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1066.温かい人たち
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「まず俺が先行した理由だが、アキトが魔力を練り上げているのを感じたんだ。それが消えてしまう前に、急いでそこまで移動したかった」
説明する時間すら惜しかったと真剣な表情で話すハルに、ファーガスさんはそれなら仕方ないなと納得顔で頷いている。
さっきハルに暴走するなって声をかけていた周りの人たちもうんうんと頷いてるから、どうやら理由として認められたみたいだ。
「それでー…?探しに行ったハルが殺気を消して戻ってきたって事は…?」
見つかったんだよね?と言いたげなウィリアムさんの言葉に、ハルはにっこりと笑顔で答えた。
「アキトとキースを見つけたよ」
探索隊の人達は何も言わず、ただ真剣な表情で笑顔のハルを見つめている。
「二人とも無事か?」
みんなの言葉を代表するかのようにそう尋ねたマティさんに、ハルはすぐに頷いた。
「ああ、二人とも怪我もしていないし無事だよ」
ハルがそう答えた瞬間、わぁぁと歓声が上がった。無事かどうかを確認してからじゃないと喜ばないのは、辺境領流…なのかな。
「良かったな、ハル!」
そう言いながらハルの背中をバシバシと叩いている騎士さんもいれば、ニコニコと笑顔を浮かべている騎士さんもいる。使用人さんたちはホッとした顔で、うっすらと笑みを浮かべて頷き合っていた。
一番派手に喜んでくれているのは、衛兵さん達だった。
「自分たちで逃げてくるなんてすげぇな」
「なーやるな、二人とも」
「いやー良かった良かった」
大きな声で笑い合っているあの衛兵さんたちは、辺境領に辿り着いた時に一緒に階段を登ってくれた人たちだ。今ようやく気づいたよ。あ、よくよく見ればハルの師匠さんもいる。
すごく優しい目でハルを見つめている師匠さんを眺めていると、不意にシュリくんが声をあげた。
「あ、さっきが…へってきてる!」
「え、そうなんだ?今はみんなが喜んでくれてるから…かな?」
「たぶんそうだとおもう」
シュリくんはすこし落ち着いた様子で、喜んでいる人達をじーっと観察している。
「…どう?シュリくん行けそう?」
キースくんの質問にシュリくんはすくっと立ち上がった。
「うん、いけそう!えっと…しゃべらないように、きをつけるね」
「よしそれじゃあ、行こうか」
茂みを出た俺達がそーっと近づいていけば、ハルがくるりとこちらを振り返った。俺たちだけじゃなくてシュリくんもちゃんといるなと確認して、ハルは嬉しそうに笑った。
「キース、アキト!無事で良かった!」
「ファーガス兄さん、迎えに来てくれてありがとー!」
「ありがとうございます」
いち早くハルの視線に気づいたファーガスさんが最初にそう声をかけてくれたから、俺達は笑顔で答えた。
「本当に怪我はしていないんですか?」
人が多い場所ではあまり進んで発言をしなさそうなジルさんが、すごい勢いでそう尋ねてくれる。心配してくれてたんだなーって実感しちゃう反応だ。
「はい、二人とも無傷です!」
その場にいた探索隊の人たちから、よく戻ったとか無事で良かったとかの嬉しい言葉をいっぱいかけてもらった。本当に温かい人たちばっかりだな。
この探索隊は志願方式だから、それぞれ自分の意思で来てるんだよって教えてもらったから、途中からは俺とキースくんからはお礼の言葉を返す事になった。
わいわいと盛り上がった会話がようやく落ち着いた所で、ウィリアムさんがじーっとシュリくんを見つめながら口を開いた。
「えっと…そっちの…ウマはーどうしたの?」
ウィリアムさんは、不思議そうに首を傾げてそう尋ねてきた。
あ、ちょっと待って。ウィリアムさん以外のみんなも、全員がシュリくんを見てる。今は殺気が無いからか怯えた様子は無いんだけど、それだけの人数で見つめられるのはまずいかもしれない。
固まってしまっているシュリくんの前に、キースくんが庇うように立ったけど体の大きさ的に隠しきれてないんだよね。俺も隠すために移動するべきだろうか。
そう考えている間に、ハルがすっとキースくんの前に立った。
「あまり怖がらせないでくれよ。二人がここまで逃げて来れたのは、捕まえられてたこのウマのおかげもあるんだから」
どう説明しようかなと考えるよりも前に、ハルが代わりに答えてくれた。さすがハル、頼りになる。
「ああ、そういえばアキトくんはウマに好かれるって言ってたねー」
「アキト様は、ウマに好かれる人なのか」
「でも大人しそうで可愛いウマだよな」
「うわーこれはウマの世話係をやってるギュームが喜びそうな可愛さだな」
