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674.【ハル視点】遅刻の理由と料理の山
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「それでそこからどうしたんだ?」
興味深そうに尋ねたレーブンに、ローガンは苦笑しながらも続けた。
「とりあえずまずは衛兵の声がする方に近づいていって、盗賊らしき奴らの声を聞いたって報告をしたんだが…そこで終わりってわけにもいかなくてな」
「まあそうなるよな」
思わずそんな言葉がこぼれ落ちてしまった。
総力をあげて探しているのに、どうしても盗賊を見つけられない。そんな状況で犯人に繋がるかもしれない情報を持ってきてくれた相手だ。どんな衛兵だってなりふり構わずに頼るだろう。
「まあそれでな…盗賊らしき奴らの会話を聞き取って、衛兵に伝える事になったんだ」
「それで付き合ってやったのか?珍しいな」
普段のお前なら、予定がある時には報告はしたって終わらせるだろうがと、レーブンは不思議そうに首を傾げた。
ああ、確かにローガンなら、どれだけ縋られてもそう言って終わらせそうではあるな。
「あー…せめて人数だけでも分かるまで付き合って欲しいって言われて、な。しかも…その場にいた三人の衛兵達は、全員が白狼亭の常連だったんだ」
レーブンもアキトも俺も、三人揃ってなるほどと頷いてしまった。普段からよく食べに来てる常連のお願いなら、そりゃあ無下にも出来ないな。客に興味がなさそうに見えて、きちんと客の事をよく見てる奴だからな。
「だが、理由があっても遅刻は遅刻だからな、ハル、アキト、ついでにレーブンも遅れて悪かった」
そう締めくくったローガンは、申し訳なさそうにもう一度謝ってくれた。
「あの、本当に気にしてないですから」
「ああ、盗賊がうろついてるよりも捕まってくれた方が安心だしな」
アキトの身の安全にも関わる話だ。
「俺も特に文句は無いが…ついでにってお前な…」
「ん?そんな事言ったか?」
ニヤリと笑ったローガンに、レーブンは笑いながらもすかさず言い返した。
「間違いなく言ったぞ」
「そうか…本音が漏れたな」
本音とか言ってるが大丈夫なのか?この二人、意外にも仲が良いから大丈夫か。
「さて、それじゃあそろそろ料理を出すとするか」
レーブンはそう言うと、魔道具であるワゴンの中から次々と料理を取り出し始めた。それぞれのお皿に盛られている料理の量はそれほど多くはないが、とにかく数が多い。これはたぶん皿ごとに全部違う料理なんだろうな。
「今回は試作と改良品をメインで作ったんだが…」
レーブンはすらすらと料理の説明をしながら、どんどんテーブルの上に料理を並べていく。例え作った人でも混乱しそうなぐらいの種類だが、ちゃんと把握してるのがレーブンらしいが…。
ふと気づけば、アキトが縋るような目で俺を見つめていた。説明が続きすぎて覚えていられないかもしれないと心配になったのかもしれないな。
「ハル、俺もう既によく分からなくなってるんだけど…」
ああ、やっぱりそうか。俺はニコリと笑みを浮かべてから答えた。
「ああ、心配しなくても大丈夫だよ。レーブンもさすがに全て把握しろとは思ってないから。だからあんなに早足で説明してるんだし」
本気で聞いて欲しいならきちんと一種類ずつ説明するだろうし、口頭じゃなく紙にでも書いて並べるだろう。
「そうなの?」
不安そうなアキトを安心させられるように、俺はひとつ大きく頷いた。
「そうだよ。だからアキトはこの料理が好みだとか、もうちょっとしょっぱい方が好きだとか、そういう料理の感想だけ言えば良いから」
断言すれば、アキトはようやくホッと息を吐き出した。
「まあこんなものか」
「じゃあ次は俺の番だな」
ローガンはそう言うなり、おもむろに魔道収納鞄に手をつっこんだ。
「今日は色々持って来たんだが…まずはこれだな」
そう言ってローガンが取り出したのは大きめの皿に山盛りになった、美味しそうなステーキだった。どうやら今日のは、あらかじめ細かく切ってから焼いてあるらしい。
「あ、ステーキ!」
「ああ、これは新作ってわけじゃないんだが…ハルがいるなら、ステーキは必要だろうと思ってな」
これは予想外だったが、嬉しい誤算だな。
「ああ、まさかわざわざこのステーキを用意してくれてるとは思わなかったよ。ありがとう、ローガン」
「気にすんな」
照れくさそうに誤魔化したローガンは、再び鞄に手を入れると次の料理を取り出した。
「こっちが新作のスープなんだが…前との違いは…」
