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684.【ハル視点】酔ったアキトも可愛い
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「あ、これすごくおいしー!」
目を輝かせながら元気にそう叫んだアキトに、レーブンとローガンは嬉しそうに笑みをこぼした。息子や甥っ子というよりも、まるで孫を見るような目だな。
「そうかそうか。ありがとな」
「アキト、こっちのチーズ焼きも俺の自信作だから、ぜひ試してくれ」
どうやらアキトがおいしいと叫んださっきの料理は、ローガンが作ったものだったらしい。次はこれを食べてくれと、今度はレーブンが料理の載った皿を差し出している。
そんな所で張り合うなと止める間もなく、アキトはぱくりとチーズ焼きを口に運んだ。途端にパァァッと目を輝かせる。
「…んーっ!これもおいしー!おれの好きなあじだー!」
酔いのまわったアキトは、へにゃへにゃと楽し気に笑いながらそう答えた。普段よりもなんだか少しだけ幼い印象を受ける笑顔だ。
伴侶候補のひいき目抜きにしても、めちゃくちゃに可愛いんだよな。
「ほら、はるもたべて」
「ああ、ありがとう」
目の前に差し出されたチーズ焼きをすくったスプーンに、俺はそのまま口を開いた。当然のように食べさせてくれるのは、アキトが酔ってるから…だろうな。
普段のアキトなら、少しは恥ずかしがると思うんだが。
「気に入ってくれて嬉しいよ」
「うん、ぜんぶおいしいよ」
またへにゃへにゃと笑って褒めちぎるアキトに、レーブンとローガンも幸せそうに笑みを返している。
アキトがここまで酔った所を見たのは、考えてみれば初めてだな。アキトは元々酒に強い体質な上に、ここまで大量に飲む機会なんてそうそう無いからな。
ああ、イーシャルでクリスとカーディさんと一緒に飲んだ時は、少しは酔っていたか。ただ疲れていたせいか、酔いが回る前に眠気に負けて寝てしまったんだろう。あの時は恋人抱きでホテルまで運べたから役得だったな。
俺はそんな事を思い出しながら、アキトへと視線を向けた。
うん、体調自体は悪くは無さそうだな。顔こそ赤いけど、気持ち悪そうな様子も無いし、さっきと変わらず幸せそうな笑顔を浮かべている。
でもそろそろ水分はとってもらいたいなと、俺は自分の魔導収納鞄にさっと手を入れた。
「アキト、大丈夫?これ飲んで?」
一番好きなさっぱりとした風味の果実水を差し出してみたんだが、アキトは俺をじーっと見上げてからまたへにゃりと笑みを浮かべるだけだった。
「だいじょーぶだよぉ」
いや、その今まで一度も聞いた事のない力の入っていない喋り方は、絶対に大丈夫じゃないやつだ。
「アキト、ほら、良いから飲んで?」
「いらなーい」
それを飲むくらいならもっとお酒を飲みたいと主張するアキトに、俺は寂し気な表情を作ってしょんぼりと肩を落としてみせた。
「アキト、俺のお願いでも…駄目?」
そう尋ねれば、アキトは慌てた様子で口を開いた。
「う…わかった…のむ」
そうか、酔っててもこういう所はアキトのままなんだな。俺はありがとうと天才を繰り返しながら、なんとか果実水を飲ませる事に成功した。
「のんだよー」
アキトは空になったグラスを見せて、元気にそう報告してくれた。飲まなくてしょんぼりするなら、飲めば喜ぶと思ったんだろうな。ああ、酔っててもアキトは可愛いなぁ。
あまりの可愛さに思わず手を伸ばして頭を撫でれば、アキトはポスリと俺の肩に身体を寄りかからせてきた。
「あー…ハロルド、アキトは…大丈夫そうか?」
俺達の果実水を巡るやりとりの一部始終を見ていたレーブンとローガンは、ひと段落したと見たのかそう声をかけてきた。
「大丈夫そうだけどさ…レーブン、ローガン。ちょっとアキトに飲ませすぎじゃない?」
「いや、だが途中からは、俺達も酒勧めるのは止めたんだぞ?」
ああ、そういえばさっきから合う酒はこれだーって言うの止めてたな。料理は勧めてたけど、確かに酒は勧めていなかった。
「北ノールの酒以降はむしろ飲ませないようにしてたんだが…黒酒は絶対飲みたいって主張して、自分で次いでたんだよ」
「そして止める間もなく飲んだな」
「あーアキトの友人冒険者達が黒酒の店の近くに住んでるって知ったから、それで…かな?」
というかまず間違いなくそれだと思う。
「多分それだろうなぁ」