そんな言葉がぽんぽんと飛び交っている。ウマの世話係の人とかいるんだね。知らなかったけど、今度見学させて貰えたりしないかな。
説明する時間すら惜しかったと真剣な表情で話すハルに、ファーガスさんはそれなら仕方ないなと納得顔で頷いている。
さっきハルに暴走するなって声をかけていた周りの人たちもうんうんと頷いてるから、どうやら理由として認められたみたいだ。
「それでー…?探しに行ったハルが殺気を消して戻ってきたって事は…?」
見つかったんだよね?と言いたげなウィリアムさんの言葉に、ハルはにっこりと笑顔で答えた。
「アキトとキースを見つけたよ」
探索隊の人達は何も言わず、ただ真剣な表情で笑顔のハルを見つめている。
「二人とも無事か?」
みんなの言葉を代表するかのようにそう尋ねたマティさんに、ハルはすぐに頷いた。
「ああ、二人とも怪我もしていないし無事だよ」
ハルがそう答えた瞬間、わぁぁと歓声が上がった。無事かどうかを確認してからじゃないと喜ばないのは、辺境領流…なのかな。
「良かったな、ハル!」
そう言いながらハルの背中をバシバシと叩いている騎士さんもいれば、ニコニコと笑顔を浮かべている騎士さんもいる。使用人さんたちはホッとした顔で、うっすらと笑みを浮かべて頷き合っていた。
一番派手に喜んでくれているのは、衛兵さん達だった。
「自分たちで逃げてくるなんてすげぇな」
「なーやるな、二人とも」
「いやー良かった良かった」
大きな声で笑い合っているあの衛兵さんたちは、辺境領に辿り着いた時に一緒に階段を登ってくれた人たちだ。今ようやく気づいたよ。あ、よくよく見ればハルの師匠さんもいる。
すごく優しい目でハルを見つめている師匠さんを眺めていると、不意にシュリくんが声をあげた。
「あ、さっきが…へってきてる!」
「え、そうなんだ?今はみんなが喜んでくれてるから…かな?」
「たぶんそうだとおもう」
シュリくんはすこし落ち着いた様子で、喜んでいる人達をじーっと観察している。
「…どう?シュリくん行けそう?」
キースくんの質問にシュリくんはすくっと立ち上がった。
「うん、いけそう!えっと…しゃべらないように、きをつけるね」
「よしそれじゃあ、行こうか」
茂みを出た俺達がそーっと近づいていけば、ハルがくるりとこちらを振り返った。俺たちだけじゃなくてシュリくんもちゃんといるなと確認して、ハルは嬉しそうに笑った。
「キース、アキト!無事で良かった!」
「ファーガス兄さん、迎えに来てくれてありがとー!」
「ありがとうございます」
いち早くハルの視線に気づいたファーガスさんが最初にそう声をかけてくれたから、俺達は笑顔で答えた。
「本当に怪我はしていないんですか?」
人が多い場所ではあまり進んで発言をしなさそうなジルさんが、すごい勢いでそう尋ねてくれる。心配してくれてたんだなーって実感しちゃう反応だ。
「はい、二人とも無傷です!」
その場にいた探索隊の人たちから、よく戻ったとか無事で良かったとかの嬉しい言葉をいっぱいかけてもらった。本当に温かい人たちばっかりだな。
この探索隊は志願方式だから、それぞれ自分の意思で来てるんだよって教えてもらったから、途中からは俺とキースくんからはお礼の言葉を返す事になった。
わいわいと盛り上がった会話がようやく落ち着いた所で、ウィリアムさんがじーっとシュリくんを見つめながら口を開いた。
「えっと…そっちの…ウマはーどうしたの?」
ウィリアムさんは、不思議そうに首を傾げてそう尋ねてきた。
あ、ちょっと待って。ウィリアムさん以外のみんなも、全員がシュリくんを見てる。今は殺気が無いからか怯えた様子は無いんだけど、それだけの人数で見つめられるのはまずいかもしれない。
固まってしまっているシュリくんの前に、キースくんが庇うように立ったけど体の大きさ的に隠しきれてないんだよね。俺も隠すために移動するべきだろうか。
そう考えている間に、ハルがすっとキースくんの前に立った。
「あまり怖がらせないでくれよ。二人がここまで逃げて来れたのは、捕まえられてたこのウマのおかげもあるんだから」
どう説明しようかなと考えるよりも前に、ハルが代わりに答えてくれた。さすがハル、頼りになる。
「ああ、そういえばアキトくんはウマに好かれるって言ってたねー」
「アキト様は、ウマに好かれる人なのか」
「でも大人しそうで可愛いウマだよな」
「うわーこれはウマの世話係をやってるギュームが喜びそうな可愛さだな」
そんな言葉がぽんぽんと飛び交っている。ウマの世話係の人とかいるんだね。知らなかったけど、今度見学させて貰えたりしないかな。
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