宮廷追放された医師の薬屋ハーレムライフ~宮廷で女神の祝福を授かった医者だったが、医療ミスで田舎に追放されたので薬屋として生きていきます~

笹塚シノン

文字の大きさ
上 下
23 / 35

23 治療の女神エイル

しおりを挟む
俺はぽけーっとした表情で俺を見つめているラミリアに気が付く。

「……アーノルド?」
「あ、すまないラミリア。……えっと、どう説明すれば……今から俺に力を授けてくれている女神にお願いしてラミリアに魔法を教えて貰えるか確認してみるからもう少し、待ってくれるか?」
「……? ウン! わかっタ!」

ラミリアは思いっきり疑問を抱く表情を浮かべていたが待ってくれる様子だ。

(……という訳でエイル。ラミリアに魔法を教えたいんだが、どうすればいい?)
≪わぁ~とっても可愛らしい子ですね! ふっふっふ~それはとても簡単ですよ。アーノルドさん、ラミリアさんの頭に右手を置いてくれますか~?≫

俺はエイルの言う通りにラミリアの頭に右手を置く……ついでに撫でておこう。

「ん~……♪」
(……エイル、これでいいか?)
≪はい! それでは、これからラミリアさんに全魔法の使い方を伝授してきま~す≫
(エイル!? ちょ、ま――)

エイルは俺の静止を聞かずに、ラミリアに何かをし始める。

「――っ!? アーノルド、何か声が聞こえル!!」

ラミリアが俺に問いかけてくる。

(おい! 危ない事をしてるんじゃないだろうな?)
≪大丈夫ですよ~、アーノルドさんを介してラミリアさんの脳内にすべての魔法の使い方を刻み込ませて頂くだけですから~≫

同じような事を俺も子供の頃に一度されたが、特に痛みというモノは無かったはずだ。

「あ~……ん~~……とりあえずラミリア……そいつの言う通りにしておいてくれ」
「ウン! わかっタ!」

俺は説明するのも面倒になり、エイルに全て任せる事にした。



しばらくすると、ボーっとしていたラミリアが我に返り俺を見つめてくる。

「アーノルド!! 終わったみたイ!」
「お、そうか」
(……どうなったんだエイル?)
≪はい~。ラミリアさんにもアーノルドさんと同じように全魔法の使い方を刻み込んできました~≫
(……よかった。無事終わったみたいだな)
≪あ、でもでも~ラミリアさんは魔力の上限が少ないみたいなので、一日に仕える魔法の量が限られているみたいです~。なので、使い過ぎたら倒れちゃうのでそこは注意するようにしてくださいね~≫
(魔力の上限? 魔力って上限があるんだな)
≪もちろんですよ~。アーノルドさんは私がいるので大丈夫ですが、ラミリアさんは違いますからね~≫
(……なるほど、道理で無尽蔵に魔法を使えた訳だ)
≪後々~、念のためラミリアさんの精神を私と繋げておきました~。これで離れていてもラミリアさんの状態を察知できるようになりましたよ~≫

最後にエイルがよくわからない事を言い出していたので適当に受け流す。

(ん? あぁ、分かったよ。いろいろ助かった。エイル、しばらく休んでおいてくれ)
≪わっかりました~!≫

エイルの意識が裏に引っ込むのを感じた後、俺はラミリアに視線を戻す。

「よし、ラミリア。適当に何か使って見ろ。あと、魔法を放つ方向には注意しろよ」
「ウン! さっきアーノルドがしたやつをやってみル!」

ラミリアはそう言うと、歩いて来た道に手をかざし――

「エアーシュート!」

――先ほど俺が放った魔法と同様に風を収縮した球体を放った。
遥か遠くの岩肌に衝突し、大きなへっこみを作って風の球体は消滅した。

「アーノルド!!! 出来た出来タ!!」

ラミリアは嬉しいのか、その場で小刻みにジャンプを繰り返す。

「……ほんとに使えるようになったみたいだな」

半信半疑でエイルに任せていたが、実際に魔法が使えるラミリアをの当たりにすると、やる時はやる女神という事がわかった。
とても嬉しそうなラミリアを横目に、俺はラミリアに魔法を使う上での注意事項を伝える。

