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751.最強夫婦の話
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「は?って事は…ハル…じゃなくてハロルドさんの両親ってもしかして…あの方たちって事、ですか…?」
恐る恐るといった様子でぎこちないながらも何とかそう尋ねたファリーマさんに、ハルは分かりやすく表情を歪めた。
わー今まで見た事がないってぐらいの、すっごく嫌そうな顔だ。そんな顔をしていてもハルは格好良いんだからすごい事だと思う。
「ああ、呼び名はこれまで通りハルで良いし、態度も今まで通りで良いよ?」
「え、そうなのか…?でも本職は騎士様なんだろう?それなのに本当に呼び捨てで大丈夫なのか?」
心配そうに尋ねるファリーマさんに、ルセフさんとウォルターさんは苦笑を浮かべた。
「ファリーマ、心配しなくても大丈夫だよ」
安心させるように穏やかな声でルセフさんがそう断言すれば、ウォルターさんも大きな声で明るく笑ってから続けた。
「そうそう、大丈夫だ!俺の雑な対応でも嫌な顔ひとつしないからな!ハルはそういう細かい事は全く気にしない性質なんだろ」
だから適当に対応しても大丈夫だなんて結構酷い事を断言されていたけど、ハルはただただ嬉しそうに笑うだけだった。
あー昔から周りに一線引かれてたって言ってたし、そういう対応をしてくれた方がハルにとっては珍しくて嬉しい事なのかもしれないな。
そもそもウォルターさんとルセフさんはだいぶ前からハルの素性について知ってたみたいだけど、俺は二人が気づいている事には全く気付けていなかった。
それぐらいハルに対する態度が全然変わってなかったんだよね。もしファリーマさんとブレイズもそうだったら、きっとハルはすごく喜ぶんだろうな。
どうか二人が態度を変えませんように。
人知れずそう祈っていたら、ファリーマさんが不意に声をあげた。
「あーそっか…ウォルターの雑な対応でも問題ないなら大丈夫か」
「おい、どういう意味だよ」
自分で言うのは良いけど、お前には言われたくないとツッコミを入れるウォルターさんを綺麗に無視して、ファリーマさんはまっすぐにハルを見つめてから口を開いた。
「ハル、それじゃあ俺は今までの態度を急に改めたりしないし、これからもハルって呼ぶ…で良いんだよな?」
「ああ、そうしてくれ。その方が俺は嬉しいから。ブレイズも…良いか?」
「うん、俺にとってはハロルドさんはよく知らない人だからね。今まで通りで良いならその方が嬉しいなー」
二人から態度を変えるつもりはないと言われたハルは、それはもう晴れやかに笑ってみせた。うんうん、良かったね。
「さっきの話しに戻すとね、これから会いに行く俺の両親ってのは、辺境領伯のケイリー・ウェルマールとその妻で女剣士のグレースなんだ」
ハルの説明に皆と一緒になって真剣に耳を傾けていた俺は、ハッと目を見張った。
もしかしたらお母さんの名前は初めて聞いたかもしれない。グレースさんって言うんだ。ちゃんと覚えておかないとな。
「あー…分かってても改めて言われるとその二人はちょっと焦るな。俺だったらそんなに簡単に会いに行ける気がしない…」
そう呟いたウォルターさんは何故か俺に向かってキラキラと尊敬のまなざしを向けてくれてるんだけど、そんな目で見られても困る。俺にとってはすごい人というよりも先に、ハルのご両親だからね。
「なんだウォルターにしては随分弱気だな…とはさすがに揶揄えないな。相手はあの最強夫婦だからなぁ…」
目の前にいたら俺も絶対に緊張すると思うと、ルセフさんは苦笑を浮かべている。ルセフさんでも緊張するような人達なんだ。
「最強夫婦といえばさーやっぱり第二十四回目のスタンピードだよな」
ウォルターさんが笑顔でそう口にすれば、ルセフさんもすぐに答えた。
「いや、俺はそれよりもギガントドラゴン討伐の方が」
「えー俺は街の防衛線の話しが好きだなー」
無邪気に笑ったブレイズも、楽しそうにそう呟いた。
「俺が一番好きなのは盗賊団が街に入って来た時の話しだな。あれは魔法の使われ方がすごすぎて、俺もやってみたいって挑戦する人が多いんだよ」
何故か突然そんな話しで盛り上がり出した四人に、俺とハルは顔を見合わせた。
「そういえば移動手段は?」
「公務で移動する領主様と一緒に行く予定だ」
さらりと答えたハルに、ルセフさんは一瞬だけ大きく目を見開いた。あーこの反応は。多分だけどルセフさんって領主様の転移魔法陣の事知ってるんだろうな。
「…あー、なるほど。領主様と…ね」
「なんだ!領主様も一緒なら、道中の安全は確保されそうだなー!」
