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814.ハルの兄弟たちは
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俺を囲んだハルの兄弟達は、楽しそうに笑顔で話しかけてきてくれた。
「アキトくん、確かここまでは魔法陣で来たんだったよな?」
ファーガスさんの質問に俺はすぐに頷いた。
「はい、トライプールの領主様と一緒に」
「え、魔法陣で来たの?」
「ウィル、この前トライプール領主殿から手紙が来たときちんと報告しただろう」
「あーそういえば、うん。えーと…言ってたような?言ってなかったような?」
悪びれずによく覚えてないなとあっさりと続けたウィリアムさんに、ファーガスさんは苦笑を浮かべた。まったくお前はと言いたげな視線だけど、不思議と温かさも感じる。
兄弟がいるのって良いなぁと、一人っ子の俺は羨ましく思ってしまう。
「あ、言ってた!僕、覚えてるよ!」
はいっと手をあげたキースくんの頭を、偉い偉いとウィリアムさんが撫で始める。ファーガスさんにもよく覚えていたなと言葉で褒められている。撫でられるがままになりながら、嬉しそうに声をあげて笑う姿がすごく可愛らしい。
微笑ましい気持ちでそんなやりとりを見つめていると、不意に視線がぱちりとぶつかった。キースくんは慌てた様子で視線をうろうろと動かしたけれど、次の瞬間には意を決したようにじーっと俺を見上げてきた。
緊張した様子を見ていると、不思議と俺まで緊張してくる気がする。
「あの…えっと、階段、大変じゃなかった…ですか?」
キースくんはまず間違いなく人見知りだと思うんだけど、それでも頑張って声をかけてくれるんだ。もうすこし慣れてきたら、俺にも頭を撫でさせてくれるかな。
そんな事を考えながら、俺はさっとしゃがみ込むと笑顔で答えた。
「すごく大変だったけどなんとか最後まで頑張りました」
うん、あれは本当に頑張ったよね。もしハルと二人だけだったら、途中で休憩しまくてったかもしれない。あの長い階段を脳裏に思いうかべつつ、俺は一番大事な事を言わないとと口を開いた。
「キースくん、心配してくれてありがとうございます」
人見知りなのに頑張って伝えてくれたのが俺の心配ってのが嬉しくて、どうしてもお礼を伝えたくなったんだ。
キースくんは俺の言葉を聞くと、ふわりと笑みを浮かべた。あー本当に天使みたいな子だな。
照れ笑いするキース君を、ファーガスさんとウィリアムさんも微笑まし気に見つめていた。
「アキト、勝手に両親と話こんじゃってごめんね。退屈してない?」
不意にそう声をかけられて、俺は慌てて背後を振り返った。そこにはしょんぼりとしたハルが立っていて、申し訳なさそうに俺を見つめていた。
ハルの兄弟たちとあれこれ喋っている間に、どうやらハルとご両親の話も終わっていたらしい。
「ううん、別に気にしなくて良いよ。皆さんと話してたから大丈夫」
むしろ楽しかったと笑顔で続ければ、ハルはやっとホッと肩の力を抜いた。
「みんな、アキトを退屈させないようにしてくれてありがとう」
「ハル、俺達は別にアキトを退屈させないようにと話をしてたわけじゃないぞ」
ファーガスさんはそう言いながら、不服そうにすこしだけ眉間にしわを寄せた。ただそれだけの事でも一気に迫力が増すのは、ハルによく似た美形だからだろうか。
「そうそう、俺達はただアキト君と話したかっただけだから!」
ウィリアムさんは明るく笑って、そう言いきってくれた。さらりとそう言われると、ちょっと照れくさいけど嬉しいな。
「まあ皆がアキト君と話したくなった原因は、俺が皆にアキト君の事いっぱい話したからだけどね」
へへーと笑ったウィリアムさんの横から、キースくんもひょこっと顔を出した。
「僕もアキトさんとお話してみたかったから」
「そうか。でも、ありがとう」
ハルにそっと頭を撫でられたキースくんは、また嬉しそうに声をあげて笑いだした。うん、やっぱり可愛い。
「まあ普段なら伴侶候補を放置するなと言いたい所なんだが――今回は仕方ないだろう」
もし俺が伴侶候補を連れてきたあの時に同じ事をされていたら、本気で怒って反撃していたし絶対に父に言いつけていたよ。そう続けたファーガスさんに、ウィリアムさんもすぐに頷いた。
「あーそれは確かに。一人の時ならいくらでもって言えるんだけどな。愛しい伴侶に怪我させたら、いくら母さんでも許せない」
二人ともすごく真剣な表情だから、多分本気で心からそう思ってるんだろうな。
どうやらハルの兄弟たちは、すごく伴侶を大事にする人達みたいだ。うん、そんな所もハルにそっくりだね。
「アキトくん、確かここまでは魔法陣で来たんだったよな?」
ファーガスさんの質問に俺はすぐに頷いた。
「はい、トライプールの領主様と一緒に」
「え、魔法陣で来たの?」
「ウィル、この前トライプール領主殿から手紙が来たときちんと報告しただろう」
「あーそういえば、うん。えーと…言ってたような?言ってなかったような?」
悪びれずによく覚えてないなとあっさりと続けたウィリアムさんに、ファーガスさんは苦笑を浮かべた。まったくお前はと言いたげな視線だけど、不思議と温かさも感じる。
兄弟がいるのって良いなぁと、一人っ子の俺は羨ましく思ってしまう。
「あ、言ってた!僕、覚えてるよ!」
はいっと手をあげたキースくんの頭を、偉い偉いとウィリアムさんが撫で始める。ファーガスさんにもよく覚えていたなと言葉で褒められている。撫でられるがままになりながら、嬉しそうに声をあげて笑う姿がすごく可愛らしい。
微笑ましい気持ちでそんなやりとりを見つめていると、不意に視線がぱちりとぶつかった。キースくんは慌てた様子で視線をうろうろと動かしたけれど、次の瞬間には意を決したようにじーっと俺を見上げてきた。
緊張した様子を見ていると、不思議と俺まで緊張してくる気がする。
「あの…えっと、階段、大変じゃなかった…ですか?」
キースくんはまず間違いなく人見知りだと思うんだけど、それでも頑張って声をかけてくれるんだ。もうすこし慣れてきたら、俺にも頭を撫でさせてくれるかな。
そんな事を考えながら、俺はさっとしゃがみ込むと笑顔で答えた。
「すごく大変だったけどなんとか最後まで頑張りました」
うん、あれは本当に頑張ったよね。もしハルと二人だけだったら、途中で休憩しまくてったかもしれない。あの長い階段を脳裏に思いうかべつつ、俺は一番大事な事を言わないとと口を開いた。
「キースくん、心配してくれてありがとうございます」
人見知りなのに頑張って伝えてくれたのが俺の心配ってのが嬉しくて、どうしてもお礼を伝えたくなったんだ。
キースくんは俺の言葉を聞くと、ふわりと笑みを浮かべた。あー本当に天使みたいな子だな。
照れ笑いするキース君を、ファーガスさんとウィリアムさんも微笑まし気に見つめていた。
「アキト、勝手に両親と話こんじゃってごめんね。退屈してない?」
不意にそう声をかけられて、俺は慌てて背後を振り返った。そこにはしょんぼりとしたハルが立っていて、申し訳なさそうに俺を見つめていた。
ハルの兄弟たちとあれこれ喋っている間に、どうやらハルとご両親の話も終わっていたらしい。
「ううん、別に気にしなくて良いよ。皆さんと話してたから大丈夫」
むしろ楽しかったと笑顔で続ければ、ハルはやっとホッと肩の力を抜いた。
「みんな、アキトを退屈させないようにしてくれてありがとう」
「ハル、俺達は別にアキトを退屈させないようにと話をしてたわけじゃないぞ」
ファーガスさんはそう言いながら、不服そうにすこしだけ眉間にしわを寄せた。ただそれだけの事でも一気に迫力が増すのは、ハルによく似た美形だからだろうか。
「そうそう、俺達はただアキト君と話したかっただけだから!」
ウィリアムさんは明るく笑って、そう言いきってくれた。さらりとそう言われると、ちょっと照れくさいけど嬉しいな。
「まあ皆がアキト君と話したくなった原因は、俺が皆にアキト君の事いっぱい話したからだけどね」
へへーと笑ったウィリアムさんの横から、キースくんもひょこっと顔を出した。
「僕もアキトさんとお話してみたかったから」
「そうか。でも、ありがとう」
ハルにそっと頭を撫でられたキースくんは、また嬉しそうに声をあげて笑いだした。うん、やっぱり可愛い。
「まあ普段なら伴侶候補を放置するなと言いたい所なんだが――今回は仕方ないだろう」
もし俺が伴侶候補を連れてきたあの時に同じ事をされていたら、本気で怒って反撃していたし絶対に父に言いつけていたよ。そう続けたファーガスさんに、ウィリアムさんもすぐに頷いた。
「あーそれは確かに。一人の時ならいくらでもって言えるんだけどな。愛しい伴侶に怪我させたら、いくら母さんでも許せない」
二人ともすごく真剣な表情だから、多分本気で心からそう思ってるんだろうな。
どうやらハルの兄弟たちは、すごく伴侶を大事にする人達みたいだ。うん、そんな所もハルにそっくりだね。
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