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572.嬉しい驚き
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まずはイーシャル名物の、あのシャルの果実水で試してみたいな。そんな事を考えていると、ブレイズは照れくさそうに笑みを浮かべてもう一度鞄に手を入れた。
「あー実はさ、これ二本用意してあるんだ。アキトと…それにハルさんにあげたいなーと思って」
まあ買った時点では、俺はまだハルさんが精霊だと信じてたんだけどね。精霊が飲み食いできるのかも知らないから、もしかしたら精霊へのお供物って扱いになるのかなって思ってたんだけどと、ブレイズは笑って続ける。
「精霊だと思ってたのに、それでもハルのために用意してくれたんだ?」
ちょっと驚きながら聞き返した俺に、太陽のような笑顔が返ってくる。
「だってさ、ハルさんが何であったとしても、アキトにとって大切な存在だって事だけは分かってたから」
そこであっさりとそう答えられるブレイズが、やっぱり好きだなぁとしみじみ思う。あ、もちろん、あくまでも友人としてだけどね。異世界でこんなに良い出会いがあるとは思わなかったよね。
それにしても、俺とブレイズは本当に気が合うらしい。
油断すれば思わず笑ってしまいそうな所をぐっと我慢して、俺はゆっくりと口を開いた。
「ブレイズ…あのね、実は俺もまだ用意してあるんだ」
「へ?」
「ちょっと待ってね」
そう言い置いてから、俺はすぐに自分の魔導収納鞄に手を差し入れた。
きょとんとこちらを見つめてくるブレイズとファリーマさんの視線を感じながら、リボンの付いた『トリク』という酒の瓶をどんどん取り出していく。さすがに全部持ってるのは無理だから、自分の座っているマントの端っこにずらりと四本の瓶を並べてみた。
「アキト、これって…」
「これがブレイズ。こっちがファリーマさん。ウォルターさんのと、そっちにあるのがルセフさんの分だよ」
指差しながらそう答えれば、ブレイズはパァッと満面の笑みを浮かべた。
「つまり俺達、全く同じ事考えてたって事!?」
そう、ブレイズは俺とハルのためにお土産を選んでくれてたし、俺はブレイズのパーティーメンバーの分もお土産を選んでたって事だ。考える事が似てるのかな。
「ね、しかもまさかのお酒って所まで一緒だよ!」
「うわーそこまで一致するなんてすごいよね!」
「うん、すごいね!」
予想外だったけど、これは嬉しい驚きだ。
「アキト、俺、今すっごく嬉しいよ!」
「俺も嬉しいよ!ブレイズ!」
珍しいお酒を飲むのも楽しみだし、もちろん嬉しいんだけどね。でも一番嬉しいのは、離れていても思いやってくれてた友人の気持ちなんだ。
「あー…お前らの気が合うのも嬉しいのも分かったけど、もう少しだけ声落とせよ?」
苦笑しながらファリーマさんに注意された俺達は、揃ってパシリと自分の口を押さえて固まった。二人してそーっとテントの方に視線を向けてみたけど、とりあえず起きだしてくる気配は無さそうだ。
そーっとっ口から手を外して、ブレイズはしょんぼりと肩を落とした。
「ファリーマさん、ごめんなさい」
「俺もごめんなさい」
興奮しすぎて、もう寝てる他の人を起こすかもしれないとか、考えられなくなってた。心底反省しながら謝る俺達に、ファリーマさんはいやと軽く首を振った。
「これが昼間なら、二人のやりとりをただ面白がって見てられたんだけどな…邪魔して悪いな」
「いえ、止めてくれてありがとうございます」
「俺も、止めてくれてありがとう」
ファリーマさんはお前らは可愛いなと、笑って頭を撫でてくれた。
「それにしても、これ俺も貰って良いのか?」
「あ、はい。もちろん」
「トリクって酒があるって話は知ってたけど、これって本当に実在するんだなぁ」
しみじみと呟いたファリーマさんに、ブレイズはびっくり顔で尋ねた。
「え、ファリーマさん、これも知ってるの?」
「いや、これはウォルターが言ってたんだよ」
「ウォルター兄ちゃんが?」
「ああ、一度で良いから飲んでみたいけど、実在してるのかすら分からないとか嘆いてたぞ」
そう口にしたファリーマさんは、面白そうに笑みを浮かべた。
