748 / 1,179
747.賑やかな反応
しおりを挟む
楽し気なファリーマさんの声に反応してか、固まってたウォルターさん、ルセフさん、ブレイズの三人もようやく動き出してくれた。
「はー…びっくりした…すげぇな、アキトの浄化魔法!」
笑顔で近づいてきたウォルターさんは、そう言いながら俺の髪をぐしゃぐしゃと乱暴にかき混ぜた。明らかにワンコとかにする撫で方なんだけど、不思議とウォルターさんにされると嫌じゃないんだよな。
褒められてるーって感じがすごくする。なんでだろうなーブレイズじゃないけど、お兄ちゃんっぽさがあるからなのかな?
「えと、ありがとうございます」
照れつつもなんとかそう返せば、今度はルセフさんが近づいてきた。
「ウォルター、アキトの髪がぐちゃぐちゃになってるじゃないか」
「ああ、悪ぃ。感動してついな」
ウォルターさんは軽く謝ると、そっと両手をあげた。まったくお前はと苦笑しながら、ルセフさんは俺の髪を優しく整えるように撫でてくれた。
「まあその反応も仕方ないとは思うけどな…俺も本当にびっくりしたよ。でも、アキトのおかげで一気にすっきりした。ありがとうな、アキト」
ルセフさんの誉め言葉は、なんだかすごく説得力があるんだよね。さすがこのパーティーのリーダーって感じがする。
「いえ、役立てたなら良かったです」
「すごくありがたいよ。ちゃんと礼になるかは分からないが、俺も全力で腕を振るうからな」
そう言って爽やかに笑ったルセフさんは、俺は厨房に行ってくるから二人の案内は頼んだぞと手を振って去って行った。さっと魔導収納鞄だけ拾っていったから、今から料理の用意をしてくれるんだろうな。
ルセフさんの作ってくれる料理に思いを馳せていると、不意に叫び声があがった。
「あーっ!」
あまりに不意打ちで響いた大声に、俺はビクッと身体を揺らしてしまった。元気いっぱいの声で叫んだのはブレイズだ。
「なんだよ、ブレイズ!急に叫ぶな!」
間髪いれずに叫び返したウォルターさんに、ブレイズはえ?と首を傾げた。
「でも、ウォルター兄ちゃんも叫んでるよ?」
「誰がお前の兄ちゃんだ!―――じゃなくて、ブレイズ、さっきなんで急に叫んだんだ?」
いつも通りのやりとりをしてるなーとハルと二人で和みながら見つめていたんだけど、不意にウォルターさんが不思議そうに尋ねた。
「これ!見て!」
興奮状態のブレイズが指差したのは、皆の装備が並んだ備え付けの棚だった。
「これアキトだよね!?装備まで一緒に綺麗にしてくれたの?」
「あ、うん」
「すごいすごいー!」
力いっぱい褒めてくれるブレイズの明るい笑顔に、俺までついつい笑顔になってしまう。ここまで喜んでくれるなら、いくらでも浄化魔法ぐらいかけるよと言いたくなるね。
「え、待ってくれ、アキト。さっきのあの一回で俺達四人だけじゃなくて俺達の装備まで浄化したのか…?」
ずっとブツブツ言いながら自分の浄化魔法の改良案を考えていたファリーマさんも、今は驚いた顔で俺の方を見つめている。
「はい。えっと装備も綺麗にした方が良いかなーとおもって」
何とかそう答えれば、ファリーマさんは装備を置いた棚の方へとふらふらと近づいていった。ブレイズはそんなファリーマさんをさっと避けると、楽し気に笑いながら俺とハルの隣へと戻ってくる。
「きっと大騒ぎになるよ」
ブレイズの言葉にえ?と思う間も無かった。
「うわー、本当にすっごく綺麗になってる!えー感覚派だとしても、一体どうやって想像したらこんな事になるんだ?信じられない…俺、アキトに弟子入りさせて欲しいぐらいだよ」
えっと、なんか急に弟子入りしたいとか言い出してるんですが。俺は師匠みたいに弟子を取ったりできるほど偉い人じゃないから無理です。
思わず心の中で即答しながらそっと視線を動かせば、ハルもブレイズもただ楽し気に笑っているだけだった。
あーうん、やっぱりファリーマさんのあれは、本気で言ってるってわけじゃないよね。あれはただの冗談だって、きっとそういう事だよね。
「は…?おいおい」
ファリーマさんの背後から棚を覗き込んでいたウォルターさんは、不意にそう声をあげた。
あーそういえばウォルターさんは、自分の装備の手入れを野営中でもちゃんとする人なんだよね。一緒に野営の番をした時に、そう話してくれたのを今急に思い出した。
もしかして何かこだわりがあって、気に入らない所でもあったかな。そう思った次の瞬間、ウォルターさんは真剣な顔で呟いた。
「嘘だろう!?これ、鎧のつなぎ目にちょっとだけ挟まってた砂まで無くなってるぞ!」
絶対にここの手入れは面倒だろうなと思ってたんだよと、ウォルターさんは力強く叫んだ。
「おい、ファリーマ、このレベルの浄化魔法使えるようになってくれ!」
「俺だってなれるもんならなりたいわ!」
もう収拾がつかないなと思って荒ぶる二人をぼんやりと眺めていると、厨房からルセフさんが戻ってきた。
「こら、お前ら!いつまでお客さんを玄関にいさせる気だ?」
「「ごめんなさい」」
「はー…びっくりした…すげぇな、アキトの浄化魔法!」
笑顔で近づいてきたウォルターさんは、そう言いながら俺の髪をぐしゃぐしゃと乱暴にかき混ぜた。明らかにワンコとかにする撫で方なんだけど、不思議とウォルターさんにされると嫌じゃないんだよな。
褒められてるーって感じがすごくする。なんでだろうなーブレイズじゃないけど、お兄ちゃんっぽさがあるからなのかな?
