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まさかハルが名前を名乗っただけで、ここまでの大騒ぎになるとは想像もしてなかったな。
さすがにハルも予想外だったのかすこし慌ててはいたけど、すぐに立ち直って二人を宥めてくれたんだ。そういう切り替えが早い所も、頼り甲斐があって大好きだ。
ハルが優しい声で説得したおかげで、二人はなんとか落ち着きを取り戻してくれたんだよね。
「あー、とりあえず俺の正体は分かっただろうし、防音結界を作動して良いかな?」
まずはこれを設置したいと魔道具を取り出したハルがそう尋ねれば、レイさんはハイッと即答を返した。
「これ以上ないぐらい信頼できるお方だとはっきりと分かりましたので、どうぞご自由にお使い下さい!」
ピンっと背筋を伸ばしたレイさんの言葉に、ハルは苦笑しながら答える。
「えっと…別に堅苦しい話し方は、しなくて良いからな?」
「…今はまだ…普通に話すのは無理、です…」
いや気持ち的には無理だけど言われたからには何とかしないととでも考えたのか、レイさんの顔色が一気に悪くなった。
「あ、いや別に無理して普通に話さなくても良いんだが…」
「あ、ありがとうございます!」
お礼を口にしたレイさんは、明らかにぎこちない動きでぺこりと頭を下げた。動揺しすぎでどうしてあげたら良いのか分からない。
慣れた様子で防音結界を作動させてくれているハルからそっと目を外せば、動揺しているレイさんを見つめてうっすらと笑っているケンの姿が目に入った。
レイさんは明らかにまだショックを引きずってるみたいだけど、ケンはもうすっかり普通だな。何なら動揺するレイさんの事を、可愛いとか思ってそうなそんな余裕のある表情だ。
もしかしたらさっきの大騒ぎも本気で焦ってたというより、ケンはただあのやりとりを面白がってただけなのかもしれない。
「よし、二人とももう話して良いよ」
無事に魔道具の設置を終えたハルが、俺達に向けてそう声をかけてくれた。
まあショックを受けてないなら良いかと、俺は普通にケンに話しかけた。
「ね、ケンってどこの国出身なの?」
「ん?俺はねー」
普通に答えてくれそうなケンに、俺は慌ててハイッと手をあげた。
「折角だし、同時に言わない?」
「ああ、それは良いな!よーしいくぞー」
せーのと声を合わせてから、俺とケンは揃って口を開いた。
「「日本!」」
「おおーやっぱり同郷か!」
「ゲーミングが分かる時点でそうかなーと思ってたけど、嬉しい!」
「あの七色っぷりはゲーミング野菜だよな?」
「うんうん、あれはすごいゲーミングっぷりだった!」
あ、思わずはしゃいでしまったけど、まずは自己紹介からしたほうが良かったかな。
「あ、俺、フルネームはヒイラギ アキトです」
「お、俺はトキ ケンタだ」
どんな漢字?なんて二人で言い合って、ケンが取り出して渡してくれた紙に漢字で名前を書きあってみる。
俺の苗字はとげとげ葉っぱが特徴の木の柊なんだけど、ケンのトキって苗字は土岐と書くらしい。
二人でわいわいと盛り上がっているのを、ハルとレイさんは何も言わずにただ見守ってくれている。漢字に興味津々みたいですごく視線を感じるんだけど、多分二人とも俺達の交流の邪魔をしないようにって気を使ってくれてるんだと思う。
優しい人達だ。
「あ、そういえばレイ、レイだけちゃんと名乗ってなくない?」
ケンは唐突にそう言うと、レイさんをじっと見つめた。
「…名乗ってなかったな…なんという失態…」
がくりと肩を落としたレイさんに、ケンは笑って答える。
「はいはい、落ち込むのは後にして、自己紹介!」
「えー、アキト様、ハロルド様、俺の名前はレイース・テルカーといいます。以前は衛兵団にいたんですが、今はケンと一緒にこの店をやっています」
元衛兵の人なのか。だからレイさんはさっきからあんなにぎこちないんだろうか。
「へぇ…衛兵団にいたのか!どこの隊だ?」
ハルは衛兵と聞いて、すぐさまそう尋ねた。
「所属はプレール隊でした!」
「ああ、プレールの所か。それじゃあ実力派の場所だな」
「隊へのお誉めの言葉ありがとうございます!」
