1,101 / 1,112
1100.目を覚ましたら
しおりを挟む
ん、もう朝?
何の前触れもなく不意に目を覚ました俺は、まだぼんやりとしたままの寝ぼけた頭でうっすらとそんな事を考えた。そーっとほんの少しだけ目を開いて天井を見上げてみれば、明らかに部屋の中が明るい。
うん、これは間違いなくもう朝だよね。もしかしたら昼かも?いやでも、正直に言ってしまうとまだ眠い。
まるでふかふかの雲の上のようなこのベッドで、このまま二度寝してしまいたい。きょうの予定はまだ何も決まってないし、もうちょっと寝ようかな。
よし、そうしよう。
二度寝する事をあっさりと決めた俺は、何げなく寝返りを打とうとしたけれど――動組事ができなかった。
あれ、体が動かない…?なんで?
俺は目をつむったまま、まだ半分ぐらい眠ってる気がする頭でのんびりと考えてみる。
えっと…たしか昨日は領主城のみんなで、賑やかで美味しい食事会を楽しんだんだよね。それでその後は…?
あ、そうだ。自分たちの部屋に戻るなり、本当に無事で良かったってハルが声をかけてくれたんだった。
しかもこの部屋に一人だと無駄に部屋が広く感じて寂しかったんだって、すっごく珍しい事にハルがぼそっと弱音を吐いてくれたんだ。
ハルはあんまり俺に弱い所を見せたくないみたいなんだよね。だからこれはすっごく珍しい事なんだよ。別に弱い所を見せて欲しいーってわけじゃないんだけど、自然なハルの気持ちを見せてくれるのがちょっと嬉しかったんだ。
ちょっと目が覚めてきた気がする。
う…しょんぼりしてたハルに自分から抱き着いてキスしたのも思い出しちゃったよ。二人でくっついてちょっとイチャイチャした後で、今日はアキトを抱きしめて寝ても良い?って可愛いお願いをされたんだ。
あーちゃんと思い出せて良かった!
抱きしめて寝たいって言われたのに、目が覚めたら俺がベッドから抜け出してた。もし万が一そんな事になってたら、きっとハルもショックだろうからね。本当に思い出せて良かったよ。
という事はとそーっと目を開いて視線だけを動かせば、そこには幸せそうに眠るハルの姿があった。さっきは本当にうっすら目を開いただけだったし、天井しか見てなかったから気づかなかったんだな。
ハルは俺を両腕でがっしりと抱きこんだまま、すやすやと気持ちよさそうに眠っている。
うん、これだけ思いっきりホールドされてたら、ベッドから抜け出す心配はしなくて良かったかもしれない。
それにしても、ハルの寝顔は今日も驚くほどに綺麗だ。正直起きてる時よりも寝てる時の方が、綺麗さを感じるんだよね。起きてる時は格好良いの方が先に来るからさ。
静かにハルの寝顔に見惚れていると、綺麗な金色のまつげが不意にふるりと震えた。
あ、もしかして…起きる?
そう思いながらじーっとハルの様子を伺っていると、ゆっくりと開いていくまつげの隙間から俺の大好きな紫色の瞳がちらりと見えた。
「ん…」
まだ眠いのかとろんとしているハルの紫色の瞳は、なんだかひどく色っぽく感じる。見てはいけないものを見てるような気分だけど、同時にこの瞬間を見逃したくないとも思うんだよね。
誘惑に負けてじっとみつめていると、瞳にだんだんと意思がこもってくる。
完全に起きたのを確認してから、俺は笑顔で声をかけた。
「おはよ、ハル」
ハルはパチパチと何度か瞬きを繰り返してから、不意にへにゃりと笑みを浮かべた。
「おはよう、アキト」
そう言ったハルは、自分の腕をじっと見てから心配そうに続けた。
「思いっきり抱き着いてたみたいだけど…ちゃんと眠れた?」
「うん、ぐっすり眠ってたよ」
さっき目を覚ますまでずーっと熟睡してたと伝えれば、ハルは良かったと強張っていた体の力を抜いた。
ハルに抱きしめられてて、俺が寝れないなんて事があるわけないよ。この腕の中が、一番安心できる場所なんだから。
「ハルもぐっすり寝れた?」
「ああ、アキトのおかげでね。夢も見ずにぐっすりだったよ」
「それなら良かった」
「あーまだ起きたくないな」
あれ、ハルがそういう事をいうのは珍しいな。
「じゃあ二度寝しちゃう?」
「魅力的なお誘いだね」
こうして二人でベッドに転がったまま、クスクスと笑い合うのってすごく贅沢な時間だな。ここに帰って来れて良かったと、心から思うよ。
何の前触れもなく不意に目を覚ました俺は、まだぼんやりとしたままの寝ぼけた頭でうっすらとそんな事を考えた。そーっとほんの少しだけ目を開いて天井を見上げてみれば、明らかに部屋の中が明るい。
うん、これは間違いなくもう朝だよね。もしかしたら昼かも?いやでも、正直に言ってしまうとまだ眠い。
まるでふかふかの雲の上のようなこのベッドで、このまま二度寝してしまいたい。きょうの予定はまだ何も決まってないし、もうちょっと寝ようかな。
よし、そうしよう。
二度寝する事をあっさりと決めた俺は、何げなく寝返りを打とうとしたけれど――動組事ができなかった。
あれ、体が動かない…?なんで?