辺境に行くとなると領主様の連れてる護衛も選りすぐりだろうしなと笑っているウォルターさんとファリーマさん、ブレイズは多分魔法陣の事なんて思い浮かんでもいないと思う。
恐る恐るといった様子でぎこちないながらも何とかそう尋ねたファリーマさんに、ハルは分かりやすく表情を歪めた。
わー今まで見た事がないってぐらいの、すっごく嫌そうな顔だ。そんな顔をしていてもハルは格好良いんだからすごい事だと思う。
「ああ、呼び名はこれまで通りハルで良いし、態度も今まで通りで良いよ?」
「え、そうなのか…?でも本職は騎士様なんだろう?それなのに本当に呼び捨てで大丈夫なのか?」
心配そうに尋ねるファリーマさんに、ルセフさんとウォルターさんは苦笑を浮かべた。
「ファリーマ、心配しなくても大丈夫だよ」
安心させるように穏やかな声でルセフさんがそう断言すれば、ウォルターさんも大きな声で明るく笑ってから続けた。
「そうそう、大丈夫だ!俺の雑な対応でも嫌な顔ひとつしないからな!ハルはそういう細かい事は全く気にしない性質なんだろ」
だから適当に対応しても大丈夫だなんて結構酷い事を断言されていたけど、ハルはただただ嬉しそうに笑うだけだった。
あー昔から周りに一線引かれてたって言ってたし、そういう対応をしてくれた方がハルにとっては珍しくて嬉しい事なのかもしれないな。
そもそもウォルターさんとルセフさんはだいぶ前からハルの素性について知ってたみたいだけど、俺は二人が気づいている事には全く気付けていなかった。
それぐらいハルに対する態度が全然変わってなかったんだよね。もしファリーマさんとブレイズもそうだったら、きっとハルはすごく喜ぶんだろうな。
どうか二人が態度を変えませんように。
人知れずそう祈っていたら、ファリーマさんが不意に声をあげた。
「あーそっか…ウォルターの雑な対応でも問題ないなら大丈夫か」
「おい、どういう意味だよ」
自分で言うのは良いけど、お前には言われたくないとツッコミを入れるウォルターさんを綺麗に無視して、ファリーマさんはまっすぐにハルを見つめてから口を開いた。
「ハル、それじゃあ俺は今までの態度を急に改めたりしないし、これからもハルって呼ぶ…で良いんだよな?」
「ああ、そうしてくれ。その方が俺は嬉しいから。ブレイズも…良いか?」
「うん、俺にとってはハロルドさんはよく知らない人だからね。今まで通りで良いならその方が嬉しいなー」
二人から態度を変えるつもりはないと言われたハルは、それはもう晴れやかに笑ってみせた。うんうん、良かったね。
「さっきの話しに戻すとね、これから会いに行く俺の両親ってのは、辺境領伯のケイリー・ウェルマールとその妻で女剣士のグレースなんだ」
ハルの説明に皆と一緒になって真剣に耳を傾けていた俺は、ハッと目を見張った。
もしかしたらお母さんの名前は初めて聞いたかもしれない。グレースさんって言うんだ。ちゃんと覚えておかないとな。
「あー…分かってても改めて言われるとその二人はちょっと焦るな。俺だったらそんなに簡単に会いに行ける気がしない…」
そう呟いたウォルターさんは何故か俺に向かってキラキラと尊敬のまなざしを向けてくれてるんだけど、そんな目で見られても困る。俺にとってはすごい人というよりも先に、ハルのご両親だからね。
「なんだウォルターにしては随分弱気だな…とはさすがに揶揄えないな。相手はあの最強夫婦だからなぁ…」
目の前にいたら俺も絶対に緊張すると思うと、ルセフさんは苦笑を浮かべている。ルセフさんでも緊張するような人達なんだ。
「最強夫婦といえばさーやっぱり第二十四回目のスタンピードだよな」
ウォルターさんが笑顔でそう口にすれば、ルセフさんもすぐに答えた。
「いや、俺はそれよりもギガントドラゴン討伐の方が」
「えー俺は街の防衛線の話しが好きだなー」
無邪気に笑ったブレイズも、楽しそうにそう呟いた。
「俺が一番好きなのは盗賊団が街に入って来た時の話しだな。あれは魔法の使われ方がすごすぎて、俺もやってみたいって挑戦する人が多いんだよ」
何故か突然そんな話しで盛り上がり出した四人に、俺とハルは顔を見合わせた。
「そういえば移動手段は?」
「公務で移動する領主様と一緒に行く予定だ」
さらりと答えたハルに、ルセフさんは一瞬だけ大きく目を見開いた。あーこの反応は。多分だけどルセフさんって領主様の転移魔法陣の事知ってるんだろうな。
「…あー、なるほど。領主様と…ね」
「なんだ!領主様も一緒なら、道中の安全は確保されそうだなー!」
辺境に行くとなると領主様の連れてる護衛も選りすぐりだろうしなと笑っているウォルターさんとファリーマさん、ブレイズは多分魔法陣の事なんて思い浮かんでもいないと思う。
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