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722.【ハル視点】暴走※
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俺の言葉を聞いてやっと、アキトは全ての服を脱がす事に成功した事に気づいたらしい。あれ、本当だと言いたげに自分の手を見つめてから、そっと俺を見上げてきた。
「最後まで脱がせてくれてありがとう、アキト」
今回もこれ以上はまだ無理と言われるかと思っていたんだが、アキトは俺の予想を超える頑張りを見せてくれた。
急にお礼を言われて戸惑ったのか、アキトは控え目な笑みを浮かべている。
「アキトが頑張ってくれてるのが伝わってきて、すごく嬉しかったよ」
優しい声色を意識してそう続けた俺は、まだ立ち上がらないアキトにそっと手を差し伸べた。いつまでもしゃがませたままにはしておけないからな。
すぐに手を取ってくれるかと思ったが、アキトは何故か動かなかった。ぼんやりとした様子で、俺の差し出した手をただじっと見つめている。
「…アキト?どうかした?」
何故立ち上がろうとすらしないんだろう。膝をついた体勢だったせいで、脚が痺れてしまったんだろうか。いや、もしそうなら、脚が痺れたんだぐらいの言葉は返してくれるだろう。
そっと様子を伺えば、ぼんやりとしたままのアキトはまだ俺の古傷を見つめていた。
あれ、まだその傷跡を気にしていたのか。優しいアキトの事だから、こんなにひどい傷跡だけど痛くないかなと気にしてくれているのかもしれない。
もう痛くは無いと主張するべきだろうか。いや、だが質問もされていないのに、いきなり痛くないと主張したら逆に変だろう。
そんな事をぐるぐると考えていたから、俺はアキトの動きに全く反応できなかった。
不意に動いたアキトは、俺の太ももの内側にあるひきつれた傷跡にそっと顔を近づけるとそのまま軽く音を立てて口づけた。
唇が一瞬触れるだけの軽い口づけだったが、そんな事は問題じゃない。
――アキトが、俺の太ももに、口づけた。
「えッ…アキト!?」
咄嗟に叫んだ俺の声は、無様にもひっくり返っていた。
まさかそんなきわどい場所に口づけをされる日が来るなんて、夢にも思ってなかったんだ。声がひっくり返るのぐらいは許して欲しい。
アキトはそこで満足したりはしなかった。呆然と見つめる俺の反応に何を思ったのか、大胆にその傷跡を舐め始めた。
ここで問題になるのは、その傷のある場所だ。もしこれが頬や腕にある傷だったなら、俺もアキトは可愛いなー心配してくれたのかなーと微笑ましく見守れただろう。
だがこの傷があるのは、よりによって太ももの内側だ。
は?嘘だろ??恥ずかしがり屋なアキトが、そんな場所を舐めたりするか???これはもしかして夢じゃないのか????いつの間に俺は寝たんだ?????
ぐるぐると混乱しながらもそろりと視線を下げれば、赤い舌を伸ばして傷跡を舐めている姿が目に飛び込んでくる。
うん、間違いなく舐めてるな。さっきから濡れた感触を感じてるから知ってたけどな。しかも感触があるって事は、これは夢じゃないって事だ。
遠慮も躊躇もなくぺロペロと俺の傷跡を舐めあげていたアキトは、視線を感じたのか不意に俺を見上げてきた。今にも襲いかかりたい気持ちをぐっとこらえている俺を見て、何故かしょんぼりと肩を落とす。
「えっと、ハル…ごめん。もしかして俺に舐められるのが嫌だった?」
あー、もうしょんぼりしてても可愛いな。もう良いか。良いよな。
俺は黙ったまますっとしゃがみこむと、ガバリとアキトを両手で抱き上げた。驚いたのかジタバタと身体を揺すっているけれど、逃がすつもりはない。
そのまま優しくベッドの上に下ろし、すかさず身体の上にのしかかる。
不安そうなアキトに向けてにっこりと笑みを見せれば、アキトはビクリと身体を揺らした。
「アキトに舐めて貰うのが、嫌なわけない」
はっきりとそう否定の言葉を口にすれば、アキトは不安そうに尋ねてきた。
「じゃあ…もしかして、あの傷って触れたらまだ痛かったりする…の?」
そのまま謝罪へと続きそうな言葉に、俺は慌てて手を突き出した。
「待って。あれはかなり昔の怪我の跡だから、触れられても痛くは無いよ」
「そうなんだ、良かった…」
「あと、アキトは勘違いしていると思うんだ」
「…勘違い?」
「そう、勘違い。俺はただ、大事な伴侶候補に可愛い事されて煽られただけだよ?」
「え?」
「あんな風に愛おしそうに舐められたら、誰だって煽られるに決まってるよね。もちろん覚悟はできてるよね?」
にっこりと笑った俺は、そのままアキトの服に手をかけてから悪戯っぽく尋ねた。
「脱がされるのは嫌?」
もし嫌だって言われても、今はもう止まれそうにないんだけどな。そう思いながらの質問だったが、アキトの答えはこれまた予想外だった。
「大事な伴侶候補に脱がされるのが嫌なわけない」
