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26 ネルド村防衛戦:ラミリア視点
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アーノルドがネルド村を旅立ってから私は、アーノルドにお願いされた通りリーシアお姉ちゃんやネルド村を守る為に気合を入れていた。
「リーシアお姉ちゃんは私が守ル!」
――ぷにゅんっ
傍にいたリーシアお姉ちゃんの柔らかい体に抱き着く。
「ふふ、頼もしいですね。ラミリアさん」
リーシアお姉ちゃんは優しくほほ笑みかけ、頭を優しく撫でてくれる。
とても気持ちよく、頬が緩んでしまう。
「ん~……♪」
リーシアお姉ちゃんは私と一緒に寝るようになってから沢山話をしてくれた。
それはリーシアお姉ちゃんの故郷の話だったり、アーノルドが子供の頃の話だったり……アーノルドの事が大好きな事だったり、思い出すと少しムっとした気持ちになってしまうぐらいの想いが伝わってくる程だった。
(……ん~!!)
何度か私の方がアーノルドの事が大好きな気持ちは負けないと対抗したりもするけど、いつも今向けられている笑顔を浮かべて頭を撫でられるので気持ちよさであやふやになる状態を繰り返している。
「でもラミリアさん。私もラミリアさんを守らせてください。一緒にネルド村を守りましょう!」
「ウン!」
私は笑顔を向けてくるリーシアお姉ちゃんに元気よく返事をかえした。
すると、ドワーフの鍛冶師のおじちゃんが話しかけてくる。
「はは、威勢がいいお嬢ちゃん達だな。……さ、アーノルドさんから念のため村人全員に武器を配るように言われているんだ。二人はこの短剣でいいだろう」
そう言うと、ドワーフのおじちゃんは鞘に入っている短剣を私とリーシアお姉ちゃんに手渡す。
「まぁ、どうせ使う事はないと思うけどな、アーノルドさんが戻ってくるまで持っていてくれ」
「わかりました。ありがとうございます」
リーシアお姉ちゃんは礼儀正しくお礼を言っていたので――
「ありがとうございまス! おじちゃン!」
――私もリーシアお姉ちゃんに習ってお礼を伝え、受け取った短剣をしまい込む。
「どうってことないさ。それに、ネルド村の正門と裏門には見張り台に人を待機させているからな。何かあってもすぐに分かるさ!」
私がお礼を伝えると、ドワーフのおじさんは正門と裏門を指差しながら説明してくれた。
「私がネルド村に来た時にはまだ作っている途中でしたが……とても立派な外壁になりましたね。門を開かない限りネルド村に入りづらいですから、とても安心です」
「ウン! とっても安心すル!」
「そうだろう、そうだろう。俺達の自信作だからな!」
ドワーフのおじちゃんは気さくな笑顔で照れながら答える。
こうして私たちはアーノルドがいないネルド村でしばらくの時間を過ごすのだった。
◇◇◇
アーノルドがネルド村を旅立って瞬く立った頃、それは唐突に起きた。
――カンカンカンカンッ!
突然、村中に鋭い音が鳴り響く。
「な、なに!?」
リーシアお姉ちゃんはそう言って薬屋の外へ駆けだし、私も後に続く。
「大変だ皆! 裏門前方から大量の軍がネルド村に接近中!!!」
先ほどの音を鳴らしたのは見張り台にいた人らしく、大声が村中に響き渡る。
「そ、そんな……っ! アラバスト軍はアーノルド達が向かったんじゃ……ん? でも、裏門ってアラバスト王国の方向と逆方向のはず……確かめなきゃ!」
リーシアお姉ちゃんはそう呟きながら、裏門の方へと駆け出していった。
「待っテ! リーシアお姉ちゃん!」
「ま、待つんじゃ二人とも!」
オイドの静止の声を振り切って、駆け出したリーシアお姉ちゃんにつられて私も裏門へと駆け出した。
裏門付近に到着すると、リーシアお姉ちゃんに向かって見張り台の人が声を掛けてくる。
「リーシアさん、敵軍の中から単騎で近づいて来る者がいます! ここは危ないですよ。下がっていてください!」
「いえ、この外壁があれば大丈夫だと思いますので、お気になさらずに! 敵軍はアラバスト王国の軍でしょうか?」
リーシアお姉ちゃんは見張りの人に尋ねる。
「……いえ、多くの旗が掲げられているのですが……あれは、エラルド公国の旗だと思われます」
「……え!? なんで、エラルド公国がこの村に!?」
私はエラルド公国という国名を聞いた瞬間、昔の記憶がフラッシュバックする。
それは怖い大人たちに囲まれて多くの同胞や家族が酷い実験の末に捨てられ、私も同様に殺されかけた事……ありとあらゆることが一度に脳裏に蘇ってくる。
「……うぅっ!」
私は頭を抱えて、その場にしゃがみ込む。
「ラミリアさんっ!? 大丈夫ですか!」
すると、リーシアお姉ちゃんはしゃがみ込む私を優しく包み込んでくれた。
…………そうだ……私はもう一人じゃない、守るべき大切なモノが増えたんだ!
