの婚約を解消する!!」
私は目の前で青筋を立てて私を指差している婚約者の顔を見てショックを隠せなかった。
呆然としている私の目の前では私の罪の暴露が始まっている。
「そなたは守るべき臣下であるアマンダ男爵令嬢に対する不当な仕打ちで、高位貴族としての名誉を著しく傷つけた。これは許されざる事態だ!」
私はそんなに悪いことをしたのだろうか?
ただ、貴族としてマナーを指摘したにすぎない。
ただ、女性としての矜持を語ったにすぎない。
ただ、学生としての本分を知らしめただけにすぎない。
それが、この卒業パーティという一生に一度の機会に婚約者から責め立てられる程の罪なのだろうか?
「よって、そなたに国外追放を言い渡す!!!」
鬼の形相の婚約者が私を責め立てるが、誰一人として異議を申し立てる人はいない。
そして、私の婚約者の隣にはイザベラ・アマンダ男爵令嬢が笑ながら立っている。
私は手をギュッと握りしめる。
「殿下、これは国としての婚約ですわ。私が至らないとしても勝手に破棄などできません」
私が意見を言うと、婚約者がぴらぴらと紙を高らかに掲げる。
「父上からは許可を貰っている。もちろん、そなたの父からもな」
そう言って放り投げられた紙が私の足元にひらりと飛んできた。
下を見て、確認すると確かに国王陛下と父であるルーラマウス公爵のサインが見えた。
そうか、これはもう決まったことなのね。
私は、やっと現実を受け入れた。
味方はいない。婚約者、いえ、元婚約者はこの国の王子なのだ。その王子と父親である国王が認めていることに、一体誰が否というのか。
私はガクッと膝から崩れ落ちる。
未だに何故私が罪を問われたのかは理解できないが、罰が実行されることは理解できた。
この国にはそれを止める人間はいないということも。
「そなたの籍をルーラマウス公爵家から抹消する。他国で静かに暮らすのだ。せめてもの情けだ。国境までの馬車は手配してある。感謝するが良い」
「そんな……こんなこと……」
私は力が入らない体をなんとか支えて顔を上げる。
私が愛した人はこんな人だったのかしら?
あんなに王妃教育を頑張ったのはこんな人のためだったのかしら?
もう顔もボヤけて見ることもできない。
「さっさと連れて行け」
冷たく言い放つ男を最後に睨みつける。せめてもの矜持だ。
「ふん、さらばだ」
両手を騎士に抱えられて私はパーティ会場から連れ出される。
「離しなさい! 無礼ですわ!」
「ご勘弁を、もう貴女は平民なのです」
「なっ!」
そして、そのまま外に止まっている馬車の中へ乱暴に乗せられた。
「痛!」
バタンと扉が閉められると私が座席に座る前に馬車が走り出す。
こんな馬鹿なことが起こっていいのだろうか?
たった一晩で婚約を破棄されて、公爵家から除籍され、平民として国外追放……
私は馬車の中を見回した。とても質素な馬車だ。今まで乗ったこともないような作り。
座席にはボロ切れでできた包みが載っているだけだった。
私はその包みを揺れる馬車の中で確認する。
「現金が少しと、平民の服……」
包みの中のあまりの少なさに涙が滲む。いくら公爵令嬢として育ってきたとしても、その身分もない他国で自分が一人で生きていくことはできないということは理解できる。
しかも、こんなはした金ではなおさらだ。
「これから一体どうすればいいの……」
王妃教育を受けてもこんな時には何もできないし、何もわからない。
「あんなに学んだのに、何もわからないだなんて」
自分自身にあきれて涙も引っ込んでしまった。
「着きました」
急に止められた馬車に体をビクッと震わせるとドアが乱暴に開かれる。
御者らしき男が外に立っているのが見える。
この男は胸元から懐中時計を取り出すとしきりに時間を気にしているようだ。
この馬車を降りたら、もう私を守るものは何もないんだわ。
座席の包を胸に抱いて立ちあがる。これでも王妃となるはずだったのだ。情けない姿は絶対に見せたくない。
顎を上げて胸を張る。そして、優雅に見えるように馬車から降りようとした時、スッと手を差し出される。
「え?」
