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666.【ハル視点】体調不良?
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まじまじと見つめれば見つめるほど、アキトの顔はどんどん真っ赤になっていく。
これは本当に大丈夫なんだろうか?明らかに何でもないって顔色じゃないよな。
「それでは本を探して参りますので、しばしおくつろぎください」
ジェイデンは俺達の様子をちらりと見たけれど、アキトの顔色については一切触れずにすっと立ち上がった。
こんなに真っ赤な頬に気づかないなんて事はあり得ないから、わざと触れなかったんだろう。つまりジェイデンから見て、アキトの体調不良?は深刻では無いという事か。
「はい、お願いします」
アキトが慌てながらも何とかそう返せば、ジェイデンはにっこりと笑ってからすぐに部屋を出て行った。
音も立てずにそっと扉が閉められると、アキトはホッと息を吐いて一気に肩の力を抜いた。
よし、これでこの部屋にいるのは俺達二人だけだ。二人きりになれたなら、もう遠慮はいらないな。俺はがばりとアキトの顔を覗き込んだ。
「わっ!ハル、何っ!?」
よほど予想外な行動だったのかアキトはひっくり返った声を出したけれど、俺は気にせずにそっと手を伸ばした。驚かせたのは申し訳ないが、今はそれよりもアキトの体調を確認する事の方が大事だからな。
「んー…何でもないって言ってたけど、さっき顔が赤かったから気になってね」
そう言いながら、俺は手のひらでそっと確かめるようにアキトの頬に触れた。
真っ赤になった頬だけはさすがにすこし熱を持っているけれど、指先で触れた首の辺りは特に熱くないな。
「うん、特に熱は無い…みたいだね。気持ち悪かったりはしない?」
誤魔化されないようにと至近距離でまっすぐ目を見つめながら尋ねれば、アキトは息を呑んだ。やっぱりどこか問題があるんだろうか。
「しないっ!」
何故か力いっぱい叫んで答えたアキトは、そのままそっと視線を反らしてしまった。やっぱり何かあるのか?心配になって更に距離を詰めれば、アキトの頬はどんどん赤さを増していく。
「あれ、でもどんどん熱く…」
「…っ!さっきも今も、ハルが格好良すぎて慌てただけだから!」
口に出してからしまったと言いたげにパシッと口を手で抑えると、アキトは恐る恐る俺の様子を伺ってきた。
俺はといえば、そんな言葉が飛び出してくると思っていなかったから最初は驚きに固まってしまったけれど、じわじわと嬉しさと愛おしさが込み上げてくる。
アキトが俺を格好良いと言ってくれた。
一体どこでそんな事を思ってくれたのかは分からないが、大事な人にまっすぐに褒められるというのは嬉しいもんだな。
「そんな事思ってくれてたんだ?言ってくれたら良かったのに」
「うう…ジェイデンさんがいたのに言えないよ」
別に伴侶候補が相手ならそういう事を口にしたとしても、誰も文句なんて言わないんだがな。むしろ微笑ましげに見つめられて、それで終わりだろう。
だがここで言えないと恥じらうのも、アキトらしいといえばアキトらしいか。
ああ、だがこの姿勢はまずいな。目の前で恥ずかしそうに頬を染めながら俺を見上げてくるアキトに、いつでも口づけられる体勢じゃないか。
「アキトは恥ずかしがり屋だからなぁ」
誤魔化すようにそう口にしながら、俺はアキトの頬からそっと手を離すとすぐにソファに座りなおした。
ああ、良かった。暴走せずに済んだなと安堵の息を洩らしてからちらりと見たアキトは、不服そうな表情を浮かべてじっと俺の唇を見つめていた。
「ねぇ、アキト。そんな顔して誘惑しないで」
思わず思った事をそのまま口にした俺に、アキトはムッとした顔で言い返してきた。
「してない」
「あー無自覚かー…口づけして欲しいって顔してたよ?」
「してないって…たぶん」
ここでたぶんなんて言葉を付け加えるという事は、アキトも少しぐらいは口づけしたいと思ってくれてたって事だよな。
気づけば自然と笑みがこぼれてしまった。
「まあ俺はいつでもアキトに口づけしたいけどね、ここでしたらアキトが次にここに来た時に困るかもしれないでしょう?」
「あ…うん、そうだね」
きっと普通にジェイデンさんに対応することすらできなくなるだろう。アキトはかなりの恥ずかしがり屋だからな。
「それに本気で口づけした後のとろんとしたアキトの顔は、他の誰にも見せたくないからね」
あれは俺だけが知っておくべき表情だし、これから先も誰にも見せる気は無い。
独占欲からそんな言葉を付け加えれば、アキトは呆れるでもなく嬉しそうに笑いながら頬を赤く染めてみせた。