「いいか、ラミリア。良く聞け」
「なぁに? アーノルド?」
「今みたいに魔法を闇雲に使わない事だ。魔法は便利だが、使い方を間違えると他者を傷つけてしまうからな。……それに、魔法が使える事がバレたら悪いやつに悪用されるからな、使ってもいいのは信頼できる者の前か自分や大切な人が危険な時だけにする事。……いいな?」
「わかっタ!」

ラミリアは元気よく頷く。

「よし、これは俺とラミリアの秘密だからな。……さてっと、素材もある程度集まったし、ネルド村に帰るか」
「ウン! 帰ろウ!!」

俺は魔法が使えて上機嫌のラミリアの手を掴み、ネルド村へと共に帰るのだった。



◇◇◇



村に帰るとネルド村に興味津々のエイルが語り掛けてくる。

≪わぁ~! 何ですかここは! アラバスト王国とは全然違いますね~! アーノルドは今この村に住んでいるんですか~?≫

頭の中からエイルの甲高い声が鳴り響く。

(……あぁもう、うるせぇな。……そうだよ、お前が寝ている間にアラバスト王国を追放されて、いろいろあって今はこのネルドっていう村が俺の住む村だ)
≪へぇ~そうなんですね! いろいろワクワクしちゃいます!≫
(ワクワクするのは勝手だが、俺が他の人と話している間に邪魔するなよな?)
≪わかっていますよ~任せてください!≫

エイルとのやり取りを億劫に感じつつも、俺はラミリアと共にドワーフの鍛冶師がいる場所へと移動する。

「これで、武器の製造を頼めるか?」

俺は集めた素材が入っている大きなかごを机の上に置く。

「おぉ……すごいな、短期間でこれほどの素材を集めるとは、さすがアーノルドさんだ」
「いや、それほどでもないさ。……ラミリアも手伝ってくれたしな」

俺は傍にいるラミリアに視線を向けながら答える。

「私、頑張っタ!」

まんざらでもないラミリアを横目に、ドワーフの鍛冶師に視線を戻す。

「武器の製造はもう任せて大丈夫か? ある程度のバリエーションの武器があればいいんだけど」
「あぁ、後は任せてくれアーノルドさん! 出来たら薬屋へ報告に行かせてもらうよ」
「頼むよ。それじゃ」

俺はドワーフの鍛冶師と別れて、ラミリアと共に薬屋へと戻る事にした。



薬屋に戻ると、シャルロッテとリーシアが忙しく薬屋で来客の接客を行っていた。
服装は薬屋専用のヒラヒラしたメイド服のような服装をオイドが発案し、シャルロッテ達にはそれを着て接客をしてもらうようにしている……こればかりはオイドに良い仕事をしていると言わざる終えない。

≪あぁー! リーシアちゃんじゃないですか!! 大きくなってぇ……可愛くなりましたねぇ≫

エイルはリーシアを見た途端、興奮気味に語り掛けてくる。

(……あぁ、ここまでリーシアが成長できたのもエイルのお陰だったな。あれからすくすく育っているぞ)
≪うんうん! とても良い事ですね~。……それはそうと、綺麗なエルフの女性の方もいるようですが?≫
(ん? あぁ、シャルロッテの事か。こいつはアラバスト王国から追放された俺を受け入れてくれたエリナベル王国のお嬢様だな)
≪へぇ~! シャルロッテさんという方ですか~! アーノルドさんは私が寝ている間にこんな綺麗な方とお知り合いになっていたんですね~!≫
(……エイル、念のため言っておくが、こいつらと俺が話している間に話しかけてくるなよ?)
≪わかってますよ~! アラバスト王国にいる時からそれは何度も注意されていますから~≫

俺が一抹の不安を感じていると、エイルは続けて尋ねてくる。

≪それはそうとアーノルドさん、この店は何を売っているんですか~?≫
(あぁ、エイルの力を水に注いだら体の不調を改善する面白い効果があってな、それをポーションとして売っているんだよ)
≪なんと、その発想は私にはありませんでした~! アーノルドさんは面白い事を思いつきますね~!≫

