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1136.【ハル視点】分かち合いたい
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アキトとキースがどれも美味しそうだとはしゃぐ声に癒されながら、たくさんの料理の中から食べたいものを選び、自分で皿の上に盛り付けていく。
普段はあまりしない作業だが、これはこれでなかなか楽しいものだな。
肉料理が一番好きだからできる事なら肉ばかり取りたいぐらいなんだが、アキトに普段から野菜も食べてと言われているからな。意識して野菜の料理も取っていく。もちろん一番分量が多いのは肉料理なんだが。
ちなみにアキトが好きなハーレの料理と、キースの好きなヌキプルのスープは忘れずにしっかりと取ってある。
大事な人が好きなものだと思うだけで、さらに美味しく感じるんだよな。不思議なものだ。
それぞれが料理を取り終えた所でちらりと視線を向けてみれば、アキトはそこらの料理人よりも美味しそうに盛り付けていた。
これはすごいなと感心しながら見つめていると、どうやら俺と同じくアキトのお皿を見ていたらしいキースがアキトに声をかけた。
「アキトくん」
「ん?なぁに?」
優しい声で答えたアキトに、キースはニパッと笑みを浮かべた。
「アキトくんの盛り付け上手だね!」
「ありがとう。キースくんのも美味しそうだね」
アキトの言葉にそっと視線を向けてみれば、たしかにキースの盛り付けもすごく美味そうだった。野菜料理と魚料理、肉料理をバランスよく盛り付けてある。
年齢的にも、もっと好きなものだけ取っても許されるんじゃないかとも思ってしまうが、キースは元々すこしずつ色んな料理を食べるのが好きだからな。別に特に無理をしているわけじゃないだろう。
アキトに褒められて嬉しそうに笑っているしと、俺は何も言わずに微笑んだ。
さてジルさんはと、好奇心でこっそりと視線を向けてみたが、ジルさんの皿の上には魚料理をメインに品よくまとまった盛り付けがされていた。野菜料理も種類豊富に取っているんだな。
なんだか自分の肉料理だけが多めに乗った皿が、少しだけ恥ずかしく感じる。
いや、だがラスの作った肉料理を食べないなんて選択肢は俺の中には無いからな。これはもう仕方ないだろう。開き直って楽しむ事にしよう。
そこからは自由に食事を楽しむ事になった。それぞれが目当ての料理を口に運んでは、あれこれと感想を言い合う。
うちの家族は、せっかくの美味しいものなら、どうせならみんなで分かちあいたいと思う性質だ。まあどうやらアキトもそうみたいなんだが。
これが美味しかった、あれが美味しかったと言い合っては、良かったら食べてみてよと自然にみんなが口にする。そうして皆が素直にお勧めに従い、食べた後で感想を言い合うから余計に賑やかになるんだよな。
俺はこの雰囲気が好きなんだが、アキトも楽しそうにしてくれている事にホッとした。
おおきめに切り分けたステーキ肉をそっと口の前に差し出してみたら、アキトは迷わずパクリと食べてくれた。
「どう、美味しい?」
「ん、美味しいね」
ニコニコと笑いながら同意してくれた後で、ジルさんとキースがいる事に気づいて真っ赤になった姿もとても可愛かった。
アキトはしばらくの間は照れていたけれど、ジルさんもキースも慣れた様子で笑っただけだったよ。伴侶や伴侶候補に食べ物を差し出すのなんて、うちの家では当たり前のよくある光景だからな。
「あ、このサラダ…すごく美味しい」
思わずといった様子でぽつりとそう呟いたアキトに、みんなの視線がそっと皿の上に集まった。
特に特徴がすごくあるわけでもない普通のサラダに見えたから、取り分けてすらいないものだ。どうやら俺だけではなく、ジルさんとキースも取っていないぐらい本当にどこにでもあるサラダに見える。
だがアキトは、食材や料理は落ち着いた色合いのものが好きなんだったな。そう想えば、納得だ。
「これ?」
「うん、それ」
「じゃあ僕も食べてみよー」
最初に動いたのはキースだった。さっと手を伸ばしてアキトが教えたサラダをお皿に増やしている。
「では、私もそのサラダに挑戦します」
「俺も、もらおうかな」
サラダを取り分けるなり、ジルさんも俺も同時に口に放り込んだ。
ああ、なるほど。このサラダの上に乗っているのは、細かく刻んだ色々な種類の木の実なのか。たしかにザクザクした食感が楽しめて美味しいな。
じっくりと味わっていると、キースが声をあげた。
「っ!これ美味しいね!この木の実は…えっと、アウユだけ分かった!」
たしかにアウユの木の実は入っているな。イシューの木の実も多分入っているだろう。そんな風に味の分析をしていると、不意にジルさんが口を開いた。
「ああ、これは確かに美味しいですね。…ウィルもこれならサラダを食べてくれそうですね」
え、と驚いた様子でじっと見つめているアキトに、ジルさんは苦笑しながら答えた。
「ウィルは火が通してあれば問題なく食べれるんですが、生野菜が得意じゃないんですよ」
「そうなんですか?あれ…でも前にみんなで食事した時は…食べてなかったですか?」
「ああ、あれは必死で格好つけてただけですよ」
ウィル兄がいない所で勝手にバラシても良いんだろうか。主に後で拗ねて大変じゃないか?そう思いながら俺は口を開いた。
「…ジルさん、言って良かったのか?」
