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920.六日目の予定は
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滞在六日目の昨日は、ハルと一緒に二人で街へとでかけた。
せっかくのおでかけだから途中は色々な所に立ち寄ったりもしたんだけど、今回の外出の一番の目的はケンとレイさんのあの木彫りのお店だった。
俺がケンとレイさんに会いたいって言ったから…とかじゃないんだよ。今回お店に行きたいと言い出したのは、予想外にもハルだったんだ。
その理由は、まさかの二人に依頼したい物があるから。
何を頼むの?って興味本位で聞いてみたんだけど、頼みたいのはハルじゃないんだって言われて、俺はびっくりした。
「え、じゃあ誰の依頼?」
「父と兄二人だね」
「え、ケイリーさんとファーガスさんと…ウィリアムさんも?」
きっかけはどうやら、ハルがケンとレイさんの作っている木彫りの話をした事だったらしい。
最初にその場にいたのはケイリーさんと、ファーガスさんだったそうだ。
「あ、もちろん、ケンさんがアキトと同郷だとは言ってないよ?ただたまたま見かけた木彫りがすごかった事と、店主とアキトの気があって友人になったんだって教えたんだ」
領主一家の皆は異世界人だって隠さなくて良い相手だと俺は思ってるけど、勝手に人の秘密を教えるのはよくないもんね。
「その友人は問題が無さそうな相手なのかって、まず問い詰められたけどね」
アキトが心配だってあまりにも言うから、大通りの店の店主だよって話したんだとハルは続けた。
「大通りなら大丈夫だな」
「ああ、それなら安心だ」
二人はそう言ってふうと息を吐いてから、俺に友人ができた事を心から喜んでくれたらしい。俺がいない場所でもそんな風に心配してくれてるんだって知って、なんだか胸が温かくなった。
「それでね、俺がすごいとまで言う木彫りはどんな物だって聞かれたから、本物のような枯れない花があるんだと言ったんだ」
彩色もされていて今までに見た事のない新しい木彫りだと、きちんと言葉を尽くして説明したらしい。
それは花の種類も注文できるだろうか?と最初にそう言い出したのは、ケイリーさんだったらしい。
ハルが注文を受けて作っていると言っていたから可能だと思うと答えれば、ファーガスさんも俺も注文したいと言い出したそうだ。
「あれ?でもウィリアムさんはその場にはいなかったんでしょ?」
たしか部屋にはケイリーさんとファーガスさんしかいなかったって言ってたはずだよね。俺は首を傾げながら、そう尋ねた。
「それがね…すぐにファーガス兄さんが部屋から飛び出して、連れて帰ってきたんだ」
「え…」
ファーガスさんいわく、ここで仲間外れにしたら後が怖いから…らしい。ちゃっかりウィリアムさんとキースくんを小脇に抱えて帰ってきたそうだ。
キースくんはともかく、ウィリアムさんも小脇に抱えられちゃったんだ…。見たかったような、見たくないような。
「そこからはもう三人でどの花にするかの相談が始まってね」
ちなみにキースくんは連れてこられたものの、花を贈る相手がいないからとりあえず今回は依頼はしないらしい。
贈られたものを後で見せて貰って気に入ったら、自分も頼みたいと話していたらしい。
「というわけで、贈り物の依頼をしに行きたいんだ」
「そういう事なら喜んで」
そんな会話をしてから、俺達はケンとレイさんのお店へと足を運んだんだ。
俺達の来店を来てくれたのかと嬉しそうに喜んでくれていた二人は、ハルが切り出した依頼の話に驚いた様子で顔色を変えた。
まさか辺境では伝説とも言える領主様その人から、依頼が来るとは思ってなかったんだって。それはそうだよね。
「え、どうしようレイ!」
「どうしようって名誉な事だから受けるに決まってるだろう、ケン!」
「そうだよね!ハルさん、依頼受けます!」
あわあわと焦りつつも依頼を受けてくれた二人に、ハルは苦笑しながら尋ねた。
「えーと…まず、依頼の期日や報酬はそれで大丈夫か?」
「うん、納期もだいぶ余裕を見てくれてるし三つならこの期日で大丈夫…って、待って。ちょっと待って。この報酬はちょっと多すぎない?」
「そんな値段なのか…ってこれは多い!ハルさん、これは多いよ!」
うちこんな値段を取るような高級店じゃないよと慌てた二人に対して、ハルは苦笑しながら答えた。
「そう言われるかもしれないとは思っていたんだが…うちの家族が伴侶への贈り物にするものにつけた値段だと思って受け取ってくれ」
後から文句は言わないからと続けたハルに、レイさんは期待が重いと少し困り顔だったけど、ケンは逆に気合が入ったと笑っていた。
うん、ケンってこう見えて肝が据わってるよね。
「それにしても…まさか領主様一家に、うちの木彫りを贈り物に使って頂ける日が来るとはな…」
ぽつりとそうつぶやいたレイさんは、俺も全力で彩色するとケンに向かって宣言した。
せっかくのおでかけだから途中は色々な所に立ち寄ったりもしたんだけど、今回の外出の一番の目的はケンとレイさんのあの木彫りのお店だった。
俺がケンとレイさんに会いたいって言ったから…とかじゃないんだよ。今回お店に行きたいと言い出したのは、予想外にもハルだったんだ。
その理由は、まさかの二人に依頼したい物があるから。
何を頼むの?って興味本位で聞いてみたんだけど、頼みたいのはハルじゃないんだって言われて、俺はびっくりした。
「え、じゃあ誰の依頼?」
「父と兄二人だね」
「え、ケイリーさんとファーガスさんと…ウィリアムさんも?」
きっかけはどうやら、ハルがケンとレイさんの作っている木彫りの話をした事だったらしい。
最初にその場にいたのはケイリーさんと、ファーガスさんだったそうだ。
「あ、もちろん、ケンさんがアキトと同郷だとは言ってないよ?ただたまたま見かけた木彫りがすごかった事と、店主とアキトの気があって友人になったんだって教えたんだ」
領主一家の皆は異世界人だって隠さなくて良い相手だと俺は思ってるけど、勝手に人の秘密を教えるのはよくないもんね。
「その友人は問題が無さそうな相手なのかって、まず問い詰められたけどね」
アキトが心配だってあまりにも言うから、大通りの店の店主だよって話したんだとハルは続けた。
「大通りなら大丈夫だな」
「ああ、それなら安心だ」
二人はそう言ってふうと息を吐いてから、俺に友人ができた事を心から喜んでくれたらしい。俺がいない場所でもそんな風に心配してくれてるんだって知って、なんだか胸が温かくなった。
「それでね、俺がすごいとまで言う木彫りはどんな物だって聞かれたから、本物のような枯れない花があるんだと言ったんだ」
彩色もされていて今までに見た事のない新しい木彫りだと、きちんと言葉を尽くして説明したらしい。
それは花の種類も注文できるだろうか?と最初にそう言い出したのは、ケイリーさんだったらしい。
ハルが注文を受けて作っていると言っていたから可能だと思うと答えれば、ファーガスさんも俺も注文したいと言い出したそうだ。
「あれ?でもウィリアムさんはその場にはいなかったんでしょ?」
たしか部屋にはケイリーさんとファーガスさんしかいなかったって言ってたはずだよね。俺は首を傾げながら、そう尋ねた。
「それがね…すぐにファーガス兄さんが部屋から飛び出して、連れて帰ってきたんだ」
「え…」
ファーガスさんいわく、ここで仲間外れにしたら後が怖いから…らしい。ちゃっかりウィリアムさんとキースくんを小脇に抱えて帰ってきたそうだ。
キースくんはともかく、ウィリアムさんも小脇に抱えられちゃったんだ…。見たかったような、見たくないような。
「そこからはもう三人でどの花にするかの相談が始まってね」
ちなみにキースくんは連れてこられたものの、花を贈る相手がいないからとりあえず今回は依頼はしないらしい。
贈られたものを後で見せて貰って気に入ったら、自分も頼みたいと話していたらしい。
「というわけで、贈り物の依頼をしに行きたいんだ」
「そういう事なら喜んで」
そんな会話をしてから、俺達はケンとレイさんのお店へと足を運んだんだ。
俺達の来店を来てくれたのかと嬉しそうに喜んでくれていた二人は、ハルが切り出した依頼の話に驚いた様子で顔色を変えた。
まさか辺境では伝説とも言える領主様その人から、依頼が来るとは思ってなかったんだって。それはそうだよね。
「え、どうしようレイ!」
「どうしようって名誉な事だから受けるに決まってるだろう、ケン!」
「そうだよね!ハルさん、依頼受けます!」
あわあわと焦りつつも依頼を受けてくれた二人に、ハルは苦笑しながら尋ねた。
「えーと…まず、依頼の期日や報酬はそれで大丈夫か?」
「うん、納期もだいぶ余裕を見てくれてるし三つならこの期日で大丈夫…って、待って。ちょっと待って。この報酬はちょっと多すぎない?」
「そんな値段なのか…ってこれは多い!ハルさん、これは多いよ!」
うちこんな値段を取るような高級店じゃないよと慌てた二人に対して、ハルは苦笑しながら答えた。
「そう言われるかもしれないとは思っていたんだが…うちの家族が伴侶への贈り物にするものにつけた値段だと思って受け取ってくれ」
後から文句は言わないからと続けたハルに、レイさんは期待が重いと少し困り顔だったけど、ケンは逆に気合が入ったと笑っていた。
うん、ケンってこう見えて肝が据わってるよね。
「それにしても…まさか領主様一家に、うちの木彫りを贈り物に使って頂ける日が来るとはな…」
ぽつりとそうつぶやいたレイさんは、俺も全力で彩色するとケンに向かって宣言した。
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