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1065.探索隊
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俺達が気配を消す魔法の範囲から飛び出すよりも早く、ものすごくたくさんの人がこちらへ向かって来ているのに気が付いた。
「あー…また、さっきが…いっぱいだ……」
シュリくんはぽつりと小さな声でそう呟くと、怯えた様子で立ち止まってしまった。
「怖がらせてしまってすまない」
ハルはそう言うと、慰めるように優しくシュリくんの首筋を撫でた。
「この殺気はあくまでも二人を攫った盗賊に向けたものであってシュリに向けられているわけじゃないんだが…それでもやっぱり怖いかな?」
「…うん、じぶんにむけられてないのはわかってるんだけど…」
それでも怖いんだとすこし申し訳なさそうに口にしたシュリくんに、ハルはニコリと笑みを浮かべた。
「そうか。じゃあまずは俺が、逃げてきた二人を見つけたと皆に説明しに行ってくる。シュリは心の準備が出来たら、アキトとキースと一緒に来てくれるか?」
「…うん、わかった」
「シュリくん、ずっと僕が一緒にいるから大丈夫だよ」
「うん、ありがとう、キース」
優しくシュリくんを撫でるキースくんと、撫でられて嬉しそうに目を細めるシュリくんの姿に、俺とハルは思わず視線を交わしてから微笑んでしまった。あまりにも可愛らしい光景だったからね。
「じゃあちょっと行ってくるね」
振り返って笑顔でそう言ったハルに、俺も笑顔でいってらっしゃいと声をかけた。
「あーいた!」
「ハル様がいたぞ!」
「勝手に暴走しないでください、ハル様!」
「心配したんですよ!」
そんな叫び声に茂みに隠れたままこっそりと様子を伺えば、そこには俺の想像を遥かに超える人数の人で構成された探索隊の姿があった。
「あ、一番前にファーガス兄さんもマティ姉さんがいる!」
「本当だね。その後ろには…ウィリアムさんとジルさんもいるよ!」
キースくんと二人で探索隊の方を見つめながらそう口にすれば、だれ?と言いながらシュリくんも人の姿が見える所までじりじりと近づいてきた。
キースくんは、嬉しそうにファーガス兄さんは一番上のお兄ちゃんでその奥さんがマティ姉さんでと説明を始めている。
ハルの家族は、みんな優しいし強い。だから探索隊のメンバーに入ってる事は意外じゃないんだけど、俺がびっくりしたのは騎士や衛兵らしき人が思った以上にたくさんいる事だった。
この人達はみんな命令されてここに来てくれているんだろうかと思うと、何だか少し…いやだいぶ申し訳ない気持ちになってしまう。
俺達が攫われたせいで、仕事を増やしてしまったっていう申し訳なさだ。
「ハル様、ご無事を信じておりました」
「「「おかえりなさいませ」」」
あれ?勝手にどこかに行くなとか、暴走するなとかのハルを叱る声か、発見したとかいたーって大騒ぎしてる声が多いのに、何だか毛色が違う声かけがあるな。
そう思ってふと視線を向けてみれば、そこにはメイド長のリモさんを先頭にずらりと整列した使用人さん達の集団がいた。名前までは知らないけどお茶の用意をよくしてくれるメイドさんや、前に一緒に本を探してくれた侍従さん、部屋に飾ってとお花をくれた庭師の男性も混ざっている。
「え、リモさんと…使用人の人たちがいっぱいいる…」
こんな場所までわざわざ俺達を助けに来てくれたの?こんな危ない場所なのに?と思わず呟いてしまったけど、キースくんは使用人の人を確認してから笑顔で答えた。
「リモとルース、それにルトもいるね!うん、今いる人たちはみんな強い人だから、大丈夫だよ、アキトくん」
「…強いんだ?」
「うん、選んだ条件が、たぶん強い順番なんじゃないかな…?執事長のボルトは城にいないと駄目だってなって、一緒に来れなかったんだと思うよ」
あー、なるほど。つまりキースくんから見て、執事長のボルトさんは、使用人さん達の強い順ではこの探索隊にいないとおかしいぐらい強いって事だね。まあ薄々それは気づいてたんだけどね。
本当にすごいな、ウェルマール領って。
「みんな、勝手に先行してすまない」
ハルは周りからの声にも動じずに、落ち着いた声でそう答えた。反応はそれはもう様々だった。呆れたように笑う人、面白そうに観察している人、安心したと力を抜いている人、尊敬の目で見つめている人もいるな。
でも全員がハルに好意的な反応だった。
「ハル、無事だったんだな」
そう声をかけたのは、ファーガスさんだった。
「まったく、急に駆け出したから何事かと思ったよ」
マチルダさんは笑いながら、無事でなによりだと続ける。
「ハルさんまで攫われたかと思いました…」
心配そうにジルさんがそう言えば、ウィリアムさんはいやいやと身を乗り出した。
「えー俺は我慢の限界が来て、一人で盗賊団のアジトまで駆けていったのかと思ったよ」
