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第四章 蕩けてそして融かされて
風の唱と双子ちゃん
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風の唱と双子ちゃん より抜粋
「もしかしてバイクのタンデムは初めてとか?」
「そうかも……うん。タンデム自体初めてよ。乗せるのも、乗せられるのもね」
「飛ばさないけど乗ったらちゃんと掴まっててよ。」
「うん。掴まってる。だってちょっとだけ不安だもの」
あたしはタンデムシートに跨って遠慮がちに璃央さんの腰の辺りに掴まる。
すると璃央さんがあたしの手に優しく手を添えると、両手をお腹の前まで誘導して掴まらせる。
やだっ……あたしが後ろから抱き着いてるみたいじゃない。
この璃央さんって優しいんだか。大胆なんだか。
鈍感なんだか……
もう少しあたしの想いも察してよっ!
女の子なのよ。あたしは。
まだ知り合って間もないのよ。はしたないって想われたら嫌じゃないっ。
でも広い背中が心地いいのよね。
この微妙な乙女心は絶対に理解してくれないでしょうけどねっ!
だからちょっと悔しいぃ。
ヘルメット越しに頭突きして抗議してやろうかしらっ!
もう。どうなっても知らないんだから!
カコンッってシフトする音がした。
そのままクラッチミートしてバイクは動き出す。
疾しるって感じのスピードじゃなくゆっくりと。
敷地の出口で一時停止して左右の確認をすると今度は一転して疾しり出した。
ほんの少しだけど。ちょっとの間なんだけど。
それだけで感じてしまう絶対的な安心感。
あたしが運転してる時より全然スムーズに疾ってる気がするわ。
雄大な海原を泳ぐイルカのように。
大空に舞い上がる渡り鳥のように。
風と戯れるようにバイクを疾しらせる。
それはまるで風が彩ずき唄を奏でてくれてるみたい。
そのハーモニーの指揮棒を握るのは璃央さんね。
不思議な人だわ。
少しシチュエーションが変わると違う一面を覗かせる。
かと云って掴み処が無いのかと云えばそうじゃ無い。
理由なんて無いけど何となくあたしには解かってしまうの。
「ねぇ。風が気持ち良いわっ」
「ええ? 何だって?」
「もしかしてバイクのタンデムは初めてとか?」
「そうかも……うん。タンデム自体初めてよ。乗せるのも、乗せられるのもね」
「飛ばさないけど乗ったらちゃんと掴まっててよ。」
「うん。掴まってる。だってちょっとだけ不安だもの」
あたしはタンデムシートに跨って遠慮がちに璃央さんの腰の辺りに掴まる。
すると璃央さんがあたしの手に優しく手を添えると、両手をお腹の前まで誘導して掴まらせる。
やだっ……あたしが後ろから抱き着いてるみたいじゃない。
この璃央さんって優しいんだか。大胆なんだか。
鈍感なんだか……
もう少しあたしの想いも察してよっ!
女の子なのよ。あたしは。
まだ知り合って間もないのよ。はしたないって想われたら嫌じゃないっ。
でも広い背中が心地いいのよね。
この微妙な乙女心は絶対に理解してくれないでしょうけどねっ!
だからちょっと悔しいぃ。
ヘルメット越しに頭突きして抗議してやろうかしらっ!
もう。どうなっても知らないんだから!
カコンッってシフトする音がした。
そのままクラッチミートしてバイクは動き出す。
疾しるって感じのスピードじゃなくゆっくりと。
敷地の出口で一時停止して左右の確認をすると今度は一転して疾しり出した。
ほんの少しだけど。ちょっとの間なんだけど。
それだけで感じてしまう絶対的な安心感。
あたしが運転してる時より全然スムーズに疾ってる気がするわ。
雄大な海原を泳ぐイルカのように。
大空に舞い上がる渡り鳥のように。
風と戯れるようにバイクを疾しらせる。
それはまるで風が彩ずき唄を奏でてくれてるみたい。
そのハーモニーの指揮棒を握るのは璃央さんね。
不思議な人だわ。
少しシチュエーションが変わると違う一面を覗かせる。
かと云って掴み処が無いのかと云えばそうじゃ無い。
理由なんて無いけど何となくあたしには解かってしまうの。
「ねぇ。風が気持ち良いわっ」
「ええ? 何だって?」
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