俺は目をつむったまま、まだ半分ぐらい眠ってる気がする頭でのんびりと考えてみる。
えっと…たしか昨日は領主城のみんなで、賑やかで美味しい食事会を楽しんだんだよね。それでその後は…?
あ、そうだ。自分たちの部屋に戻るなり、本当に無事で良かったってハルが声をかけてくれたんだった。
しかもこの部屋に一人だと無駄に部屋が広く感じて寂しかったんだって、すっごく珍しい事にハルがぼそっと弱音を吐いてくれたんだ。
ハルはあんまり俺に弱い所を見せたくないみたいなんだよね。だからこれはすっごく珍しい事なんだよ。別に弱い所を見せて欲しいーってわけじゃないんだけど、自然なハルの気持ちを見せてくれるのがちょっと嬉しかったんだ。
ちょっと目が覚めてきた気がする。
う…しょんぼりしてたハルに自分から抱き着いてキスしたのも思い出しちゃったよ。二人でくっついてちょっとイチャイチャした後で、今日はアキトを抱きしめて寝ても良い?って可愛いお願いをされたんだ。
あーちゃんと思い出せて良かった!
抱きしめて寝たいって言われたのに、目が覚めたら俺がベッドから抜け出してた。もし万が一そんな事になってたら、きっとハルもショックだろうからね。本当に思い出せて良かったよ。
という事はとそーっと目を開いて視線だけを動かせば、そこには幸せそうに眠るハルの姿があった。さっきは本当にうっすら目を開いただけだったし、天井しか見てなかったから気づかなかったんだな。
ハルは俺を両腕でがっしりと抱きこんだまま、すやすやと気持ちよさそうに眠っている。
うん、これだけ思いっきりホールドされてたら、ベッドから抜け出す心配はしなくて良かったかもしれない。
それにしても、ハルの寝顔は今日も驚くほどに綺麗だ。正直起きてる時よりも寝てる時の方が、綺麗さを感じるんだよね。起きてる時は格好良いの方が先に来るからさ。
静かにハルの寝顔に見惚れていると、綺麗な金色のまつげが不意にふるりと震えた。
あ、もしかして…起きる?
そう思いながらじーっとハルの様子を伺っていると、ゆっくりと開いていくまつげの隙間から俺の大好きな紫色の瞳がちらりと見えた。
「ん…」
まだ眠いのかとろんとしているハルの紫色の瞳は、なんだかひどく色っぽく感じる。見てはいけないものを見てるような気分だけど、同時にこの瞬間を見逃したくないとも思うんだよね。
誘惑に負けてじっとみつめていると、瞳にだんだんと意思がこもってくる。
完全に起きたのを確認してから、俺は笑顔で声をかけた。
「おはよ、ハル」
ハルはパチパチと何度か瞬きを繰り返してから、不意にへにゃりと笑みを浮かべた。
「おはよう、アキト」
そう言ったハルは、自分の腕をじっと見てから心配そうに続けた。
「思いっきり抱き着いてたみたいだけど…ちゃんと眠れた?」
「うん、ぐっすり眠ってたよ」
さっき目を覚ますまでずーっと熟睡してたと伝えれば、ハルは良かったと強張っていた体の力を抜いた。
ハルに抱きしめられてて、俺が寝れないなんて事があるわけないよ。この腕の中が、一番安心できる場所なんだから。
「ハルもぐっすり寝れた?」
「ああ、アキトのおかげでね。夢も見ずにぐっすりだったよ」
「それなら良かった」
「あーまだ起きたくないな」
あれ、ハルがそういう事をいうのは珍しいな。
「じゃあ二度寝しちゃう?」
「魅力的なお誘いだね」
こうして二人でベッドに転がったまま、クスクスと笑い合うのってすごく贅沢な時間だな。ここに帰って来れて良かったと、心から思うよ。
537
お気に入りに追加
4,145
あなたにおすすめの小説
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
自己評価下の下のオレは、血筋がチートだった!?
トール
BL
一般家庭に生まれ、ごく普通の人生を歩んで16年。凡庸な容姿に特出した才もない平凡な少年ディークは、その容姿に負けない平凡な毎日を送っている。と思っていたのに、周りから見れば全然平凡じゃなかった!?
実はこの世界の創造主(神王)を母に持ち、騎士団の師団長(鬼神)を父に持つ尊い血筋!? 両親の素性を知らされていない世間知らずな少年が巻き起こすドタバタBLコメディー。
※「異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ」の主人公の息子の話になります。
こちらを読んでいなくても楽しめるように作っておりますが、親の話に興味がある方はぜひズボラライフも読んでいただければ、より楽しめる作品です。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる