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第二章 羨望はやがて憧れと
第七話 華は咲き 1/3
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嬉しいぃ!
あたしの盛付け方を褒められちゃったわ!
お料理上手の師匠と彩華さんのお二人から絶賛されたのよ。
これって自慢して良いレベルよね?
いつでも直ぐに飾れるようにってお台所に松葉の枝を置いてるなんて、盛付けを重視して気を遣ってる証拠でも在るもの。
あたしは盛付けを任されたけど熱々のお料理は冷めない内にお出ししたいから、やっぱり三人でやる事になったわ。
天麩羅には左上に折った天紙を敷いて、これも高さが出るようにかき揚げをタラの芽に寄り掛からせるようにして盛付け、大根おろしの上にちょこんっておろし生姜を配らって、岩塩とお抹茶塩をそっと添えたら完成ね。
串焼きの下には笹切りを敷いて、練り味噌とレモンを添えて松葉を飾れば……
うん。美味しそうよ。
この笹切りってバランとも呼ばれてるけど本当は違うのよね。
葉蘭を飾切りしたものも同じ用途だから口伝されてく内に混同して行ったのかしら?
そんな経緯も在って、現代ではビニールみたいなプラスチック製の薄いシートを飾り切りした物を「バラン」と呼んで区別してるって聞いた事が在るわ。
そうそう! 盛り付けと云えば器も重要よね。
焼き茄子の煮浸しに使った少し深めのお皿が素晴らしいの。
翡翠色の鮮やかで涼しげでも在り、どこか温かみを感じる素敵なお皿。
焼いたお茄子は皮を剥いて、その淡い黄色とのコントラストが華やかな彩りのお上品なお料理に仕立て上げられたの。
冷製のお料理だけど焼いたお茄子だよって主張してるみたいだわ。
お出汁には生姜で風味を付けて涼しげなお味と共に、身体も温っかくなってシンクロする筈。
敢えてシンプルに飾らないから引き立つ「彩りとお味のハーモニー」をお愉しみ下さい。なんてねっ。ふふ。
お料理を配膳するのは居間とは別のお部屋。
八畳敷きのお部屋を二間抜いて在るお部屋は、まるで旅館の宴会場みたいになってて、そこの長テーブルを置いて配膳する。
出来上がって次々と配膳したお料理が並ぶと、凄いご馳走なんだって改めて感じるの。
綺麗な彩どりの器やお料理の色彩が併わさって豪華な御膳だわ。
お食事中だと失礼になるから皆さんが席に着く前にスマホで撮っておかなくちゃ。
素晴らしい想い出と共に記念になると思うわ。
お酒なども配膳したら、彩華さんが皆さんを呼びに行ってくれて御膳の席に着く。
皆さんの驚きと期待に満ちた表情を伺っていると、凄く達成感みたいなものが湧いて来るわね。
「あんた。ここは一つお願い致します」
「そうだね。褥。改めまして。月詠家21代当主、月詠 慎之介です。この様な祝宴の席、誠に喜ばしいと思います。堅苦しいのはここまで。弥生さんは私の妻、褥と縁が結ばれこの様な席が在るのです。それは私に取っても喜ばしい事なんだよ。古いばっかりの家で何のお持て成しも出来ないけど、自分の家だと思って寛いで下さい。私からの挨拶は手短で申し訳ないがこれで。透真、君からも」
「弥生さん。親父の云う通り、ご縁が在ってこんなにご馳走が並ぶ席が設けられた。何の気兼ねなく過ごして下さい。親父以上に長くご挨拶する訳にも行かないので私からこれで。親父。音頭をお願いします」
「それでは。折角のご馳走も冷めてしまっては半減してしまうからね。今夜は無礼講でと云う事で早速上がりましょう。乾杯」
「「「乾杯!」」」
「今日は心尽くしの御膳だから冷めない内に上がっておくれ」
「そうそう。お義母さんの云う通りよぉ。盛付けは弥生さんのセンスだから綺麗でしょ? お料理も上手だから味の方も期待しちゃって。ふふふ」
「あたしも頑張ってお手伝いさせて戴きました。喜んで貰えれば嬉しいです」
まだ小さい紫音ちゃんと綾音ちゃんにも、盛付けは少なめの量だけどきちんとお膳は整えて在るのよ。
串焼きの串は抜いて松葉は飾って無いけどね。
皆さんと違うのは、炊き立ての白いご飯と鶏のお出汁がベースの汁物を一緒に配膳したくらいね。
それはお酒を飲める歳では無いからお料理は肴ってわけに行かないでしょ?
だから豪華な晩ご飯って事なの。
皆さんビールや日本酒を飲りながら、お話しして賑やかな雰囲気だわ。
お料理も美味しそうに食べてくれてるのが凄く嬉しいし。
何より笑顔が視れて和んでるあたしが居るの。
頑張った甲斐の在る素敵な報酬よね。
だってまた同じ事をしても愉しくお料理を出来るって思うもの。
お昼ご飯の時もそうだったけど、たくさんの人達と食卓を囲むのはそれだけで美味しいわよね。
幸せな気分になれるし、人の和ってやっぱり良いものだわ。
いまこの瞬間を切り取って無限ループしてくれたら、ずっと浸って居られるのかしらっ。
そんなおバカな妄想してしまいたくなるくらい愉しい時間だわ。
あたしの盛付け方を褒められちゃったわ!