ふふと笑ったウィリアムさんは、でも理由があるんでしょう?何か成果はあったの?と続けて尋ねた。
うん、何だかハルへの信頼を感じられるその質問に、嬉しくなっちゃったよ。
「あー…また、さっきが…いっぱいだ……」
シュリくんはぽつりと小さな声でそう呟くと、怯えた様子で立ち止まってしまった。
「怖がらせてしまってすまない」
ハルはそう言うと、慰めるように優しくシュリくんの首筋を撫でた。
「この殺気はあくまでも二人を攫った盗賊に向けたものであってシュリに向けられているわけじゃないんだが…それでもやっぱり怖いかな?」
「…うん、じぶんにむけられてないのはわかってるんだけど…」
それでも怖いんだとすこし申し訳なさそうに口にしたシュリくんに、ハルはニコリと笑みを浮かべた。
「そうか。じゃあまずは俺が、逃げてきた二人を見つけたと皆に説明しに行ってくる。シュリは心の準備が出来たら、アキトとキースと一緒に来てくれるか?」
「…うん、わかった」
「シュリくん、ずっと僕が一緒にいるから大丈夫だよ」
「うん、ありがとう、キース」
優しくシュリくんを撫でるキースくんと、撫でられて嬉しそうに目を細めるシュリくんの姿に、俺とハルは思わず視線を交わしてから微笑んでしまった。あまりにも可愛らしい光景だったからね。
「じゃあちょっと行ってくるね」
振り返って笑顔でそう言ったハルに、俺も笑顔でいってらっしゃいと声をかけた。
「あーいた!」
「ハル様がいたぞ!」
「勝手に暴走しないでください、ハル様!」
「心配したんですよ!」
そんな叫び声に茂みに隠れたままこっそりと様子を伺えば、そこには俺の想像を遥かに超える人数の人で構成された探索隊の姿があった。
「あ、一番前にファーガス兄さんもマティ姉さんがいる!」
「本当だね。その後ろには…ウィリアムさんとジルさんもいるよ!」
キースくんと二人で探索隊の方を見つめながらそう口にすれば、だれ?と言いながらシュリくんも人の姿が見える所までじりじりと近づいてきた。
キースくんは、嬉しそうにファーガス兄さんは一番上のお兄ちゃんでその奥さんがマティ姉さんでと説明を始めている。
ハルの家族は、みんな優しいし強い。だから探索隊のメンバーに入ってる事は意外じゃないんだけど、俺がびっくりしたのは騎士や衛兵らしき人が思った以上にたくさんいる事だった。
この人達はみんな命令されてここに来てくれているんだろうかと思うと、何だか少し…いやだいぶ申し訳ない気持ちになってしまう。
俺達が攫われたせいで、仕事を増やしてしまったっていう申し訳なさだ。
「ハル様、ご無事を信じておりました」
「「「おかえりなさいませ」」」
あれ?勝手にどこかに行くなとか、暴走するなとかのハルを叱る声か、発見したとかいたーって大騒ぎしてる声が多いのに、何だか毛色が違う声かけがあるな。
そう思ってふと視線を向けてみれば、そこにはメイド長のリモさんを先頭にずらりと整列した使用人さん達の集団がいた。名前までは知らないけどお茶の用意をよくしてくれるメイドさんや、前に一緒に本を探してくれた侍従さん、部屋に飾ってとお花をくれた庭師の男性も混ざっている。
「え、リモさんと…使用人の人たちがいっぱいいる…」
こんな場所までわざわざ俺達を助けに来てくれたの?こんな危ない場所なのに?と思わず呟いてしまったけど、キースくんは使用人の人を確認してから笑顔で答えた。
「リモとルース、それにルトもいるね!うん、今いる人たちはみんな強い人だから、大丈夫だよ、アキトくん」
「…強いんだ?」
「うん、選んだ条件が、たぶん強い順番なんじゃないかな…?執事長のボルトは城にいないと駄目だってなって、一緒に来れなかったんだと思うよ」
あー、なるほど。つまりキースくんから見て、執事長のボルトさんは、使用人さん達の強い順ではこの探索隊にいないとおかしいぐらい強いって事だね。まあ薄々それは気づいてたんだけどね。
本当にすごいな、ウェルマール領って。
「みんな、勝手に先行してすまない」
ハルは周りからの声にも動じずに、落ち着いた声でそう答えた。反応はそれはもう様々だった。呆れたように笑う人、面白そうに観察している人、安心したと力を抜いている人、尊敬の目で見つめている人もいるな。
でも全員がハルに好意的な反応だった。
「ハル、無事だったんだな」
そう声をかけたのは、ファーガスさんだった。
「まったく、急に駆け出したから何事かと思ったよ」
マチルダさんは笑いながら、無事でなによりだと続ける。
「ハルさんまで攫われたかと思いました…」
心配そうにジルさんがそう言えば、ウィリアムさんはいやいやと身を乗り出した。
「えー俺は我慢の限界が来て、一人で盗賊団のアジトまで駆けていったのかと思ったよ」
ふふと笑ったウィリアムさんは、でも理由があるんでしょう?何か成果はあったの?と続けて尋ねた。
うん、何だかハルへの信頼を感じられるその質問に、嬉しくなっちゃったよ。
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