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614.不思議な夢
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明るい光の中でふと目が覚めたら、目の前には幸せそうに微笑んでいるハルの寝顔があった。
至近距離で見ても驚くほど整っているハルの顔に、ついつい見惚れてしまう。起きてる時も格好良いけど、眠ってるときは美形だなってしみじみ思ってしまうんだよね。
ちらりと視線を動かしてみれば、どうやら俺の片手はハルの手にぎゅっと握りこまれているみたいだ。
ついさっきまで見ていた夢の中でも、こんな風にハルと手を繋いでいたな。
何だか不思議な夢だった。ハルの反応がすごくハルらしくてね、夢だって事を何度も忘れそうになったくらいだ。途中で夢でも何でも楽しもうと決めてからは、思いっきり楽しんでたんだけどね。
あ、もしかしたらこの手のおかげで、あんな夢を見たのかもしれないなと俺が分析していると、不意にハルの眉間にギュイッっとしわが寄った。
え、さっきまであんなに幸せそうだったのに、急にどうしたの?もしかしてこれは起こした方が良いのかな俺が慌てている間に、ハルの手にぎゅうっと力がこもった。痛くは無いぐらいの力加減だけど、ハルにこんな風に強く手を握られたのは初めてだ。
「アキ、ト…」
「ハル、俺はここにいるよ」
そう言いながら繋いだ手に同じぐらいの力を込めれば、ハルの目がぱちりと開いた。
「アキト…良かった、いた。おはよ」
「え、うん、いるよ…?」
勝手にどこかに行ったりしないよ?と首を傾げながらも、俺はとりあえずおはようと朝の挨拶を返した。
「うん、おはよう」
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。ごめんね。折角夢の中でアキトとデートしてたのに、急に消えちゃったから焦ったんだ」
「え…?」
今、ハルは何て言った?俺と夢の中でデートしてた?
「アキト、どうかした?」
「あの…それって最初に待ち合わせしたのは、トリクの花畑だったり…する?」
恐る恐る尋ねた俺の質問に、ハルはしばし沈黙してから口を開いた。
「うん、トリクの花畑だったね――その後は花畑を抜けて、突然現れたイーシャルの街中を散策したんだよね?」
急に場面が変わったなぁと思ったけど、夢ってそういうものだからって気にしてなかった。でも現実では絶対にあり得ない切り替わり方だった。ハルも、それを知ってるって事だよね?
「そうそう。それで、その次は何故か船の中に飛んだんだ」
「あの貸切船の個室の中だよね」
「そう!」
これはもう絶対そうだよね。
「ここまで一致するなんて普通に考えてあり得ないよね…もしかしてアキトも俺と同じ夢を見てた?」
「うん、見てたんだと思う!」
ここまで一致してるなら、二人で一緒に同じ夢を見ていたって事だろう。
「あまりに夢の中のハルが現実のハルに似てたから、俺の夢ってすごいなぁと感心してたんだけど…」
「ああ、俺も自分の夢ながらアキトの反応が可愛すぎて、何度抱きしめたいと思った事か…」
えーっと、何回か夢の中でも抱きしめられた気がするんだけど、わざわざ指摘するのは恥ずかしいからそこには触れないぞ。
他の人にもし可愛いって言われても馬鹿にしてるのかとか子ども扱いしてるのかって思うのに、ハルに可愛いって言われるのは嬉しいから困る。
ハルは真っ赤になった俺を寝転がったままそっと抱き寄せると、耳元でぼそりと呟いた。
「そうか、アキト本人だったから、あんなに愛おしく感じたのか…」
いつも通りのハルに見えたけど、愛おしいとか思ってくれてたんだ。
「…俺も本物のハルみたいだな、格好良いなってずっと思ってたよ」
あまりにハルらしいハルへの違和感にもっと早く気づけていたら、夢の中でのハルとのデートをもっと楽しめてたかもしれないのに。そう思うとちょっとだけ悔しい。
「それにしても、不思議な事もあるものだね」
「不思議だね…これって、もしかしてトリクの花の香水の効果なのかな?」
「いや、そんな効果は無い筈なんだけど…今度、もう一度使ってみようか?」
「うん!もしまた夢で会えたら、今度は思いっきり楽しめるよね」
「そうだね。もし無理でも昨日の夜はどんな奇跡だったんだろう、良い思い出になったねって話なだけだしね」
