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1101.朝の時間
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しばらくクスクスと笑い合った後、ハルはふと笑顔を消すとそーっと手を伸ばしてきた。
ん?なんだろうと思いながらもその手の行く先をじっと見つめていると、ハルの手は俺の頬をするりと撫でた。
「アキトは…ちゃんとここにいるよね?」
まるで確かめるように何度も何度も優しく頬を撫でられながら、俺はこくりと頷いた。
「うん、ちゃんとここにいるよ」
「…そっか。夢じゃなくて、本当に良かった」
くしゃりと笑いながらポツリと告げられた切なげなその言葉に、たまらない気持ちになった。
本当にいっぱいいっぱい心配させちゃったんだな。あの時もう少し早く扉の罠に気付けてたらと、思わずにはいられない。
「うん、夢なんかじゃないよ。ちゃんとハルが助けに来てくれたでしょ?」
「うーん、助けに行ったというよりも、迎えに行っただけって感じだったけどね…」
苦笑しながら脱出も移動も皆で出来てたんだしと続けたハルの言葉に、俺はふるふると左右に首を振った。
たしかに盗賊団のアジトから抜け出せたのはシュリくんのおかげだし、その後の森の中の移動ではキースくんがその豊富な知識を使って案内をしてくれた。
盗賊団のアジトからの脱出にしては、目立った問題も無かった。でもさ、やっぱりずっと不安はあったんだよね。
いざとなったら人が相手でも戦う覚悟っていうのは決めてはいたけど、それでもどこかで緊張はしてた。
ハルが迎えに来てくれたって分かったあの時の、あの安心感はすごかった。もう大丈夫だって素直にそう思ったからね。
「ハルがわざわざ迎えに来てくれて、俺はすごく嬉しかったよ?」
「…そう?」
「うん。すっごく緊張してたし不安もあったけど、ハルの顔を見たらもう大丈夫だって思えたからね」
「…それなら迎えに行けて良かったな」
やっとふわりといつも通りの優しい笑みを浮かべてくれたハルの頭を優しく撫でていると、不意に大きなお腹の音が部屋の中に響いた。
これは俺のお腹の音じゃなくて、ハルのお腹の音だ。
「…う…ごめん」
しょんぼりとしたハルの謝罪に、俺は笑いながら答えた。
「いやいや、別に謝る必要はないよー長い間寝たし、お腹空いたよね」
「あー…出来る事ならこのままアキトと二度寝したかったんだけどな…」
絶対に幸せな時間だったのにと寂し気につぶやいたハルに、俺は笑顔で答えた。
「一緒にご飯食べてから、二人でのんびりすれば良いんじゃない?」
「うん、それもそうだね」
「じゃあ起きよっか」
ひょいっとベッドから起き上がってから振り返ると、ハルはまだベッドに転がったまま悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。やっぱり二度寝がしたいなーと言いながら、名残惜しそうにベッドに寝転がっている。
「ほら、起きてー」
そう声をかければしぶしぶ伸ばされたハルの手をくいっと引っ張って、何とかベッドから立ち上がらせる。
こういうのって、いつもならどちらかというと俺がされる側だからかなり珍しい事だ。
でもハルになら、こうやって甘えられるのも嬉しいんだよね。
何とかその場に立ち上がってくれたハルに良い子と声をかけてから、俺は自分とハルの全身にささっと浄化魔法をかけた。
昨日も部屋に戻ってくるなり浄化魔法はかけたんだけどね。これはもうすっかり習慣になってるからいつもの事だ。
いやいやながらも用意をされてるって様子なのに、律儀に今日もありがとうとお礼を言ってくれるハルの矛盾した行動にちょっとだけ笑ってしまった。
全身を浄化魔法で綺麗にしたら、次はぴょこっとはねている寝ぐせのついたハルの髪の毛に取り掛かる。とはいっても魔導収納鞄から取り出した愛用のブラシで、優しく優しく撫でつけていくだけなんだけど。そこまで頑固な寝ぐせじゃなかったのか、すぐにいつものハルの髪型に戻った。
「よし、髪の毛も終わったよー」
そう声をかければ、ハルは嬉しそうな笑顔でニコニコと俺を見つめていた。世話をやかれて嬉しいって思ってる顔だね。まあそんな事を考えてる俺も、たぶんお世話をさせてもらえて嬉しいーって顔をしてるんだと思うけど。
「うん、今日も格好良いよ、ハル」
「それはありがとう」
ふふと笑ったハルは、今度は俺の番だねと言いながら丁寧に俺の髪の毛を梳かしてくれた。
二人で揃ってパジャマ代わりの服から私服へと着替れば、これで部屋から出る準備は万端だ。
