985 / 1,103
984.廊下を歩きながら
しおりを挟む
この後はハルの家族のみんなと一緒に朝食を食べる予定なんだけど、俺とハル、それにジルさんとウィリアムさんは、それぞれが一度自分たちの部屋へと戻る事に決まった。
浄化魔法があるから汗も砂ぼこりも一瞬で綺麗になるんだけど、やっぱり服は着替えたいってハルとウィリアムさんが言うんだ。
なんでも二人が着ていたウェルマール騎士団の訓練服って、普段は本当に訓練の時しか着ないものなんだって。ハルにすっごく似合ってて格好良かった、あの黒い訓練服ね。
「え、そうなんだ?」
「確かにあれは、訓練の時しか着ませんね」
ジルさんも所属しているのは騎士団だから同じ服を持っているらしく、気持ちは分かりますと納得顔で頷いている。
「これはあくまで感覚の話しになっちゃうんだけど…あの服だと、落ち着いて食事は取れないような気がするんだよねー」
ウィリアムさんが困り顔でそう告げれば、ハルもうんうんと頷いた。
「ああ、俺も同じ意見だよ。気分が切り替えられないって感じがするんだ…この後も訓練があるような気になるというか…」
「うんうん、まさにそれだね!」
ついさっきまで訓練を頑張っていた二人がそう言うなら、俺とジルさんに文句なんてあるわけが無い。
まだ朝食の時間まではすこし時間もあるし、それぞれ部屋に戻って着替えてからまた食堂で集合しようって話しになったんだ。
「それじゃあ、ハル、アキトくん、また後でねー」
「後ほど、食堂でお会いしましょう」
ニコニコ嬉しそうなウィリアムさんと優しく微笑んだジルさんの声かけに、俺とハルも笑顔ですぐに頷いた。
「ああ、また後で」
「はい!ジルさん、お誘いありがとうございました!」
仲良く並んで歩くジルさんとウィリアムさんを見送ってから、俺達も二人並んで歩き出す。見学場所に向かうまでに通ったのは裏の廊下だったけど、今進んでいるのは表の廊下の方だ。
いつもと違う廊下でここまで来てるから、今いる場所がよく分からないんだよね。さてここはいったいどこの廊下だろう?
目印になるものでも無いかなと無意識のうちに視線をうろうろと彷徨わせていたんだけど、不意にハルが尋ねてきた。
「アキト、答えたくなかったら答えなくて良いんだけどね…?」
「え、うん、何?」
そんな前振りをされると、どんな質問が来るんだろうって思わず身構えちゃうよね。
歩きながらそっとハルに目線を向ければ、そこには悪戯っぽい笑みが浮かんでいた。
「…もしかして、見学する場所に向かう時に裏の廊下も…通った?」
「あ、うん!通った!よくわかったね!」
俺そんなに分かりやすかった?と首を傾げれば、ハルは楽し気に笑って答えた。
「最近はこの城にも詳しくなってきたアキトが、ここはどこだろうって感じで視線を彷徨わせてたからね」
「えー、そんな事で分かっちゃったんだ」
「裏の廊下はもう少し慣れたら教えようかと思ってたんだけど…かなり複雑だったでしょ?」
「うん、ボルトさんすごいなーって思いながら案内してもらってた」
もし教えてもらっても、あの廊下はとても覚えれる気がしないとは言わなかった。だって幼い頃のハルも覚えたんだもんね。俺もできるだけ頑張りたい。
「ボルトはあの廊下にもかなり詳しいからね」
「え、でもハルも詳しいんでしょ?ファーガスさんとウィリアムさんに体格で負けてたまだちっちゃい頃に、裏の廊下を覚えて対抗してたって話し、聞いたよ?」
そう声をかければ、ハルは少しだけ照れくさそうな表情を浮かべた。
「あー…その話ね」
「あんなに複雑そうな廊下なのにちっちゃい頃に覚えたとか、ハルってやっぱりすごいね」
「うん、えっと…ありがとう」
そんなにまっすぐに褒められると照れると、ハルは恥ずかしそうに視線を反らしながらぽつりとそう続けた。
えー、何その反応、可愛いな。抱き着きたい気持ちをぐぐっと堪えて、俺は口を開いた。
「えっと、もしハルさえ良ければ、裏の廊下の事もっと教えてくれると嬉しい」
さっきもう少し慣れたら教えようと思ってたって言ってたから、聞いても大丈夫なんだよね?確認も込めて尋ねてみれば、ハルはすぐにああと頷いてくれた。
「そうだね。もしもの時のためにも覚えておいて損は無いから、まずはいくつか使いやすそうなのを絞り込んで教えるよ」
「うん、お願い!」
あの裏の廊下の複雑な構造も、ハルが教えてくれるなら気合で覚えられそうな気がするよ。
浄化魔法があるから汗も砂ぼこりも一瞬で綺麗になるんだけど、やっぱり服は着替えたいってハルとウィリアムさんが言うんだ。
なんでも二人が着ていたウェルマール騎士団の訓練服って、普段は本当に訓練の時しか着ないものなんだって。ハルにすっごく似合ってて格好良かった、あの黒い訓練服ね。
「え、そうなんだ?」
「確かにあれは、訓練の時しか着ませんね」
ジルさんも所属しているのは騎士団だから同じ服を持っているらしく、気持ちは分かりますと納得顔で頷いている。
「これはあくまで感覚の話しになっちゃうんだけど…あの服だと、落ち着いて食事は取れないような気がするんだよねー」
ウィリアムさんが困り顔でそう告げれば、ハルもうんうんと頷いた。
「ああ、俺も同じ意見だよ。気分が切り替えられないって感じがするんだ…この後も訓練があるような気になるというか…」
「うんうん、まさにそれだね!」
ついさっきまで訓練を頑張っていた二人がそう言うなら、俺とジルさんに文句なんてあるわけが無い。
まだ朝食の時間まではすこし時間もあるし、それぞれ部屋に戻って着替えてからまた食堂で集合しようって話しになったんだ。
「それじゃあ、ハル、アキトくん、また後でねー」
「後ほど、食堂でお会いしましょう」
ニコニコ嬉しそうなウィリアムさんと優しく微笑んだジルさんの声かけに、俺とハルも笑顔ですぐに頷いた。
「ああ、また後で」
「はい!ジルさん、お誘いありがとうございました!」
仲良く並んで歩くジルさんとウィリアムさんを見送ってから、俺達も二人並んで歩き出す。見学場所に向かうまでに通ったのは裏の廊下だったけど、今進んでいるのは表の廊下の方だ。
いつもと違う廊下でここまで来てるから、今いる場所がよく分からないんだよね。さてここはいったいどこの廊下だろう?