思わず手の主に目を向ける。そこには数人の黒尽くめの人間が立っていた。手を差し出している人も顔を目だけを除いて覆っている。
「誰ですか?!」
私は思わず叫んだ。まだ馬車を降りてもいないのに、盗賊に襲われるなんてと体を震わす。
「下がりなさい!! 無礼ですよ!!」
精一杯の虚勢を張る。
しかし、包を抱きしめる手はガタガタと震えている。
「キラニア・ルーラマウス公爵令嬢でしょうか?」
その男の言葉使いには気品を感じた。
「そうだったら、どうしますか? 金目のものは持っておりませんし、私はもう公爵令嬢でもありませんわ」
キッと男を睨みつけて言い放った。
男が息を飲み、その後ろの人からはヒューっと口笛が漏れる。
「失礼いたしました。私はジェイと申します。訳あって家門は名乗ることはできません」
ジェイと名乗った男に私は軽く頷いた。
「よろしければ、キラニア嬢をエスコートする栄誉をお与えください」
胸の手を当てて腰を折った男はどう見ても貴族だ。
「私に関わると大変な目に遭うでしょう。捨て置いて下さい」
私は知り合いの誰かが私に同情して使いを送ってくれたと考えていた。
「私はこの国のものではありませんのでご安心ください」
「では、何故……」
男はもう一度私に手を差し出すと、首をかしげる。
「ご説明させていただきます。どうか、私どもの馬車にお移りください。この馬車は、ここでキラニア嬢を下ろすことになっております。そして、直ぐに戻り報告する義務があるのです」
見ると男の隣に御者が立っており、今も時間を気にしている。
私は考えたが、考えることが多すぎて何が正しくて何が間違っているのか、今は判断できそうにない。
ただ、この御者が戻り、元婚約者に報告しなかったらならば、大変なことになることはわかった。
私は頷くとこの黒尽くめの怪しい男の手を取った。
「わかりました」
そして、エスコートされるまま近くに止まっていた馬車へ移動したのだった。
その馬車は王宮の馬車にも引けを取らない程の豪華な作りをしていた。
後ろでは男の仲間が御者と話している。何かを御者に手渡すと戻ってきた。御者はそのまま今私が乗ってきた馬車に乗ると大急ぎで来た道を戻っていった。
私は馬車が去っていくのを呆然と見送った。これでこの国の全てに別れを告げたような気がしたのだ。
「キラニア嬢、大丈夫でしょうか?」
私は男の手を取ったまま、立ち止まっていたのだ。
「はい」
「まずは状況を説明させていただきます。こちらの馬車にどうぞ」
そういわれても、はいそうですかと乗り込むことはできない。
私が動けずにいると、男はかがんで私の顔を下から見上げる。
「キラニア嬢、私は、私達はあなたの味方です」
「味方?」
今日は味方は一人もいなかったのに、今更味方と言われても実感がわかない。
私は顔を横に降った。
「味方などいません」
私の様子に後ろに控えていた小柄な人が一歩前に出る。
「ジェイ様、お嬢様が落ち着かれるまではこちらでお話されてはいかがでしょうか?」
声を聞くと私は驚愕を隠せない。なんと、その人は女性だったのだ。
女性が、男性のような格好をしているのだ。そんなことは見たことがない。
「貴女、女性なのですか?」
「はい、そうでございます。いろいろ怪しいところがあるとは思いますが、一旦こちらにお座りください」
そういって案内されたのは、ピクニックなどで使用する簡易的なテーブルと椅子だった。
私は恐る恐る椅子に腰を下ろすが、手に持っている包みは胸にしっかりと抱いたままだ。
どんなものでも今の私にあるのはこれだけなのだ。
そして、キョロキョロと周りを見回した。
黒尽くめも人達は全部で四人だった。一人は私に手を差し出してきた男性、一人は先程の女性。後の二人は体格から騎士か剣士というところだろうか?
「少し、落ち着いてください」
先程の男が私の前に小さなコップをおいた。
「水です。毒などは入っておりません」
それでも私はコップに手を付けることはできなかった。
一体何が起こっているのだろう?
この人達は何者なのだろう?
私はどうなってしまうのだろう?
