生まれつき幽霊が見える俺が異世界転移をしたら、精霊が見える人と誤解されています

根古川ゆい

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567.話し合いは難航する

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 普通に伴侶候補おめでとうって言われるのももちろん嬉しいんだけど、やっぱり『二人のこれからに祝福を』っていうこの世界特有の祝福の言葉は格別に嬉しいね。

 最初にあの言葉を贈ってくれた人がトライプールの領主様って事実は、庶民な俺としてはちょっと忘れていたい事実だけどね。

「よし、無事にお祝いの言葉も言えた事だし…見張り当番の話に戻すぞー」

 ルセフさんの仕切り直す一言に、俺達は揃って頷いた。こういう時に進行役を買って出てくれる人がいるのって、地味にありがたい。

「とりあえず、まずはアキトとハル二人の意見を聞きたいな。今夜の見張り番で誰と組みたいかを言ってくれ」

 遠慮はしなくて良いからなと続けたルセフさんの言葉に、俺はハルの方へちらりと視線を向けた。ハルと一緒に見張りをするのももちろん楽しいだろうけど、ブレイズにはお土産交換の約束をしちゃったし…どうしよう。ハルはどう思ってるんだろう。

 そんな事をぐるぐると考えていると、ハルは俺をちらりと見てからふわりと柔らかく笑ってみせた。

「そうだな。愛しの伴侶候補様と一緒に組みたい気持ちはもちろんあるが…俺はこれからもいつでも一緒にいられるんだから、ここはみんなに譲るよ」

 アキトは人気者だからねとハルは朗らかに笑って続けた。いやいやいや、それを言うならハルの方が人気者じゃないか。今もルセフさんとウォルターさんに取り合われてるんだから。

「わ、ありがとう、ハルさん!」

 やったーと無邪気に喜ぶブレイズに、ファリーマさんはまだアキトと誰が組むかは決まってないんだからなと牽制の声をあげる。

「大人げないぞ、ファリーマ」
「うるさいな」

 ニヤニヤと笑いながら揶揄いだしたウォルターさんを、ファリーマさんは冷たい視線で睨みつけた。

「アキトは?」
「あ、俺もその…もちろんハルと一緒にいたい気持ちもあるんですけど、でも、みんなと過ごす時間も大事にしたいなと思ってます」

 さっきのハルの愛しの伴侶様って言葉が嬉しかったから、ハルへのお返しも入れて返事をしようと頑張ってみた。うーん。頑張ってはみたけど…何だか恥ずかしい言葉になってしまったかもしれない。

 皆の視線が生暖かいような気がするんだけど、ハルは嬉しそうに笑ってるからまあ良いか。ハルを喜ばせるためなら、自分の恥ずかしさぐらいは耐えれる…筈だ。

「さて、二人は離れても良いって言ってくれたけど…つまり話の最初に戻ったわけだが…」
「俺はアキトと組みたい!お土産交換!」
「俺もアキトが良い!魔法談義!」
「前衛の話とか戦術の話なんかをハルとしてぇな」
「ハルと情報交換がしたいな」

 あ、うん。振り出しに戻ってるね。

「それなんだけどな、さっきから考えてたんだが…見張り番の人数にこだわるのをやめて、3人ずつで組むっていうのはどうだろう?」

 ハルの提案に、ウォルターさんが答える。

「は、3人ずつで組むのか?」
「ああ、担当する時間だけは伸びるけど、このまま平行線の話し合いをするよりは良いと思うんだ」
「あーうん、まあ確かに」

 ファリーマさんもうんうんと頷いている。

「アキトとブレイズとファリーマでお土産交換と魔法談義、ルセフとウォルターと俺で前衛と戦術、それに情報交換でどうだろう?」

 みんなに見せるように指を折りながらそう説明したハルに、ルセフさんをのぞくみんながなるほどと揃って納得の声をあげた。

「ルセフは反対か?」
「いや、俺も二人が離れる事を受け入れてくれるなら、そう提案しようかと思ってた所だ」

 だからこそ驚いてしまって黙ってしまったんだけどと、ルセフさんはあっさりと続けた。

「そうか、それじゃあ3人ずつで2組を作るってので決定だな」
「それで、どっちから見張りにする?」


 ルセフさんはハルを見つめてそう尋ねた。

「なんだ、俺が決めて良いのか?」
「ああ」
「いいよ」
「どうぞ」
「うん」

 ハルは俺をじっと見つめて、口を開いた。

「なあ、アキト。一つ聞いても良いかな?」
「うん、何でも聞いて?」
「今、眠かったりする?」

 何でそんな事を聞かれるんだろうと少しだけ不思議に思いながらも、俺はすぐに答えた。

「ううん」
「よし、じゃあアキトとブレイズとファリーマが先って事で頼む」

 あ、もしかして俺が眠いって言ってたら、先に寝かせてくれるつもりだったって事?ちらりと視線を向けたみんなは、それはもう生暖かい目で俺とハルを見つめてたよ。恥ずかしい。
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