「友人との話題にしたかったんだろうか…」
可愛いなぁと続けたレーブンに、俺とローガンは深く頷いて同意した。
目を輝かせながら元気にそう叫んだアキトに、レーブンとローガンは嬉しそうに笑みをこぼした。息子や甥っ子というよりも、まるで孫を見るような目だな。
「そうかそうか。ありがとな」
「アキト、こっちのチーズ焼きも俺の自信作だから、ぜひ試してくれ」
どうやらアキトがおいしいと叫んださっきの料理は、ローガンが作ったものだったらしい。次はこれを食べてくれと、今度はレーブンが料理の載った皿を差し出している。
そんな所で張り合うなと止める間もなく、アキトはぱくりとチーズ焼きを口に運んだ。途端にパァァッと目を輝かせる。
「…んーっ!これもおいしー!おれの好きなあじだー!」
酔いのまわったアキトは、へにゃへにゃと楽し気に笑いながらそう答えた。普段よりもなんだか少しだけ幼い印象を受ける笑顔だ。
伴侶候補のひいき目抜きにしても、めちゃくちゃに可愛いんだよな。
「ほら、はるもたべて」
「ああ、ありがとう」
目の前に差し出されたチーズ焼きをすくったスプーンに、俺はそのまま口を開いた。当然のように食べさせてくれるのは、アキトが酔ってるから…だろうな。
普段のアキトなら、少しは恥ずかしがると思うんだが。
「気に入ってくれて嬉しいよ」
「うん、ぜんぶおいしいよ」
またへにゃへにゃと笑って褒めちぎるアキトに、レーブンとローガンも幸せそうに笑みを返している。
アキトがここまで酔った所を見たのは、考えてみれば初めてだな。アキトは元々酒に強い体質な上に、ここまで大量に飲む機会なんてそうそう無いからな。
ああ、イーシャルでクリスとカーディさんと一緒に飲んだ時は、少しは酔っていたか。ただ疲れていたせいか、酔いが回る前に眠気に負けて寝てしまったんだろう。あの時は恋人抱きでホテルまで運べたから役得だったな。
俺はそんな事を思い出しながら、アキトへと視線を向けた。
うん、体調自体は悪くは無さそうだな。顔こそ赤いけど、気持ち悪そうな様子も無いし、さっきと変わらず幸せそうな笑顔を浮かべている。
でもそろそろ水分はとってもらいたいなと、俺は自分の魔導収納鞄にさっと手を入れた。
「アキト、大丈夫?これ飲んで?」
一番好きなさっぱりとした風味の果実水を差し出してみたんだが、アキトは俺をじーっと見上げてからまたへにゃりと笑みを浮かべるだけだった。
「だいじょーぶだよぉ」
いや、その今まで一度も聞いた事のない力の入っていない喋り方は、絶対に大丈夫じゃないやつだ。
「アキト、ほら、良いから飲んで?」
「いらなーい」
それを飲むくらいならもっとお酒を飲みたいと主張するアキトに、俺は寂し気な表情を作ってしょんぼりと肩を落としてみせた。
「アキト、俺のお願いでも…駄目?」
そう尋ねれば、アキトは慌てた様子で口を開いた。
「う…わかった…のむ」
そうか、酔っててもこういう所はアキトのままなんだな。俺はありがとうと天才を繰り返しながら、なんとか果実水を飲ませる事に成功した。
「のんだよー」
アキトは空になったグラスを見せて、元気にそう報告してくれた。飲まなくてしょんぼりするなら、飲めば喜ぶと思ったんだろうな。ああ、酔っててもアキトは可愛いなぁ。
あまりの可愛さに思わず手を伸ばして頭を撫でれば、アキトはポスリと俺の肩に身体を寄りかからせてきた。
「あー…ハロルド、アキトは…大丈夫そうか?」
俺達の果実水を巡るやりとりの一部始終を見ていたレーブンとローガンは、ひと段落したと見たのかそう声をかけてきた。
「大丈夫そうだけどさ…レーブン、ローガン。ちょっとアキトに飲ませすぎじゃない?」
「いや、だが途中からは、俺達も酒勧めるのは止めたんだぞ?」
ああ、そういえばさっきから合う酒はこれだーって言うの止めてたな。料理は勧めてたけど、確かに酒は勧めていなかった。
「北ノールの酒以降はむしろ飲ませないようにしてたんだが…黒酒は絶対飲みたいって主張して、自分で次いでたんだよ」
「そして止める間もなく飲んだな」
「あーアキトの友人冒険者達が黒酒の店の近くに住んでるって知ったから、それで…かな?」
というかまず間違いなくそれだと思う。
「多分それだろうなぁ」
「友人との話題にしたかったんだろうか…」
可愛いなぁと続けたレーブンに、俺とローガンは深く頷いて同意した。
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