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670.【ハル視点】受付と友人談義
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「ルタス、それじゃあ後は頼んだぞ」
レーブンの声かけに、ルタスは明るく答えた。
「はいよー任せてくれー!受付の事は何も気にせず、思いっきり楽しんでくれたら良いからな。今日は特別な酒を堪能するんだろ?」
「ああ、そうだな」
どうやらレーブンは、依頼の目的まできちんと話していたようだな。
しかもルタスの言い方からして、食事会のためになんて誤魔化した理由ではなく、特別な酒を堪能するためにとはっきり伝えているらしい。
特別な酒は場を整えてから飲まないと後悔するからなーとしきりに頷いてるから、ルタスもかなり酒が好きなんだろう。
「あ、もし対処できない事があったら、明日に回しておくで良いんだよな?」
「ああ、そうしてくれ」
途中で邪魔が入らない事が一番大事だからなと、レーブンは上機嫌で答えた。こんなに分かりやすくワクワクしてるレーブンなんて初めて見るな。
「了解!アキトとハルも楽しんでくれよー」
「ああ、ありがとう」
「ありがとうございます」
朗らかに笑って手を振ってくるルタスに見送られて、俺達はそのままレーブンの私室へと足を向けた。
「ここだ。入ってくれ」
カチリと扉の鍵だけを開けると、レーブンはアキトと俺に向かってそう声をかけた。
そっと開いたドアから部屋の中を覗き込めば、まず最初に目に飛び込んできたのは大きな長テーブルだった。木製の大きな長テーブルには、テーブルを挟むようにして六つの椅子が並んでいる。
室内をぐるりと見回してみれば、そこにある家具や雑貨にはどれも飾り気が無かった。一見して地味なものばかりだが、よくよく見れば質は良い物だな。無骨で頑丈そうで、でもどこか温かみもある不思議な雰囲気だ。
まあレーブンらしい部屋といえばレーブンらしい部屋だな。
「あーここが食事を楽しむための部屋で、その右側のドアは俺の寝室、左側のドアは来客用の寝室に繋がってる」
来客用の寝室の中には、ベッドがいくつか並べられているらしい。もし酔いつぶれたり眠たくなったら、いつでも自由に使って良いそうだ。
それはなかなか便利だな。
「もし気になるなら、中も見てみるか?」
不意に尋ねてきたレーブンの視線の先には、興味深そうにドアを見つめるアキトの姿がある。あーあの反応は見てみるかって言わずにはいれないよな。気持ちはすごく良く分かるぞ、レーブン。
「はい、ぜひ!」
「ああ、そうだな。俺もちょっと気になる」
そう言葉を添えれば、アキトは嬉しそうに笑ってくれた。その笑顔、可愛いな。
「鍵はかかってないから、覗いて来て良いぞ。俺は先にテーブルの用意をしとく」
レーブンの提案に、アキトと俺は一瞬だけ目を見合わせてから、ドアの方へと近づいていった。
アキトがそっと左側のドアを開けば、そこには5つのベッドがずらりと並んでいた。部屋の広さに対してベッドが多いからかすこしだけ圧迫感はあるが、たぶん椅子の数とベッドの数を合わせてるんだろうな。
参加者全員の分のベッドを用意済みとは、すこし準備が良すぎないか?
「ベッドがこんなに並んでると、なんかすごいね」
「ああ、思いっきり飲んでいつでも潰れて良いぞって気持ちが伝わってくるな」
苦笑しながらボソリとそう呟けば、アキトは確かにそうかもとひとつ頷いた。
来客用の寝室から出ると、レーブンはテーブルの上に食器を並べている所だった。
「あ、俺も手伝います」
「いや、大丈夫だ。料理はこの中だしな」
レーブンはそう言うと、近くにあった木製のワゴンをコンと軽く叩いてみせた。
「ワゴン式の魔導収納か…?」
最近やっと普通に流通し始めたとはいえ、ワゴン式のはまだまだ高価な筈なんだが。すくなくともこんな風に裏で使うようなものでは無いはずだ。
「ああ、ストファー魔道具店のワゴン式魔導収納だよ」
「クリスさんとカーディのお店の?」
「ああ、そうだ。これは試作品だから市販品よりも保温と保冷の効果が短いんだそうだ」
「そうなのか…」
「と言ってクリスが置いていっただけだから、本当はどうかは知らないがな」
ああ、そういうことか。レーブンもそれが口だけだと気づいてはいるんだな。
あいつはカーディをここで雇ってた事でやけに俺に恩を感じてるんだよなぁと、レーブンは困り顔でぼやいた。
「もう十分だっていってるんだが…」
「そうか…もし良かったら俺からも言っておこうか?」
俺は軽い気持ちでそう切り出した。クリスを説得するなら俺の方が向いてるかもしれないと思った。ただそれだけだったんだが…。
「お前から…?」
レーブンは心底不思議そうな表情で、じっと俺を見つめてきた。
「ああ、依頼を受けた関係で俺はクリスと友人になったんだ」
「友人…」
「俺もカーディと友達になりましたよ!」
「ああ、アキトとカーディは気が合うと思うんだが…ハルとクリス…?」