あー、うん。こういう時に可愛い事を言うのがアキトだって知ってたけど、ここでそう来るのか。
俺は暴走しないためにふうーとひとつ息を吐いてから、アキトの服を一枚ずつ剥ぎ取っていった。
「最後まで脱がせてくれてありがとう、アキト」
今回もこれ以上はまだ無理と言われるかと思っていたんだが、アキトは俺の予想を超える頑張りを見せてくれた。
急にお礼を言われて戸惑ったのか、アキトは控え目な笑みを浮かべている。
「アキトが頑張ってくれてるのが伝わってきて、すごく嬉しかったよ」
優しい声色を意識してそう続けた俺は、まだ立ち上がらないアキトにそっと手を差し伸べた。いつまでもしゃがませたままにはしておけないからな。
すぐに手を取ってくれるかと思ったが、アキトは何故か動かなかった。ぼんやりとした様子で、俺の差し出した手をただじっと見つめている。
「…アキト?どうかした?」
何故立ち上がろうとすらしないんだろう。膝をついた体勢だったせいで、脚が痺れてしまったんだろうか。いや、もしそうなら、脚が痺れたんだぐらいの言葉は返してくれるだろう。
そっと様子を伺えば、ぼんやりとしたままのアキトはまだ俺の古傷を見つめていた。
あれ、まだその傷跡を気にしていたのか。優しいアキトの事だから、こんなにひどい傷跡だけど痛くないかなと気にしてくれているのかもしれない。
もう痛くは無いと主張するべきだろうか。いや、だが質問もされていないのに、いきなり痛くないと主張したら逆に変だろう。
そんな事をぐるぐると考えていたから、俺はアキトの動きに全く反応できなかった。
不意に動いたアキトは、俺の太ももの内側にあるひきつれた傷跡にそっと顔を近づけるとそのまま軽く音を立てて口づけた。
唇が一瞬触れるだけの軽い口づけだったが、そんな事は問題じゃない。
――アキトが、俺の太ももに、口づけた。
「えッ…アキト!?」
咄嗟に叫んだ俺の声は、無様にもひっくり返っていた。
まさかそんなきわどい場所に口づけをされる日が来るなんて、夢にも思ってなかったんだ。声がひっくり返るのぐらいは許して欲しい。
アキトはそこで満足したりはしなかった。呆然と見つめる俺の反応に何を思ったのか、大胆にその傷跡を舐め始めた。
ここで問題になるのは、その傷のある場所だ。もしこれが頬や腕にある傷だったなら、俺もアキトは可愛いなー心配してくれたのかなーと微笑ましく見守れただろう。
だがこの傷があるのは、よりによって太ももの内側だ。
は?嘘だろ??恥ずかしがり屋なアキトが、そんな場所を舐めたりするか???これはもしかして夢じゃないのか????いつの間に俺は寝たんだ?????
ぐるぐると混乱しながらもそろりと視線を下げれば、赤い舌を伸ばして傷跡を舐めている姿が目に飛び込んでくる。
うん、間違いなく舐めてるな。さっきから濡れた感触を感じてるから知ってたけどな。しかも感触があるって事は、これは夢じゃないって事だ。
遠慮も躊躇もなくぺロペロと俺の傷跡を舐めあげていたアキトは、視線を感じたのか不意に俺を見上げてきた。今にも襲いかかりたい気持ちをぐっとこらえている俺を見て、何故かしょんぼりと肩を落とす。
「えっと、ハル…ごめん。もしかして俺に舐められるのが嫌だった?」
あー、もうしょんぼりしてても可愛いな。もう良いか。良いよな。
俺は黙ったまますっとしゃがみこむと、ガバリとアキトを両手で抱き上げた。驚いたのかジタバタと身体を揺すっているけれど、逃がすつもりはない。
そのまま優しくベッドの上に下ろし、すかさず身体の上にのしかかる。
不安そうなアキトに向けてにっこりと笑みを見せれば、アキトはビクリと身体を揺らした。
「アキトに舐めて貰うのが、嫌なわけない」
はっきりとそう否定の言葉を口にすれば、アキトは不安そうに尋ねてきた。
「じゃあ…もしかして、あの傷って触れたらまだ痛かったりする…の?」
そのまま謝罪へと続きそうな言葉に、俺は慌てて手を突き出した。
「待って。あれはかなり昔の怪我の跡だから、触れられても痛くは無いよ」
「そうなんだ、良かった…」
「あと、アキトは勘違いしていると思うんだ」
「…勘違い?」
「そう、勘違い。俺はただ、大事な伴侶候補に可愛い事されて煽られただけだよ?」
「え?」
「あんな風に愛おしそうに舐められたら、誰だって煽られるに決まってるよね。もちろん覚悟はできてるよね?」
にっこりと笑った俺は、そのままアキトの服に手をかけてから悪戯っぽく尋ねた。
「脱がされるのは嫌?」
もし嫌だって言われても、今はもう止まれそうにないんだけどな。そう思いながらの質問だったが、アキトの答えはこれまた予想外だった。
「大事な伴侶候補に脱がされるのが嫌なわけない」
あー、うん。こういう時に可愛い事を言うのがアキトだって知ってたけど、ここでそう来るのか。
俺は暴走しないためにふうーとひとつ息を吐いてから、アキトの服を一枚ずつ剥ぎ取っていった。
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