なんか、市場で会話してた時の印象と全然違うんだけど、レイさん大丈夫だろうか。
さすがにハルも予想外だったのかすこし慌ててはいたけど、すぐに立ち直って二人を宥めてくれたんだ。そういう切り替えが早い所も、頼り甲斐があって大好きだ。
ハルが優しい声で説得したおかげで、二人はなんとか落ち着きを取り戻してくれたんだよね。
「あー、とりあえず俺の正体は分かっただろうし、防音結界を作動して良いかな?」
まずはこれを設置したいと魔道具を取り出したハルがそう尋ねれば、レイさんはハイッと即答を返した。
「これ以上ないぐらい信頼できるお方だとはっきりと分かりましたので、どうぞご自由にお使い下さい!」
ピンっと背筋を伸ばしたレイさんの言葉に、ハルは苦笑しながら答える。
「えっと…別に堅苦しい話し方は、しなくて良いからな?」
「…今はまだ…普通に話すのは無理、です…」
いや気持ち的には無理だけど言われたからには何とかしないととでも考えたのか、レイさんの顔色が一気に悪くなった。
「あ、いや別に無理して普通に話さなくても良いんだが…」
「あ、ありがとうございます!」
お礼を口にしたレイさんは、明らかにぎこちない動きでぺこりと頭を下げた。動揺しすぎでどうしてあげたら良いのか分からない。
慣れた様子で防音結界を作動させてくれているハルからそっと目を外せば、動揺しているレイさんを見つめてうっすらと笑っているケンの姿が目に入った。
レイさんは明らかにまだショックを引きずってるみたいだけど、ケンはもうすっかり普通だな。何なら動揺するレイさんの事を、可愛いとか思ってそうなそんな余裕のある表情だ。
もしかしたらさっきの大騒ぎも本気で焦ってたというより、ケンはただあのやりとりを面白がってただけなのかもしれない。
「よし、二人とももう話して良いよ」
無事に魔道具の設置を終えたハルが、俺達に向けてそう声をかけてくれた。
まあショックを受けてないなら良いかと、俺は普通にケンに話しかけた。
「ね、ケンってどこの国出身なの?」
「ん?俺はねー」
普通に答えてくれそうなケンに、俺は慌ててハイッと手をあげた。
「折角だし、同時に言わない?」
「ああ、それは良いな!よーしいくぞー」
せーのと声を合わせてから、俺とケンは揃って口を開いた。
「「日本!」」
「おおーやっぱり同郷か!」
「ゲーミングが分かる時点でそうかなーと思ってたけど、嬉しい!」
「あの七色っぷりはゲーミング野菜だよな?」
「うんうん、あれはすごいゲーミングっぷりだった!」
あ、思わずはしゃいでしまったけど、まずは自己紹介からしたほうが良かったかな。
「あ、俺、フルネームはヒイラギ アキトです」
「お、俺はトキ ケンタだ」
どんな漢字?なんて二人で言い合って、ケンが取り出して渡してくれた紙に漢字で名前を書きあってみる。
俺の苗字はとげとげ葉っぱが特徴の木の柊なんだけど、ケンのトキって苗字は土岐と書くらしい。
二人でわいわいと盛り上がっているのを、ハルとレイさんは何も言わずにただ見守ってくれている。漢字に興味津々みたいですごく視線を感じるんだけど、多分二人とも俺達の交流の邪魔をしないようにって気を使ってくれてるんだと思う。
優しい人達だ。
「あ、そういえばレイ、レイだけちゃんと名乗ってなくない?」
ケンは唐突にそう言うと、レイさんをじっと見つめた。
「…名乗ってなかったな…なんという失態…」
がくりと肩を落としたレイさんに、ケンは笑って答える。
「はいはい、落ち込むのは後にして、自己紹介!」
「えー、アキト様、ハロルド様、俺の名前はレイース・テルカーといいます。以前は衛兵団にいたんですが、今はケンと一緒にこの店をやっています」
元衛兵の人なのか。だからレイさんはさっきからあんなにぎこちないんだろうか。
「へぇ…衛兵団にいたのか!どこの隊だ?」
ハルは衛兵と聞いて、すぐさまそう尋ねた。
「所属はプレール隊でした!」
「ああ、プレールの所か。それじゃあ実力派の場所だな」
「隊へのお誉めの言葉ありがとうございます!」
なんか、市場で会話してた時の印象と全然違うんだけど、レイさん大丈夫だろうか。
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