「えと、ありがとうございます」
照れつつもなんとかそう返せば、今度はルセフさんが近づいてきた。
「ウォルター、アキトの髪がぐちゃぐちゃになってるじゃないか」
「ああ、悪ぃ。感動してついな」
ウォルターさんは軽く謝ると、そっと両手をあげた。まったくお前はと苦笑しながら、ルセフさんは俺の髪を優しく整えるように撫でてくれた。
「まあその反応も仕方ないとは思うけどな…俺も本当にびっくりしたよ。でも、アキトのおかげで一気にすっきりした。ありがとうな、アキト」
ルセフさんの誉め言葉は、なんだかすごく説得力があるんだよね。さすがこのパーティーのリーダーって感じがする。
「いえ、役立てたなら良かったです」
「すごくありがたいよ。ちゃんと礼になるかは分からないが、俺も全力で腕を振るうからな」
そう言って爽やかに笑ったルセフさんは、俺は厨房に行ってくるから二人の案内は頼んだぞと手を振って去って行った。さっと魔導収納鞄だけ拾っていったから、今から料理の用意をしてくれるんだろうな。
ルセフさんの作ってくれる料理に思いを馳せていると、不意に叫び声があがった。
「あーっ!」
あまりに不意打ちで響いた大声に、俺はビクッと身体を揺らしてしまった。元気いっぱいの声で叫んだのはブレイズだ。
「なんだよ、ブレイズ!急に叫ぶな!」
間髪いれずに叫び返したウォルターさんに、ブレイズはえ?と首を傾げた。
「でも、ウォルター兄ちゃんも叫んでるよ?」
「誰がお前の兄ちゃんだ!―――じゃなくて、ブレイズ、さっきなんで急に叫んだんだ?」
いつも通りのやりとりをしてるなーとハルと二人で和みながら見つめていたんだけど、不意にウォルターさんが不思議そうに尋ねた。
「これ!見て!」
興奮状態のブレイズが指差したのは、皆の装備が並んだ備え付けの棚だった。
「これアキトだよね!?装備まで一緒に綺麗にしてくれたの?」
「あ、うん」
「すごいすごいー!」
力いっぱい褒めてくれるブレイズの明るい笑顔に、俺までついつい笑顔になってしまう。ここまで喜んでくれるなら、いくらでも浄化魔法ぐらいかけるよと言いたくなるね。
「え、待ってくれ、アキト。さっきのあの一回で俺達四人だけじゃなくて俺達の装備まで浄化したのか…?」
ずっとブツブツ言いながら自分の浄化魔法の改良案を考えていたファリーマさんも、今は驚いた顔で俺の方を見つめている。
「はい。えっと装備も綺麗にした方が良いかなーとおもって」
何とかそう答えれば、ファリーマさんは装備を置いた棚の方へとふらふらと近づいていった。ブレイズはそんなファリーマさんをさっと避けると、楽し気に笑いながら俺とハルの隣へと戻ってくる。
「きっと大騒ぎになるよ」
ブレイズの言葉にえ?と思う間も無かった。
「うわー、本当にすっごく綺麗になってる!えー感覚派だとしても、一体どうやって想像したらこんな事になるんだ?信じられない…俺、アキトに弟子入りさせて欲しいぐらいだよ」
えっと、なんか急に弟子入りしたいとか言い出してるんですが。俺は師匠みたいに弟子を取ったりできるほど偉い人じゃないから無理です。
思わず心の中で即答しながらそっと視線を動かせば、ハルもブレイズもただ楽し気に笑っているだけだった。
あーうん、やっぱりファリーマさんのあれは、本気で言ってるってわけじゃないよね。あれはただの冗談だって、きっとそういう事だよね。
「は…?おいおい」
ファリーマさんの背後から棚を覗き込んでいたウォルターさんは、不意にそう声をあげた。
あーそういえばウォルターさんは、自分の装備の手入れを野営中でもちゃんとする人なんだよね。一緒に野営の番をした時に、そう話してくれたのを今急に思い出した。
もしかして何かこだわりがあって、気に入らない所でもあったかな。そう思った次の瞬間、ウォルターさんは真剣な顔で呟いた。
「嘘だろう!?これ、鎧のつなぎ目にちょっとだけ挟まってた砂まで無くなってるぞ!」
絶対にここの手入れは面倒だろうなと思ってたんだよと、ウォルターさんは力強く叫んだ。
「おい、ファリーマ、このレベルの浄化魔法使えるようになってくれ!」
「俺だってなれるもんならなりたいわ!」
もう収拾がつかないなと思って荒ぶる二人をぼんやりと眺めていると、厨房からルセフさんが戻ってきた。
「こら、お前ら!いつまでお客さんを玄関にいさせる気だ?」
「「ごめんなさい」」
177
お気に入りに追加
4,204
あなたにおすすめの小説
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。

不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

婚約破棄されたショックで前世の記憶&猫集めの能力をゲットしたモブ顔の僕!
ミクリ21 (新)
BL
婚約者シルベスター・モンローに婚約破棄されたら、そのショックで前世の記憶を思い出したモブ顔の主人公エレン・ニャンゴローの話。
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる