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1131.衝撃の一言
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俺達を先導するようにして歩きだしたギュームさんは、ニコニコと嬉しそうに笑いながらシュリくんのためにどんな事をしたのかをくわしく説明してくれた。
とはいっても食事は俺の魔力で終わってしまっていたし、毛を梳かすのも夕食会の時に終わってしまっていたからね。ギュームさんからすると、もっとお世話したかったのに、できる事は少なかったらしい。
でも丁寧にもう一度布で全身を拭いた後、寝床をいくつも整えてどれが良いかを試してもらったりしてたんだって。
ちなみにシュリくんはわらの上に布を広げた寝床がかなり気に入ったらしくて、幸せそうに眠ってくれたんですよとすこし自慢げに報告してくれた。
俺達を助けに来た時にハルが乗ってたあの馬さんは、その間もずっと隣にいたんだって。どうやっても離れようとしないから、ずっと一緒だったらしい。何ならシュリくんを守るようにして、一緒に同じ寝床で眠ってたそうだ。
「え、そうなんですか?」
「ええ、あの子はタユというウマなんですが、子煩悩なウマでしたから…きっと母性本能が疼いたんでしょうね」
「ああ、なるほど。それでずっと一緒にいたんですね」
そっか。あれはお母さん目線だったのか。確かにずっとシュリくんを可愛いと思ってる対応だったな。
「あれ、奥の部屋なのか?」
すこし不思議そうにハルが尋ねれば、ギュームさんはすぐにはいと頷いた。
「他のウマと一緒にするとくつろげないかもしれないですから、ひとまず昨夜はタユと二人だけでこちらの部屋を使ってもらいました」
昼間に相性を見てからなら、他の馬とも同室にしても良いんですがとギュームさんは真剣な表情で続ける。
そういう事までちゃんと考えてくれてるんだな。さすが馬を敬愛してる人だ。この人にまかせて良かった。
そう思って歩いていくと、ひとつの部屋の前でギュームさんは立ち止まった。
「シュリ様とタユはこちらの部屋です」
どうぞと手で促されたけど、俺達は驚いて全員揃って固まってしまった。
「おや、どうかしましたか?私はまた何かまずい事でも…?」
慌てだしたギュームさんに、代表して声をかけてくれたのはハルだった。
「いや、まずい事では無いんだが…今、名前で呼んだか?」
「あ…はい」
「と言う事は声をかけてもらったんだな?」
うん。俺達はシュリくんの名前を一度も呼んでないのに、ギュームさんは知ってた。という事はつまり、シュリくん本人が自己紹介をしたって事だもんね。
「…はい、打ち明けて頂きました」
そう答えたギュームさんは、まるで蕩けるようなうっとりとした笑顔を浮かべていた。
使用人仲間だっていう旦那さんがこの笑顔を見たら、妬くんじゃないかな。思わずそう心配してしまうような表情だった。
「ハル様とキース様、そしてアキト様とは話してたと、シュリ様から教えてもらったので、つい気が緩んでいました…」
他の人の前ではうっかり呼ばないようにきちんと気をつけていますと、ギュームさんは申し訳なさそうにそう続けた。
「あ、いや責めているわけじゃないんだ」
「そうです。ただちょっとシュリくんの名前を何で知ってるんだろうって驚いただけですから!」
「そうそう、そこは気にしないでくれ」
しょんぼりとしているギュームさんを、ハルと二人がかりで必死になって宥めていると、不意にキースくんが、あ、と声をあげた。
ん?とその場にいる全員が視線を向ければ、キースくんはニコーッと嬉しそうに笑って続けた。
「そっかーじゃあさ、ギュームもシュリくんの秘密を守る仲間だねー」
「ハイッ!光栄です!」
おお、空気が変わったな。ギュームさんも今はニコニコ笑顔でコクコクと頷いている。さすがキースくんだ。
「まあ、せっかくだし、これ以上は中に入ってから話そうか」
「そうだね」
「うん、おじゃましまーす」
ノックをしてから中に入ったキースくんの声に、シュリくんはさっと立ち上がった。
「あーキースくん!おはよう!」
「おはよう、シュリくん!」
きゃっきゃと戯れる二人の可愛さに癒されつつ、俺達も部屋の中へと足を踏みいれた。
