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861.みんなで朝食を
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ハルの手を借りて、ようやく俺はふわふわの雲のようなベッドから降りることができた。
ふわふわすぎて降りるのが難しいなんて、初めての体験だった。
これは多分ちょっと寝転がっただけのつもりでも、思いっきり熟睡しちゃいそうなベッドだな。すごく寝心地は良かったけど、気をつけないと。
そんなことを考えながらベッドを眺めてしまった。
「あ、そうだ。もし良ければ今朝の朝食を一緒にどうだろうかと聞かれているんだけど、どうする?」
ウィリアムさんとジルさんは普段は領主城のなかにある別邸に住んでいるらしいんだけど、昨日は泊まりだったからまだここにいるんだって。
だから昨日顔合わせをしたみんなが朝から全員揃うというめったにない機会らしい。
「もちろん、参加したいな!」
笑顔を浮かべて即答した俺に、ハルは嬉しそうにふわりと笑ってからもう一度ドアを開けた。俺の位置からは誰も見えないけど、どうやらそこに誰かが立っているみたいだ。
「アキトも俺も、朝食に参加すると伝えてもらえるかな」
「はい、かしこまりました」
穏やかな声で答えたその人は、足音も立てずに去っていった。もしかしたら護衛の人とかだったのかもしれないな。
「よし、伝言はできたし用意をしようか」
今日も浄化魔法を全力で駆使して、ささっと手早く身支度を整えた。
普通の服で問題ないよと言われたから、今日は俺もハルも普段とあまり変わらないようなラフな服装だ。
案内役のメイドさんの背中を追って、ハルと二人並んで廊下を歩く。
今から向かうのは昨日の飾り付けられた広間ではなく、顔合わせをしたあの部屋らしい。あそこは家族のための応接室なんだよとハルから説明を受けながら歩けば、すぐに部屋の前へとたどり着いた。
「ちょっと待って」
ドアに手をかけたメイドさんに声をかけたハルは、くるりと俺に向き直った。
「アキト、先に言っておきたいんだけど…この部屋に入ったら、きっと…その、いっぱい抱き着かれる事になると思うんだ…」
あー、ウィリアムさんの時に俺が嫉妬しちゃったから、わざわざ気にして教えてくれたのか。
あの時はウィリアムさんがお兄さんだなんて知らなかったから、いきなり抱きついたのを見て元恋人かと勘違いしたんだよね。
昨日はそんな事なかったけど、ハルの家族はスキンシップが多めだって聞いてるしちゃんと分かってるよ。
「今はちゃんと分かってるから大丈夫だよ」
「よし、それじゃあアキト、心の準備は良い?」
ハルの質問に俺はこくりと頷いた。あの時と今とは状況が全く違うからね。
ここにいるのはハルの家族だってちゃんと分かってるから、いくらハルが抱き着かれてるのを見てもも嫉妬したりしない。
「もし無理だってなったら、いつでも言ってね」
心配そうなハルがそう言いながらドアを開いた瞬間、目にも止まらぬ早さで中から人が飛び出してきた。
えっと思う間も無く、あっという間にむぎゅーっと両腕を使って抱きしめられていた。
「ウィル兄!急に抱き着くな!アキトが驚くだろう!」
「えー昨日は顔合わせだからって我慢したんだよ?伴侶候補ならもう家族も同然だから良いでしょー」
あ、今俺を抱きしめてるのってウィリアムさんなんだ。それすら見えなかったんだよね。
「ウィル兄、ジルさんが妬くぞ?」
そう言えば手を離すだろう考えたハルの言葉に、部屋の中から現れたジルさんは笑って答えた。
「妬かないですよ。私もアキトさんを抱きしめても良いですか?」
上から顔を覗き込んできたジルさんは、律儀にも言葉にしてそう尋ねてくれる。
ちょっと照れくさいけど、別に嫌なわけじゃない。だからぎこちないながらもコクリと頷けば、ウィリアムさんごと優しく抱きしめられた。
「あー、ずるい!私も抱き着きたい!」
そう叫んだのはグレースさんで、ジルさんとウィリアムさんが俺から離れた瞬間、素早く近づいてきあつ抱きしめられた。
「僕もー!」
そんな声を上げながら控え目に腰の辺りに抱き着いてきてくれたのは、今朝もやっぱり天使なキースくんだ。
それにしても…抱き着かれるのってハルじゃなくて俺だったんだ…ね?てっきりハルに抱き着くんだと思ってたよ。
あ、よくよく見たらハルもハグ自体はされてるのか。ただ俺への勢いと比べたらかなり控えめに感じる。
こんな風にハグをされるのに慣れていないからちょっとくすぐったいし照れくさいけど、優しく抱きしめられると自然と笑顔になってしまう。
本当に家族扱いしてくれるんだな。そう思うと、なんだか胸がぽかぽかしてくる。
「グレース、キース、まだ終わらないのかい?」
抱き着かれたまま視線をあげれば、グレースさんの後ろにはケイリーさん、さらにその後ろにはファーガスさんとマチルダさんが並んで立っていた。
え、ハグの待機列ができてる…!?