「ええ、あれはただの我儘ですから」
体質的に食べられないならともかく、ただ生野菜は苦手というだけですしとジルさんはさらりと続けた。まあたしかにそうなんだが。
普段はあまりしない作業だが、これはこれでなかなか楽しいものだな。
肉料理が一番好きだからできる事なら肉ばかり取りたいぐらいなんだが、アキトに普段から野菜も食べてと言われているからな。意識して野菜の料理も取っていく。もちろん一番分量が多いのは肉料理なんだが。
ちなみにアキトが好きなハーレの料理と、キースの好きなヌキプルのスープは忘れずにしっかりと取ってある。
大事な人が好きなものだと思うだけで、さらに美味しく感じるんだよな。不思議なものだ。
それぞれが料理を取り終えた所でちらりと視線を向けてみれば、アキトはそこらの料理人よりも美味しそうに盛り付けていた。
これはすごいなと感心しながら見つめていると、どうやら俺と同じくアキトのお皿を見ていたらしいキースがアキトに声をかけた。
「アキトくん」
「ん?なぁに?」
優しい声で答えたアキトに、キースはニパッと笑みを浮かべた。
「アキトくんの盛り付け上手だね!」
「ありがとう。キースくんのも美味しそうだね」
アキトの言葉にそっと視線を向けてみれば、たしかにキースの盛り付けもすごく美味そうだった。野菜料理と魚料理、肉料理をバランスよく盛り付けてある。
年齢的にも、もっと好きなものだけ取っても許されるんじゃないかとも思ってしまうが、キースは元々すこしずつ色んな料理を食べるのが好きだからな。別に特に無理をしているわけじゃないだろう。
アキトに褒められて嬉しそうに笑っているしと、俺は何も言わずに微笑んだ。
さてジルさんはと、好奇心でこっそりと視線を向けてみたが、ジルさんの皿の上には魚料理をメインに品よくまとまった盛り付けがされていた。野菜料理も種類豊富に取っているんだな。
なんだか自分の肉料理だけが多めに乗った皿が、少しだけ恥ずかしく感じる。
いや、だがラスの作った肉料理を食べないなんて選択肢は俺の中には無いからな。これはもう仕方ないだろう。開き直って楽しむ事にしよう。
そこからは自由に食事を楽しむ事になった。それぞれが目当ての料理を口に運んでは、あれこれと感想を言い合う。
うちの家族は、せっかくの美味しいものなら、どうせならみんなで分かちあいたいと思う性質だ。まあどうやらアキトもそうみたいなんだが。
これが美味しかった、あれが美味しかったと言い合っては、良かったら食べてみてよと自然にみんなが口にする。そうして皆が素直にお勧めに従い、食べた後で感想を言い合うから余計に賑やかになるんだよな。
俺はこの雰囲気が好きなんだが、アキトも楽しそうにしてくれている事にホッとした。
おおきめに切り分けたステーキ肉をそっと口の前に差し出してみたら、アキトは迷わずパクリと食べてくれた。
「どう、美味しい?」
「ん、美味しいね」
ニコニコと笑いながら同意してくれた後で、ジルさんとキースがいる事に気づいて真っ赤になった姿もとても可愛かった。
アキトはしばらくの間は照れていたけれど、ジルさんもキースも慣れた様子で笑っただけだったよ。伴侶や伴侶候補に食べ物を差し出すのなんて、うちの家では当たり前のよくある光景だからな。
「あ、このサラダ…すごく美味しい」
思わずといった様子でぽつりとそう呟いたアキトに、みんなの視線がそっと皿の上に集まった。
特に特徴がすごくあるわけでもない普通のサラダに見えたから、取り分けてすらいないものだ。どうやら俺だけではなく、ジルさんとキースも取っていないぐらい本当にどこにでもあるサラダに見える。
だがアキトは、食材や料理は落ち着いた色合いのものが好きなんだったな。そう想えば、納得だ。
「これ?」
「うん、それ」
「じゃあ僕も食べてみよー」
最初に動いたのはキースだった。さっと手を伸ばしてアキトが教えたサラダをお皿に増やしている。
「では、私もそのサラダに挑戦します」
「俺も、もらおうかな」
サラダを取り分けるなり、ジルさんも俺も同時に口に放り込んだ。
ああ、なるほど。このサラダの上に乗っているのは、細かく刻んだ色々な種類の木の実なのか。たしかにザクザクした食感が楽しめて美味しいな。
じっくりと味わっていると、キースが声をあげた。
「っ!これ美味しいね!この木の実は…えっと、アウユだけ分かった!」
たしかにアウユの木の実は入っているな。イシューの木の実も多分入っているだろう。そんな風に味の分析をしていると、不意にジルさんが口を開いた。
「ああ、これは確かに美味しいですね。…ウィルもこれならサラダを食べてくれそうですね」
え、と驚いた様子でじっと見つめているアキトに、ジルさんは苦笑しながら答えた。
「ウィルは火が通してあれば問題なく食べれるんですが、生野菜が得意じゃないんですよ」
「そうなんですか?あれ…でも前にみんなで食事した時は…食べてなかったですか?」
「ああ、あれは必死で格好つけてただけですよ」
ウィル兄がいない所で勝手にバラシても良いんだろうか。主に後で拗ねて大変じゃないか?そう思いながら俺は口を開いた。
「…ジルさん、言って良かったのか?」
「ええ、あれはただの我儘ですから」
体質的に食べられないならともかく、ただ生野菜は苦手というだけですしとジルさんはさらりと続けた。まあたしかにそうなんだが。
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