そんな疑問を見透かすように男はゆっくりと私の前の椅子に座った。
「それでは、少し話をさせてください」
私は緊張しながらも頷いた。
「貴女は、転生被害者です。私達はある理由により転生被害者の方を救う仕事をしております」
「転生……被害者?」
「はい。いうなれば、転生被害のあとしまつをしているのです」
私は更に混乱して男の顔を凝視したのだった。
私は目の前で青筋を立てて私を指差している婚約者の顔を見てショックを隠せなかった。
呆然としている私の目の前では私の罪の暴露が始まっている。
「そなたは守るべき臣下であるアマンダ男爵令嬢に対する不当な仕打ちで、高位貴族としての名誉を著しく傷つけた。これは許されざる事態だ!」
私はそんなに悪いことをしたのだろうか?
ただ、貴族としてマナーを指摘したにすぎない。
ただ、女性としての矜持を語ったにすぎない。
ただ、学生としての本分を知らしめただけにすぎない。
それが、この卒業パーティという一生に一度の機会に婚約者から責め立てられる程の罪なのだろうか?
「よって、そなたに国外追放を言い渡す!!!」
鬼の形相の婚約者が私を責め立てるが、誰一人として異議を申し立てる人はいない。
そして、私の婚約者の隣にはイザベラ・アマンダ男爵令嬢が笑ながら立っている。
私は手をギュッと握りしめる。
「殿下、これは国としての婚約ですわ。私が至らないとしても勝手に破棄などできません」
私が意見を言うと、婚約者がぴらぴらと紙を高らかに掲げる。
「父上からは許可を貰っている。もちろん、そなたの父からもな」
そう言って放り投げられた紙が私の足元にひらりと飛んできた。
下を見て、確認すると確かに国王陛下と父であるルーラマウス公爵のサインが見えた。
そうか、これはもう決まったことなのね。
私は、やっと現実を受け入れた。
味方はいない。婚約者、いえ、元婚約者はこの国の王子なのだ。その王子と父親である国王が認めていることに、一体誰が否というのか。
私はガクッと膝から崩れ落ちる。
未だに何故私が罪を問われたのかは理解できないが、罰が実行されることは理解できた。
この国にはそれを止める人間はいないということも。
「そなたの籍をルーラマウス公爵家から抹消する。他国で静かに暮らすのだ。せめてもの情けだ。国境までの馬車は手配してある。感謝するが良い」
「そんな……こんなこと……」
私は力が入らない体をなんとか支えて顔を上げる。
私が愛した人はこんな人だったのかしら?
あんなに王妃教育を頑張ったのはこんな人のためだったのかしら?
もう顔もボヤけて見ることもできない。
「さっさと連れて行け」
冷たく言い放つ男を最後に睨みつける。せめてもの矜持だ。
「ふん、さらばだ」
両手を騎士に抱えられて私はパーティ会場から連れ出される。
「離しなさい! 無礼ですわ!」
「ご勘弁を、もう貴女は平民なのです」
「なっ!」
そして、そのまま外に止まっている馬車の中へ乱暴に乗せられた。
「痛!」
バタンと扉が閉められると私が座席に座る前に馬車が走り出す。
こんな馬鹿なことが起こっていいのだろうか?
たった一晩で婚約を破棄されて、公爵家から除籍され、平民として国外追放……
私は馬車の中を見回した。とても質素な馬車だ。今まで乗ったこともないような作り。
座席にはボロ切れでできた包みが載っているだけだった。
私はその包みを揺れる馬車の中で確認する。
「現金が少しと、平民の服……」
包みの中のあまりの少なさに涙が滲む。いくら公爵令嬢として育ってきたとしても、その身分もない他国で自分が一人で生きていくことはできないということは理解できる。
しかも、こんなはした金ではなおさらだ。
「これから一体どうすればいいの……」
王妃教育を受けてもこんな時には何もできないし、何もわからない。
「あんなに学んだのに、何もわからないだなんて」
自分自身にあきれて涙も引っ込んでしまった。
「着きました」
急に止められた馬車に体をビクッと震わせるとドアが乱暴に開かれる。
御者らしき男が外に立っているのが見える。
この男は胸元から懐中時計を取り出すとしきりに時間を気にしているようだ。
この馬車を降りたら、もう私を守るものは何もないんだわ。
座席の包を胸に抱いて立ちあがる。これでも王妃となるはずだったのだ。情けない姿は絶対に見せたくない。
顎を上げて胸を張る。そして、優雅に見えるように馬車から降りようとした時、スッと手を差し出される。
「え?」
思わず手の主に目を向ける。そこには数人の黒尽くめの人間が立っていた。手を差し出している人も顔を目だけを除いて覆っている。
