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34 これからの日々
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ネルド村に帰った後、イブリスという痴女をリーシア達に紹介する。
「……カンク軍に囚われていた魔族の少女だ。甘いもんが食いたいらしい。……リーシア、何か作ってくれるか?」
「我は偉大な魔王イブリスなのだ! 甘いものを所望するのだ!!」
「アーノルドがまた幼女を連れてきた……。えっと、甘いものね。ちょっと待ってなさい」
「……角、はえてル!」
リーシアとラミリアや村人の皆は、俺が連れて来たイブリスをすぐに受け入れてしまう。
そして、薬屋は全焼しているので近くの民家の台所を貸して貰い、女神のエキス入りの果物を使った甘くて美味いデザートをリーシアに作って貰う事となる。
(……みんな、すぐに受け入れすぎだろ)
俺はそんな事を思いながら、一先ずイブリスはシャルロッテ達に任せてエリナベル軍と共にカンク軍とエラルド軍を一か所に集めていた。
すると、先ほどまで意識を失っていたバッカスが目を覚ます。
「……うぅ……はっ!? なぜ、私は捕まっているのだ!」
「よぉ……目が覚めたか? お前は……何かよく知らんが急に倒れたんだ。……まさか、お前達が手を組んでくるとは思わなかったよ」
既に意識を取り戻していたイスラは俺を睨みつけてくる。
「ぐぬぬ……なぜ、こんなことに」
俺は糞野郎二人を見下ろしながら呟く。
「それは俺のセリフだ。お前ら、これからどうなるか分かっているんだろうな?」
「な……何をする気だ! 私はエラルド公国の次期国王なのだぞ!!」
「あぁ、だから見せしめの為にお前の首をエラルド公国に送り付けるつもりさ。……お前もだバッカス」
「「……なっ!」」
イスラとバッカスの声が重なり合う
「それだけの事をお前達は仕出かしたんだよ……楽に死ねると思うなよ? ……じゃあな。後悔しながらあの世にいきな」
俺の言葉に声を失う二人。
「……あとは任せた」
「「「はっ!」」」
俺は後はエリナベル軍に任せて、シャルロッテ達がいる民家の家に向かった。
民家に到着すると、家主に挨拶を交わす。
「お邪魔します」
「どうぞ~」
挨拶を交わした俺は台所へ向かう。
すると、めちゃくちゃうるさい声が台所の方から鳴り響く。
「甘いのだ~~!!!」
俺が台所に到着するとイブリスとシャルロッテ達が机を囲んでおり、机に置かれた果物で出来たデザートをイブリスが何度も口に運んでいた。
「……大袈裟だな、お前」
「おぉ人間!! なんだこの食べ物は! 今まで食べたことがないのだ!!」
「俺はアーノルドだ! ……リーシアの料理の腕とネルド村の果物は極上だからな。当たり前だろ」
俺の言葉で頬を染めるリーシア。
「……そ、そんな事ないわよ! ……えっと、ありがとうございますイブリスさん! もっといろいろ作るので待っていてくださいね」
「いいのかリーシア! お願いするのだ!!」
リーシアは俺から視線を逸らしてイブリスに微笑みを浮かべながら再び台所へと消えていく。
(……この痴女、すっかり馴染んでやがる)
俺も近くの椅子に座り、ず~っとイブリスの角を見ていたラミリアに視線を向ける。
「ラミリア、そんなに角が気になるか?」
「ウン! かっこいイ!」
「そうか……? まぁ珍しいのは変わりないか」
と、いうより俺はイブリス以外に角を生やしている存在を知らない。
それほど、今目の前にいる痴女は特殊な存在なんだろう。
「……でも、ラミリア。今回は本当に頑張ったな」
俺はイブリスの角に目が釘付けのラミリアの頭を撫でる。
「ん~……♪ ウン!」
俺に視線を移したラミリアは元気よく頷く。
そんなラミリアを横目に俺はシャルロッテに尋ねる。
「……それでシャルロッテ、せっかく作ってもらった薬屋だけど……全焼させてしまって申し訳なかったな」
「いえ、気にしないでください。それよりも、皆さんがご無事で本当によかったです! 薬屋なら、ドワーフさん達も大勢いらっしゃいますし、すぐに作り直して貰えますよ!」
