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1078.感謝の気持ち
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うーん、そう言われてみれば…グレースさんとは色んな事を話してきたけど、馬についての話しをした事はまだ一度も無かったな。
そもそもグレースさんが馬に好かれる体質だって事すら、さっき教えて貰って知ったばっかりだからね。
でもシュリくんと会うのをご両親から許してもらえたって事は、きっとグレースさんも馬が好きなんだと思うんだ。馬嫌いな人を大事な息子と会わせたりしないだろうから。
王都からグレースさんが帰ってきたら、そういう話しもしてみたいな。
「それでね、馬くんのおかげでアジトからは逃げれたんだけど…」
キースくんの話しをみんなと一緒になってうんうんと聞いていた俺は、そこである事に気づいてハッと顔をあげた。
キースくん、さっきから俺とシュリくんの事はいっぱい話してるのに、自分の活躍は全然説明してない!
これは駄目だと思わずガタッと音を立てて立ち上がれば、部屋中の視線を集めてしまった。特に話しをしていたキースくんは、びっくりしたのか大きな目でじっとこちらを見上げている。
わー話しを遮っちゃってごめんね。すっごい罪悪感が湧いてくる。
「あ、えっと…」
キースくんのすごかった話しも聞いて欲しいですって、いったいどう話しを切り出せば良いんだろう。
ここにいるのは名前までは知らなくても、全員顔見知りの人ばかりだ。そんな状況でも、これだけたくさんの視線が集まってくると、さすがにちょっと焦ってしまう。
あわあわと言葉を選んでいると、不意に隣から声がかかった。
「どうしたのアキト、何か話したい事でもあるの?」
どこまでも優しいハルの問いかけに、俺はそっと肩の力を抜いた。ありがとう、ハル。俺が困ってると絶対に気づいてくれるのが、さすがハルだよね。
ほらまずは座ってと促されて座りなおせば、キースくんが申し訳なさそうに俺を見つめていた。
「ごめんね、アキトくんも話したかったよね。僕ばっかり話してて…」
「ううん、そうじゃないんだ!キースくんが話してくれて助かってるし、話すの上手だから俺もうんうんって聞いてたんだけどね…」
「でも…?」
不思議そうに首を傾げるハルを横目で見ながら、俺はぐっと力を込めて言い放った。
「キースくんの活躍を、しっかりと話したいなと思っただけなんだ!」
「えっ…」
びっくり顔を浮かべたキースくんは、次の瞬間には慌てた様子でそんなの良いよと口にしたけど周りから止められている。
「俺もキースの活躍、ちゃんと聞きたいな」
「私も聞きたい」
ハルとケイリーさんにそう言われたキースくんは、でもと言葉を濁した。
「私もぜひ知りたいです」
「アキト様、どうぞ!」
「キース様の活躍を、どうか教えてください」
口々にそう言う使用人さんたちは、本当にキースくんの事が大好きなんだろうな。キースくんは照れくさそうだけど、すっごく嫌だーって表情じゃなさそうだ。
あ、壁の所に立ってるボルトさんに至っては、さっとノートと魔導具のペンを取り出して構えている。しっかり書き留めるつもりみたいだ。
「キースくん…話しても良い?」
どうしても駄目って言われたら諦めないと駄目かなと聞いてみれば、キースくんは恥ずかしそうにしながらもこくりと頷いてくれた。
よし、許可は貰ったぞ。
「まずキースくんの知識にびっくりしたのは、捕まっていた部屋から脱出する…前でした。キースくんは鳥の声だけで、ここがウェルマール領内だって気づいて教えてくれたんです」
「鳥の声で…?」
不思議そうに首を傾げながらそう呟いている人もいれば、ああ、あれかと言いたげに頷いている人、さすがキース様と涙ぐんでいる人もいるね。
「ディーセルプ…だね?」
あ、やっぱりハルはあの鳥の鳴き声も知ってるんだね。
「そう、その鳥の声がするからって教えてくれたんだ」
「でも…それはただ…たまたま知ってただけで…」
恥ずかしそうなキースくんに、俺はそれは違うよと首を振った。
「知っててもキースくんが黙ってたら、俺は知らないままだったよ」
ん?どういう意味?と首を傾げたキースくんに、俺は笑顔で答えた。
「俺を安心させるためにそれをわざわざ教えてくれたのが、すっごく嬉しかったんだ。キースくん教えてくれてありがとう」
しかも自分も攫われてるあんな状況で、だからね。
「そうだよ、キース。俺からも…アキトを安心させてくれてありがとう。キースが一緒で良かったよ」
伸ばした手で優しく頭を撫でられたキースくんは、へへと笑みを浮かべた。
そもそもグレースさんが馬に好かれる体質だって事すら、さっき教えて貰って知ったばっかりだからね。
でもシュリくんと会うのをご両親から許してもらえたって事は、きっとグレースさんも馬が好きなんだと思うんだ。馬嫌いな人を大事な息子と会わせたりしないだろうから。
王都からグレースさんが帰ってきたら、そういう話しもしてみたいな。
「それでね、馬くんのおかげでアジトからは逃げれたんだけど…」
キースくんの話しをみんなと一緒になってうんうんと聞いていた俺は、そこである事に気づいてハッと顔をあげた。
キースくん、さっきから俺とシュリくんの事はいっぱい話してるのに、自分の活躍は全然説明してない!
