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6 婚約破棄:シャルロッテ視点
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私の発言にお父様が驚いていると、少し遅れてコルチさんも病室に駆け戻ってきた。
「はぁはぁ……シャルロッテ様、急になんですか」
お父様はコルチさんが入ってきた事で我に返り、小さな笑みを浮かべる。
「……ふふ、わかった。元々シャルロッテに王位を継承するつもりでいたからな。私もこの有様だ……少し早いが任せてもいいだろうか?」
「わかりました。……ありがとうございます、お父様」
私はお父様にお礼を伝えた後、コルチさんに視線を向ける。
「コルチさん。少しの間、お父様をお願い致します」
「シャルロッテ様、一体なにを行うつもりですか?」
「……バッカスさんとの婚約を破棄させて頂くのです」
「なんですって!?」
「……宮廷の医療班で多くの命を救ってきたアーノルドさんを宮廷から追い出したキッカケを作ったバッカスさんには……この宮廷から去って頂きます」
「シャルロッテ様……わかりました。ギルバート様は私にお任せください」
「コルチさん、ありがとうございます」
私はそれから宮廷内にいる方達に手回しを行い、協力しながらバッカスさんが構築していた派閥に属する者達に直談判を行い目を覚まさせ始めた。
話を聞くとバッカスさんは宮廷の者達の弱みを巧みに掴み、思うがままに従えさせていた事がわかりました。
(……何て卑劣な方なのかしら)
更にずっと疑問に思っていたアーノルドが追放された問題の医療ミスも詳しく調べた結果、バッカスさんがでっち上げた真っ赤な嘘だという事も分かりました。
(何も悪くないアーノルドをこの宮廷から……私の傍から遠ざけるなんて……許せません!)
◇◇◇
それから数日をかけて準備を整えた私は、バッカスさんを王座の間に呼び出した。
王座の間に到着した私は、奥にある王座に繋がる赤い道を進み、道の左右には目を覚まさせた多くの家臣が列を成している。
(……お父様がいつも座っていた王座に私が座る日が来るなんて)
そんなことを思いながら私は王座に座る。
すると、バッカスさんが王座の間に姿を現す。
「お待たせ致しました、シャルロッテ。……だが、その席はギルバート様の席のはずですが?」
「バッカスさん、既にお父様から王位を私に継承して頂いておりますのでご心配ありません。……もうご存じだとお思いですが、お父様は床にふせております」
「聞き及んでおります。……心中お察しいたします」
「今回お呼びさせて頂いたのは他でもありません。バッカスさんにはこの宮廷から出て行って貰いたいのです」
少し間をあけて、バッカスさんは話し出す。
「……はて、私の聞き間違えかな? もう一度お願いできますかシャルロッテ?」
「何度でもお伝え致します。バッカスさんと私の婚約は破棄し、この宮廷から出て行ってもらいます。……もうこれは決定事項です」
俯くバッカスさんは次第に小刻みに震えだす。
バッカスさんはスッと顔を上げると――
「何故ですか!? この半年間、私はこの宮廷に尽くしてきました! それなのにこの仕打ち……あんまりではありませんか!!」
――と、勢いよくまくし立てる。
「……尽くしてきた? 貴方がいままでこの宮廷で行ってきた行いを振り返った上での発言なのでしょうか?」
「もちろんだシャルロッテ。あの忌々しい人間族も宮廷から排除することもでき、純粋なエルフ族しかいない宮廷にもできたのだ!」
「……種族なんて関係ありません。……バッカスさん、貴方の行いによって宮廷を陰から支えてくれていたアーノルドを失ったのです」
「何を言っているのです! あの忌々しい人間族は深刻な医療ミスを仕出かしたのですよ!」
「アーノルドは医療ミスなどしてはおりません。……貴方が用意した証言者で、すべてが虚言だらけの証言だという調べもついております」
「……そんなっ!」
バッカスさんは列を成している家臣の数人に視線を向けるが、いずれも視線を逸らす。
「ぐっ……シャルロッテ、いいのか? 私を宮廷から追い出すとなると帝国が黙ってはいないぞ!」
「……構いません。責任は全て、私が取ります――」
私は思いっきり息を吸い込む。
「――すぐにこの宮廷から出ていきなさい!!!」
王座の間に私の声は響き渡り、何度も反響する。
「シャルロッテ……覚えていろ……私にこのような醜態をさらさせた事、後悔させてやる!!」
バッカスはそう吐き捨てると、大きな足音を上げて王座の間から去っていく。
シーンと静まり返った王座の間で家臣の者が声を上げる。
「……シャルロッテ様、本当によろしかったのですか? これではカンク帝国との関係が悪化するのでは……?」
「構いません。私が行動しなければ、内部から侵略されていたのです。これでもう、この宮廷をバッカスさんの思い通りにされる事は無くなったでしょう。……影の方達、よろしいでしょうか?」
私が声を上げると、王座の傍に数名のアサシンが姿を現す。
「は、シャルロッテ様、お呼びですか?」
「バッカスさんがこの宮廷から出ていくまで監視をお願い致します。少しでもおかしな行動を行ったら対処はお任せ致します」
「畏まりました、シャルロッテ様」
影の者達はそう呟くと姿を瞬時に消した。
成すべきことをし終えた私は王座から立ち上がる。
「早速で申し訳ありませんが、しばらく留守をお願い致します」
「……シャルロッテ様、どちらに行かれるのですか?」
「はい。……アーノルドがいるネルド村です」
私はお父様を治して頂く為に、アーノルドがいるネルド村に向かうのだった。
「はぁはぁ……シャルロッテ様、急になんですか」
お父様はコルチさんが入ってきた事で我に返り、小さな笑みを浮かべる。
「……ふふ、わかった。元々シャルロッテに王位を継承するつもりでいたからな。私もこの有様だ……少し早いが任せてもいいだろうか?」
「わかりました。……ありがとうございます、お父様」
私はお父様にお礼を伝えた後、コルチさんに視線を向ける。
「コルチさん。少しの間、お父様をお願い致します」
「シャルロッテ様、一体なにを行うつもりですか?」
「……バッカスさんとの婚約を破棄させて頂くのです」
「なんですって!?」
「……宮廷の医療班で多くの命を救ってきたアーノルドさんを宮廷から追い出したキッカケを作ったバッカスさんには……この宮廷から去って頂きます」
「シャルロッテ様……わかりました。ギルバート様は私にお任せください」
「コルチさん、ありがとうございます」
私はそれから宮廷内にいる方達に手回しを行い、協力しながらバッカスさんが構築していた派閥に属する者達に直談判を行い目を覚まさせ始めた。
話を聞くとバッカスさんは宮廷の者達の弱みを巧みに掴み、思うがままに従えさせていた事がわかりました。
(……何て卑劣な方なのかしら)
更にずっと疑問に思っていたアーノルドが追放された問題の医療ミスも詳しく調べた結果、バッカスさんがでっち上げた真っ赤な嘘だという事も分かりました。
(何も悪くないアーノルドをこの宮廷から……私の傍から遠ざけるなんて……許せません!)