目印になるものでも無いかなと無意識のうちに視線をうろうろと彷徨わせていたんだけど、不意にハルが尋ねてきた。
「アキト、答えたくなかったら答えなくて良いんだけどね…?」
「え、うん、何?」
そんな前振りをされると、どんな質問が来るんだろうって思わず身構えちゃうよね。
歩きながらそっとハルに目線を向ければ、そこには悪戯っぽい笑みが浮かんでいた。
「…もしかして、見学する場所に向かう時に裏の廊下も…通った?」
「あ、うん!通った!よくわかったね!」
俺そんなに分かりやすかった?と首を傾げれば、ハルは楽し気に笑って答えた。
「最近はこの城にも詳しくなってきたアキトが、ここはどこだろうって感じで視線を彷徨わせてたからね」
「えー、そんな事で分かっちゃったんだ」
「裏の廊下はもう少し慣れたら教えようかと思ってたんだけど…かなり複雑だったでしょ?」
「うん、ボルトさんすごいなーって思いながら案内してもらってた」
もし教えてもらっても、あの廊下はとても覚えれる気がしないとは言わなかった。だって幼い頃のハルも覚えたんだもんね。俺もできるだけ頑張りたい。
「ボルトはあの廊下にもかなり詳しいからね」
「え、でもハルも詳しいんでしょ?ファーガスさんとウィリアムさんに体格で負けてたまだちっちゃい頃に、裏の廊下を覚えて対抗してたって話し、聞いたよ?」
そう声をかければ、ハルは少しだけ照れくさそうな表情を浮かべた。
「あー…その話ね」
「あんなに複雑そうな廊下なのにちっちゃい頃に覚えたとか、ハルってやっぱりすごいね」
「うん、えっと…ありがとう」
そんなにまっすぐに褒められると照れると、ハルは恥ずかしそうに視線を反らしながらぽつりとそう続けた。
えー、何その反応、可愛いな。抱き着きたい気持ちをぐぐっと堪えて、俺は口を開いた。
「えっと、もしハルさえ良ければ、裏の廊下の事もっと教えてくれると嬉しい」
さっきもう少し慣れたら教えようと思ってたって言ってたから、聞いても大丈夫なんだよね?確認も込めて尋ねてみれば、ハルはすぐにああと頷いてくれた。
「そうだね。もしもの時のためにも覚えておいて損は無いから、まずはいくつか使いやすそうなのを絞り込んで教えるよ」
「うん、お願い!」
あの裏の廊下の複雑な構造も、ハルが教えてくれるなら気合で覚えられそうな気がするよ。
694
お気に入りに追加
4,148
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
氷の華を溶かしたら
こむぎダック
BL
ラリス王国。
男女問わず、子供を産む事ができる世界。
前世の記憶を残したまま、転生を繰り返して来たキャニス。何度生まれ変わっても、誰からも愛されず、裏切られることに疲れ切ってしまったキャニスは、今世では、誰も愛さず何も期待しないと心に決め、笑わない氷華の貴公子と言われる様になった。
ラリス王国の第一王子ナリウスの婚約者として、王子妃教育を受けて居たが、手癖の悪い第一王子から、冷たい態度を取られ続け、とうとう婚約破棄に。
そして、密かにキャニスに、想いを寄せて居た第二王子カリストが、キャニスへの贖罪と初恋を実らせる為に奔走し始める。
その頃、母国の騒ぎから逃れ、隣国に滞在していたキャニスは、隣国の王子シェルビーからの熱烈な求愛を受けることに。
初恋を拗らせたカリストとシェルビー。
キャニスの氷った心を溶かす事ができるのは、どちらか?
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる