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1076.活躍報告会
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シュリくんと馬さんの前にもきちんとそれぞれの体格に合わせた台が置かれていて、そこにメイドさんがお水を運んでくれてたよ。
良かったと安心してから、俺は口を開いた。
みんなに伝えたい事は、いっぱいあったからね。
「あの魔道具で俺とキースくんがアジトへと飛ばされた時、気絶してたのか眠ってたのか…とにかく意識が無かったんです」
そう言った瞬間、部屋の温度が数度下がった気がした。これはもしかしてシュリくんがまた殺気がって怯えるやつじゃないかな。そう思ったけど、ちらりと視線をむけたシュリくんはブラッシングされて幸せそうにしていた。
あ、これは怖くないんだ。
「目を覚ましたのはキースくんの方が早かったんですけど、まず嘘の名前で話しかけてくれたんですよ!すごくないですか?」
「えーと…嘘の名前で…?」
「そうなのか?キース」
「あーえっとね、アキトくんと僕の名前から、もしかして身元がバレちゃうかもしれないなと思って…」
まあただの思いつきだったんだけどと苦笑したキースくんに、ケイリーさんと使用人さんたちはぶんぶんと首を振った。
「それは素晴らしい機転だよ、キース」
「ああ、賢い弟で何よりだ」
「素晴らしいです!」
「さすがキース様だ!」
口々に褒められたキースくんは、照れくさそうにへへーと笑みを浮かべている。
「ちなみにその嘘の名前っていうのは何だったんだい?」
「僕がキルトで、アキトくんがアル兄だよ。兄弟が一番一緒にいて不自然じゃないかなーと思って。名前は僕とハル兄と、アキトくんの名前を混ぜたんだ」
キースくんはすこしだけ自慢げに、そう続けた。
へー、あの名前ってそういう意味でつけられてたのか。
「慣れてない人が任務とかで仮の名前を使う時は、できるだけ一文字目を一緒にした方が良いんだって…ジルさんが前に教えてくれたんだ」
え、そういうものなの?と思わず首を傾げていれば、耳元に顔を寄せてきたハルがこっそりと小さな声で教えてくれた。
「その方が、うっかり本名を呼びそうになってもバレないからね」
「ああ、そういう事か」
例えばハルに向かってハ…アキトとか言ったら、偽名だってバレバレになるもんね。というかあの非常事態に、キースくんってそんな事まで考えてくれてたんだ。そう考えると本当にすごい落ち着き方だよね。
「それからは二人で情報収集したんだよね」
アキトくんも落ち着いててすごかったんだよーと、キースくんは笑顔で褒めてくれた。
「食べ物は与えられたかい?」
「はい、パンと果実水をもらいました」
そこでお礼を言ったら笑われた事を思い出して、思わず眉間にしわを寄せてしまった。
「…何か嫌な事があった?」
すっごく心配そうに顔を覗き込んできたハルに、俺は慌てて首を振った。
「ううん、えっとね…パンを貰ったから思わず…そのお礼を言ったら…普通は礼は言わないってすっごく笑われたんだ」
「でもあれで見張りの人達の警戒心が減ったから、すごく良かったよ?」
そうだっけ?と俺は思ったけど、キースくんはおかげで僕もお礼を言うだけで顔は似てないけど似たもの兄弟って言ってもらえたしと嬉しそうだ。
そうか。そんな事で役に立てていたなら、あそこで笑われた事にも意味があったんだな。
「そのパンと果実水は、ちゃんと僕の持ってる魔道具で鑑定したよ」
「ああ、祖父から贈られてきたあの魔道具か!キースが持っていてくれて良かったよ」
「俺は魔導収納鞄も持ってなかったので、本当に助かりました」
そういう備えもしっかりしてたのも、キースくんすごいポイントだと思う。
「あ、そうだ、アキト。アキトの魔導収納鞄は無事に届いてるよ」
「そうなの?良かったー!護衛の人が付いてきてくれてるなら、何かあったって分かるかなーって手放したんだけど…」
ちゃんとあの行動も役に立ったんだと笑顔を浮かべれば、ハルは苦笑して答えた。
「それが…色々あって届けてくれたのは護衛じゃないんだけどね」
「え、そうなの?」
「ああ、たまたま見かけたっていうレイさんが届けてくれたよ」
「え、レイさんが!?」
「ああ、わざわざ届けに来てくれたんだ。帰ったら顔を見せに来て欲しいって言ってたよ」