部屋の中は、俺が思っていたよりもかなり広かった。何ならあと十頭ぐらいは馬が入ってくつろげそうなぐらいの部屋の広さだ。
とはいっても食事は俺の魔力で終わってしまっていたし、毛を梳かすのも夕食会の時に終わってしまっていたからね。ギュームさんからすると、もっとお世話したかったのに、できる事は少なかったらしい。
でも丁寧にもう一度布で全身を拭いた後、寝床をいくつも整えてどれが良いかを試してもらったりしてたんだって。
ちなみにシュリくんはわらの上に布を広げた寝床がかなり気に入ったらしくて、幸せそうに眠ってくれたんですよとすこし自慢げに報告してくれた。
俺達を助けに来た時にハルが乗ってたあの馬さんは、その間もずっと隣にいたんだって。どうやっても離れようとしないから、ずっと一緒だったらしい。何ならシュリくんを守るようにして、一緒に同じ寝床で眠ってたそうだ。
「え、そうなんですか?」
「ええ、あの子はタユというウマなんですが、子煩悩なウマでしたから…きっと母性本能が疼いたんでしょうね」
「ああ、なるほど。それでずっと一緒にいたんですね」
そっか。あれはお母さん目線だったのか。確かにずっとシュリくんを可愛いと思ってる対応だったな。
「あれ、奥の部屋なのか?」
すこし不思議そうにハルが尋ねれば、ギュームさんはすぐにはいと頷いた。
「他のウマと一緒にするとくつろげないかもしれないですから、ひとまず昨夜はタユと二人だけでこちらの部屋を使ってもらいました」
昼間に相性を見てからなら、他の馬とも同室にしても良いんですがとギュームさんは真剣な表情で続ける。
そういう事までちゃんと考えてくれてるんだな。さすが馬を敬愛してる人だ。この人にまかせて良かった。
そう思って歩いていくと、ひとつの部屋の前でギュームさんは立ち止まった。
「シュリ様とタユはこちらの部屋です」
どうぞと手で促されたけど、俺達は驚いて全員揃って固まってしまった。
「おや、どうかしましたか?私はまた何かまずい事でも…?」
慌てだしたギュームさんに、代表して声をかけてくれたのはハルだった。
「いや、まずい事では無いんだが…今、名前で呼んだか?」
「あ…はい」
「と言う事は声をかけてもらったんだな?」
うん。俺達はシュリくんの名前を一度も呼んでないのに、ギュームさんは知ってた。という事はつまり、シュリくん本人が自己紹介をしたって事だもんね。
「…はい、打ち明けて頂きました」
そう答えたギュームさんは、まるで蕩けるようなうっとりとした笑顔を浮かべていた。
使用人仲間だっていう旦那さんがこの笑顔を見たら、妬くんじゃないかな。思わずそう心配してしまうような表情だった。
「ハル様とキース様、そしてアキト様とは話してたと、シュリ様から教えてもらったので、つい気が緩んでいました…」
他の人の前ではうっかり呼ばないようにきちんと気をつけていますと、ギュームさんは申し訳なさそうにそう続けた。
「あ、いや責めているわけじゃないんだ」
「そうです。ただちょっとシュリくんの名前を何で知ってるんだろうって驚いただけですから!」
「そうそう、そこは気にしないでくれ」
しょんぼりとしているギュームさんを、ハルと二人がかりで必死になって宥めていると、不意にキースくんが、あ、と声をあげた。
ん?とその場にいる全員が視線を向ければ、キースくんはニコーッと嬉しそうに笑って続けた。
「そっかーじゃあさ、ギュームもシュリくんの秘密を守る仲間だねー」
「ハイッ!光栄です!」
おお、空気が変わったな。ギュームさんも今はニコニコ笑顔でコクコクと頷いている。さすがキースくんだ。
「まあ、せっかくだし、これ以上は中に入ってから話そうか」
「そうだね」
「うん、おじゃましまーす」
ノックをしてから中に入ったキースくんの声に、シュリくんはさっと立ち上がった。
「あーキースくん!おはよう!」
「おはよう、シュリくん!」
きゃっきゃと戯れる二人の可愛さに癒されつつ、俺達も部屋の中へと足を踏みいれた。
部屋の中は、俺が思っていたよりもかなり広かった。何ならあと十頭ぐらいは馬が入ってくつろげそうなぐらいの部屋の広さだ。
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