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545.【ハル視点】8人で昼食を
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「混雑に巻き込まれずに無事にイーシャルからは離れられましたから、そろそろ一度休憩にしましょうか?」
しばらく街道を進んだ所で、クリスは俺達に向かってそう提案した。
「賛成!腹も減ってきたし、皆で飯にしようぜ」
カーディさんが明るく笑って同意すれば、クリスの視線がちらりと俺達の方へと流れてきた。もちろん休憩するのに異論は無いからとアキトと揃って頷けば、クリスは壁にある御者との連絡用の小窓をこんこんと軽く叩いた。
クリスのノックの音にすぐに反応して、向こう側から小窓を覆っていた扉が開かれる。ルセフはまっすぐに前を向いてウマを操ったまま口を開いた。
「どうかしたか?」
「無事にイーシャルからは離れられましたから、そろそろ休憩にしようかと思ったんですが…」
どう思いますかと言いたげなクリスの言葉に、ルセフは少し考えてから答えた。
「分かった。この辺りでも休憩程度なら出来ると思うけど、次の停留場でも良いか?」
「ええ、お願いします」
ルセフはクリスの答えを聞くなり、すぐに他のパーティーメンバーに手を使って指示を飛ばした。ちらりと視線を向けてみれば、ウォルターとブレイズもすぐにささっと手を使って答えている。ブレイズは少しずつ速度を落とすと、後衛のファリーマへの伝達に向かったようだ。
本当にこのパーティーはパーティーとしての練度が高いよな。密かに感心しながら、俺は周りの景色に視線を向けた。
どうやら停留場まではそう遠くなさそうだ。
停留場には数台の馬車が停められるだけの広さがあるが、今日は俺達の馬車だけの貸し切り状態だった。他の馬車を気にしなくて良いならと、俺達は馬車の近くに集まってそれそれが地面に腰を下ろした。
クリスは自分の魔道収納鞄から全員分の昼食の包みを取り出すと、いそいそと配り始めた。
「はい、どうぞ」
「ああ、わざわざすまない。頂くよ、ありがとう」
ルセフは差し出された包みを大事そうに受けとると、丁寧にお礼を口にしている。
「うわっ…すっげー良い香り!」
ウォルターは包みからした香りに嬉しそうに声をあげる。
「本当だ!これどこの店のだろう」
ファリーマは店の名前が気になったようだ。
「ああ、これは六番街の表通りに出てた屋台のですよ」
「あ、あのすっごい混んでたところ?」
「うーん、そこかどうかは分からないですが…確かに混んでましたね」
ふふと笑ったクリスに、ファリーマは大事に食べるよと笑みをこぼす。
「あ、ありがとう」
もっと盛大に喜ぶかと思っていたんだが、ブレイズの反応は何とも大人しいものだった。アキトと再会した時は元気そうだったんだが、どうかしたんだろうか。
「ハルとアキトさんもどうぞ」
「ああ、ありがとう」
「ありがとうございます」
クリスの手から受け取った包みは、まだ温かかった。ウォルターが歓声をあげたのも無理は無いなと思うほど、包みからは良い香りが漂ってきている。
「おまたせ、カーディ」
最後にカーディさんの分を渡したクリスはいそいそとカーディの隣に腰を下ろすと、自分の分の包みを開け始めた。
「あ、遠慮なくどうぞ。足りなければ追加もありますよ」
「「いただきます」」
アキトと二人で声を重ねて、俺達も遠慮なく包みを開いていく。中には半透明な生地に具材が包まれた、何とも不思議な食べ物が入っていた。この料理知ってる?と言いたげに俺を見つめてくるアキトに、俺は苦笑しながら首を振った。これは俺も見た事が無い料理だ。
「これは…?」
「見た目は変わってるけど、これうまいぞ!」
物怖じせずに齧りついたらしいカーディさんは、満面の笑顔を浮かべて歓声をあげた。カーディさんの言葉い背中を押されてすぐに齧りついたアキトも、パァッと嬉しそうな笑顔になった。
「うわっ、本当に美味しい!」
あの反応はかなり美味しいやつだな。しかもアキトの好みに合ったと見た。
感想を分かち合うべく俺もすぐに齧りついたが、うん、確かにこれは美味いな。想像以上にもちもちした食感の生地の中に入っている具材は、細かく刻んだ何種類かの野菜と肉のようだ。肉汁がぶわりと口内に広がっていくのが、何とも幸せだ。
アキトと感想を言い合いながら食べ進めていると、ルセフ達も声をあげた。
「これはうまいな…」
「ああ、すげぇな」
「このもちもち感はクセになる」
「うん、美味しい」
笑顔で料理を褒めちぎっていたルセフ達は、もぐもぐと上品に食べ進めるクリスと豪快にかぶりついてるカーディさんを見て、不意にに苦笑を浮かべた。
「本当に面白い依頼主だな」
「面白い…?」
ルセフがぽつりとこぼした言葉にアキトがどういう意味かと尋ねると、ウォルターが笑って答える。
「ああ、護衛と一緒になって地面に腰を下ろして、しかも同じものを食べる依頼人なんてそうはいないぞ?」