「よし、それじゃあ行こっか」
「うん、行こう」
さっと片手を差し出せば、嬉しそうにはにかんだハルの手がきゅっと握り返してくれた。
ん?なんだろうと思いながらもその手の行く先をじっと見つめていると、ハルの手は俺の頬をするりと撫でた。
「アキトは…ちゃんとここにいるよね?」
まるで確かめるように何度も何度も優しく頬を撫でられながら、俺はこくりと頷いた。
「うん、ちゃんとここにいるよ」
「…そっか。夢じゃなくて、本当に良かった」
くしゃりと笑いながらポツリと告げられた切なげなその言葉に、たまらない気持ちになった。
本当にいっぱいいっぱい心配させちゃったんだな。あの時もう少し早く扉の罠に気付けてたらと、思わずにはいられない。
「うん、夢なんかじゃないよ。ちゃんとハルが助けに来てくれたでしょ?」
「うーん、助けに行ったというよりも、迎えに行っただけって感じだったけどね…」
苦笑しながら脱出も移動も皆で出来てたんだしと続けたハルの言葉に、俺はふるふると左右に首を振った。
たしかに盗賊団のアジトから抜け出せたのはシュリくんのおかげだし、その後の森の中の移動ではキースくんがその豊富な知識を使って案内をしてくれた。
盗賊団のアジトからの脱出にしては、目立った問題も無かった。でもさ、やっぱりずっと不安はあったんだよね。
いざとなったら人が相手でも戦う覚悟っていうのは決めてはいたけど、それでもどこかで緊張はしてた。
ハルが迎えに来てくれたって分かったあの時の、あの安心感はすごかった。もう大丈夫だって素直にそう思ったからね。
「ハルがわざわざ迎えに来てくれて、俺はすごく嬉しかったよ?」
「…そう?」
「うん。すっごく緊張してたし不安もあったけど、ハルの顔を見たらもう大丈夫だって思えたからね」
「…それなら迎えに行けて良かったな」
やっとふわりといつも通りの優しい笑みを浮かべてくれたハルの頭を優しく撫でていると、不意に大きなお腹の音が部屋の中に響いた。
これは俺のお腹の音じゃなくて、ハルのお腹の音だ。
「…う…ごめん」
しょんぼりとしたハルの謝罪に、俺は笑いながら答えた。
「いやいや、別に謝る必要はないよー長い間寝たし、お腹空いたよね」
「あー…出来る事ならこのままアキトと二度寝したかったんだけどな…」
絶対に幸せな時間だったのにと寂し気につぶやいたハルに、俺は笑顔で答えた。
「一緒にご飯食べてから、二人でのんびりすれば良いんじゃない?」
「うん、それもそうだね」
「じゃあ起きよっか」
ひょいっとベッドから起き上がってから振り返ると、ハルはまだベッドに転がったまま悪戯っ子のような笑みを浮かべていた。やっぱり二度寝がしたいなーと言いながら、名残惜しそうにベッドに寝転がっている。
「ほら、起きてー」
そう声をかければしぶしぶ伸ばされたハルの手をくいっと引っ張って、何とかベッドから立ち上がらせる。
こういうのって、いつもならどちらかというと俺がされる側だからかなり珍しい事だ。
でもハルになら、こうやって甘えられるのも嬉しいんだよね。
何とかその場に立ち上がってくれたハルに良い子と声をかけてから、俺は自分とハルの全身にささっと浄化魔法をかけた。
昨日も部屋に戻ってくるなり浄化魔法はかけたんだけどね。これはもうすっかり習慣になってるからいつもの事だ。
いやいやながらも用意をされてるって様子なのに、律儀に今日もありがとうとお礼を言ってくれるハルの矛盾した行動にちょっとだけ笑ってしまった。
全身を浄化魔法で綺麗にしたら、次はぴょこっとはねている寝ぐせのついたハルの髪の毛に取り掛かる。とはいっても魔導収納鞄から取り出した愛用のブラシで、優しく優しく撫でつけていくだけなんだけど。そこまで頑固な寝ぐせじゃなかったのか、すぐにいつものハルの髪型に戻った。
「よし、髪の毛も終わったよー」
そう声をかければ、ハルは嬉しそうな笑顔でニコニコと俺を見つめていた。世話をやかれて嬉しいって思ってる顔だね。まあそんな事を考えてる俺も、たぶんお世話をさせてもらえて嬉しいーって顔をしてるんだと思うけど。
「うん、今日も格好良いよ、ハル」
「それはありがとう」
ふふと笑ったハルは、今度は俺の番だねと言いながら丁寧に俺の髪の毛を梳かしてくれた。
二人で揃ってパジャマ代わりの服から私服へと着替れば、これで部屋から出る準備は万端だ。
「よし、それじゃあ行こっか」
「うん、行こう」
さっと片手を差し出せば、嬉しそうにはにかんだハルの手がきゅっと握り返してくれた。
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