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1063.【ハル視点】衝撃の言葉
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「あのね、ハル。シュリくんは、すごいんだよ」
アキトは嬉しそうに笑顔を見せながら、そう教えてくれた。
「そう、すっごいんだよ!」
まるで援護射撃のように隣から声をかけてくるキースも、たまらなく可愛い。
「もしシュリくんが一緒じゃなかったら…俺達はきっとここまで逃げて来れなかったと思う」
元気そうな二人の様子に癒されながら見つめていた俺は、アキトが口にした予想外の言葉に驚いてしまった。
「えっ…!?盗賊団には、アキトの魔法の腕が通用しなかったのか?」
シュリの気配を隠す魔法と防音魔法を駆使して逃げて来たにしても、脱出にはアキトの魔法も役立っていると思い込んでいた。
「通用しなかったというか…」
「その盗賊団はそんなに強かったのか?本当に二人とも、怪我は無いんだよな?キースの持っていたポーションを使ったから――とかじゃないんだよな?」
急に心配になってしまった俺は、もう一度そう尋ねてみた。
「えっと、もちろんポーションは持ってるけど、攫われてからは一本も使ってないよ」
「うん、本当に怪我はしてない」
二人して即答でそう答えてくれた事に、俺はふーっと深々と息を吐いた。
「そうか…良かった。すまない、動揺した」
「ううん、心配してくれてありがとう」
「ありがとう、ハル兄」
二人でぎゅーっと手を握ってくれるのが、素直に嬉しい。心配されているのにこんな所で嘘を吐くような二人じゃないから、きっとこれは嘘じゃない。怪我をしなかったなら何よりだ。
「ありがとう。すこし落ち着いた…それで、その盗賊団のやつらは強かったのか?」
「うーん、戦ってないからはっきりした強さは分からないんだよね。見張りの二人は剣はかなり使えそうだったけど…」
見張りの二人の様子を思い出しているのか、アキトはすこし遠くを見つめながらそう答えてくれた。
いや、今気になる事を言ったな。
「戦っていない…?」
「うん」
俺と繋いだままの手を、キースはくいくいと引っ張った。呼ばれたと判断して視線を向ければ、キースは真剣な表情で口を開いた。
「あのね、僕たちが捕まってた部屋には、魔法を使えなくする魔道具があったんだよ」
「なるほど、それで戦ってないに繋がるのか」
それにしてもそんな珍しい魔道具を、なぜ盗賊が持っているのか。それが問題だな。これは裏の繋がりをきちんと調べないと、大変な事になるかもしれない。
「その魔法が使えない場所から、いったいどうやって脱出したんだ?」
「えっと…」
言い難い事なのか言い淀んだアキトとキースを急かすでもなくじっと見つめていると、切り株の向こうからシュリの小さな声が聞こえた。
「ハル、あの…アキトとキースのへやのかべを、ぼくがこわしたの」
「壁を壊した?身体強化の魔法とかか?」
「ううん、えっとたぶんぼくをみたら、わかってくれるとおもうんだけど…」
「みる?」
「えっと、こわがらないでほしいな」
「ああ、怖がらないよ」
ここまでアキトとキースを守ってくれたんだ。俺にとっては怖い要素なんて何も無いからな。約束するよとあっさりと口にした俺に、シュリはそーっと切り株の影から顔を出した。
ああ、なるほど。これは二人がくん付けで呼ぶ筈だな。そこにいたのは、まだ大人とは言い難いサイズのウマだった。人の言葉を喋れるのは珍しいなとは思うが、それだけだ。
「ああ、なるほど。身体強化魔法なんてなくても壁は破壊できるだろうな。改めてはじめまして、シュリ」
「おどろかないの?」
「ああ、別に驚かないな。広い世界には人の言葉がわかるウマぐらいいても不思議じゃない」
「こわがらないの?」
「ああ、別に怖くないからな。大事な家族と伴侶候補を、助けてくれた相手だ」
もし例えシュリの見た目がすごく強そうな魔物だったとしても、二人を助けてここまで無事に連れてきてくれたなら俺が見境なく攻撃する事は無い。
そんな事を考えながら笑って答えれば、シュリはきょとんとしながらもじわじわとこちらへと近づいて来てくれた。まだ完全に警戒を解いてくれたわけではないようだが、すくなくとも姿を見せても良いとは思って貰えたようだ。
「それよりも、二人と一緒に逃げてくれてありがとう。魔法が封じられた部屋から逃げられたのは、シュリのおかげだ」