「……そうだな。後で頼んでみよう」
そう俺が呟くと、新しいデザートをリーシアが持ってくる。
「お待たせしましたイブリスさん。どうぞ!」
「おぉ~! これも美味しそうなのだ!」
それからもイブリスにリーシアはネルド村で取れた数多くの美味しい女神の力入りの果物を使ったデザートを提供していった。
腹を膨らませたイブリスはとても満足そうに机に突っ伏している。
「もう……食べれないのだぁ……」
なんだこいつ。
完全に無防備なんだが……今だったら一発で仕留められそうだ。
「お粗末様です、イブリスさん。とても美味しそうに食べてくださってありがとうございます!」
「リーシアの作るデザートは美味しいのだぁ~……」
放心状態のイブリスを見て、デザートを振舞ったリーシアも満足げにしている。
そんな机に突っ伏している痴女に俺は尋ねる。
「……で、腹が膨れたお前はこれからどうするんだよ」
「こんなに甘くて美味しい食べ物が食べられるとは思わなかったのだぁ~……また食べたいのだぁ…………うむ、決めたぞアーノルド! 我はしばらくここに住むのだ!」
「……はっ?」
俺はイブリスの返答に素っ頓狂な声を上げてしまう。
魔王が住み着くなんてありえないだろ。
「はい! ゆっくりしていってくださいね、イブリスちゃん」
だが、俺の心の声をよそにシャルロッテは両手を合わせて歓迎する雰囲気を漂わせる。
「私もこんなに美味しく食べてくれるイブリスさんは大歓迎です!」
「ラミリアもカッコいいからサンセー!」
リーシアとラミリアも特に異論がないようで、俺は頭を抱えてしまう。
「……はぁ……まぁいいや。シャルロッテ、イブリスをネルド村を案内しておいてくれ。俺は薬屋の件でドワーフ達と話をつけてくる」
「わかりました。イブリスちゃんの事は任せてください!」
俺はイブリスをシャルロッテ達に任せた後、ドワーフ達に頼んで薬屋と他に寝泊まりする事が出来る建物の2つを作って貰うようにお願いする。
(……さすがに、前みたいに薬屋の中で寝泊まりするのも人数が多いからな)
ドワーフ達は二つ返事で了承してくれてすぐに建設を始めた。
◇◇◇
それからしばらく時間が経過し、アラバスト王国は帰国したレオナードによってエリナベル王国との不戦条約を締結された。
また、バッカス帝国とエラルド公国とも同様にイスラとバッカスの首を送り付けた結果、エリナベル王国との不戦条約を結ぶことができた。
「……それにしても、立派な建物ができたもんだな」
俺はドワーフ達の尽力によって作り上げられた新しい薬屋と宿舎を見上げていた。
「そうですね。それに、寝泊まりが出来る場所も新しく用意して頂けるのは嬉しいですね」
シャルロッテも宿舎の方に視線を向ける。
宿舎には俺達が寝泊まりする部屋と会議室も完備している。
「おぉ! これが今日から我らが住まう家なのか!」
すると、すっかりネルド村に住み慣れたイブリスも声を上げる。
今は以前のような露出の高い服ではなくヒラヒラした服を着ている。
「そうだ。もう簡易住宅じゃないからな」
俺達は新しい家が出来るまでドワーフ達が作った簡易的な家で生活をしていたのだ。
「……今日からは、これが俺達の家と職場だ!」
俺もあれからシャルロッテ達と仲良くなっていくイブリスを見ている過程で、すっかり気を許してしまった。
「そうか! さぁリーシア、我は腹が減ったのだ! 早く何か作るのだ~!」
イブリスは傍にいたリーシアに抱きつきながらねだり始める。
「ふふ、わかりました、イブリスさん。すぐに何か作ってあげますね」
リーシアはイブリスの胃袋をしっかり掴んでおり、二人の仲は良好なようだ。
そんな中、ラミリアも新しくできた薬屋を見上げていた。
「ラミリア。お前が始めてネルド村に来てからずいぶん時間が経ったな」
「……ウン」
「最初は糞オンボロ医療所だったのが……すっかり見違えたな。ラミリアもそう思うだろ?」
「ウン! ……でも、私はアーノルドがいるならどこでもいイ!!!」
「……そりゃよかった。これからも俺の助手としてよろしく頼むな、ラミリア」
「わかっタ! ずっと一緒だよ、アーノルド!」
こうして俺達は新しい薬屋で新たな暮らしを過ごしていく事になる。