「誰ですか?!」
私は思わず叫んだ。まだ馬車を降りてもいないのに、盗賊に襲われるなんてと体を震わす。
「下がりなさい!! 無礼ですよ!!」
精一杯の虚勢を張る。
しかし、包を抱きしめる手はガタガタと震えている。
「キラニア・ルーラマウス公爵令嬢でしょうか?」
その男の言葉使いには気品を感じた。
「そうだったら、どうしますか? 金目のものは持っておりませんし、私はもう公爵令嬢でもありませんわ」
キッと男を睨みつけて言い放った。
男が息を飲み、その後ろの人からはヒューっと口笛が漏れる。
「失礼いたしました。私はジェイと申します。訳あって家門は名乗ることはできません」
ジェイと名乗った男に私は軽く頷いた。
「よろしければ、キラニア嬢をエスコートする栄誉をお与えください」
胸の手を当てて腰を折った男はどう見ても貴族だ。
「私に関わると大変な目に遭うでしょう。捨て置いて下さい」
私は知り合いの誰かが私に同情して使いを送ってくれたと考えていた。
「私はこの国のものではありませんのでご安心ください」
「では、何故……」
男はもう一度私に手を差し出すと、首をかしげる。
「ご説明させていただきます。どうか、私どもの馬車にお移りください。この馬車は、ここでキラニア嬢を下ろすことになっております。そして、直ぐに戻り報告する義務があるのです」
見ると男の隣に御者が立っており、今も時間を気にしている。
私は考えたが、考えることが多すぎて何が正しくて何が間違っているのか、今は判断できそうにない。
ただ、この御者が戻り、元婚約者に報告しなかったらならば、大変なことになることはわかった。
私は頷くとこの黒尽くめの怪しい男の手を取った。
「わかりました」
そして、エスコートされるまま近くに止まっていた馬車へ移動したのだった。
その馬車は王宮の馬車にも引けを取らない程の豪華な作りをしていた。
後ろでは男の仲間が御者と話している。何かを御者に手渡すと戻ってきた。御者はそのまま今私が乗ってきた馬車に乗ると大急ぎで来た道を戻っていった。
私は馬車が去っていくのを呆然と見送った。これでこの国の全てに別れを告げたような気がしたのだ。
「キラニア嬢、大丈夫でしょうか?」
私は男の手を取ったまま、立ち止まっていたのだ。
「はい」
「まずは状況を説明させていただきます。こちらの馬車にどうぞ」
そういわれても、はいそうですかと乗り込むことはできない。
私が動けずにいると、男はかがんで私の顔を下から見上げる。
「キラニア嬢、私は、私達はあなたの味方です」
「味方?」
今日は味方は一人もいなかったのに、今更味方と言われても実感がわかない。
私は顔を横に降った。
「味方などいません」
私の様子に後ろに控えていた小柄な人が一歩前に出る。
「ジェイ様、お嬢様が落ち着かれるまではこちらでお話されてはいかがでしょうか?」
声を聞くと私は驚愕を隠せない。なんと、その人は女性だったのだ。
女性が、男性のような格好をしているのだ。そんなことは見たことがない。
「貴女、女性なのですか?」
「はい、そうでございます。いろいろ怪しいところがあるとは思いますが、一旦こちらにお座りください」
そういって案内されたのは、ピクニックなどで使用する簡易的なテーブルと椅子だった。
私は恐る恐る椅子に腰を下ろすが、手に持っている包みは胸にしっかりと抱いたままだ。
どんなものでも今の私にあるのはこれだけなのだ。
そして、キョロキョロと周りを見回した。
黒尽くめも人達は全部で四人だった。一人は私に手を差し出してきた男性、一人は先程の女性。後の二人は体格から騎士か剣士というところだろうか?
「少し、落ち着いてください」
先程の男が私の前に小さなコップをおいた。
「水です。毒などは入っておりません」
それでも私はコップに手を付けることはできなかった。
一体何が起こっているのだろう?
この人達は何者なのだろう?
私はどうなってしまうのだろう?
そんな疑問を見透かすように男はゆっくりと私の前の椅子に座った。
「それでは、少し話をさせてください」
私は緊張しながらも頷いた。
「貴女は、転生被害者です。私達はある理由により転生被害者の方を救う仕事をしております」
「転生……被害者?」
「はい。いうなれば、転生被害のあとしまつをしているのです」
私は更に混乱して男の顔を凝視したのだった。
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