お料理上手の師匠と彩華さんのお二人から絶賛されたのよ。
これって自慢して良いレベルよね?
いつでも直ぐに飾れるようにってお台所に松葉の枝を置いてるなんて、盛付けを重視して気を遣ってる証拠でも在るもの。
あたしは盛付けを任されたけど熱々のお料理は冷めない内にお出ししたいから、やっぱり三人でやる事になったわ。
天麩羅には左上に折った天紙を敷いて、これも高さが出るようにかき揚げをタラの芽に寄り掛からせるようにして盛付け、大根おろしの上にちょこんっておろし生姜を配らって、岩塩とお抹茶塩をそっと添えたら完成ね。
串焼きの下には笹切りを敷いて、練り味噌とレモンを添えて松葉を飾れば……
うん。美味しそうよ。
この笹切りってバランとも呼ばれてるけど本当は違うのよね。
葉蘭を飾切りしたものも同じ用途だから口伝されてく内に混同して行ったのかしら?
そんな経緯も在って、現代ではビニールみたいなプラスチック製の薄いシートを飾り切りした物を「バラン」と呼んで区別してるって聞いた事が在るわ。
そうそう! 盛り付けと云えば器も重要よね。
焼き茄子の煮浸しに使った少し深めのお皿が素晴らしいの。
翡翠色の鮮やかで涼しげでも在り、どこか温かみを感じる素敵なお皿。
焼いたお茄子は皮を剥いて、その淡い黄色とのコントラストが華やかな彩りのお上品なお料理に仕立て上げられたの。
冷製のお料理だけど焼いたお茄子だよって主張してるみたいだわ。
お出汁には生姜で風味を付けて涼しげなお味と共に、身体も温っかくなってシンクロする筈。
敢えてシンプルに飾らないから引き立つ「彩りとお味のハーモニー」をお愉しみ下さい。なんてねっ。ふふ。
お料理を配膳するのは居間とは別のお部屋。
八畳敷きのお部屋を二間抜いて在るお部屋は、まるで旅館の宴会場みたいになってて、そこの長テーブルを置いて配膳する。
出来上がって次々と配膳したお料理が並ぶと、凄いご馳走なんだって改めて感じるの。
綺麗な彩どりの器やお料理の色彩が併わさって豪華な御膳だわ。
お食事中だと失礼になるから皆さんが席に着く前にスマホで撮っておかなくちゃ。
素晴らしい想い出と共に記念になると思うわ。
お酒なども配膳したら、彩華さんが皆さんを呼びに行ってくれて御膳の席に着く。
皆さんの驚きと期待に満ちた表情を伺っていると、凄く達成感みたいなものが湧いて来るわね。
「あんた。ここは一つお願い致します」
「そうだね。褥。改めまして。月詠家21代当主、月詠 慎之介です。この様な祝宴の席、誠に喜ばしいと思います。堅苦しいのはここまで。弥生さんは私の妻、褥と縁が結ばれこの様な席が在るのです。それは私に取っても喜ばしい事なんだよ。古いばっかりの家で何のお持て成しも出来ないけど、自分の家だと思って寛いで下さい。私からの挨拶は手短で申し訳ないがこれで。透真、君からも」
「弥生さん。親父の云う通り、ご縁が在ってこんなにご馳走が並ぶ席が設けられた。何の気兼ねなく過ごして下さい。親父以上に長くご挨拶する訳にも行かないので私からこれで。親父。音頭をお願いします」
「それでは。折角のご馳走も冷めてしまっては半減してしまうからね。今夜は無礼講でと云う事で早速上がりましょう。乾杯」
「「「乾杯!」」」
「今日は心尽くしの御膳だから冷めない内に上がっておくれ」
「そうそう。お義母さんの云う通りよぉ。盛付けは弥生さんのセンスだから綺麗でしょ? お料理も上手だから味の方も期待しちゃって。ふふふ」
「あたしも頑張ってお手伝いさせて戴きました。喜んで貰えれば嬉しいです」
まだ小さい紫音ちゃんと綾音ちゃんにも、盛付けは少なめの量だけどきちんとお膳は整えて在るのよ。
串焼きの串は抜いて松葉は飾って無いけどね。
皆さんと違うのは、炊き立ての白いご飯と鶏のお出汁がベースの汁物を一緒に配膳したくらいね。
それはお酒を飲める歳では無いからお料理は肴ってわけに行かないでしょ?
だから豪華な晩ご飯って事なの。
皆さんビールや日本酒を飲りながら、お話しして賑やかな雰囲気だわ。
お料理も美味しそうに食べてくれてるのが凄く嬉しいし。
何より笑顔が視れて和んでるあたしが居るの。
頑張った甲斐の在る素敵な報酬よね。
だってまた同じ事をしても愉しくお料理を出来るって思うもの。
お昼ご飯の時もそうだったけど、たくさんの人達と食卓を囲むのはそれだけで美味しいわよね。
幸せな気分になれるし、人の和ってやっぱり良いものだわ。
いまこの瞬間を切り取って無限ループしてくれたら、ずっと浸って居られるのかしらっ。
そんなおバカな妄想してしまいたくなるくらい愉しい時間だわ。
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