どうも、異世界転生してモブやってます

三章・初戦闘は苦い味と共に

30話：宦官

　



　で、教会の前に来た。
「うう……お腹痛い……」
　やっぱり下痢止めを貰えなかったいろは。
　ポニーテールのロリっ娘はそんなこと全く気にせずに、「さ、あっちです」と言った。
「思いやりが足りないわよ、テン」
「思いやるべき相手には思いやりますよ」
「言うわね……。ところでテン、問題のデモ隊はどこ？」
「ん？　入り口の辺りに……」
　テンが入り口の方を指差すと、そちらではなんか変なことが起きていた。

『まぁたアンタは働きもしないでデモなんて！　一体誰がアンタに飯食わしてると思ってんだい！？』
『ま、待てキャサリン。これはきちんと意味があってだな』
『まあデモは許しても良いわ。それよりアンタ、この上着のキスマークはなんだい！』
『ッ！？　それは……！』
『まさかアタシが働きに出ている間に女でも連れ込んだんじゃないだろうね？』
『まさか！　あっはっは……』
『デヴィッド～。ぅちとぉちゃのじかんだょ！　ぁれ、そのブスだれ？』
『出たわね泥棒猫！』
『あぁ鬼嫁ねぇ』
『何ですってえええ！』

「うわ、周囲の人もめちゃくちゃたじたじなんですけど」
「さすがにあれに関わりたいって人がいないもの」

『ま、待て落ち着けキャサリン』
『うるさいわ腐れポンチ！　猫も去勢すれば大人しくなるわ！　二人まとめて切り落としてやるわ！』
『は？　えっ？　ちょっと待って……』
『ぁたしつぃてぃなぃんだけどぉ！？』
『黙れゴミどもおおお！』

　じょぎっ。
　…………ぎゃあああああああああああああ！
　…………。
「……あそこ通って中に入るの？　もうある意味プールだけど？」
「いえ……もう良いです……」
　テンは諦めたように背中を向けた。あそこに近づくくらいなら、もう女の子の聖水でも良いや。
「とりあえず、急いで宿に戻りましょう……」