深々と頭を下げて礼をした俺に、シュリはパチパチと何度も瞬きを繰り返した。
アキトは嬉しそうに笑顔を見せながら、そう教えてくれた。
「そう、すっごいんだよ!」
まるで援護射撃のように隣から声をかけてくるキースも、たまらなく可愛い。
「もしシュリくんが一緒じゃなかったら…俺達はきっとここまで逃げて来れなかったと思う」
元気そうな二人の様子に癒されながら見つめていた俺は、アキトが口にした予想外の言葉に驚いてしまった。
「えっ…!?盗賊団には、アキトの魔法の腕が通用しなかったのか?」
シュリの気配を隠す魔法と防音魔法を駆使して逃げて来たにしても、脱出にはアキトの魔法も役立っていると思い込んでいた。
「通用しなかったというか…」
「その盗賊団はそんなに強かったのか?本当に二人とも、怪我は無いんだよな?キースの持っていたポーションを使ったから――とかじゃないんだよな?」
急に心配になってしまった俺は、もう一度そう尋ねてみた。
「えっと、もちろんポーションは持ってるけど、攫われてからは一本も使ってないよ」
「うん、本当に怪我はしてない」
二人して即答でそう答えてくれた事に、俺はふーっと深々と息を吐いた。
「そうか…良かった。すまない、動揺した」
「ううん、心配してくれてありがとう」
「ありがとう、ハル兄」
二人でぎゅーっと手を握ってくれるのが、素直に嬉しい。心配されているのにこんな所で嘘を吐くような二人じゃないから、きっとこれは嘘じゃない。怪我をしなかったなら何よりだ。
「ありがとう。すこし落ち着いた…それで、その盗賊団のやつらは強かったのか?」
「うーん、戦ってないからはっきりした強さは分からないんだよね。見張りの二人は剣はかなり使えそうだったけど…」
見張りの二人の様子を思い出しているのか、アキトはすこし遠くを見つめながらそう答えてくれた。
いや、今気になる事を言ったな。
「戦っていない…?」
「うん」
俺と繋いだままの手を、キースはくいくいと引っ張った。呼ばれたと判断して視線を向ければ、キースは真剣な表情で口を開いた。
「あのね、僕たちが捕まってた部屋には、魔法を使えなくする魔道具があったんだよ」
「なるほど、それで戦ってないに繋がるのか」
それにしてもそんな珍しい魔道具を、なぜ盗賊が持っているのか。それが問題だな。これは裏の繋がりをきちんと調べないと、大変な事になるかもしれない。
「その魔法が使えない場所から、いったいどうやって脱出したんだ?」
「えっと…」
言い難い事なのか言い淀んだアキトとキースを急かすでもなくじっと見つめていると、切り株の向こうからシュリの小さな声が聞こえた。
「ハル、あの…アキトとキースのへやのかべを、ぼくがこわしたの」
「壁を壊した?身体強化の魔法とかか?」
「ううん、えっとたぶんぼくをみたら、わかってくれるとおもうんだけど…」
「みる?」
「えっと、こわがらないでほしいな」
「ああ、怖がらないよ」
ここまでアキトとキースを守ってくれたんだ。俺にとっては怖い要素なんて何も無いからな。約束するよとあっさりと口にした俺に、シュリはそーっと切り株の影から顔を出した。
ああ、なるほど。これは二人がくん付けで呼ぶ筈だな。そこにいたのは、まだ大人とは言い難いサイズのウマだった。人の言葉を喋れるのは珍しいなとは思うが、それだけだ。
「ああ、なるほど。身体強化魔法なんてなくても壁は破壊できるだろうな。改めてはじめまして、シュリ」
「おどろかないの?」
「ああ、別に驚かないな。広い世界には人の言葉がわかるウマぐらいいても不思議じゃない」
「こわがらないの?」
「ああ、別に怖くないからな。大事な家族と伴侶候補を、助けてくれた相手だ」
もし例えシュリの見た目がすごく強そうな魔物だったとしても、二人を助けてここまで無事に連れてきてくれたなら俺が見境なく攻撃する事は無い。
そんな事を考えながら笑って答えれば、シュリはきょとんとしながらもじわじわとこちらへと近づいて来てくれた。まだ完全に警戒を解いてくれたわけではないようだが、すくなくとも姿を見せても良いとは思って貰えたようだ。
「それよりも、二人と一緒に逃げてくれてありがとう。魔法が封じられた部屋から逃げられたのは、シュリのおかげだ」
深々と頭を下げて礼をした俺に、シュリはパチパチと何度も瞬きを繰り返した。
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