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764.【ハル視点】変わらない態度
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「は?って事は…ハル…じゃなくてハロルドさんの両親ってもしかして…あの方たちって事、ですか…?」
恐る恐るといった様子で何とかそう尋ねてきたファリーマは、ギギギとぎこちなく俺を見つめてくる。急に敬語で話しかけられた俺は、思わず顔を歪めてしまった。
今さら態度を変えられたら――寂しいじゃないか。咄嗟にそう思ったって事は、俺はこいつらを友人だと思ってるんだな。
客観的に自分を分析しながらも、俺は思うがままに口を開いた。
「ああ、呼び名はこれまで通りハルで良いし、態度も今まで通りで良いよ?」
「え、そうなのか…?でも本職は騎士様なんだろう?それなのに本当に呼び捨てで大丈夫なのか?」
心配そうに重ねて尋ねてくるファリーマに、ルセフとウォルターは苦笑を浮かべた。
「ファリーマ、心配しなくても大丈夫だよ」
安心させるように穏やかな声でルセフがそう断言すれば、ウォルターも大きな声で明るく笑ってから続けた。
「そうそう、大丈夫だ!俺の雑な対応でも嫌な顔ひとつしないからな!ハルはそういう細かい事は全く気にしない性質なんだろ」
だから適当に対応しても大丈夫だなんて断言されてしまったが、確かに間違ってはいないな。
ウォルターとルセフは、最初の頃から貴族で騎士のハロルドが冒険者のハルと同一人物だと知っていたらしい。それを俺に悟らせないぐらい、最初からずっと態度が変わっていないんだよな。
俺の素性を知ってすり寄ってくる奴らはそれはもう飽きるほどいたんだが、こういうさっぱりとした対応をしてくれる奴は珍しい。
それが、俺は嬉しいんだよな。さてファリーマはどうだろうなと視線を向ければ、ファリーマは不意に声をあげた。
「あーそっか…ウォルターの雑な対応でも問題ないなら大丈夫か」
「おい、どういう意味だよ」
自分で言うのは良いけど、お前には言われたくないとツッコミを入れるウォルターを綺麗に無視して、ファリーマは今度はまっすぐに俺を見つめてきた。戸惑うようなさっきの反応とはまるで違う、俺の知っているいつものファリーマの態度だ。
「ハル、それじゃあ俺は今までの態度を急に改めたりしないし、これからもハルって呼ぶ…で良いんだよな?」
「ああ、そうしてくれ。その方が俺は嬉しいから。ブレイズも…良いか?」
「うん、俺にとってはハロルドさんはよく知らない人だからね。今まで通りで良いならその方が嬉しいなー」
態度を変えるつもりは無いとはっきりと言葉にして言ってもらえるのは、こんなに嬉しいものなんだな。しみじみとそう感じながら、俺は口を開いた。
「さっきの話しに戻すとね、これから会いに行く俺の両親ってのは、辺境領伯のケイリー・ウェルマールとその妻で女剣士のグレースなんだ」
「あー…分かってても改めて言われるとその二人はちょっと焦るな。俺だったらそんなに簡単に会いに行ける気がしない…」
アキトに向かって尊敬のまなざしを向けながら、ウォルターはそう呟いた。
「なんだウォルターにしては随分弱気だな…とはさすがに揶揄えないな。相手はあの最強夫婦だからなぁ…」
目の前にいたら俺も絶対に緊張すると思うと、苦笑を浮かべてルセフは続けた。
「なあ、最強夫婦といえばさーやっぱり第二十四回目のスタンピードだよな」
ウォルターは嬉しそうにそう口にした。なるほど、ウォルターの好きな話しは第二十四回スタンピードか。
「いや、俺はそれよりもギガントドラゴン討伐の方が」
ルセフはもっと戦術にこだわった討伐が好きかと思っていたんだが、ギガントドラゴンか。少しだけ意外だ。
「えー俺は街の防衛線の話しが好きだなー」
無邪気に笑ったブレイズも、楽しそうにそう呟いている。
「俺が一番好きなのは盗賊団が街に入って来た時の話しだな。あれは魔法の使われ方がすごすぎて、俺もやってみたいって挑戦する人が多いんだよ」
ファリーマはどこまでもファリーマだな。逆に安心するよ。
「そういえば移動手段は?」
「公務で移動する領主様と一緒に行く予定だ」
さらりと答えた俺に、ルセフは一瞬だけ大きく目を見開いた。もしかしたら知っているかもしれないなと思ってはいたが、やっぱりルセフは魔法陣の存在は知っていたんだな。
「…あー、なるほど。領主様と…ね」
「なんだ!領主様も一緒なら、道中の安全は確保されそうだなー!」