(……楽しい日々を過ごせると良いな)
そんな事を皆を見ながら俺は思うのだった。
「……カンク軍に囚われていた魔族の少女だ。甘いもんが食いたいらしい。……リーシア、何か作ってくれるか?」
「我は偉大な魔王イブリスなのだ! 甘いものを所望するのだ!!」
「アーノルドがまた幼女を連れてきた……。えっと、甘いものね。ちょっと待ってなさい」
「……角、はえてル!」
リーシアとラミリアや村人の皆は、俺が連れて来たイブリスをすぐに受け入れてしまう。
そして、薬屋は全焼しているので近くの民家の台所を貸して貰い、女神のエキス入りの果物を使った甘くて美味いデザートをリーシアに作って貰う事となる。
(……みんな、すぐに受け入れすぎだろ)
俺はそんな事を思いながら、一先ずイブリスはシャルロッテ達に任せてエリナベル軍と共にカンク軍とエラルド軍を一か所に集めていた。
すると、先ほどまで意識を失っていたバッカスが目を覚ます。
「……うぅ……はっ!? なぜ、私は捕まっているのだ!」
「よぉ……目が覚めたか? お前は……何かよく知らんが急に倒れたんだ。……まさか、お前達が手を組んでくるとは思わなかったよ」
既に意識を取り戻していたイスラは俺を睨みつけてくる。
「ぐぬぬ……なぜ、こんなことに」
俺は糞野郎二人を見下ろしながら呟く。
「それは俺のセリフだ。お前ら、これからどうなるか分かっているんだろうな?」
「な……何をする気だ! 私はエラルド公国の次期国王なのだぞ!!」
「あぁ、だから見せしめの為にお前の首をエラルド公国に送り付けるつもりさ。……お前もだバッカス」
「「……なっ!」」
イスラとバッカスの声が重なり合う
「それだけの事をお前達は仕出かしたんだよ……楽に死ねると思うなよ? ……じゃあな。後悔しながらあの世にいきな」
俺の言葉に声を失う二人。
「……あとは任せた」
「「「はっ!」」」
俺は後はエリナベル軍に任せて、シャルロッテ達がいる民家の家に向かった。
民家に到着すると、家主に挨拶を交わす。
「お邪魔します」
「どうぞ~」
挨拶を交わした俺は台所へ向かう。
すると、めちゃくちゃうるさい声が台所の方から鳴り響く。
「甘いのだ~~!!!」
俺が台所に到着するとイブリスとシャルロッテ達が机を囲んでおり、机に置かれた果物で出来たデザートをイブリスが何度も口に運んでいた。
「……大袈裟だな、お前」
「おぉ人間!! なんだこの食べ物は! 今まで食べたことがないのだ!!」
「俺はアーノルドだ! ……リーシアの料理の腕とネルド村の果物は極上だからな。当たり前だろ」
俺の言葉で頬を染めるリーシア。
「……そ、そんな事ないわよ! ……えっと、ありがとうございますイブリスさん! もっといろいろ作るので待っていてくださいね」
「いいのかリーシア! お願いするのだ!!」
リーシアは俺から視線を逸らしてイブリスに微笑みを浮かべながら再び台所へと消えていく。
(……この痴女、すっかり馴染んでやがる)
俺も近くの椅子に座り、ず~っとイブリスの角を見ていたラミリアに視線を向ける。
「ラミリア、そんなに角が気になるか?」
「ウン! かっこいイ!」
「そうか……? まぁ珍しいのは変わりないか」
と、いうより俺はイブリス以外に角を生やしている存在を知らない。
それほど、今目の前にいる痴女は特殊な存在なんだろう。
「……でも、ラミリア。今回は本当に頑張ったな」
俺はイブリスの角に目が釘付けのラミリアの頭を撫でる。
「ん~……♪ ウン!」
俺に視線を移したラミリアは元気よく頷く。
そんなラミリアを横目に俺はシャルロッテに尋ねる。
「……それでシャルロッテ、せっかく作ってもらった薬屋だけど……全焼させてしまって申し訳なかったな」
「いえ、気にしないでください。それよりも、皆さんがご無事で本当によかったです! 薬屋なら、ドワーフさん達も大勢いらっしゃいますし、すぐに作り直して貰えますよ!」
「……そうだな。後で頼んでみよう」
そう俺が呟くと、新しいデザートをリーシアが持ってくる。
「お待たせしましたイブリスさん。どうぞ!」
「おぉ~! これも美味しそうなのだ!」