「……だいじょうブ。……ありがとう、リーシアお姉ちゃン!」
私は体に気合を入れて、以前アーノルドに言われた言葉――
『……俺がネルド村にいない間、リーシアやこの村を守ってくれないか?』
――私に託された言葉を思い出す。
「……っ!!」
歯を食いしばりながら私は立ち上がると、裏門の前から聞き覚えのある声が鳴り響く。
「我はエラルド王国の次期国王であるイスラ・エラルドである!!! このネルド村は、我らエラルド公国とまもなく到着するカンク帝国によって滅ぼされるだろう! 観念して門を開放し、我らに投降するのだ!!」
イスラは門越しでも村中に響き渡るような大声で叫ぶ。
「……そんなっ」
リーシアお姉ちゃんはそう小さく呟きながら後ずさりをする。
私はそんなリーシアお姉ちゃんを背にして震える足に鞭を打ちながら、裏門に向かって声を上げる。
「絶対に開けなイ!!! ネルド村は私が守るんダ!!!」
私の叫びにも似た声を聞いたイスラは反応する。
「……ほう、その声はラミリアだな。……ふふ、本来ならアーノルドの前で使おうと思っていたが……丁度いい。以前はお前が生きているとは思わずに用意していなかったが……今回はこれを使わせて貰うとしよう」
「……な、なニ!?」
私はイスラが何を言っているのか理解できなかった。
「……我に従え、ラミリアよ!」
イスラが声を上げた瞬間――
「……っ!?」
――私の全身を鎖で拘束されるような感覚が襲い、私の体は完全に制御を失った。
「リーシアお姉ちゃんは私が守ル!」
――ぷにゅんっ
傍にいたリーシアお姉ちゃんの柔らかい体に抱き着く。
「ふふ、頼もしいですね。ラミリアさん」
リーシアお姉ちゃんは優しくほほ笑みかけ、頭を優しく撫でてくれる。
とても気持ちよく、頬が緩んでしまう。
「ん~……♪」
リーシアお姉ちゃんは私と一緒に寝るようになってから沢山話をしてくれた。
それはリーシアお姉ちゃんの故郷の話だったり、アーノルドが子供の頃の話だったり……アーノルドの事が大好きな事だったり、思い出すと少しムっとした気持ちになってしまうぐらいの想いが伝わってくる程だった。
(……ん~!!)
何度か私の方がアーノルドの事が大好きな気持ちは負けないと対抗したりもするけど、いつも今向けられている笑顔を浮かべて頭を撫でられるので気持ちよさであやふやになる状態を繰り返している。
「でもラミリアさん。私もラミリアさんを守らせてください。一緒にネルド村を守りましょう!」
「ウン!」
私は笑顔を向けてくるリーシアお姉ちゃんに元気よく返事をかえした。
すると、ドワーフの鍛冶師のおじちゃんが話しかけてくる。
「はは、威勢がいいお嬢ちゃん達だな。……さ、アーノルドさんから念のため村人全員に武器を配るように言われているんだ。二人はこの短剣でいいだろう」
そう言うと、ドワーフのおじちゃんは鞘に入っている短剣を私とリーシアお姉ちゃんに手渡す。
「まぁ、どうせ使う事はないと思うけどな、アーノルドさんが戻ってくるまで持っていてくれ」
「わかりました。ありがとうございます」
リーシアお姉ちゃんは礼儀正しくお礼を言っていたので――
「ありがとうございまス! おじちゃン!」
――私もリーシアお姉ちゃんに習ってお礼を伝え、受け取った短剣をしまい込む。
「どうってことないさ。それに、ネルド村の正門と裏門には見張り台に人を待機させているからな。何かあってもすぐに分かるさ!」
私がお礼を伝えると、ドワーフのおじさんは正門と裏門を指差しながら説明してくれた。
「私がネルド村に来た時にはまだ作っている途中でしたが……とても立派な外壁になりましたね。門を開かない限りネルド村に入りづらいですから、とても安心です」
「ウン! とっても安心すル!」
「そうだろう、そうだろう。俺達の自信作だからな!」
ドワーフのおじちゃんは気さくな笑顔で照れながら答える。
こうして私たちはアーノルドがいないネルド村でしばらくの時間を過ごすのだった。
◇◇◇
アーノルドがネルド村を旅立って瞬く立った頃、それは唐突に起きた。
――カンカンカンカンッ!
