638 / 1,179
637.爆笑するカーディ
しおりを挟む
三人で広場を更に奥へ奥へと進んで行けば、目的地にはすぐに辿り着いた。
「あ、見えてきたぞ。あの白い屋根の屋台がそうだ!」
そう言ってカーディが指差した方向に視線を向ければ、一際大きな屋台が目に飛び込んできた。真っ白な屋根が特徴的なその大きな屋台は、奥まった場所にあるにも関わらずたくさんの人で賑わっているみたいだ。
「うわーすごい人!人気なんだね!」
「な、すごいだろー?」
まるで自分の事のように自慢げに笑ったカーディは、俺から見てもすごく可愛かった。何だろう悪戯っぽいというか、こどもっぽいというか…とにかく得意げな笑顔だった。
ここにクリスさんがいたら、俺の伴侶が可愛いと大喜びで騒ぐんだろうなーとついついそんな事を考えてしまったよね。一緒にいたらきっと賑やかだったんだろうな。
「よし、それじゃあ俺達も並ぼうか」
「うん、そうだね」
「ああ、並ぼうか」
いそいそと三人でずらりと並んだ行列に並べば、俺達の後ろにもあっという間に列が出来ていった。本当に人気のお店なんだな。
「あ、そういえば、カーディ…?」
「ん?どうかしたのか?アキト?」
「えっと…聞きたい事があるんだけど」
「ああ、何でも聞いてくれて良いぞ?」
「――ここって何のお店なの?」
俺からすれば素直な質問だったんだけど、カーディはきょとんと目を見開いてそのまま固まってしまった。
そんなに驚くような質問だったかな?思わずどうしようとハルに視線を向けた瞬間、カーディはブハッと思いっきり噴き出した。
「待ってくれ、何を売ってるのかも知らなかったのか?」
「え、うん」
「何を売ってるかも知らないのに、列に並んでからそれを聞くのか?」
「だってカーディがお勧めっていう屋台だよ?そりゃあ並ぶよ!俺好き嫌い無いし!」
恥ずかしさを誤魔化すように元気にそう言い返せば、カーディはひーひー笑いながらもハルにちらりと視線を向けた。
「もしかして…ハルも…知らないのか?」
「ああ、カーディさんのお気に入りの屋台がこのあたりにあるって事だけ、クリスから聞いたんだ」
カーディはハルの答えを聞くなり、それはもう楽しそうに笑い続けた。
「そんなに面白い事言った?」
「いや、そんな事は無いと思うんだが…」
思わず尋ねてしまったけど、ハルも困った顔でそう返してきた。
「あ、でも良い香りする」
「本当だな。肉のやける香り…?」
「やっぱりマルックスかな?」
爆笑してるカーディはとりあえず放っておく事にして、俺はハルとのんびりとそんな事を話しだした。
こういう時は気が済むまで笑わせた方が良いって知ってるからね。しばらくすれば、カーディはようやく落ち着いたらしい。
「はー笑った笑った」
「あ、落ち着いた?」
「ああ、悪かったな」
律儀に笑いすぎてごめんと謝ってくるカーディの謝罪を、俺とハルは笑って受け入れた。
「それにしても…ハルならどんな店かって全力で聞き出しそうだと思うんだが?」
もしかしてアキトが気に入るかもしれないって思うから、そういう情報は聞き逃さないだろう?とカーディは不思議そうに尋ねた。
「あー…普段ならそうなんだが…この屋台の事を聞いたのは、あの恋人と伴侶の惚気話の時だからな…」
「あ、なるほど。それどころじゃないぐらいクリスが暴走したのか…すまなかったな」
たったそれだけの説明で事の成り行きを一瞬で察したらしいカーディは、心底申し訳なさそうにそう呟いた。屋台の料理について尋ねる前に、どんどん話が脱線したんだろうな。
主にカーディについての惚気話で。
「いや、それはお互い様だから別に良いんだが…どんな料理かも知らないから、正直に言えばどの店が正解かも分からない所だったんだ…」
「そうだよね。俺もさっき気づいて、カーディいてくれて良かったって思ったよ」
思わずそう口を挟めば、カーディは面白そうに笑ってから口を開いた。
「アキトとハルはそういう所が良いよな」
え、どういう所?と俺はハルと顔を見合わせてしまった。
「あ、見えてきたぞ。あの白い屋根の屋台がそうだ!」
そう言ってカーディが指差した方向に視線を向ければ、一際大きな屋台が目に飛び込んできた。真っ白な屋根が特徴的なその大きな屋台は、奥まった場所にあるにも関わらずたくさんの人で賑わっているみたいだ。