嘘だろうと言いたげな表情のレーブンに、俺はまあそうなるよなぁと苦笑を返した。
レーブンの声かけに、ルタスは明るく答えた。
「はいよー任せてくれー!受付の事は何も気にせず、思いっきり楽しんでくれたら良いからな。今日は特別な酒を堪能するんだろ?」
「ああ、そうだな」
どうやらレーブンは、依頼の目的まできちんと話していたようだな。
しかもルタスの言い方からして、食事会のためになんて誤魔化した理由ではなく、特別な酒を堪能するためにとはっきり伝えているらしい。
特別な酒は場を整えてから飲まないと後悔するからなーとしきりに頷いてるから、ルタスもかなり酒が好きなんだろう。
「あ、もし対処できない事があったら、明日に回しておくで良いんだよな?」
「ああ、そうしてくれ」
途中で邪魔が入らない事が一番大事だからなと、レーブンは上機嫌で答えた。こんなに分かりやすくワクワクしてるレーブンなんて初めて見るな。
「了解!アキトとハルも楽しんでくれよー」
「ああ、ありがとう」
「ありがとうございます」
朗らかに笑って手を振ってくるルタスに見送られて、俺達はそのままレーブンの私室へと足を向けた。
「ここだ。入ってくれ」
カチリと扉の鍵だけを開けると、レーブンはアキトと俺に向かってそう声をかけた。
そっと開いたドアから部屋の中を覗き込めば、まず最初に目に飛び込んできたのは大きな長テーブルだった。木製の大きな長テーブルには、テーブルを挟むようにして六つの椅子が並んでいる。
室内をぐるりと見回してみれば、そこにある家具や雑貨にはどれも飾り気が無かった。一見して地味なものばかりだが、よくよく見れば質は良い物だな。無骨で頑丈そうで、でもどこか温かみもある不思議な雰囲気だ。
まあレーブンらしい部屋といえばレーブンらしい部屋だな。
「あーここが食事を楽しむための部屋で、その右側のドアは俺の寝室、左側のドアは来客用の寝室に繋がってる」
来客用の寝室の中には、ベッドがいくつか並べられているらしい。もし酔いつぶれたり眠たくなったら、いつでも自由に使って良いそうだ。
それはなかなか便利だな。
「もし気になるなら、中も見てみるか?」
不意に尋ねてきたレーブンの視線の先には、興味深そうにドアを見つめるアキトの姿がある。あーあの反応は見てみるかって言わずにはいれないよな。気持ちはすごく良く分かるぞ、レーブン。
「はい、ぜひ!」
「ああ、そうだな。俺もちょっと気になる」
そう言葉を添えれば、アキトは嬉しそうに笑ってくれた。その笑顔、可愛いな。
「鍵はかかってないから、覗いて来て良いぞ。俺は先にテーブルの用意をしとく」
レーブンの提案に、アキトと俺は一瞬だけ目を見合わせてから、ドアの方へと近づいていった。
アキトがそっと左側のドアを開けば、そこには5つのベッドがずらりと並んでいた。部屋の広さに対してベッドが多いからかすこしだけ圧迫感はあるが、たぶん椅子の数とベッドの数を合わせてるんだろうな。
参加者全員の分のベッドを用意済みとは、すこし準備が良すぎないか?
「ベッドがこんなに並んでると、なんかすごいね」
「ああ、思いっきり飲んでいつでも潰れて良いぞって気持ちが伝わってくるな」
苦笑しながらボソリとそう呟けば、アキトは確かにそうかもとひとつ頷いた。
来客用の寝室から出ると、レーブンはテーブルの上に食器を並べている所だった。
「あ、俺も手伝います」
「いや、大丈夫だ。料理はこの中だしな」
レーブンはそう言うと、近くにあった木製のワゴンをコンと軽く叩いてみせた。
「ワゴン式の魔導収納か…?」
最近やっと普通に流通し始めたとはいえ、ワゴン式のはまだまだ高価な筈なんだが。すくなくともこんな風に裏で使うようなものでは無いはずだ。
「ああ、ストファー魔道具店のワゴン式魔導収納だよ」
「クリスさんとカーディのお店の?」
「ああ、そうだ。これは試作品だから市販品よりも保温と保冷の効果が短いんだそうだ」
「そうなのか…」
「と言ってクリスが置いていっただけだから、本当はどうかは知らないがな」
ああ、そういうことか。レーブンもそれが口だけだと気づいてはいるんだな。
あいつはカーディをここで雇ってた事でやけに俺に恩を感じてるんだよなぁと、レーブンは困り顔でぼやいた。
「もう十分だっていってるんだが…」
「そうか…もし良かったら俺からも言っておこうか?」
俺は軽い気持ちでそう切り出した。クリスを説得するなら俺の方が向いてるかもしれないと思った。ただそれだけだったんだが…。
「お前から…?」
レーブンは心底不思議そうな表情で、じっと俺を見つめてきた。
「ああ、依頼を受けた関係で俺はクリスと友人になったんだ」
「友人…」
「俺もカーディと友達になりましたよ!」
「ああ、アキトとカーディは気が合うと思うんだが…ハルとクリス…?」
嘘だろうと言いたげな表情のレーブンに、俺はまあそうなるよなぁと苦笑を返した。
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