これは駄目だと思わずガタッと音を立てて立ち上がれば、部屋中の視線を集めてしまった。特に話しをしていたキースくんは、びっくりしたのか大きな目でじっとこちらを見上げている。
わー話しを遮っちゃってごめんね。すっごい罪悪感が湧いてくる。
「あ、えっと…」
キースくんのすごかった話しも聞いて欲しいですって、いったいどう話しを切り出せば良いんだろう。
ここにいるのは名前までは知らなくても、全員顔見知りの人ばかりだ。そんな状況でも、これだけたくさんの視線が集まってくると、さすがにちょっと焦ってしまう。
あわあわと言葉を選んでいると、不意に隣から声がかかった。
「どうしたのアキト、何か話したい事でもあるの?」
どこまでも優しいハルの問いかけに、俺はそっと肩の力を抜いた。ありがとう、ハル。俺が困ってると絶対に気づいてくれるのが、さすがハルだよね。
ほらまずは座ってと促されて座りなおせば、キースくんが申し訳なさそうに俺を見つめていた。
「ごめんね、アキトくんも話したかったよね。僕ばっかり話してて…」
「ううん、そうじゃないんだ!キースくんが話してくれて助かってるし、話すの上手だから俺もうんうんって聞いてたんだけどね…」
「でも…?」
不思議そうに首を傾げるハルを横目で見ながら、俺はぐっと力を込めて言い放った。
「キースくんの活躍を、しっかりと話したいなと思っただけなんだ!」
「えっ…」
びっくり顔を浮かべたキースくんは、次の瞬間には慌てた様子でそんなの良いよと口にしたけど周りから止められている。
「俺もキースの活躍、ちゃんと聞きたいな」
「私も聞きたい」
ハルとケイリーさんにそう言われたキースくんは、でもと言葉を濁した。
「私もぜひ知りたいです」
「アキト様、どうぞ!」
「キース様の活躍を、どうか教えてください」
口々にそう言う使用人さんたちは、本当にキースくんの事が大好きなんだろうな。キースくんは照れくさそうだけど、すっごく嫌だーって表情じゃなさそうだ。
あ、壁の所に立ってるボルトさんに至っては、さっとノートと魔導具のペンを取り出して構えている。しっかり書き留めるつもりみたいだ。
「キースくん…話しても良い?」
どうしても駄目って言われたら諦めないと駄目かなと聞いてみれば、キースくんは恥ずかしそうにしながらもこくりと頷いてくれた。
よし、許可は貰ったぞ。
「まずキースくんの知識にびっくりしたのは、捕まっていた部屋から脱出する…前でした。キースくんは鳥の声だけで、ここがウェルマール領内だって気づいて教えてくれたんです」
「鳥の声で…?」
不思議そうに首を傾げながらそう呟いている人もいれば、ああ、あれかと言いたげに頷いている人、さすがキース様と涙ぐんでいる人もいるね。
「ディーセルプ…だね?」
あ、やっぱりハルはあの鳥の鳴き声も知ってるんだね。
「そう、その鳥の声がするからって教えてくれたんだ」
「でも…それはただ…たまたま知ってただけで…」
恥ずかしそうなキースくんに、俺はそれは違うよと首を振った。
「知っててもキースくんが黙ってたら、俺は知らないままだったよ」
ん?どういう意味?と首を傾げたキースくんに、俺は笑顔で答えた。
「俺を安心させるためにそれをわざわざ教えてくれたのが、すっごく嬉しかったんだ。キースくん教えてくれてありがとう」
しかも自分も攫われてるあんな状況で、だからね。
「そうだよ、キース。俺からも…アキトを安心させてくれてありがとう。キースが一緒で良かったよ」
伸ばした手で優しく頭を撫でられたキースくんは、へへと笑みを浮かべた。
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