ポーションについてエイルは驚きつつも、特に異論はないようだ。
俺はホッと胸を撫でおろしながら、シャルロッテ達に素材集めが終わった旨を伝える。

「ただいま、素材集め終わったぞ」
「お帰りなさい、アーノルド! 早かったですね」

笑顔で迎えてくれるシャルロッテ。
すると、俺の隣にいたラミリアはリーシアに駆け寄る。

「リーシアお姉ちゃん! ラミリア、頑張っタ!」
「ふふ、そうですか!」

リーシアは駆け寄って抱き着いてくるラミリアに笑みを浮かべ、ラミリアの顔の位置に合わせてしゃがみ込む。

「ラミリアさん、よくがんばりましたね!」

ニコニコ顔のリーシアはラミリアの頭を優しく撫でていた。

(……ラミリアとリーシアって一緒に寝ているからか、すげー仲良くなったよな)
「ありがとうリーシア、店番助かったよ」
「アーノルドもおかえり」
「オイドは奥にいるか?」
「そうよ、オイドなら奥で売り上げの管理をしているわ」
「ありがと、俺も手伝ってくるよ。引き続き店番を頼む」
「えぇ」

俺は店を二人にまかせて、店の奥へと進む。
オイドは多くの金貨に囲まれた状態で売り上げの整理で慌ただしく作業を行っていた。

≪アーノルドさん、この方は?≫
(……こいつはオイドっていうやつで、俺がネルド村に初めて来て時にお世話になったじじぃだ。ポーションを作るキッカケをくれたやつだな)
≪へぇ……貫禄かんろくのあるおじい様ですね。長生きしますように~≫
(……そうか?)

確かにオイドは出会った頃と比べたら俺のポーションで体の不調はなくなり、健康体にはなっているが……よくわからん。
俺はエイルとのやり取りを終えてオイドに報告を済ませる。

「精が出るなオイド、素材集めが終わったぞ」
「おぉアーノルドかの。早かったのぉ。これで武器は完成を待つだけかの?」
「そうだな。俺も作業手伝うよ」
「おぉ、助かる。お願いできるかの」

俺は素材集めの報告を終えて、薬屋の業務を手伝う事にした。



その日の業務と晩飯を終えて自室に戻った後、エイルが話しかけてくる。

≪アーノルドさん! ネルド村ではとても楽しそうな生活をしているんですねぇ! このネルド村で起きた事をいろいろ教えてくださいよ~≫
(ん? あぁ……そうだな。ラミリアをリーシアに取られて暇だし……話してやるか。お前が俺の中で眠りについてからいろいろあったんだよ――)

俺はアラバスト王国からネルド村に住み着くまでの経緯を簡単にエイルに話した。

(――って感じで、このネルド村っていう場所で村長をしているんだよ)
≪へぇー!! 面白いじゃないですか! なんでもっと早く起こしてくれないんですか~≫

心の奥底で”そんなの嫌だ!”と叫びつつ、甲高いエイルの声を聞き流す。

(……いや、お前が寝ている間も力が使える状態のままだったし、特に起こす理由がなかったからな)
≪そんな~……こんなことなら眠るんじゃなかったです~……≫
(もういいだろ? こうやって起こしてやったんだから文句をいうな)
≪……それもそうですね! で、さっき晩御飯の時に皆さんと話していた件なのですが、アラバスト王国と今敵対しているんですかぁ?≫
(……まぁな。エイルの力の影響で他国の反感を買ってしまったようでな、少し面倒くさい事になっているんだ)
≪それは困りましたね~≫

エイルは他人事のように返答してくる。

(だから、今日みたいに武器の素材を集めたり、俺達で出来る限りの対抗手段を準備しているんだよ)
≪なるほどですね~!≫
(明日以降もネルド村が襲われた時の為に対抗できる取り組みを進めていくつもりだ。その為にも今日はもう寝るからエイルもしばらく休んでおいてくれ)
≪わかりました~、それではアーノルドさん、お休みなさいです~≫

エイルの声を聞いた後、俺は明日に備えて横になる。
こうして糞やかましい女神は俺の意識の中に居座る事となった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...