だからその表情は駄目だよ、アキト。俺はぐっと奥歯を噛み締めて衝動を抑えながら、それでも視線を反らせずにアキトの顔を見つめ続けた。
これは本当に大丈夫なんだろうか?明らかに何でもないって顔色じゃないよな。
「それでは本を探して参りますので、しばしおくつろぎください」
ジェイデンは俺達の様子をちらりと見たけれど、アキトの顔色については一切触れずにすっと立ち上がった。
こんなに真っ赤な頬に気づかないなんて事はあり得ないから、わざと触れなかったんだろう。つまりジェイデンから見て、アキトの体調不良?は深刻では無いという事か。
「はい、お願いします」
アキトが慌てながらも何とかそう返せば、ジェイデンはにっこりと笑ってからすぐに部屋を出て行った。
音も立てずにそっと扉が閉められると、アキトはホッと息を吐いて一気に肩の力を抜いた。
よし、これでこの部屋にいるのは俺達二人だけだ。二人きりになれたなら、もう遠慮はいらないな。俺はがばりとアキトの顔を覗き込んだ。
「わっ!ハル、何っ!?」
よほど予想外な行動だったのかアキトはひっくり返った声を出したけれど、俺は気にせずにそっと手を伸ばした。驚かせたのは申し訳ないが、今はそれよりもアキトの体調を確認する事の方が大事だからな。
「んー…何でもないって言ってたけど、さっき顔が赤かったから気になってね」
そう言いながら、俺は手のひらでそっと確かめるようにアキトの頬に触れた。
真っ赤になった頬だけはさすがにすこし熱を持っているけれど、指先で触れた首の辺りは特に熱くないな。
「うん、特に熱は無い…みたいだね。気持ち悪かったりはしない?」
誤魔化されないようにと至近距離でまっすぐ目を見つめながら尋ねれば、アキトは息を呑んだ。やっぱりどこか問題があるんだろうか。
「しないっ!」
何故か力いっぱい叫んで答えたアキトは、そのままそっと視線を反らしてしまった。やっぱり何かあるのか?心配になって更に距離を詰めれば、アキトの頬はどんどん赤さを増していく。
「あれ、でもどんどん熱く…」
「…っ!さっきも今も、ハルが格好良すぎて慌てただけだから!」
口に出してからしまったと言いたげにパシッと口を手で抑えると、アキトは恐る恐る俺の様子を伺ってきた。
俺はといえば、そんな言葉が飛び出してくると思っていなかったから最初は驚きに固まってしまったけれど、じわじわと嬉しさと愛おしさが込み上げてくる。
アキトが俺を格好良いと言ってくれた。
一体どこでそんな事を思ってくれたのかは分からないが、大事な人にまっすぐに褒められるというのは嬉しいもんだな。
「そんな事思ってくれてたんだ?言ってくれたら良かったのに」
「うう…ジェイデンさんがいたのに言えないよ」
別に伴侶候補が相手ならそういう事を口にしたとしても、誰も文句なんて言わないんだがな。むしろ微笑ましげに見つめられて、それで終わりだろう。
だがここで言えないと恥じらうのも、アキトらしいといえばアキトらしいか。
ああ、だがこの姿勢はまずいな。目の前で恥ずかしそうに頬を染めながら俺を見上げてくるアキトに、いつでも口づけられる体勢じゃないか。
「アキトは恥ずかしがり屋だからなぁ」
誤魔化すようにそう口にしながら、俺はアキトの頬からそっと手を離すとすぐにソファに座りなおした。
ああ、良かった。暴走せずに済んだなと安堵の息を洩らしてからちらりと見たアキトは、不服そうな表情を浮かべてじっと俺の唇を見つめていた。
「ねぇ、アキト。そんな顔して誘惑しないで」
思わず思った事をそのまま口にした俺に、アキトはムッとした顔で言い返してきた。
「してない」
「あー無自覚かー…口づけして欲しいって顔してたよ?」
「してないって…たぶん」
ここでたぶんなんて言葉を付け加えるという事は、アキトも少しぐらいは口づけしたいと思ってくれてたって事だよな。
気づけば自然と笑みがこぼれてしまった。
「まあ俺はいつでもアキトに口づけしたいけどね、ここでしたらアキトが次にここに来た時に困るかもしれないでしょう?」
「あ…うん、そうだね」
きっと普通にジェイデンさんに対応することすらできなくなるだろう。アキトはかなりの恥ずかしがり屋だからな。
「それに本気で口づけした後のとろんとしたアキトの顔は、他の誰にも見せたくないからね」
あれは俺だけが知っておくべき表情だし、これから先も誰にも見せる気は無い。
独占欲からそんな言葉を付け加えれば、アキトは呆れるでもなく嬉しそうに笑いながら頬を赤く染めてみせた。
だからその表情は駄目だよ、アキト。俺はぐっと奥歯を噛み締めて衝動を抑えながら、それでも視線を反らせずにアキトの顔を見つめ続けた。
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