それじゃあ会いに行かないとな。きっとハルがお礼は言ってくれてるだろうけど、ちゃんと俺からもお礼を言いたいし。
良かったと安心してから、俺は口を開いた。
みんなに伝えたい事は、いっぱいあったからね。
「あの魔道具で俺とキースくんがアジトへと飛ばされた時、気絶してたのか眠ってたのか…とにかく意識が無かったんです」
そう言った瞬間、部屋の温度が数度下がった気がした。これはもしかしてシュリくんがまた殺気がって怯えるやつじゃないかな。そう思ったけど、ちらりと視線をむけたシュリくんはブラッシングされて幸せそうにしていた。
あ、これは怖くないんだ。
「目を覚ましたのはキースくんの方が早かったんですけど、まず嘘の名前で話しかけてくれたんですよ!すごくないですか?」
「えーと…嘘の名前で…?」
「そうなのか?キース」
「あーえっとね、アキトくんと僕の名前から、もしかして身元がバレちゃうかもしれないなと思って…」
まあただの思いつきだったんだけどと苦笑したキースくんに、ケイリーさんと使用人さんたちはぶんぶんと首を振った。
「それは素晴らしい機転だよ、キース」
「ああ、賢い弟で何よりだ」
「素晴らしいです!」
「さすがキース様だ!」
口々に褒められたキースくんは、照れくさそうにへへーと笑みを浮かべている。
「ちなみにその嘘の名前っていうのは何だったんだい?」
「僕がキルトで、アキトくんがアル兄だよ。兄弟が一番一緒にいて不自然じゃないかなーと思って。名前は僕とハル兄と、アキトくんの名前を混ぜたんだ」
キースくんはすこしだけ自慢げに、そう続けた。
へー、あの名前ってそういう意味でつけられてたのか。
「慣れてない人が任務とかで仮の名前を使う時は、できるだけ一文字目を一緒にした方が良いんだって…ジルさんが前に教えてくれたんだ」
え、そういうものなの?と思わず首を傾げていれば、耳元に顔を寄せてきたハルがこっそりと小さな声で教えてくれた。
「その方が、うっかり本名を呼びそうになってもバレないからね」
「ああ、そういう事か」
例えばハルに向かってハ…アキトとか言ったら、偽名だってバレバレになるもんね。というかあの非常事態に、キースくんってそんな事まで考えてくれてたんだ。そう考えると本当にすごい落ち着き方だよね。
「それからは二人で情報収集したんだよね」
アキトくんも落ち着いててすごかったんだよーと、キースくんは笑顔で褒めてくれた。
「食べ物は与えられたかい?」
「はい、パンと果実水をもらいました」
そこでお礼を言ったら笑われた事を思い出して、思わず眉間にしわを寄せてしまった。
「…何か嫌な事があった?」
すっごく心配そうに顔を覗き込んできたハルに、俺は慌てて首を振った。
「ううん、えっとね…パンを貰ったから思わず…そのお礼を言ったら…普通は礼は言わないってすっごく笑われたんだ」
「でもあれで見張りの人達の警戒心が減ったから、すごく良かったよ?」
そうだっけ?と俺は思ったけど、キースくんはおかげで僕もお礼を言うだけで顔は似てないけど似たもの兄弟って言ってもらえたしと嬉しそうだ。
そうか。そんな事で役に立てていたなら、あそこで笑われた事にも意味があったんだな。
「そのパンと果実水は、ちゃんと僕の持ってる魔道具で鑑定したよ」
「ああ、祖父から贈られてきたあの魔道具か!キースが持っていてくれて良かったよ」
「俺は魔導収納鞄も持ってなかったので、本当に助かりました」
そういう備えもしっかりしてたのも、キースくんすごいポイントだと思う。
「あ、そうだ、アキト。アキトの魔導収納鞄は無事に届いてるよ」
「そうなの?良かったー!護衛の人が付いてきてくれてるなら、何かあったって分かるかなーって手放したんだけど…」
ちゃんとあの行動も役に立ったんだと笑顔を浮かべれば、ハルは苦笑して答えた。
「それが…色々あって届けてくれたのは護衛じゃないんだけどね」
「え、そうなの?」
「ああ、たまたま見かけたっていうレイさんが届けてくれたよ」
「え、レイさんが!?」
「ああ、わざわざ届けに来てくれたんだ。帰ったら顔を見せに来て欲しいって言ってたよ」
それじゃあ会いに行かないとな。きっとハルがお礼は言ってくれてるだろうけど、ちゃんと俺からもお礼を言いたいし。
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