「うわーすごい人!人気なんだね!」
「な、すごいだろー?」
まるで自分の事のように自慢げに笑ったカーディは、俺から見てもすごく可愛かった。何だろう悪戯っぽいというか、こどもっぽいというか…とにかく得意げな笑顔だった。
ここにクリスさんがいたら、俺の伴侶が可愛いと大喜びで騒ぐんだろうなーとついついそんな事を考えてしまったよね。一緒にいたらきっと賑やかだったんだろうな。
「よし、それじゃあ俺達も並ぼうか」
「うん、そうだね」
「ああ、並ぼうか」
いそいそと三人でずらりと並んだ行列に並べば、俺達の後ろにもあっという間に列が出来ていった。本当に人気のお店なんだな。
「あ、そういえば、カーディ…?」
「ん?どうかしたのか?アキト?」
「えっと…聞きたい事があるんだけど」
「ああ、何でも聞いてくれて良いぞ?」
「――ここって何のお店なの?」
俺からすれば素直な質問だったんだけど、カーディはきょとんと目を見開いてそのまま固まってしまった。
そんなに驚くような質問だったかな?思わずどうしようとハルに視線を向けた瞬間、カーディはブハッと思いっきり噴き出した。
「待ってくれ、何を売ってるのかも知らなかったのか?」
「え、うん」
「何を売ってるかも知らないのに、列に並んでからそれを聞くのか?」
「だってカーディがお勧めっていう屋台だよ?そりゃあ並ぶよ!俺好き嫌い無いし!」
恥ずかしさを誤魔化すように元気にそう言い返せば、カーディはひーひー笑いながらもハルにちらりと視線を向けた。
「もしかして…ハルも…知らないのか?」
「ああ、カーディさんのお気に入りの屋台がこのあたりにあるって事だけ、クリスから聞いたんだ」
カーディはハルの答えを聞くなり、それはもう楽しそうに笑い続けた。
「そんなに面白い事言った?」
「いや、そんな事は無いと思うんだが…」
思わず尋ねてしまったけど、ハルも困った顔でそう返してきた。
「あ、でも良い香りする」
「本当だな。肉のやける香り…?」
「やっぱりマルックスかな?」
爆笑してるカーディはとりあえず放っておく事にして、俺はハルとのんびりとそんな事を話しだした。
こういう時は気が済むまで笑わせた方が良いって知ってるからね。しばらくすれば、カーディはようやく落ち着いたらしい。
「はー笑った笑った」
「あ、落ち着いた?」
「ああ、悪かったな」
律儀に笑いすぎてごめんと謝ってくるカーディの謝罪を、俺とハルは笑って受け入れた。
「それにしても…ハルならどんな店かって全力で聞き出しそうだと思うんだが?」
もしかしてアキトが気に入るかもしれないって思うから、そういう情報は聞き逃さないだろう?とカーディは不思議そうに尋ねた。
「あー…普段ならそうなんだが…この屋台の事を聞いたのは、あの恋人と伴侶の惚気話の時だからな…」
「あ、なるほど。それどころじゃないぐらいクリスが暴走したのか…すまなかったな」
たったそれだけの説明で事の成り行きを一瞬で察したらしいカーディは、心底申し訳なさそうにそう呟いた。屋台の料理について尋ねる前に、どんどん話が脱線したんだろうな。
主にカーディについての惚気話で。
「いや、それはお互い様だから別に良いんだが…どんな料理かも知らないから、正直に言えばどの店が正解かも分からない所だったんだ…」
「そうだよね。俺もさっき気づいて、カーディいてくれて良かったって思ったよ」
思わずそう口を挟めば、カーディは面白そうに笑ってから口を開いた。
「アキトとハルはそういう所が良いよな」
え、どういう所?と俺はハルと顔を見合わせてしまった。
157
お気に入りに追加
4,204
あなたにおすすめの小説
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。

不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

婚約破棄されたショックで前世の記憶&猫集めの能力をゲットしたモブ顔の僕!
ミクリ21 (新)
BL
婚約者シルベスター・モンローに婚約破棄されたら、そのショックで前世の記憶を思い出したモブ顔の主人公エレン・ニャンゴローの話。

公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる