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第三章 心の奥底で疼く何か

欠けたピースの嵌まる場所 「璃央の困惑」「褥の想う路」「彩華の追憶」

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欠けたピースの嵌まる場所 彩華の追憶より抜粋




――――璃央君の幼少期はネグレスト同様な生活環境で育ったと聞かされた。
 放任主義って云えば格好だけは良く聴こえる無責任な家族から、精神的な虐待行為を受けてる。
 
 その事をまるで他人事みたいに抑揚も無く淡々と話す璃央君の言葉に、私は耳を疑ってしまった程のお話しの数々。
 その中でも衝撃的だったのは、躾と称して真冬の夜に三歳児を裸足で家から放り出す父親なんて狂気の沙汰だわ。
 それを庇いもしないで見て見ぬ振りする母親も同罪よ。
 
 もうそれは躾と云うのもおこがましい全くの別物で、私は我を忘れて憤ってしまい犯罪に等しい行為だって声を荒げて取り乱す始末。
 一緒に聴いていたお義母さんに「落ち着きなさい」と叱られた程に。
 そんなのは虐待以外なんでもないのだから。

 その時は幸いパトロール中の警察官に保護されて大事には至らなかったらしいけど、一歩間違がってれば命の保証すらないのよ。
 夜に裸足で歩く三歳の幼児を見掛けたら直ぐにでも異変に気付くでしょうけど、もしタイミングがズレて誰の眼にも留まらなかったらと想うとゾッとするわ。
 
 璃央君の「保護して貰えたから何も無かった」と簡単に締め括――――
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