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846.コース料理
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「ヌキプルのスープです」
そんな言葉と共に目の前に運ばれてきたのは、真っ白なスープだった。ヌキプルって言ってたけど、初めて聞く名前だ。白い野菜とかなんだろうか?
「あ!アキトさん、これ僕の一番好きなスープなんです!」
キラキラと目を輝かせたキースくんは、アキトさんにも食べてもらえて嬉しいとニコニコと笑みを見せてくれる。なんて良い子なんだろう。ついつい頬が緩んでしまう。
「アキトはきっと好きだと思うよ」
ハルの言葉にワクワクしながら、俺はそっとスプーンに手を伸ばした。すくいあげてみたスープは、どうやらポタージュみたいなすこしとろみのあるタイプみたいだ。
キースくんの視線を感じながら口へと運べば、ふわりと野菜の甘みが口いっぱいに広がった。
あーうん、なるほど。これは風味こそちょっと違うけど、かぼちゃとかさつまいものポタージュにちょっと似てる気がする。甘いスープが苦手な人も世の中にはいるらしいけど、俺はかなり好きな味だった。
「うん、キースくん、これ美味しいね!」
「良かったーこの甘さが好きなんです」
「しつこくないのにほんのり甘いね」
「そうなんです!」
元気に答えてくれるキースくんを微笑ましく見つめていると、ジルさんが口を開いた。
「もしかして、アキトくんはヌキプルを知らなかったんじゃないですか?」
ジルさんの質問に、俺はすぐにひとつ頷いた。
「はい、今初めて名前を知りました…よく分かりましたね?」
感想ぐらいしか言ってないのにと不思議に思って思わずじっと見つめれば、ジルさんはふふと優しい笑みを浮かべて答えてくれた。
「ヌキプルはこの辺りではわりとよく使われる野菜なんですが、トライプール周辺では滅多にみないものですから」
「そうなんですか」
「ええ、なかなか面白い見た目の野菜なので、機会があればハルさんと一緒に市場で探してみてください」
すこし悪戯っぽくそう続けたジルさんに、周りのみんなも笑いながら口々にそうしたら良いと声を揃えた。
一体どんな見た目なんだろう。ちょっと怖いような、やっぱり気になるような。いや、ハルと一緒に探すんだったら、別にどんなみためでも大丈夫かな。
そう思い返して顔をあげれば、ハルも悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「ヌキプル、探してみる?」
「うん、探してみよう!」
「辺境領でしたい事がまた増えたな」
「良い事だよね?」
「ああ、間違いなく良い事だよ。俺はアキトにもっとここを知って欲しいし、できれば好きになって欲しいからね」
穏やかにそう続けられたハルの言葉に、周りのみなさんもコクコクと頷いている。
俺はもうかなりここを好きになってると思うけどな。
どんどんと運ばれてくる料理は、どれも本当に美味しかった。
魚料理に使われていたのはこれまた見た事のない魚だったんだけど、これは近くにあるダンジョン内の池で釣られたものらしい。
――そもそもダンジョン内って池があるんだ?
かなり驚いたけど、淡泊な白身の魚と香草の効いた力強いソースがすごくよく合っていて絶品だった。
あと今日のコースの肉料理は、ハルの大好きなステーキだった。明らかに嬉しそうにしているハルをみんなが微笑ましそうに見つめているにの気づいてしまって、なんだかほっこりしてしまった。
俺の知ってる野菜や果物ももちろん使われているんだけど、全く知らないものも多かった。
それなのにどれもこれも美味しいって、料理人の人がすごすぎるよね。
コースの最後に登場したデザートは、まるで花を閉じ込めたような見た目の繊細なゼリーだった。しかも色とりどりの花に見えているのは、全て果物なんだって。
「これは料理長の一番得意なデザートなんだよ」
あまりに綺麗な見た目にスプーンをいれるのが躊躇われたけど、あんなに料理上手な料理長さんが一番得意なデザートと言われたら食べないわけにはいかない。
そーっとすくいあげたゼリーは、驚いて言葉が出なくなるぐらいの美味しさだった。
「アキト、どう?」
心配したハルにそう声をかけられるまで、俺はたっぷりと沈黙してから口を開いた。
「すごい」
「すごい…?」
美味しいとかじゃなくてすごい?と不思議そうに繰り返したケイリーさんに、ハルは苦笑しながら答えた。
「ああ、アキトは本当に美味しいと言葉が出なくなるんだよ」
ハル、説明ありがとう。うん、これは語彙力が消失するぐらいの美味しさでした。
そんな言葉と共に目の前に運ばれてきたのは、真っ白なスープだった。ヌキプルって言ってたけど、初めて聞く名前だ。白い野菜とかなんだろうか?
「あ!アキトさん、これ僕の一番好きなスープなんです!」
キラキラと目を輝かせたキースくんは、アキトさんにも食べてもらえて嬉しいとニコニコと笑みを見せてくれる。なんて良い子なんだろう。ついつい頬が緩んでしまう。
「アキトはきっと好きだと思うよ」
ハルの言葉にワクワクしながら、俺はそっとスプーンに手を伸ばした。すくいあげてみたスープは、どうやらポタージュみたいなすこしとろみのあるタイプみたいだ。
キースくんの視線を感じながら口へと運べば、ふわりと野菜の甘みが口いっぱいに広がった。
あーうん、なるほど。これは風味こそちょっと違うけど、かぼちゃとかさつまいものポタージュにちょっと似てる気がする。甘いスープが苦手な人も世の中にはいるらしいけど、俺はかなり好きな味だった。
「うん、キースくん、これ美味しいね!」
「良かったーこの甘さが好きなんです」
「しつこくないのにほんのり甘いね」
「そうなんです!」
元気に答えてくれるキースくんを微笑ましく見つめていると、ジルさんが口を開いた。
「もしかして、アキトくんはヌキプルを知らなかったんじゃないですか?」
ジルさんの質問に、俺はすぐにひとつ頷いた。
「はい、今初めて名前を知りました…よく分かりましたね?」
感想ぐらいしか言ってないのにと不思議に思って思わずじっと見つめれば、ジルさんはふふと優しい笑みを浮かべて答えてくれた。
「ヌキプルはこの辺りではわりとよく使われる野菜なんですが、トライプール周辺では滅多にみないものですから」
「そうなんですか」
「ええ、なかなか面白い見た目の野菜なので、機会があればハルさんと一緒に市場で探してみてください」
すこし悪戯っぽくそう続けたジルさんに、周りのみんなも笑いながら口々にそうしたら良いと声を揃えた。
一体どんな見た目なんだろう。ちょっと怖いような、やっぱり気になるような。いや、ハルと一緒に探すんだったら、別にどんなみためでも大丈夫かな。
そう思い返して顔をあげれば、ハルも悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「ヌキプル、探してみる?」
「うん、探してみよう!」
「辺境領でしたい事がまた増えたな」
「良い事だよね?」
「ああ、間違いなく良い事だよ。俺はアキトにもっとここを知って欲しいし、できれば好きになって欲しいからね」
穏やかにそう続けられたハルの言葉に、周りのみなさんもコクコクと頷いている。
俺はもうかなりここを好きになってると思うけどな。
どんどんと運ばれてくる料理は、どれも本当に美味しかった。
魚料理に使われていたのはこれまた見た事のない魚だったんだけど、これは近くにあるダンジョン内の池で釣られたものらしい。
――そもそもダンジョン内って池があるんだ?
かなり驚いたけど、淡泊な白身の魚と香草の効いた力強いソースがすごくよく合っていて絶品だった。
あと今日のコースの肉料理は、ハルの大好きなステーキだった。明らかに嬉しそうにしているハルをみんなが微笑ましそうに見つめているにの気づいてしまって、なんだかほっこりしてしまった。
俺の知ってる野菜や果物ももちろん使われているんだけど、全く知らないものも多かった。
それなのにどれもこれも美味しいって、料理人の人がすごすぎるよね。
コースの最後に登場したデザートは、まるで花を閉じ込めたような見た目の繊細なゼリーだった。しかも色とりどりの花に見えているのは、全て果物なんだって。
「これは料理長の一番得意なデザートなんだよ」
あまりに綺麗な見た目にスプーンをいれるのが躊躇われたけど、あんなに料理上手な料理長さんが一番得意なデザートと言われたら食べないわけにはいかない。
そーっとすくいあげたゼリーは、驚いて言葉が出なくなるぐらいの美味しさだった。
「アキト、どう?」
心配したハルにそう声をかけられるまで、俺はたっぷりと沈黙してから口を開いた。
「すごい」
「すごい…?」
美味しいとかじゃなくてすごい?と不思議そうに繰り返したケイリーさんに、ハルは苦笑しながら答えた。
「ああ、アキトは本当に美味しいと言葉が出なくなるんだよ」
ハル、説明ありがとう。うん、これは語彙力が消失するぐらいの美味しさでした。
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