突然、村中に鋭い音が鳴り響く。
「な、なに!?」
リーシアお姉ちゃんはそう言って薬屋の外へ駆けだし、私も後に続く。
「大変だ皆! 裏門前方から大量の軍がネルド村に接近中!!!」
先ほどの音を鳴らしたのは見張り台にいた人らしく、大声が村中に響き渡る。
「そ、そんな……っ! アラバスト軍はアーノルド達が向かったんじゃ……ん? でも、裏門ってアラバスト王国の方向と逆方向のはず……確かめなきゃ!」
リーシアお姉ちゃんはそう呟きながら、裏門の方へと駆け出していった。
「待っテ! リーシアお姉ちゃん!」
「ま、待つんじゃ二人とも!」
オイドの静止の声を振り切って、駆け出したリーシアお姉ちゃんにつられて私も裏門へと駆け出した。
裏門付近に到着すると、リーシアお姉ちゃんに向かって見張り台の人が声を掛けてくる。
「リーシアさん、敵軍の中から単騎で近づいて来る者がいます! ここは危ないですよ。下がっていてください!」
「いえ、この外壁があれば大丈夫だと思いますので、お気になさらずに! 敵軍はアラバスト王国の軍でしょうか?」
リーシアお姉ちゃんは見張りの人に尋ねる。
「……いえ、多くの旗が掲げられているのですが……あれは、エラルド公国の旗だと思われます」
「……え!? なんで、エラルド公国がこの村に!?」
私はエラルド公国という国名を聞いた瞬間、昔の記憶がフラッシュバックする。
それは怖い大人たちに囲まれて多くの同胞や家族が酷い実験の末に捨てられ、私も同様に殺されかけた事……ありとあらゆることが一度に脳裏に蘇ってくる。
「……うぅっ!」
私は頭を抱えて、その場にしゃがみ込む。
「ラミリアさんっ!? 大丈夫ですか!」
すると、リーシアお姉ちゃんはしゃがみ込む私を優しく包み込んでくれた。
…………そうだ……私はもう一人じゃない、守るべき大切なモノが増えたんだ!
「……だいじょうブ。……ありがとう、リーシアお姉ちゃン!」
私は体に気合を入れて、以前アーノルドに言われた言葉――
『……俺がネルド村にいない間、リーシアやこの村を守ってくれないか?』
――私に託された言葉を思い出す。
「……っ!!」
歯を食いしばりながら私は立ち上がると、裏門の前から聞き覚えのある声が鳴り響く。
「我はエラルド王国の次期国王であるイスラ・エラルドである!!! このネルド村は、我らエラルド公国とまもなく到着するカンク帝国によって滅ぼされるだろう! 観念して門を開放し、我らに投降するのだ!!」
イスラは門越しでも村中に響き渡るような大声で叫ぶ。
「……そんなっ」
リーシアお姉ちゃんはそう小さく呟きながら後ずさりをする。
私はそんなリーシアお姉ちゃんを背にして震える足に鞭を打ちながら、裏門に向かって声を上げる。
「絶対に開けなイ!!! ネルド村は私が守るんダ!!!」
私の叫びにも似た声を聞いたイスラは反応する。
「……ほう、その声はラミリアだな。……ふふ、本来ならアーノルドの前で使おうと思っていたが……丁度いい。以前はお前が生きているとは思わずに用意していなかったが……今回はこれを使わせて貰うとしよう」
「……な、なニ!?」
私はイスラが何を言っているのか理解できなかった。
「……我に従え、ラミリアよ!」
イスラが声を上げた瞬間――
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