そこから始まったローガンの説明も、レーブンと同じくらいの勢いだったよ。
うん、やっぱりこいつらは似たもの兄弟なんだな。
興味深そうに尋ねたレーブンに、ローガンは苦笑しながらも続けた。
「とりあえずまずは衛兵の声がする方に近づいていって、盗賊らしき奴らの声を聞いたって報告をしたんだが…そこで終わりってわけにもいかなくてな」
「まあそうなるよな」
思わずそんな言葉がこぼれ落ちてしまった。
総力をあげて探しているのに、どうしても盗賊を見つけられない。そんな状況で犯人に繋がるかもしれない情報を持ってきてくれた相手だ。どんな衛兵だってなりふり構わずに頼るだろう。
「まあそれでな…盗賊らしき奴らの会話を聞き取って、衛兵に伝える事になったんだ」
「それで付き合ってやったのか?珍しいな」
普段のお前なら、予定がある時には報告はしたって終わらせるだろうがと、レーブンは不思議そうに首を傾げた。
ああ、確かにローガンなら、どれだけ縋られてもそう言って終わらせそうではあるな。
「あー…せめて人数だけでも分かるまで付き合って欲しいって言われて、な。しかも…その場にいた三人の衛兵達は、全員が白狼亭の常連だったんだ」
レーブンもアキトも俺も、三人揃ってなるほどと頷いてしまった。普段からよく食べに来てる常連のお願いなら、そりゃあ無下にも出来ないな。客に興味がなさそうに見えて、きちんと客の事をよく見てる奴だからな。
「だが、理由があっても遅刻は遅刻だからな、ハル、アキト、ついでにレーブンも遅れて悪かった」
そう締めくくったローガンは、申し訳なさそうにもう一度謝ってくれた。
「あの、本当に気にしてないですから」
「ああ、盗賊がうろついてるよりも捕まってくれた方が安心だしな」
アキトの身の安全にも関わる話だ。
「俺も特に文句は無いが…ついでにってお前な…」
「ん?そんな事言ったか?」
ニヤリと笑ったローガンに、レーブンは笑いながらもすかさず言い返した。
「間違いなく言ったぞ」
「そうか…本音が漏れたな」
本音とか言ってるが大丈夫なのか?この二人、意外にも仲が良いから大丈夫か。
「さて、それじゃあそろそろ料理を出すとするか」
レーブンはそう言うと、魔道具であるワゴンの中から次々と料理を取り出し始めた。それぞれのお皿に盛られている料理の量はそれほど多くはないが、とにかく数が多い。これはたぶん皿ごとに全部違う料理なんだろうな。
「今回は試作と改良品をメインで作ったんだが…」
レーブンはすらすらと料理の説明をしながら、どんどんテーブルの上に料理を並べていく。例え作った人でも混乱しそうなぐらいの種類だが、ちゃんと把握してるのがレーブンらしいが…。
ふと気づけば、アキトが縋るような目で俺を見つめていた。説明が続きすぎて覚えていられないかもしれないと心配になったのかもしれないな。
「ハル、俺もう既によく分からなくなってるんだけど…」
ああ、やっぱりそうか。俺はニコリと笑みを浮かべてから答えた。
「ああ、心配しなくても大丈夫だよ。レーブンもさすがに全て把握しろとは思ってないから。だからあんなに早足で説明してるんだし」
本気で聞いて欲しいならきちんと一種類ずつ説明するだろうし、口頭じゃなく紙にでも書いて並べるだろう。
「そうなの?」
不安そうなアキトを安心させられるように、俺はひとつ大きく頷いた。
「そうだよ。だからアキトはこの料理が好みだとか、もうちょっとしょっぱい方が好きだとか、そういう料理の感想だけ言えば良いから」
断言すれば、アキトはようやくホッと息を吐き出した。
「まあこんなものか」
「じゃあ次は俺の番だな」
ローガンはそう言うなり、おもむろに魔道収納鞄に手をつっこんだ。
「今日は色々持って来たんだが…まずはこれだな」
そう言ってローガンが取り出したのは大きめの皿に山盛りになった、美味しそうなステーキだった。どうやら今日のは、あらかじめ細かく切ってから焼いてあるらしい。
「あ、ステーキ!」
「ああ、これは新作ってわけじゃないんだが…ハルがいるなら、ステーキは必要だろうと思ってな」
これは予想外だったが、嬉しい誤算だな。
「ああ、まさかわざわざこのステーキを用意してくれてるとは思わなかったよ。ありがとう、ローガン」
「気にすんな」
照れくさそうに誤魔化したローガンは、再び鞄に手を入れると次の料理を取り出した。
「こっちが新作のスープなんだが…前との違いは…」
そこから始まったローガンの説明も、レーブンと同じくらいの勢いだったよ。
うん、やっぱりこいつらは似たもの兄弟なんだな。
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