自分たちは馬車の中や用意した派手なテーブルで豪華な食事を楽しみ、護衛は勝手に空いた時間で適当に食べろって態度のひともいるんだと説明されて、アキトは心底驚いたようだ。
うん、まあ、残念ながらそんな依頼人もいるんだよな。
しばらく街道を進んだ所で、クリスは俺達に向かってそう提案した。
「賛成!腹も減ってきたし、皆で飯にしようぜ」
カーディさんが明るく笑って同意すれば、クリスの視線がちらりと俺達の方へと流れてきた。もちろん休憩するのに異論は無いからとアキトと揃って頷けば、クリスは壁にある御者との連絡用の小窓をこんこんと軽く叩いた。
クリスのノックの音にすぐに反応して、向こう側から小窓を覆っていた扉が開かれる。ルセフはまっすぐに前を向いてウマを操ったまま口を開いた。
「どうかしたか?」
「無事にイーシャルからは離れられましたから、そろそろ休憩にしようかと思ったんですが…」
どう思いますかと言いたげなクリスの言葉に、ルセフは少し考えてから答えた。
「分かった。この辺りでも休憩程度なら出来ると思うけど、次の停留場でも良いか?」
「ええ、お願いします」
ルセフはクリスの答えを聞くなり、すぐに他のパーティーメンバーに手を使って指示を飛ばした。ちらりと視線を向けてみれば、ウォルターとブレイズもすぐにささっと手を使って答えている。ブレイズは少しずつ速度を落とすと、後衛のファリーマへの伝達に向かったようだ。
本当にこのパーティーはパーティーとしての練度が高いよな。密かに感心しながら、俺は周りの景色に視線を向けた。
どうやら停留場まではそう遠くなさそうだ。
停留場には数台の馬車が停められるだけの広さがあるが、今日は俺達の馬車だけの貸し切り状態だった。他の馬車を気にしなくて良いならと、俺達は馬車の近くに集まってそれそれが地面に腰を下ろした。
クリスは自分の魔道収納鞄から全員分の昼食の包みを取り出すと、いそいそと配り始めた。
「はい、どうぞ」
「ああ、わざわざすまない。頂くよ、ありがとう」
ルセフは差し出された包みを大事そうに受けとると、丁寧にお礼を口にしている。
「うわっ…すっげー良い香り!」
ウォルターは包みからした香りに嬉しそうに声をあげる。
「本当だ!これどこの店のだろう」
ファリーマは店の名前が気になったようだ。
「ああ、これは六番街の表通りに出てた屋台のですよ」
「あ、あのすっごい混んでたところ?」
「うーん、そこかどうかは分からないですが…確かに混んでましたね」
ふふと笑ったクリスに、ファリーマは大事に食べるよと笑みをこぼす。
「あ、ありがとう」
もっと盛大に喜ぶかと思っていたんだが、ブレイズの反応は何とも大人しいものだった。アキトと再会した時は元気そうだったんだが、どうかしたんだろうか。
「ハルとアキトさんもどうぞ」
「ああ、ありがとう」
「ありがとうございます」
クリスの手から受け取った包みは、まだ温かかった。ウォルターが歓声をあげたのも無理は無いなと思うほど、包みからは良い香りが漂ってきている。
「おまたせ、カーディ」
最後にカーディさんの分を渡したクリスはいそいそとカーディの隣に腰を下ろすと、自分の分の包みを開け始めた。
「あ、遠慮なくどうぞ。足りなければ追加もありますよ」
「「いただきます」」
アキトと二人で声を重ねて、俺達も遠慮なく包みを開いていく。中には半透明な生地に具材が包まれた、何とも不思議な食べ物が入っていた。この料理知ってる?と言いたげに俺を見つめてくるアキトに、俺は苦笑しながら首を振った。これは俺も見た事が無い料理だ。
「これは…?」
「見た目は変わってるけど、これうまいぞ!」
物怖じせずに齧りついたらしいカーディさんは、満面の笑顔を浮かべて歓声をあげた。カーディさんの言葉い背中を押されてすぐに齧りついたアキトも、パァッと嬉しそうな笑顔になった。
「うわっ、本当に美味しい!」
あの反応はかなり美味しいやつだな。しかもアキトの好みに合ったと見た。
感想を分かち合うべく俺もすぐに齧りついたが、うん、確かにこれは美味いな。想像以上にもちもちした食感の生地の中に入っている具材は、細かく刻んだ何種類かの野菜と肉のようだ。肉汁がぶわりと口内に広がっていくのが、何とも幸せだ。
アキトと感想を言い合いながら食べ進めていると、ルセフ達も声をあげた。
「これはうまいな…」
「ああ、すげぇな」
「このもちもち感はクセになる」
「うん、美味しい」
笑顔で料理を褒めちぎっていたルセフ達は、もぐもぐと上品に食べ進めるクリスと豪快にかぶりついてるカーディさんを見て、不意にに苦笑を浮かべた。
「本当に面白い依頼主だな」
「面白い…?」
ルセフがぽつりとこぼした言葉にアキトがどういう意味かと尋ねると、ウォルターが笑って答える。
「ああ、護衛と一緒になって地面に腰を下ろして、しかも同じものを食べる依頼人なんてそうはいないぞ?」
自分たちは馬車の中や用意した派手なテーブルで豪華な食事を楽しみ、護衛は勝手に空いた時間で適当に食べろって態度のひともいるんだと説明されて、アキトは心底驚いたようだ。
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