ふわふわすぎて降りるのが難しいなんて、初めての体験だった。
これは多分ちょっと寝転がっただけのつもりでも、思いっきり熟睡しちゃいそうなベッドだな。すごく寝心地は良かったけど、気をつけないと。
そんなことを考えながらベッドを眺めてしまった。
「あ、そうだ。もし良ければ今朝の朝食を一緒にどうだろうかと聞かれているんだけど、どうする?」
ウィリアムさんとジルさんは普段は領主城のなかにある別邸に住んでいるらしいんだけど、昨日は泊まりだったからまだここにいるんだって。
だから昨日顔合わせをしたみんなが朝から全員揃うというめったにない機会らしい。
「もちろん、参加したいな!」
笑顔を浮かべて即答した俺に、ハルは嬉しそうにふわりと笑ってからもう一度ドアを開けた。俺の位置からは誰も見えないけど、どうやらそこに誰かが立っているみたいだ。
「アキトも俺も、朝食に参加すると伝えてもらえるかな」
「はい、かしこまりました」
穏やかな声で答えたその人は、足音も立てずに去っていった。もしかしたら護衛の人とかだったのかもしれないな。
「よし、伝言はできたし用意をしようか」
今日も浄化魔法を全力で駆使して、ささっと手早く身支度を整えた。
普通の服で問題ないよと言われたから、今日は俺もハルも普段とあまり変わらないようなラフな服装だ。
案内役のメイドさんの背中を追って、ハルと二人並んで廊下を歩く。
今から向かうのは昨日の飾り付けられた広間ではなく、顔合わせをしたあの部屋らしい。あそこは家族のための応接室なんだよとハルから説明を受けながら歩けば、すぐに部屋の前へとたどり着いた。
「ちょっと待って」
ドアに手をかけたメイドさんに声をかけたハルは、くるりと俺に向き直った。
「アキト、先に言っておきたいんだけど…この部屋に入ったら、きっと…その、いっぱい抱き着かれる事になると思うんだ…」
あー、ウィリアムさんの時に俺が嫉妬しちゃったから、わざわざ気にして教えてくれたのか。
あの時はウィリアムさんがお兄さんだなんて知らなかったから、いきなり抱きついたのを見て元恋人かと勘違いしたんだよね。
昨日はそんな事なかったけど、ハルの家族はスキンシップが多めだって聞いてるしちゃんと分かってるよ。
「今はちゃんと分かってるから大丈夫だよ」
「よし、それじゃあアキト、心の準備は良い?」
ハルの質問に俺はこくりと頷いた。あの時と今とは状況が全く違うからね。
ここにいるのはハルの家族だってちゃんと分かってるから、いくらハルが抱き着かれてるのを見てもも嫉妬したりしない。
「もし無理だってなったら、いつでも言ってね」
心配そうなハルがそう言いながらドアを開いた瞬間、目にも止まらぬ早さで中から人が飛び出してきた。
えっと思う間も無く、あっという間にむぎゅーっと両腕を使って抱きしめられていた。
「ウィル兄!急に抱き着くな!アキトが驚くだろう!」
「えー昨日は顔合わせだからって我慢したんだよ?伴侶候補ならもう家族も同然だから良いでしょー」
あ、今俺を抱きしめてるのってウィリアムさんなんだ。それすら見えなかったんだよね。
「ウィル兄、ジルさんが妬くぞ?」
そう言えば手を離すだろう考えたハルの言葉に、部屋の中から現れたジルさんは笑って答えた。
「妬かないですよ。私もアキトさんを抱きしめても良いですか?」
上から顔を覗き込んできたジルさんは、律儀にも言葉にしてそう尋ねてくれる。
ちょっと照れくさいけど、別に嫌なわけじゃない。だからぎこちないながらもコクリと頷けば、ウィリアムさんごと優しく抱きしめられた。
「あー、ずるい!私も抱き着きたい!」
そう叫んだのはグレースさんで、ジルさんとウィリアムさんが俺から離れた瞬間、素早く近づいてきあつ抱きしめられた。
「僕もー!」
そんな声を上げながら控え目に腰の辺りに抱き着いてきてくれたのは、今朝もやっぱり天使なキースくんだ。
それにしても…抱き着かれるのってハルじゃなくて俺だったんだ…ね?てっきりハルに抱き着くんだと思ってたよ。
あ、よくよく見たらハルもハグ自体はされてるのか。ただ俺への勢いと比べたらかなり控えめに感じる。
こんな風にハグをされるのに慣れていないからちょっとくすぐったいし照れくさいけど、優しく抱きしめられると自然と笑顔になってしまう。
本当に家族扱いしてくれるんだな。そう思うと、なんだか胸がぽかぽかしてくる。
「グレース、キース、まだ終わらないのかい?」
抱き着かれたまま視線をあげれば、グレースさんの後ろにはケイリーさん、さらにその後ろにはファーガスさんとマチルダさんが並んで立っていた。
え、ハグの待機列ができてる…!?
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