「多分ウォルターにこれを見せたら、うるさくなると思うぞ」
「あー…渡すのは朝食の後にしようね」
「そうだな」
よく分からないけど、朝食の後に渡す事になるみたいだ。
「あー実はさ、これ二本用意してあるんだ。アキトと…それにハルさんにあげたいなーと思って」
まあ買った時点では、俺はまだハルさんが精霊だと信じてたんだけどね。精霊が飲み食いできるのかも知らないから、もしかしたら精霊へのお供物って扱いになるのかなって思ってたんだけどと、ブレイズは笑って続ける。
「精霊だと思ってたのに、それでもハルのために用意してくれたんだ?」
ちょっと驚きながら聞き返した俺に、太陽のような笑顔が返ってくる。
「だってさ、ハルさんが何であったとしても、アキトにとって大切な存在だって事だけは分かってたから」
そこであっさりとそう答えられるブレイズが、やっぱり好きだなぁとしみじみ思う。あ、もちろん、あくまでも友人としてだけどね。異世界でこんなに良い出会いがあるとは思わなかったよね。
それにしても、俺とブレイズは本当に気が合うらしい。
油断すれば思わず笑ってしまいそうな所をぐっと我慢して、俺はゆっくりと口を開いた。
「ブレイズ…あのね、実は俺もまだ用意してあるんだ」
「へ?」
「ちょっと待ってね」
そう言い置いてから、俺はすぐに自分の魔導収納鞄に手を差し入れた。
きょとんとこちらを見つめてくるブレイズとファリーマさんの視線を感じながら、リボンの付いた『トリク』という酒の瓶をどんどん取り出していく。さすがに全部持ってるのは無理だから、自分の座っているマントの端っこにずらりと四本の瓶を並べてみた。
「アキト、これって…」
「これがブレイズ。こっちがファリーマさん。ウォルターさんのと、そっちにあるのがルセフさんの分だよ」
指差しながらそう答えれば、ブレイズはパァッと満面の笑みを浮かべた。
「つまり俺達、全く同じ事考えてたって事!?」
そう、ブレイズは俺とハルのためにお土産を選んでくれてたし、俺はブレイズのパーティーメンバーの分もお土産を選んでたって事だ。考える事が似てるのかな。
「ね、しかもまさかのお酒って所まで一緒だよ!」
「うわーそこまで一致するなんてすごいよね!」
「うん、すごいね!」
予想外だったけど、これは嬉しい驚きだ。
「アキト、俺、今すっごく嬉しいよ!」
「俺も嬉しいよ!ブレイズ!」
珍しいお酒を飲むのも楽しみだし、もちろん嬉しいんだけどね。でも一番嬉しいのは、離れていても思いやってくれてた友人の気持ちなんだ。
「あー…お前らの気が合うのも嬉しいのも分かったけど、もう少しだけ声落とせよ?」
苦笑しながらファリーマさんに注意された俺達は、揃ってパシリと自分の口を押さえて固まった。二人してそーっとテントの方に視線を向けてみたけど、とりあえず起きだしてくる気配は無さそうだ。
そーっとっ口から手を外して、ブレイズはしょんぼりと肩を落とした。
「ファリーマさん、ごめんなさい」
「俺もごめんなさい」
興奮しすぎて、もう寝てる他の人を起こすかもしれないとか、考えられなくなってた。心底反省しながら謝る俺達に、ファリーマさんはいやと軽く首を振った。
「これが昼間なら、二人のやりとりをただ面白がって見てられたんだけどな…邪魔して悪いな」
「いえ、止めてくれてありがとうございます」
「俺も、止めてくれてありがとう」
ファリーマさんはお前らは可愛いなと、笑って頭を撫でてくれた。
「それにしても、これ俺も貰って良いのか?」
「あ、はい。もちろん」
「トリクって酒があるって話は知ってたけど、これって本当に実在するんだなぁ」
しみじみと呟いたファリーマさんに、ブレイズはびっくり顔で尋ねた。
「え、ファリーマさん、これも知ってるの?」
「いや、これはウォルターが言ってたんだよ」
「ウォルター兄ちゃんが?」
「ああ、一度で良いから飲んでみたいけど、実在してるのかすら分からないとか嘆いてたぞ」
そう口にしたファリーマさんは、面白そうに笑みを浮かべた。
「多分ウォルターにこれを見せたら、うるさくなると思うぞ」
「あー…渡すのは朝食の後にしようね」
「そうだな」
よく分からないけど、朝食の後に渡す事になるみたいだ。
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