◇◇◇
それから数日をかけて準備を整えた私は、バッカスさんを王座の間に呼び出した。
王座の間に到着した私は、奥にある王座に繋がる赤い道を進み、道の左右には目を覚まさせた多くの家臣が列を成している。
(……お父様がいつも座っていた王座に私が座る日が来るなんて)
そんなことを思いながら私は王座に座る。
すると、バッカスさんが王座の間に姿を現す。
「お待たせ致しました、シャルロッテ。……だが、その席はギルバート様の席のはずですが?」
「バッカスさん、既にお父様から王位を私に継承して頂いておりますのでご心配ありません。……もうご存じだとお思いですが、お父様は床にふせております」
「聞き及んでおります。……心中お察しいたします」
「今回お呼びさせて頂いたのは他でもありません。バッカスさんにはこの宮廷から出て行って貰いたいのです」
少し間をあけて、バッカスさんは話し出す。
「……はて、私の聞き間違えかな? もう一度お願いできますかシャルロッテ?」
「何度でもお伝え致します。バッカスさんと私の婚約は破棄し、この宮廷から出て行ってもらいます。……もうこれは決定事項です」
俯くバッカスさんは次第に小刻みに震えだす。
バッカスさんはスッと顔を上げると――
「何故ですか!? この半年間、私はこの宮廷に尽くしてきました! それなのにこの仕打ち……あんまりではありませんか!!」
――と、勢いよくまくし立てる。
「……尽くしてきた? 貴方がいままでこの宮廷で行ってきた行いを振り返った上での発言なのでしょうか?」
「もちろんだシャルロッテ。あの忌々しい人間族も宮廷から排除することもでき、純粋なエルフ族しかいない宮廷にもできたのだ!」
「……種族なんて関係ありません。……バッカスさん、貴方の行いによって宮廷を陰から支えてくれていたアーノルドを失ったのです」
「何を言っているのです! あの忌々しい人間族は深刻な医療ミスを仕出かしたのですよ!」
「アーノルドは医療ミスなどしてはおりません。……貴方が用意した証言者で、すべてが虚言だらけの証言だという調べもついております」
「……そんなっ!」
バッカスさんは列を成している家臣の数人に視線を向けるが、いずれも視線を逸らす。
「ぐっ……シャルロッテ、いいのか? 私を宮廷から追い出すとなると帝国が黙ってはいないぞ!」
「……構いません。責任は全て、私が取ります――」
私は思いっきり息を吸い込む。
「――すぐにこの宮廷から出ていきなさい!!!」
王座の間に私の声は響き渡り、何度も反響する。
「シャルロッテ……覚えていろ……私にこのような醜態をさらさせた事、後悔させてやる!!」
バッカスはそう吐き捨てると、大きな足音を上げて王座の間から去っていく。
シーンと静まり返った王座の間で家臣の者が声を上げる。
「……シャルロッテ様、本当によろしかったのですか? これではカンク帝国との関係が悪化するのでは……?」
「構いません。私が行動しなければ、内部から侵略されていたのです。これでもう、この宮廷をバッカスさんの思い通りにされる事は無くなったでしょう。……影の方達、よろしいでしょうか?」
私が声を上げると、王座の傍に数名のアサシンが姿を現す。
「は、シャルロッテ様、お呼びですか?」
「バッカスさんがこの宮廷から出ていくまで監視をお願い致します。少しでもおかしな行動を行ったら対処はお任せ致します」
「畏まりました、シャルロッテ様」
影の者達はそう呟くと姿を瞬時に消した。
成すべきことをし終えた私は王座から立ち上がる。
「早速で申し訳ありませんが、しばらく留守をお願い致します」
「……シャルロッテ様、どちらに行かれるのですか?」
「はい。……アーノルドがいるネルド村です」
私はお父様を治して頂く為に、アーノルドがいるネルド村に向かうのだった。
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