それからもイブリスにリーシアはネルド村で取れた数多くの美味しい女神の力入りの果物を使ったデザートを提供していった。
腹を膨らませたイブリスはとても満足そうに机に突っ伏している。
「もう……食べれないのだぁ……」
なんだこいつ。
完全に無防備なんだが……今だったら一発で仕留められそうだ。
「お粗末様です、イブリスさん。とても美味しそうに食べてくださってありがとうございます!」
「リーシアの作るデザートは美味しいのだぁ~……」
放心状態のイブリスを見て、デザートを振舞ったリーシアも満足げにしている。
そんな机に突っ伏している痴女に俺は尋ねる。
「……で、腹が膨れたお前はこれからどうするんだよ」
「こんなに甘くて美味しい食べ物が食べられるとは思わなかったのだぁ~……また食べたいのだぁ…………うむ、決めたぞアーノルド! 我はしばらくここに住むのだ!」
「……はっ?」
俺はイブリスの返答に素っ頓狂な声を上げてしまう。
魔王が住み着くなんてありえないだろ。
「はい! ゆっくりしていってくださいね、イブリスちゃん」
だが、俺の心の声をよそにシャルロッテは両手を合わせて歓迎する雰囲気を漂わせる。
「私もこんなに美味しく食べてくれるイブリスさんは大歓迎です!」
「ラミリアもカッコいいからサンセー!」
リーシアとラミリアも特に異論がないようで、俺は頭を抱えてしまう。
「……はぁ……まぁいいや。シャルロッテ、イブリスをネルド村を案内しておいてくれ。俺は薬屋の件でドワーフ達と話をつけてくる」
「わかりました。イブリスちゃんの事は任せてください!」
俺はイブリスをシャルロッテ達に任せた後、ドワーフ達に頼んで薬屋と他に寝泊まりする事が出来る建物の2つを作って貰うようにお願いする。
(……さすがに、前みたいに薬屋の中で寝泊まりするのも人数が多いからな)
ドワーフ達は二つ返事で了承してくれてすぐに建設を始めた。
◇◇◇
それからしばらく時間が経過し、アラバスト王国は帰国したレオナードによってエリナベル王国との不戦条約を締結された。
また、バッカス帝国とエラルド公国とも同様にイスラとバッカスの首を送り付けた結果、エリナベル王国との不戦条約を結ぶことができた。
「……それにしても、立派な建物ができたもんだな」
俺はドワーフ達の尽力によって作り上げられた新しい薬屋と宿舎を見上げていた。
「そうですね。それに、寝泊まりが出来る場所も新しく用意して頂けるのは嬉しいですね」
シャルロッテも宿舎の方に視線を向ける。
宿舎には俺達が寝泊まりする部屋と会議室も完備している。
「おぉ! これが今日から我らが住まう家なのか!」
すると、すっかりネルド村に住み慣れたイブリスも声を上げる。
今は以前のような露出の高い服ではなくヒラヒラした服を着ている。
「そうだ。もう簡易住宅じゃないからな」
俺達は新しい家が出来るまでドワーフ達が作った簡易的な家で生活をしていたのだ。
「……今日からは、これが俺達の家と職場だ!」
俺もあれからシャルロッテ達と仲良くなっていくイブリスを見ている過程で、すっかり気を許してしまった。
「そうか! さぁリーシア、我は腹が減ったのだ! 早く何か作るのだ~!」
イブリスは傍にいたリーシアに抱きつきながらねだり始める。
「ふふ、わかりました、イブリスさん。すぐに何か作ってあげますね」
リーシアはイブリスの胃袋をしっかり掴んでおり、二人の仲は良好なようだ。
そんな中、ラミリアも新しくできた薬屋を見上げていた。
「ラミリア。お前が始めてネルド村に来てからずいぶん時間が経ったな」
「……ウン」
「最初は糞オンボロ医療所だったのが……すっかり見違えたな。ラミリアもそう思うだろ?」
「ウン! ……でも、私はアーノルドがいるならどこでもいイ!!!」
「……そりゃよかった。これからも俺の助手としてよろしく頼むな、ラミリア」
「わかっタ! ずっと一緒だよ、アーノルド!」
こうして俺達は新しい薬屋で新たな暮らしを過ごしていく事になる。
(……楽しい日々を過ごせると良いな)
そんな事を皆を見ながら俺は思うのだった。
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