ああ、そっか。もしまた夢で会うのが無理だったとしても、あの夢が二人の思い出になるのか。
至近距離で見ても驚くほど整っているハルの顔に、ついつい見惚れてしまう。起きてる時も格好良いけど、眠ってるときは美形だなってしみじみ思ってしまうんだよね。
ちらりと視線を動かしてみれば、どうやら俺の片手はハルの手にぎゅっと握りこまれているみたいだ。
ついさっきまで見ていた夢の中でも、こんな風にハルと手を繋いでいたな。
何だか不思議な夢だった。ハルの反応がすごくハルらしくてね、夢だって事を何度も忘れそうになったくらいだ。途中で夢でも何でも楽しもうと決めてからは、思いっきり楽しんでたんだけどね。
あ、もしかしたらこの手のおかげで、あんな夢を見たのかもしれないなと俺が分析していると、不意にハルの眉間にギュイッっとしわが寄った。
え、さっきまであんなに幸せそうだったのに、急にどうしたの?もしかしてこれは起こした方が良いのかな俺が慌てている間に、ハルの手にぎゅうっと力がこもった。痛くは無いぐらいの力加減だけど、ハルにこんな風に強く手を握られたのは初めてだ。
「アキ、ト…」
「ハル、俺はここにいるよ」
そう言いながら繋いだ手に同じぐらいの力を込めれば、ハルの目がぱちりと開いた。
「アキト…良かった、いた。おはよ」
「え、うん、いるよ…?」
勝手にどこかに行ったりしないよ?と首を傾げながらも、俺はとりあえずおはようと朝の挨拶を返した。
「うん、おはよう」
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。ごめんね。折角夢の中でアキトとデートしてたのに、急に消えちゃったから焦ったんだ」
「え…?」
今、ハルは何て言った?俺と夢の中でデートしてた?
「アキト、どうかした?」
「あの…それって最初に待ち合わせしたのは、トリクの花畑だったり…する?」
恐る恐る尋ねた俺の質問に、ハルはしばし沈黙してから口を開いた。
「うん、トリクの花畑だったね――その後は花畑を抜けて、突然現れたイーシャルの街中を散策したんだよね?」
急に場面が変わったなぁと思ったけど、夢ってそういうものだからって気にしてなかった。でも現実では絶対にあり得ない切り替わり方だった。ハルも、それを知ってるって事だよね?
「そうそう。それで、その次は何故か船の中に飛んだんだ」
「あの貸切船の個室の中だよね」
「そう!」
これはもう絶対そうだよね。
「ここまで一致するなんて普通に考えてあり得ないよね…もしかしてアキトも俺と同じ夢を見てた?」
「うん、見てたんだと思う!」
ここまで一致してるなら、二人で一緒に同じ夢を見ていたって事だろう。
「あまりに夢の中のハルが現実のハルに似てたから、俺の夢ってすごいなぁと感心してたんだけど…」
「ああ、俺も自分の夢ながらアキトの反応が可愛すぎて、何度抱きしめたいと思った事か…」
えーっと、何回か夢の中でも抱きしめられた気がするんだけど、わざわざ指摘するのは恥ずかしいからそこには触れないぞ。
他の人にもし可愛いって言われても馬鹿にしてるのかとか子ども扱いしてるのかって思うのに、ハルに可愛いって言われるのは嬉しいから困る。
ハルは真っ赤になった俺を寝転がったままそっと抱き寄せると、耳元でぼそりと呟いた。
「そうか、アキト本人だったから、あんなに愛おしく感じたのか…」
いつも通りのハルに見えたけど、愛おしいとか思ってくれてたんだ。
「…俺も本物のハルみたいだな、格好良いなってずっと思ってたよ」
あまりにハルらしいハルへの違和感にもっと早く気づけていたら、夢の中でのハルとのデートをもっと楽しめてたかもしれないのに。そう思うとちょっとだけ悔しい。
「それにしても、不思議な事もあるものだね」
「不思議だね…これって、もしかしてトリクの花の香水の効果なのかな?」
「いや、そんな効果は無い筈なんだけど…今度、もう一度使ってみようか?」
「うん!もしまた夢で会えたら、今度は思いっきり楽しめるよね」
「そうだね。もし無理でも昨日の夜はどんな奇跡だったんだろう、良い思い出になったねって話なだけだしね」
ああ、そっか。もしまた夢で会うのが無理だったとしても、あの夢が二人の思い出になるのか。
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