辺境に行くとなると領主様の連れてる護衛も選りすぐりだろうしなと笑っているウォルターとファリーマ、ブレイズの三人は多分魔法陣の事なんて思い浮かんでもいないだろう。
恐る恐るといった様子で何とかそう尋ねてきたファリーマは、ギギギとぎこちなく俺を見つめてくる。急に敬語で話しかけられた俺は、思わず顔を歪めてしまった。
今さら態度を変えられたら――寂しいじゃないか。咄嗟にそう思ったって事は、俺はこいつらを友人だと思ってるんだな。
客観的に自分を分析しながらも、俺は思うがままに口を開いた。
「ああ、呼び名はこれまで通りハルで良いし、態度も今まで通りで良いよ?」
「え、そうなのか…?でも本職は騎士様なんだろう?それなのに本当に呼び捨てで大丈夫なのか?」
心配そうに重ねて尋ねてくるファリーマに、ルセフとウォルターは苦笑を浮かべた。
「ファリーマ、心配しなくても大丈夫だよ」
安心させるように穏やかな声でルセフがそう断言すれば、ウォルターも大きな声で明るく笑ってから続けた。
「そうそう、大丈夫だ!俺の雑な対応でも嫌な顔ひとつしないからな!ハルはそういう細かい事は全く気にしない性質なんだろ」
だから適当に対応しても大丈夫だなんて断言されてしまったが、確かに間違ってはいないな。
ウォルターとルセフは、最初の頃から貴族で騎士のハロルドが冒険者のハルと同一人物だと知っていたらしい。それを俺に悟らせないぐらい、最初からずっと態度が変わっていないんだよな。
俺の素性を知ってすり寄ってくる奴らはそれはもう飽きるほどいたんだが、こういうさっぱりとした対応をしてくれる奴は珍しい。
それが、俺は嬉しいんだよな。さてファリーマはどうだろうなと視線を向ければ、ファリーマは不意に声をあげた。
「あーそっか…ウォルターの雑な対応でも問題ないなら大丈夫か」
「おい、どういう意味だよ」
自分で言うのは良いけど、お前には言われたくないとツッコミを入れるウォルターを綺麗に無視して、ファリーマは今度はまっすぐに俺を見つめてきた。戸惑うようなさっきの反応とはまるで違う、俺の知っているいつものファリーマの態度だ。
「ハル、それじゃあ俺は今までの態度を急に改めたりしないし、これからもハルって呼ぶ…で良いんだよな?」
「ああ、そうしてくれ。その方が俺は嬉しいから。ブレイズも…良いか?」
「うん、俺にとってはハロルドさんはよく知らない人だからね。今まで通りで良いならその方が嬉しいなー」
態度を変えるつもりは無いとはっきりと言葉にして言ってもらえるのは、こんなに嬉しいものなんだな。しみじみとそう感じながら、俺は口を開いた。
「さっきの話しに戻すとね、これから会いに行く俺の両親ってのは、辺境領伯のケイリー・ウェルマールとその妻で女剣士のグレースなんだ」
「あー…分かってても改めて言われるとその二人はちょっと焦るな。俺だったらそんなに簡単に会いに行ける気がしない…」
アキトに向かって尊敬のまなざしを向けながら、ウォルターはそう呟いた。
「なんだウォルターにしては随分弱気だな…とはさすがに揶揄えないな。相手はあの最強夫婦だからなぁ…」
目の前にいたら俺も絶対に緊張すると思うと、苦笑を浮かべてルセフは続けた。
「なあ、最強夫婦といえばさーやっぱり第二十四回目のスタンピードだよな」
ウォルターは嬉しそうにそう口にした。なるほど、ウォルターの好きな話しは第二十四回スタンピードか。
「いや、俺はそれよりもギガントドラゴン討伐の方が」
ルセフはもっと戦術にこだわった討伐が好きかと思っていたんだが、ギガントドラゴンか。少しだけ意外だ。
「えー俺は街の防衛線の話しが好きだなー」
無邪気に笑ったブレイズも、楽しそうにそう呟いている。
「俺が一番好きなのは盗賊団が街に入って来た時の話しだな。あれは魔法の使われ方がすごすぎて、俺もやってみたいって挑戦する人が多いんだよ」
ファリーマはどこまでもファリーマだな。逆に安心するよ。
「そういえば移動手段は?」
「公務で移動する領主様と一緒に行く予定だ」
さらりと答えた俺に、ルセフは一瞬だけ大きく目を見開いた。もしかしたら知っているかもしれないなと思ってはいたが、やっぱりルセフは魔法陣の存在は知っていたんだな。
「…あー、なるほど。領主様と…ね」
「なんだ!領主様も一緒なら、道中の安全は確保されそうだなー!」
辺境に行くとなると領主様の連れてる護衛も選りすぐりだろうしなと笑っているウォルターとファリーマ、ブレイズの三人は多分魔法陣の事なんて思い浮かんでもいないだろう。
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